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1章
16.ハートは回るよクルクルと ◆
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負けない――。
と言っても美詠に勝算があるわけではなかった。
一生懸命やるために自分を奮い立たせるだけのポーズになってしまっている。
しかし美詠は“一生懸命にやって、それでも拓斗には負けて、踏みにじられる”結果が見えているにしても頑張りたかった。
拓斗は美詠を手本にしつつも美詠が信じるセオリーとは別のやり方で、あっという間にスコアを伸ばして追い抜いた。そこに悔しさがなかったわけではないが、そんなことよりも美詠は叫びたかった。たっくん、待って――と。
本当は拓斗の手を取りたかったし、自分を置いていってほしくなかった。
だのに「自分で頑張るから」とつっぱねてしまった。売り方を教わりそこねてしまった。
今は「ハートマークはボーナスキャラかもしれない」という拓斗の言葉が焦りと希望をつなぐ糸になっている。
ゲームはもう始まっている。スコアを伸ばすためのヒントを探す時間が一秒、また一秒と減っている。
ミンちゃんのお店にハートを浮かべた桃色のペンギンが入ってきた。
ちなみにこのゲームの客は全員が動物で、店員のスーちゃんは怪獣、美詠のミンちゃんだけが人間の女の子だ。
自分の客になった桃色ペンギンの注文の品を美詠はすぐに作った。
このときハートマークがいつまで経っても消えないことに美詠も初めて疑問を持った。通常のゲームではハートのエモーションはキャラクターの頭上にランダムに現れ、数秒で消える。
品物を受け取った桃色ペンギンがお店の出口へ向かう。
すると突然、スーちゃんの客だった水色のペンギンが走って桃色ペンギンに追いついた。二羽は一緒にハートマークを浮かべて店から消えた。
(今のって……!)
明らかに意味のある動きだ。客が走る姿を美詠は初めて見たし、なによりハートの無かった水色のペンギンがハートを出したのだ。
またハートマークの客がやってきた。今度は黄色いワンピースを着たパンダだ。ミンちゃんのレジに並んだ。
スーちゃんのレジにはブルーのズボンをはいたパンダがいる。レジで待たされすぎて不機嫌マークが出ている。
美詠はハートのパンダの注文をすぐにこなして品物を渡した。ほぼ同時にスーちゃんも不機嫌パンダに品物を渡した。
すると不機嫌マークがくるりとハートマークに変わった。二頭のパンダはハートを並べて出ていった。
(すごい!)
美詠は理解した。
このゲームの新たなおもしろさに気がついて、指を広げた足で畳をこすった。
またハートマークが見えた。ビーバーだ。今回はスーちゃんのレジに行った。
ミンちゃんのレジにも色違いのビーバーがいる。こちらにハートマークは出ていない。
スーちゃんがハートのビーバーの注文品を作りだした。
それを見て美詠も色違いビーバーの注文品を作る。二人そろって完成。
スーちゃんが品物を渡したので、美詠も渡した。
しかしハートマークは現れず、二匹は別々に帰ってしまった。
(なんで?)
美詠は首をかしげた。
理解したはずのことがうまくいかない気持ちの悪さが残った。
ゲームが進んでハート付きの茶タヌキがやってきた。ミンちゃんのレジに並んだ。
スーちゃんのレジにもやはりタヌキがいる。向こうは白い丸帽子をかぶっている。
茶タヌキが注文したワッフルを作りながら、美詠はスーちゃんを覗き見した。
スーちゃんも白帽タヌキにシャーベットを作っている最中だ。
しかし注文どおりのメロンシャーベットではない。
(イチゴのシャーベット!?)
美詠が作っているワッフルもイチゴ。
品物ができると二匹のタヌキはそれぞれ受け取り、ハートマークを並べて帰っていった。
普通は注文内容を間違えると受け取ってもらえない。
(そうだったんだ!)
