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第6章 ネオ・チャイナの野望

#47 アニマ奪還作戦③

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 ルビイがアニムスを連れていきたいと考えたのには、それなりの理由があった。

 もし自分が彼の立場だったら、待つことなど、とても耐えられない思ったからである。

 実際にアニムスの憔悴ぶりといったら、もう見ていられないほどだった。

 半日と経たないのに頬はげっそりとやつれ、周囲に隈のできた眼は悲しみで赤く血走っている。

 無理もない、と思う。

 アニムスとアニマの兄妹は、ミネルヴァの特命部隊に拾われるまで、十年近くふたりだけで生きてきたのだ。

 密林の追いはぎとして、生計を立てながら。

 おそらくアニムスにとり、アニマは肉親というだけでなく、魂の半分といったような存在に違いない。

 連れて行けば、確かにサトのいうように暴走する可能性は十分にある。

 だが、逆に、アニムスの執念が、不可能を可能に変えることだって起こりうるかもしれないのだ。

 ルビイとサトは、洗い場に移動していた。

 鏡張りの壁に、日に焼けたルビイの裸体の上を這い回る、白蛇のようなサトの手が映っている。

 サトの豊満な乳房がルビイの固く締まった乳房に当てられ、硬くなった乳首で乳首を弾いている。

 躰の前面を石鹸だらけにして、サトがルビイの裸身を洗っているのだ。
 
 気持ち、いい…。

 ルビイはすでにされるがままになっている。
  
 両手にシャボンをまぶしたサトの手のひらが、ルビイの腹を、内腿を撫でさする。

 躰を洗うと見せかけて、じわじわと性感帯を愛撫してくるサトの前では、いつものことだが、なす術がない。

 股間の大事な部分が、お湯以外のもので濡れてきた。

 サトの指の接近を感知して、ルビイの内部が反応し始めたのだ。

「ああ、サト・・・」

 束の間、計画のことを忘れて、思わずその名を呼んだ時である。

「またふたりで密談か」

 ルビイの前に、影が落ちた。

 顏を上げると、鏡に全裸のマリウスが大写しになっていた。

「マリウス皇太子さま・・・」

 動じたふうもなく、サトが聞こえよがしにつぶやいた。

「どうしたの?」

 マリウスの股間にそびえるモノを目の当たりにして、ルビイは眉をひそめた。

「ふたりそろっているなら、ちょうどいい。遠征の前に、ちょっと私と楽しまないか?」

 イチモツをルビイに突きつけ、マリウスが言う。

 思った通りだった。

 マリウスのいら立ちの元凶はやはりこれなのだ。

 ずっと禁欲生活が続いて頭がおかしくなりかけているに違いない。

「あんたと寝たがる女なら、ほかにいくらでもいるでしょ、ね、皇太子さま。見ての通り、私とサトは忙しいの」

 わざと取りつく島のない態度をとってやる。

「す、済まない。言い方が悪かった」

 マリウスが土下座する。

「すみません! 立場を忘れておりました! 性奴隷マリウス、ルビイさま、サトさまにぜひご奉仕させていただきたく、この日を首を長くしてお待ち申しておりました!」

「しようがないわね。どうする? サト?」

 ルビイが振ると、打てば響くように、サトが応えた。

「見返りに、ミネルヴァ随一の高速船を朝までに一隻用意していただく、というのはどうでしょう」

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