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6>> 第二王子視点-2

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 それからの俺は目覚ましい動きだった。

 身体は6歳だが頭は大人だ。
 当然にアレはやった。
「体は子供! 頭脳は~」
 鏡に向かってポーズを取る俺は可愛い美少年だった。

 ピグスゼグド・ロイ・スマルス。
 スマルス国第二王子。
 それがだ。

 俺が姉だったら鼻血を出して卒倒していただろうが生憎あいにく俺はに思い入れはない。これが心の経典にしていた狩りゲームの自キャラの外見だったなら、俺はナルシストゲイになっていたかも知れないな。

 この世界が『乙女ゲーム』の世界かもしれないと思ったが、だからどうしたと思った。
 俺は自由に動ける。自由に思考出来る。
 なら、『俺』はだ。

 王子という立場は最高だった。欲しいものが確実に手に入る。
 俺は図書室に通い、体を鍛え、剣技を磨いた。

 何よりこの世界には魔法があった!!

 魔法だ! あの魔法だ!!!

 それを放置するなど俺には考えられなかった。

 そんな俺を周りは褒めたたえた。

 “まだ幼いのに素晴らしい!”、“将来有望だ!”、“お兄様を超えるつもりなのか!”、“子供とは思えない!”、“神童だ!”、“知識だけでなく剣にも才能を開花されるとは!”、“既にそこらの騎士では相手になりませんな!”、“魔法をそこまで扱えるとは?!”、“まさか新しい魔法を生み出されたのですか?!”、“まだ幼いのになんという成長スピード!!”、“将来が末恐ろしいですな!!”

 周りからの俺への評価に、俺を見る兄の目には嫉妬が見えたが、俺は笑ってそれを受け流した。
 当然だ。
 俺は兄の立場を脅かすつもりなんか微塵も無かった。

 7歳になった更に半年後。

 俺は意気揚々と城を出た。

 手持ちの荷物は背中に背負ったリュックに数枚の着替えとちょっとくすねた銅貨に銀貨。日持ちしそうなクッキーに皿とフォークとスプーンに水袋、それに剣だ。
 それだけが俺の荷物だった。



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