ここでゲームは終了した。結果は美詠47、拓斗53。
獲得ジュエルは970。三組のハートマーク客を獲得して、あきらかにスコアが伸びた。
「もしかしてわかった? やっぱボーナスあるよな」
拓斗の目が笑っている。
「うん、やり方もわかった! あるよね」
「説明してないのにさすがだなー。やっぱりみよみちゃん頭良くて楽しいな」
「えへ、そう? でも私もたっくんがヒントくれたからわかったんだよ。たっくんは頭良い子が好きだったの?」
「頭が良いっていうか、一緒に夢中になれるのがいいかな」
「あー、それわかる。私も楽しい」
「さっき俺みよみちゃんを煽ったけど、みよみちゃんって一生懸命やるから言うことなかったなー」
拓斗は照れ臭そうに頭をかいた。
「……そういうこと?」
彼が言ってもおかしくなさそうなことではあるが、なんとなく美詠が持っていた違和感はここで跡形もなく溶けた。
「でも勝負は勝負だから」
「うん」
罰ゲームだ。
「立って」
短く命令的な口調。場の空気が塗り替わった。
「はい」
座布団から下りて美詠は立ち上がった。さっき言われたとおりに足をそろえて胸を張り、両手を後ろにまわして手首を合わせる。
這い寄った拓斗は満足そうな目で見上げるとショーツに手をかけた。
「えっ、そっちから脱がすの?」
驚いて美詠は声をあげてしまった。
「そっちってなんで?」
「パンツは一番最後だと思ってた……」
「みよみちゃんの一番恥ずかしいところが見えるから?」
「うん」
「うーん」拓斗はうなりながらショーツの中央に手を置いて、下腹部のなだらかさを楽しむ手つきでなでながら、少しずつ考えを口にした。
「ここって女の子が一番隠すところじゃん。みよみちゃんもそうだよな。一番エッチなところだし、俺もそう思うし。だから脱がせたくなっちゃうんだよ、見たくてさ。俺おまんこ大好きなんだー」
「好きなのはわかるけど……」
「みよみちゃんのおまんこ見たいし、さわりたいし、イジメたいんだよ。みよみちゃんをいじめるって言ったら、おまんこイジメのことだよ。みよみちゃんは恥ずかしがりだからイジメがいがあるしさ。みよみちゃんって、ときどき意地張って口答えとかもするじゃん? 本気じゃないくせに。それもイジメがいがあって好きなんだよなー。
そういや昨日、可愛いからイジメたくなるって俺言ったけど、あれ半分ウソだから。ホントは好きだからイジメたくなるんだよ。でもみよみちゃんだってさ、俺に何されても、ずっとドキドキしててエッチになってんじゃん。ホントもうメチャクチャにしたくなる」
「わかった、わかったからぁ」黙って聞いていた美詠は、はじける寸前まで熱っぽくなった顔で声を張りあげた。「パンツから脱がしちゃっていいから止まって~」
もうちょっと、と拓斗はイタズラっぽく笑うと、ショーツのクロッチを指で差した。
「みよみちゃんさ。もし俺が一日中、朝から晩までずっとおまんこ出しててって言ったらどうする? 服は着ちゃいけないって言ったらどうする? 上は途中で着てもいいけど下は絶対にはいちゃダメって言ったらどうする?」
ショーツの間近に指が突き付けられている。昨日と同じだと思いながら美詠は答える。
「……たっくんと二人きりなら……恥ずかしいけど……いいよ」
拓斗の顔に笑みがゆったりと広がった。
「みよみちゃんならそう言ってくれると思ってたよ。でももし本当にやったら、約束してても、みよみちゃんはきっとどっかで口答えしちゃうんだろうな」
「しちゃうかも……」
「そしたらうんと叱ってあげるよ」
「あう」
「みよみちゃん」
「ん……」
「顔が真っ赤」
「ああん」
「フフフ。そういや裸んぼうにするって言ったけど、身体冷えちゃってまずかったりする?」
「ううん、平気」
「そうかー。やっぱり先にTシャツ脱がしでいいや。みよみちゃん、自分で脱いで俺に服ちょうだい」
「はい」
