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17話
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しおりを挟む「怪我をさせてしまって申し訳ない」
「いいえ、これは私の所為です」
「俺が防げなかったのが悪いんです」
他国の国王が自分の国で怪我をしてしまったのだ。だから謝ったのだろうが、この怪我はルージュを守ったからできたものだ。
それなのに自分が悪いとでも言いたげだ。きっと何を言ってもルージュの所為とは言わないのだろう。ルージュは国王とは短い間しか一緒にいなかったが、それだけは分かっていた。
「まさかニールが貴方のことを知らぬとは思ってもいなかった」
「それだけ、周りに目が向かないということなのでしょう。あれが国王になった場合、この国は本当に崩壊する」
「ああ。だからこそ、ルーカスを次期国王に選んだ。病弱ではあるが、あの子は勉強熱心だ。国民のこともよく見ている」
ルーカスに向けられる目はとても優しかった。病弱で寝込んでいたルーカスを一番心配していたのは国王だ。そんな様子はおくびにも出していなかったが、ルージュは見舞いに行った帰りに何度も様子を聞かれていた。
国王が行けば、ルーカスに仕事に集中しろと怒られてしまうことから見舞いにはなかなか行けなかったらしい。
けれど今のルーカスの様子を見ると、寝込むことは少なくなっているのだろう。顔色もとてもいい。
「そう言えば、こちらを渡しておきます」
そう言ってノワールが胸ポケットから取り出したのは、折りたたまれた紙だった。ノワールから受け取った紙を、国王はその場で開いて内容を読んだ。
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