臓物少女

戸影絵麻

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#33 奇妙な潜伏生活⑤

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「で、何なの? それは?」
 くびれた腰に手を当て、部屋の入口に仁王立ちになった紗英は、さながらグラビアアイドルである。
 タンクトップを突き上げる一対のロケットおっぱい。
 股下ギリギリのマイクロミニから飛び出たむっちりした太腿と、足首にかけてだんだん細くなる長い脚。
 何なの?
 という疑問符は、明らかに明の股間のイチモツに向けられているようだった。
 が、そう問われても明には答えようがない。
 鎮まれとさっきから心の中で必死に念じてはいるけれどー。
 紗英の肉感的なボディを目の前にしてはそれも無理な相談だった。
「き、君が、そ、その、あ、あまりにも、魅力的、だから・・・」 
 歯の浮くようなセリフとわかってはいたが、少しでも紗英の機嫌をとろうと思い、明は殊勝な口調でそう言った。
「あたしの身体がエロいから、ってはっきり言ったら?」
 侮蔑のまなざしで紗英が言う。
 首をすくめる明。
 駄目だ。
 バレてる。
 だいたい、どう見ても陰キャの俺が、似合わぬことを口にするもんじゃない。
 だがしかし。
 その時である。
「でも・・・」
 と、紗英が、ふとそこで言いよどんだのは。
「正直、初めて見た。大きくなった男性の生殖器官って。ラボでもさすがにそれは見る機会、なかったから」
 紗英の表情は、いつしか生真面目なものに変わっている。
 まるで理科室で初めて蛙の解剖を体験した小学生のように。
 生殖器官・・・。
 明は目をぱちくりさせた。
 そうか。
 今俺の股間で身をよじらんばかりにいきり立ち、青筋を立てて怒張しているこの生フランクフルトソーセージ。
 思えばこれは、生殖器官だったのだ。
 けれど、と思う。
 おそらく俺の一生のうちで、この猛々しい肉の筒が生殖に使われることはまずないだろう。
 こいつの勃起ほど世の中に無駄なものはない。
 そんな気さえする。
 自慰の果て、絶頂に達した時俺がぶちまけるあの白濁液など、それこそ無駄の最たるものだ・・・。
 明が世にもくだらぬことをあれこれ考えていると、
「ねえ」
 小首をかしげて、突然紗英が言った。
「ちょっと、出してくれない? あんた、射精、できるんでしょ?」

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