ショーツだけを残した姿に美詠はなった。
脱いだTシャツがスカートと一緒に並べられている。
「みよみちゃん、また手を後ろにしてて偉いな」
「たっくんがこうしろって言ったから……」
「フフ」
正面の近い距離に拓斗が立った。
オレンジ色のシャツが素肌に近づいて美詠は気圧されそうになった。
「おっぱいって見られると恥ずかしい?」
裸の胸が見下ろされている。
平たい胸に薄桃色の点飾りがふたつ。基部に発育の兆しを見せているつぼみに少年の好奇心がたかっている。
「恥ずかしいよ……」
「そうなんだ。おっぱいもエッチに見えてきた。乳首って触られるとどんな感じなの?」
「くすぐったいよ……たぶん」
「ふうん。触ってみるから胸張ったまま立ってて」
「う、うん」
二つのつぼみに親指が当てられた。様子を見るようにゆっくり動いている。
「んっ……」
「くすぐったい?」
「くすぐったい気がする」
「気がする?」
つぼみが上に押し倒された。次いで下に押し倒される。
押し倒されたまま二つとも指でゆっくりと回された。美詠の意思と関係なく、つぼみはこの動きに反応した。
「硬くなった」
拓斗の声にほんの少し淫猥の陰りが落ちている。
たった一日の出来事で彼の“その気”をすりこまれた美詠の身体は、この微量の陰りを敏感に感じとった。様子見では済まない予感で口が乾く。
拓斗は親指と人差し指の間につぼみを入れて、二つを同時につまんだ。
「気持ち良かったりはしないの? これ」
「よくわかんない……」
「くすぐったいのと恥ずかしい感じ?」
「うん」
「こうやって指でつまんだまま話すのってエッチな感じするんだけど、みよみちゃんは?」
「する……」
「だよなー」
つまむ手を離し、右のつぼみから左のつぼみへ、拓斗は人差し指で線を引いた。
味わったことのない刺激を受ける美詠の表情を楽しみながら、左から右に指を戻す。
「ドキドキしてるね、みよみちゃん」
「うん」
硬くなったつぼみを拓斗は指先でタッチした。ちょんとはじいてから逆のつぼみへ向かう。指で胸の肌に線を引きながら移動して、こちらでもつぼみをちょんとはじいた。
指をまた元のつぼみへ折り返す。右へ左へを繰り返しながら話をする。
「俺もドキドキしてるよ。みよみちゃんにこんなことしてるから」
「あは」
「ドキドキしあって同じだ」
「うん」
拓斗は空いているほうの手で美詠の手首をおさえた。胸では人差し指が同じペースで動いている。
「昨日もこんなふうに手首とったよね俺」
「うん、たっくんに縛られてるの……」
「そうだよ。みよみちゃん負けちゃったから」
「うん」
「負けちゃった女の子は恥ずかしい目にあうんだもんな」
「うん」
「みよみちゃん、ずっと胸張って立ってて偉いね」
「立ってなきゃいけないから……」
「俺の罰ゲームだもんな。罰だもんな」
「うん」
拓斗は手の動きを変えた。両手で二つのつぼみを同時に触った。性感帯を無理やり芽吹かせるような、指先でのソフトなこすり合わせ。利き腕とは無関係に平等に愛撫しながら話を続ける。
「みよみちゃんの乳首を触ってると気持ちいいな。硬いのが指に当たってさ」
「私も……たっくんに触られるとやっぱり気持ちいいかも……」
「それ言ってもらえるの嬉しいな」
「ふふ、そうなんだ」
「みよみちゃん、濡れてるよね、下」
「ん……秘密」
「秘密なのか。脱がして確かめるかな」
「確かめさせないよ」美詠はクスっと笑う。「私だって頑張るから」
「おおっ」
感嘆の声を拓斗はあげた。
つぼみに触れる指の動きを、よい子を褒める、なでつけへと変えた。
「俺、頑張るみよみちゃん好きだよ。言うこと聞く可愛いのも好きなんだけど、元気に頑張っちゃうところも好きだよ。きのう庭で話した時にそういうの感じたんだよなー」
「そうだったんだ」
「そうそう」
「胸くすぐったい?」
「うん」
「ははは、目ぱちぱちさせて頑張ってんじゃん」
