【旧作】勇者お前だけは許さない。僕が考えた最大の復讐 【復刻版】

石のやっさん

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セレナ 兄として

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僕の名前はセレナヘンドリック。
セレスの兄でヘンドリック家の当主、、、そしてリリアの婚約者でもある。
只今、落ち込んで引きこもり中、、、という事にしている。
優しい弟はリリアが僕でなく勇者を好きになったから落ち込んでいる。そう思っているに違いない。


だが、それは違う僕が落ち込んでいるのは君の事だ。
セレスは気づいて無いと思っているかもしれないけど、僕はヘンドリック家の当主だ。
セレスが調べられる事は僕ならもっと簡単に調べる事が出来る。

王族や貴族にとっての結婚は政略の一つに過ぎない。
自分の家に利益があるなら、豚にだって愛をささやく。それが貴族だ。
君は僕とリリアがさぞ睦ましく付き合っていると思っていただろう。
実際は違う。愛など微塵もない。

だが、それでも僕はリリアを妻にしなければいけない。
貰ってやらないと国王は安心できないだろうからな。

僕がヘンドリックだから。
王家が光ならヘンドリックは闇だ。
この国の汚れた仕事の殆どはヘンドリックが行ってきた。
そして、権力も財力も光の何倍も闇の方が強い。
つまり、この国の本当の支配者は国王ではなく、僕なのさ。
今頃、王は困っているだろう。
そして恐怖で頭が一杯のはずだ。
折角、闇を取り込みこれから安泰の生活が送れるはずだった。なのに全部ぶち壊しだからな。
「僕が傷物は要らない。」そう言えばこの話しは無かった事になる。
そして恥をかかされた僕が王家のすげ替えをするかも知れない。

だが、それ以上に怖いのが、身内がセレスを傷つけた事だろう。
僕が弟を溺愛している事を知っていたからな。
そしてマリアは僕のお気に入りだと知っているからな。

本来なら王家の姉妹はリリアが僕、リリアーナをセレスが娶るはずだった。
だが、それに異を唱えたのが僕だ。

僕は生まれた時から闇だった。汚い仕事を父から教わりその総てを学んだ。
勿論、母も同じく裏の人間だった。

だが、弟には家族は一切そんな姿を見せなかった。
自分たちが闇の中で生きている。
だから、その分、セレスには光の中で生きて貰いたかったんだ。
だから、探した。貴族でありながら闇は知らず、清廉潔白な者を。
それがパスカル家だった。
正直、鼻持ちならない家だったが、その実は頑固で真面目。まぁ
悪く言えば、貴族に生まれたのに謀りごと一つ出来ない馬鹿だ。
だが、この家なら闇と関わらないでセレスは生きていける。
そして、運が良い事にその家にはマリアという娘がいた。
父親同様に、頑固で真面目な娘だ。これ程、セレスに相応しい娘は居ない。

すぐに婚約まで話しを進めた。パスカル家は馬鹿だから貴族の中で数少ないヘンドリックを知らない家だ。
だから、王家の顔覚えの良い貴族、そう思っていただろう。
そして、その息子二人は王族に気に入られている。しかも兄は王女の婚約者。
婚約を断るわけがない。

マリアと婚約させて良かった。
僕は本当にそう思った。
今まで以上に笑顔が多くなったセレス。
どうすればキスが出来るのか悩んでいたセレス。
その笑顔を見るたびに、どんな仕事の後でも癒されたんだ。
だから、そんな笑顔を作ったマリアにも感謝したんだ。

なのに、あのバカはそれを壊した。

そしてセレスから笑顔を奪った。

正直腸が煮えくり返っている。
その事に王は恐怖している。
「勇者を処刑するから許してくれないか」
「王女のどちらかを処刑するからゆるしてくれないか」
貴重な魔道具を使い。何度も打診がきた。最近では
「セレスを次期国王にする」
「勇者を処刑してリリアーナと結婚させる」
そんな話しもきている。
だが、僕は首を振らない。

そんな中セレスは復讐を始めた。
これは国王にとって逆に救いだ。
剣武会の主催を許した時に少しはほっとしただろう。
君が騎士を殺した時も本心では喜んでいたはずだ。
それで少しでもヘンドリックの怒りを沈められるなら安い話だ。
国王はこれからもきっと君の復讐を気が付かないふりするだろう。
そして、君には笑顔でいるだろう。

君が殺したかったなら、勇者だろうと、国王だろうと僕が殺してあげたんだ。
なぁセレス、、それなのに君は相談もしないで手を汚して光を失った。
僕は父や母になんと詫びれば良いのかな。
なぁセレス、全部終わったら元の様に笑ってくれるのか。
僕は君を見るのがつらいんだ。
君の笑顔がもう一度見られるなら、僕は何でもするよ。









セレス、君が今回使ったお金あるだろう。結構な金額を使っているつもりかもしれないが
あれはヘンドリックにとってはただのゴミみたいな金だ。

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