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第5章 屑肉と化した女戦士は魔王討伐の夢を見るか

#9 鬼畜たちの宴④

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 ルビイの病室は、気温が上がらぬよう、病院の最も北の端に位置していた。
 
 病院には自家発電の設備が備わっているため、病室内にも廊下にも、電気を使った照明器具が設置されている。

 が、深夜ということもあり、その光量は最小限に抑えられていた。

 足を引きずるような音を響かせて、廊下の角から姿を現したのは、病衣の前をはだけた痩せた老人だ。

 ガラス玉のようなうつろな目を見開いたディオニス王その人である。

 その何かに憑依されたかのような表情には現役時の威厳はかけらもなく、ただの狂った老廃人としか見えない。
 
 王の老人斑の浮き出た右手が、扉ににかかった。

 病室だから、いつでも医師や看護師が出入りできるよう、扉には鍵はかかっていなかった。

 扉を開き、中に一歩足を踏み入れると、吐く息も凍るような冷気が王の老いた身体を包み込んだ。

 ルビイの死体が腐らぬよう、病室の周囲には凍らせた氷嚢が積み重ねてあるのだ。

 窓のない石造りの簡素な部屋の中央に、丈の低いベッドがひとつ、ぽつんと置かれている。

 王の膝までしかないそのベッドの上にはシーツが敷かれ、真ん中がこんもりと盛り上がっている。

「うう…ル、ルビイ…」

 両手を前に突き出し、右足を引きずりながら、老人は磁石に引かれるようにベッドのほうへと進んでいく。

 眼球が飛び出さんばかりに目は見開かれ、半開きの唇の端からはだらだらとよだれが垂れている。

 更に異様なのは、その下半身だった。

 割れた病衣の間から、赤黒い棒状の器官が腹につかんばかりの角度で持ち上がり、鎌首をもたげているのだ。

 およそ老人にふさわしくない、凶器のように屹立した勃起ペニスだった。

 老人の手がもどかしげに震え、次の瞬間、無造作にシーツをはぎとった。

「ルビイ…」

 その下から現れたものを見て、老人が感極まったようにうめく。

 手足を失い、内臓を抜かれたルビイの亡骸が、そこにあった。

 仰向けになったルビイは、目を閉じ、口を丸く開けている。

 胸に盛り上がる形のいい乳房は跡形もなく消え、ケロイド状の醜い傷跡がその部分を覆っている。

 なめらかな下腹はへその下あたりで裂け、そのまま陰部の割れ目に続いているようだ。

 肌はいたるところ擦過傷だらけで、乾いた血が傷口の中にこびりついている。

「おお、ルビイ…」

 ベッドの周りを半周すると、王はルビイの股を見下ろせる位置に立った。

 目の前にあるのは、無残にも引き裂かれ、中を見せているルビイの性器の入口である。

「おお、ルビイ…」

 王は痛いほど勃起した陰茎の先を、その穴の淵にあてがった。

 死体のくびれた腰を両手でつかむと、力任せに自分のほうへと引き寄せた。

 おのれの肉棒がルビイの身体を貫いた瞬間、だしぬけに電撃のような快感が老王の脊椎を駆け登った。

「くそっ! くそっ! くそっ!」

 狂ったようにピストン運動を開始した。

 パン、パン、パンッ。

 ルビイの尻に王の下腹の肉が当たる音が、静かな病室にこだまする…。
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