「うん」
「じゃあ次の勝負も本気でやろう。ハートボーナス使って稼ごう。みよみちゃんも勝てそうなら、また俺に勝ってみせてよ」
「わ、わかった……頑張るね」
愛撫の指が胸から離れた。
美詠は呼吸を整えて新しい勝負へと向かった。
と言っても美詠に勝算があるわけではなかった。
一生懸命やるために自分を奮い立たせるだけのポーズになってしまっている。
しかし美詠は“一生懸命にやって、それでも拓斗には負けて、踏みにじられる”結果が見えているにしても頑張りたかった。
拓斗は美詠を手本にしつつも美詠が信じるセオリーとは別のやり方で、あっという間にスコアを伸ばして追い抜いた。そこに悔しさがなかったわけではないが、そんなことよりも美詠は叫びたかった。たっくん、待って――と。
本当は拓斗の手を取りたかったし、自分を置いていってほしくなかった。
だのに「自分で頑張るから」とつっぱねてしまった。売り方を教わりそこねてしまった。
今は「ハートマークはボーナスキャラかもしれない」という拓斗の言葉が焦りと希望をつなぐ糸になっている。
ゲームはもう始まっている。スコアを伸ばすためのヒントを探す時間が一秒、また一秒と減っている。
ミンちゃんのお店にハートを浮かべた桃色のペンギンが入ってきた。
ちなみにこのゲームの客は全員が動物で、店員のスーちゃんは怪獣、美詠のミンちゃんだけが人間の女の子だ。
自分の客になった桃色ペンギンの注文の品を美詠はすぐに作った。
このときハートマークがいつまで経っても消えないことに美詠も初めて疑問を持った。通常のゲームではハートのエモーションはキャラクターの頭上にランダムに現れ、数秒で消える。
品物を受け取った桃色ペンギンがお店の出口へ向かう。
すると突然、スーちゃんの客だった水色のペンギンが走って桃色ペンギンに追いついた。二羽は一緒にハートマークを浮かべて店から消えた。
(今のって……!)
明らかに意味のある動きだ。客が走る姿を美詠は初めて見たし、なによりハートの無かった水色のペンギンがハートを出したのだ。
またハートマークの客がやってきた。今度は黄色いワンピースを着たパンダだ。ミンちゃんのレジに並んだ。
スーちゃんのレジにはブルーのズボンをはいたパンダがいる。レジで待たされすぎて不機嫌マークが出ている。
美詠はハートのパンダの注文をすぐにこなして品物を渡した。ほぼ同時にスーちゃんも不機嫌パンダに品物を渡した。
すると不機嫌マークがくるりとハートマークに変わった。二頭のパンダはハートを並べて出ていった。
(すごい!)
美詠は理解した。
このゲームの新たなおもしろさに気がついて、指を広げた足で畳をこすった。
またハートマークが見えた。ビーバーだ。今回はスーちゃんのレジに行った。
ミンちゃんのレジにも色違いのビーバーがいる。こちらにハートマークは出ていない。
スーちゃんがハートのビーバーの注文品を作りだした。
それを見て美詠も色違いビーバーの注文品を作る。二人そろって完成。
スーちゃんが品物を渡したので、美詠も渡した。
しかしハートマークは現れず、二匹は別々に帰ってしまった。
(なんで?)
美詠は首をかしげた。
理解したはずのことがうまくいかない気持ちの悪さが残った。
ゲームが進んでハート付きの茶タヌキがやってきた。ミンちゃんのレジに並んだ。
スーちゃんのレジにもやはりタヌキがいる。向こうは白い丸帽子をかぶっている。
茶タヌキが注文したワッフルを作りながら、美詠はスーちゃんを覗き見した。
スーちゃんも白帽タヌキにシャーベットを作っている最中だ。
しかし注文どおりのメロンシャーベットではない。
(イチゴのシャーベット!?)
美詠が作っているワッフルもイチゴ。
品物ができると二匹のタヌキはそれぞれ受け取り、ハートマークを並べて帰っていった。
普通は注文内容を間違えると受け取ってもらえない。
(そうだったんだ!)
