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10.本性
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空木が目を覚ますと、秋元がすぐ隣で眠っていた。だが空木がモゾモゾと身体を動かしたせいで、秋元が目を覚ましたみたいだ。
「おはよう空木君」
秋元にぎゅっと身体を抱き締められる。空木も秋元も、上は服を着ているものの、下は何も身につけていない。秋元の素足が触れて、それだけでドキッとした。
「昨日の夜は楽しかったね」
昨日の夜——。それはきっとあの痴態のことを指しているのだろう。
秋元と初めてのくせに、あんなにイき狂って恥ずかしいったらない。
そのことに気がついて空木はカアッと耳まで熱くなった。
「まさか空木君があそこまで乱れるとは思わなかった」
その話はやめて欲しい。今になって冷静になり、色々思い出してきて羞恥で逃げ出したいくらいなのに。
「それと、昨日の約束はちゃんと有効だよね……?」
「約束……ですか……?」
なんだろう。昨日のことは記憶が曖昧なところがある。
秋元と飲んでいて、それから行為に及んだことまでは憶えている。その後からは記憶がない。
「俺と一緒にここで暮らしてくれるって、約束したじゃない」
「えっ……」
秋元はにっこり微笑んでいるが、空木としてはそんなことを約束した記憶がない。
「嬉しかったな。ありがとう空木君。既にここは君が暮らせるように準備してあるから、俺はいつからでも構わないよ」
どうしよう……。秋元はこんなに喜んでいるのに約束を憶えていないと言い出しにくくなってしまった。
「それとそのあと言っていたことも、守ってくれるよね?」
「えっ、まだありましたっけ……」
昨日の自分はいったいどんな約束をしてしまったのだろう。かなりアルコールが入っていたとはいえ、そんなに記憶を飛ばしてしまったのだろうか……。
「毎日一緒のベッドで寝てくれるって」
「はい?!」
「空木君から言い出したんだよ? わざわざ空木君用のベッドを買わなくてもいいって」
「そうなんですか?!」
待て待て。綺麗さっぱりそんなことは憶えてない。記憶にない。
「え? 空木君、まさか昨日のこと、憶えてないとか言わないよね?」
なんだか秋元の目が怖い。
あんなに優しかった人の目じゃない。これで『憶えてない』と正直に話したらこの身はいったいどうなるのだろう。
「あ……いえ、お、憶えてます……」
「そっか! よかった! びっくりしたよ、まさかあの大切な約束を忘れられたかと思った」
秋元は上機嫌になり、空木を再び抱き締めてきた。
「あ、苦し……」
やばい。俺はまだこの人の本性を知らないままなのかもしれない……。
——完。
「おはよう空木君」
秋元にぎゅっと身体を抱き締められる。空木も秋元も、上は服を着ているものの、下は何も身につけていない。秋元の素足が触れて、それだけでドキッとした。
「昨日の夜は楽しかったね」
昨日の夜——。それはきっとあの痴態のことを指しているのだろう。
秋元と初めてのくせに、あんなにイき狂って恥ずかしいったらない。
そのことに気がついて空木はカアッと耳まで熱くなった。
「まさか空木君があそこまで乱れるとは思わなかった」
その話はやめて欲しい。今になって冷静になり、色々思い出してきて羞恥で逃げ出したいくらいなのに。
「それと、昨日の約束はちゃんと有効だよね……?」
「約束……ですか……?」
なんだろう。昨日のことは記憶が曖昧なところがある。
秋元と飲んでいて、それから行為に及んだことまでは憶えている。その後からは記憶がない。
「俺と一緒にここで暮らしてくれるって、約束したじゃない」
「えっ……」
秋元はにっこり微笑んでいるが、空木としてはそんなことを約束した記憶がない。
「嬉しかったな。ありがとう空木君。既にここは君が暮らせるように準備してあるから、俺はいつからでも構わないよ」
どうしよう……。秋元はこんなに喜んでいるのに約束を憶えていないと言い出しにくくなってしまった。
「それとそのあと言っていたことも、守ってくれるよね?」
「えっ、まだありましたっけ……」
昨日の自分はいったいどんな約束をしてしまったのだろう。かなりアルコールが入っていたとはいえ、そんなに記憶を飛ばしてしまったのだろうか……。
「毎日一緒のベッドで寝てくれるって」
「はい?!」
「空木君から言い出したんだよ? わざわざ空木君用のベッドを買わなくてもいいって」
「そうなんですか?!」
待て待て。綺麗さっぱりそんなことは憶えてない。記憶にない。
「え? 空木君、まさか昨日のこと、憶えてないとか言わないよね?」
なんだか秋元の目が怖い。
あんなに優しかった人の目じゃない。これで『憶えてない』と正直に話したらこの身はいったいどうなるのだろう。
「あ……いえ、お、憶えてます……」
「そっか! よかった! びっくりしたよ、まさかあの大切な約束を忘れられたかと思った」
秋元は上機嫌になり、空木を再び抱き締めてきた。
「あ、苦し……」
やばい。俺はまだこの人の本性を知らないままなのかもしれない……。
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あましょく様、感想ありがとうございます(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)ペコリ
クソ野郎視点でざまぁ!日夏は離婚され、左遷され、相手の有能な弁護士にたっぷり慰謝料と養育費請求される。しかも秋元の手によって給料差押えで逃げられない。会社では離婚&不倫の噂はあっという間に広がり孤立する。ひとりが寂しくなって娘の写真見ながら元奥さんに謝って再婚を申し出るけど、奥さんはなんと秋元紹介の弁護士と恋仲で、あっさり捨てられる。その帰り道に秋元と空木を見かけて、ふたりでひとつの買い物袋を持ちながら仲睦まじい様子をみて「俺の空木ィ〜!」と激しく後悔。空木は秋元から頬にチュッとされてめちゃくちゃ照れている(空木くん中央区の総合病院に転職。そこでキャリアを積みながら秋元と暮らしてる)。最後は日夏が親兄弟にもお金を無心して、絶縁されて終わり、的な感じを想像しました( ¯꒳¯ )b✧
完ですか…ここからも楽しみ!と思っていたのですが…(ToT) また番外編があれば楽しみに待ってまーす!!
ああ、もう、嬉しい言葉をありがとうございます!
その言葉を励みに頑張っていきたいと思います。
最後までお付き合いくださり感謝です!
いい人……?
ムフフ♡
明日の更新で完結にできるかな。未だ書き途中なのです。
感想ありがとうございます!