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第4章 洞窟都市グロッタ

#29 淫魔の血脈④

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 サトはすでに役割を終えていた。

 浴場の大理石の床では、全裸のルビイとエリスが獣のように絡み合い、お互いの陰部を舐め合っている。

 ついさっきまで、向かい合って座り、相手の乳房に己の乳房を押しつけ、股を交差させて陰部をこすり合わせていたかと思ったら、いつのまにかシックスナインの体勢になっているのだ。

 上になったルビイがエリスの足の間に顔を突っ込み、性器を舐めている。

 下に組み伏せられたエリスも、それに負けじとルビイの腰を抱え込み、性器に舌を差し入れているのだ。

 がらんとした浴場内に、あられもないふたりの嬌声が響き渡る。

 粘液がこすれる音と肉と肉がぶつかる音が、その破廉恥極まりない声の合間にアクセントをつける。

 そんなふたりを後にして、サトは脱衣場に戻った。

 備え付けのタオルで身体を拭き、肌着をつけて窓から吹き込む風で髪の毛を乾かした。

 風には死臭が色濃くこもっているが、鳴れているサトは別に気にならない。

 窓の外の漆黒の闇に目を凝らす。

 空は晴れ渡り、いつの間にか雲が消えている。

 しばらく目を凝らし続けてみたが、懸念材料は発見できなかった。

 村が殲滅されていたことは、折り込み済みで想定内だ。

 だが、あのオークの死体は予想外だった。

 もしあれが、あの時サトが直感したように、…の仕業だとしたら。

 それはそれで、非常にやっかいなことになる。

 それこそ世界情勢が、根本から引っくり返ってしまうような…。

 しかし、そんなことがあり得るだろうか。

 500年は長い。

 いや、彼らにとっては、そうではないのかもしれない。

 小さな半透明の布切れで胸と腰を覆っただけのサトは、ひどくセクシーだ。

 そのままの格好で椅子を引き寄せ、尻を落ちつけると、むっちりした脚を組んでサトは考え込んだ。

 そして、情事に疲れ果てたルビイとエリスが出てくるまで、その場からぴくりとも動かなかった。
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