ここでゲームは終了した。結果は美詠47、拓斗53。
獲得ジュエルは970。三組のハートマーク客を獲得して、あきらかにスコアが伸びた。
「もしかしてわかった? やっぱボーナスあるよな」
拓斗の目が笑っている。
「うん、やり方もわかった! あるよね」
「説明してないのにさすがだなー。やっぱりみよみちゃん頭良くて楽しいな」
「えへ、そう? でも私もたっくんがヒントくれたからわかったんだよ。たっくんは頭良い子が好きだったの?」
「頭が良いっていうか、一緒に夢中になれるのがいいかな」
「あー、それわかる。私も楽しい」
「さっき俺みよみちゃんを煽ったけど、みよみちゃんって一生懸命やるから言うことなかったなー」
拓斗は照れ臭そうに頭をかいた。
「……そういうこと?」
彼が言ってもおかしくなさそうなことではあるが、なんとなく美詠が持っていた違和感はここで跡形もなく溶けた。
「でも勝負は勝負だから」
「うん」
罰ゲームだ。
「立って」
短く命令的な口調。場の空気が塗り替わった。
「はい」
座布団から下りて美詠は立ち上がった。さっき言われたとおりに足をそろえて胸を張り、両手を後ろにまわして手首を合わせる。
這い寄った拓斗は満足そうな目で見上げるとショーツに手をかけた。
「えっ、そっちから脱がすの?」
驚いて美詠は声をあげてしまった。
「そっちってなんで?」
「パンツは一番最後だと思ってた……」
「みよみちゃんの一番恥ずかしいところが見えるから?」
「うん」
「うーん」拓斗はうなりながらショーツの中央に手を置いて、下腹部のなだらかさを楽しむ手つきでなでながら、少しずつ考えを口にした。
「ここって女の子が一番隠すところじゃん。みよみちゃんもそうだよな。一番エッチなところだし、俺もそう思うし。だから脱がせたくなっちゃうんだよ、見たくてさ。俺おまんこ大好きなんだー」
「好きなのはわかるけど……」
「みよみちゃんのおまんこ見たいし、さわりたいし、イジメたいんだよ。みよみちゃんをいじめるって言ったら、おまんこイジメのことだよ。みよみちゃんは恥ずかしがりだからイジメがいがあるしさ。みよみちゃんって、ときどき意地張って口答えとかもするじゃん? 本気じゃないくせに。それもイジメがいがあって好きなんだよなー。
そういや昨日、可愛いからイジメたくなるって俺言ったけど、あれ半分ウソだから。ホントは好きだからイジメたくなるんだよ。でもみよみちゃんだってさ、俺に何されても、ずっとドキドキしててエッチになってんじゃん。ホントもうメチャクチャにしたくなる」
「わかった、わかったからぁ」黙って聞いていた美詠は、はじける寸前まで熱っぽくなった顔で声を張りあげた。「パンツから脱がしちゃっていいから止まって~」
もうちょっと、と拓斗はイタズラっぽく笑うと、ショーツのクロッチを指で差した。
「みよみちゃんさ。もし俺が一日中、朝から晩までずっとおまんこ出しててって言ったらどうする? 服は着ちゃいけないって言ったらどうする? 上は途中で着てもいいけど下は絶対にはいちゃダメって言ったらどうする?」
ショーツの間近に指が突き付けられている。昨日と同じだと思いながら美詠は答える。
「……たっくんと二人きりなら……恥ずかしいけど……いいよ」
拓斗の顔に笑みがゆったりと広がった。
「みよみちゃんならそう言ってくれると思ってたよ。でももし本当にやったら、約束してても、みよみちゃんはきっとどっかで口答えしちゃうんだろうな」
「しちゃうかも……」
「そしたらうんと叱ってあげるよ」
「あう」
「みよみちゃん」
「ん……」
「顔が真っ赤」
「ああん」
「フフフ。そういや裸んぼうにするって言ったけど、身体冷えちゃってまずかったりする?」
「ううん、平気」
「そうかー。やっぱり先にTシャツ脱がしでいいや。みよみちゃん、自分で脱いで俺に服ちょうだい」
「はい」
ショーツだけを残した姿に美詠はなった。
脱いだTシャツがスカートと一緒に並べられている。
「みよみちゃん、また手を後ろにしてて偉いな」
「たっくんがこうしろって言ったから……」
