上 下
464 / 471
第6章 ネオ・チャイナの野望

#58 少女に迫る危機⑩

しおりを挟む
 どうするつもり?

 まさか、あたしを襲おうとでも?

 悪役令嬢ならではの意地悪さが、ルビイの中に頭をもたげてきた。

 おもしろい。

 少し、つきあってやろうじゃないの。

 が、アニムスはいっこうに行動に移そうとしない。

 ただ、全裸のルビイを見下ろして、ベッドの脇に突っ立っているだけだ。

 そのうちに、かすかな喘ぎ声とともに、何かを擦るような音が聴こえてきた。

 ルビイは薄く開けた眼で、音がするほうを見た。

 股間に右手を当て、アニムスが自身を扱いている。

 ルビイの裸をサカナにして、自慰に耽ろうとしているのだ。

「ああ…」

 うめいた。

 鼻のいいルビイは、アニムスの性器から立ちのぼる青臭い匂いに気づいた。

 この子、あたしの顏に、ぶちまけるつもりなの?

 それだけはごめんだった。

 髪についた精液の始末がどれだけ大変か、ルビイはよく知っている。

 転生前、アネモネの娼屈で、鬼畜な客たちに何度煮え湯を飲まされたことか。

「待ちなさい」

 ルビイはぱちりと眼を開き、むっくりとベッドの上に半身を起こした。

「ル、ルビイ、起きてたの…?」

 猛り立つおのれの分身を握りしめたまま、驚愕に目をいっぱいに見開いて、アニムスが後退る。

「アニムス、あなたこそ、どうしたの? こんな時間なのに、まだ眠れないの?」

 上目遣いに見つめると、

「ご、ごめんなさい…」

 少年が泣き出しそうに顔をゆがめ、言い訳を始めた。

「お、ぼ、ぼく、どうしても、我慢できなくて…。だって、ルビイ、すごく、素敵な躰をしてるから…だから…」

「サトに筆おろしされて、目覚めちゃったってわけね?」

 くすり、とルビイは笑った。

 こんな場面だというのに、アニムスのイチモツは、いっこうに収まろうとしないのだ。

「そのままじゃ、気持ちが乱れて、妹を救出するどころじゃないって言いたいの?」

「ぼくを、ケダモノみたいに、言わないで…」

 アニムスの声に、恨めし気な響きがこもった。

「いいわ。すっきりさせてあげる」

 ルビイはベッドの上に横坐りになると、アニムスを手招きした。

「お口と手でいいかしら? その代わり、すっきりしたら、ぐっすり眠るのよ。明日はいよいよ、ネオ香港に侵入だから」

「い、いいの?」

 アニムスが信じられないと言ったふうに目を瞬き、小首をかしげて、ルビイを見る。

「ここへきて、見せてごらんなさい」

「う、うん」

 アニムスが再びベッドの脇に立ち、股間から手をどけ、ルビイの鼻先にイチモツを突き出した。

「やだ、もう、カチカチじゃない。しかも、こんなにも大きいなんて」

 頬ずりをして、匂いを嗅ぐ。

 アニムスの性器は、夏の草原の、あの青臭い匂いがした。

「いつまでも子供だと思ってたら、いつのまにか、あなたも立派な男になってたのね」

 包皮を剥くと、濡れた中身が顔を出す。

 その先端を舌先で舐めると、酸味で味蕾が痺れると同時に、

「あ、だめっ」

 アニムスが少女のような悲鳴を上げて、ルビイから逃れるように少し腰を引いた。 
 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完】君を呼ぶ声

BL / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:88

夫の浮気相手と一緒に暮らすなんて無理です!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,569pt お気に入り:2,711

【R18】あんなこと……イケメンとじゃなきゃヤれない!!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:468pt お気に入り:60

お兄ちゃんと内緒の時間!

BL / 連載中 24h.ポイント:312pt お気に入り:59

進芸の巨人は逆境に勝ちます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:1

処理中です...