「フフ」
正面の近い距離に拓斗が立った。
オレンジ色のシャツが素肌に近づいて美詠は気圧されそうになった。
「おっぱいって見られると恥ずかしい?」
裸の胸が見下ろされている。
平たい胸に薄桃色の点飾りがふたつ。基部に発育の兆しを見せているつぼみに少年の好奇心がたかっている。
「恥ずかしいよ……」
「そうなんだ。おっぱいもエッチに見えてきた。乳首って触られるとどんな感じなの?」
「くすぐったいよ……たぶん」
「ふうん。触ってみるから胸張ったまま立ってて」
「う、うん」
二つのつぼみに親指が当てられた。様子を見るようにゆっくり動いている。
「んっ……」
「くすぐったい?」
「くすぐったい気がする」
「気がする?」
つぼみが上に押し倒された。次いで下に押し倒される。
押し倒されたまま二つとも指でゆっくりと回された。美詠の意思と関係なく、つぼみはこの動きに反応した。
「硬くなった」
拓斗の声にほんの少し淫猥の陰りが落ちている。
たった一日の出来事で彼の“その気”をすりこまれた美詠の身体は、この微量の陰りを敏感に感じとった。様子見では済まない予感で口が乾く。
拓斗は親指と人差し指の間につぼみを入れて、二つを同時につまんだ。
「気持ち良かったりはしないの? これ」
「よくわかんない……」
「くすぐったいのと恥ずかしい感じ?」
「うん」
「こうやって指でつまんだまま話すのってエッチな感じするんだけど、みよみちゃんは?」
「する……」
「だよなー」
つまむ手を離し、右のつぼみから左のつぼみへ、拓斗は人差し指で線を引いた。
味わったことのない刺激を受ける美詠の表情を楽しみながら、左から右に指を戻す。
「ドキドキしてるね、みよみちゃん」
「うん」
硬くなったつぼみを拓斗は指先でタッチした。ちょんとはじいてから逆のつぼみへ向かう。指で胸の肌に線を引きながら移動して、こちらでもつぼみをちょんとはじいた。
指をまた元のつぼみへ折り返す。右へ左へを繰り返しながら話をする。
「俺もドキドキしてるよ。みよみちゃんにこんなことしてるから」
「あは」
「ドキドキしあって同じだ」
「うん」
拓斗は空いているほうの手で美詠の手首をおさえた。胸では人差し指が同じペースで動いている。
「昨日もこんなふうに手首とったよね俺」
「うん、たっくんに縛られてるの……」
「そうだよ。みよみちゃん負けちゃったから」
「うん」
「負けちゃった女の子は恥ずかしい目にあうんだもんな」
「うん」
「みよみちゃん、ずっと胸張って立ってて偉いね」
「立ってなきゃいけないから……」
「俺の罰ゲームだもんな。罰だもんな」
「うん」
拓斗は手の動きを変えた。両手で二つのつぼみを同時に触った。性感帯を無理やり芽吹かせるような、指先でのソフトなこすり合わせ。利き腕とは無関係に平等に愛撫しながら話を続ける。
「みよみちゃんの乳首を触ってると気持ちいいな。硬いのが指に当たってさ」
「私も……たっくんに触られるとやっぱり気持ちいいかも……」
「それ言ってもらえるの嬉しいな」
「ふふ、そうなんだ」
「みよみちゃん、濡れてるよね、下」
「ん……秘密」
「秘密なのか。脱がして確かめるかな」
「確かめさせないよ」美詠はクスっと笑う。「私だって頑張るから」
「おおっ」
感嘆の声を拓斗はあげた。
つぼみに触れる指の動きを、よい子を褒める、なでつけへと変えた。
「俺、頑張るみよみちゃん好きだよ。言うこと聞く可愛いのも好きなんだけど、元気に頑張っちゃうところも好きだよ。きのう庭で話した時にそういうの感じたんだよなー」
「そうだったんだ」
「そうそう」
「胸くすぐったい?」
「うん」
「ははは、目ぱちぱちさせて頑張ってんじゃん」
「うん」
「じゃあ次の勝負も本気でやろう。ハートボーナス使って稼ごう。みよみちゃんも勝てそうなら、また俺に勝ってみせてよ」
「わ、わかった……頑張るね」
愛撫の指が胸から離れた。
美詠は呼吸を整えて新しい勝負へと向かった。
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