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27話 侵入者

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ダンジョンから帰った俺はスライム座布団で仮眠を取り、身体を休めた。

よし、体力全回復だ。
早速、今回の収穫の確認だな。
今回の大きな収穫としては、まず黄スライム騎士の魔石
通常のスライム騎士の魔石よりやや大きい黄色の魔石だ。
スライム騎士系の魔石は案外高く売れるからこれも期待以上には売れるだろう

そして、一番の収穫はこれだろう

ジャンっ!スライムフェイスタオル~(仮)

もしかしたら違うかもだから(仮)だ。
というか、そもそもこれって水を吸うのだろうか?
スライム素材に吸水性なんて普通に考えれば無いだろうけど、不思議アイテムだしな。一旦色々試してみよう

というわけで俺は早速、キッチンに行って手を洗う。
そして濡れた手をスライムフェイスタオルで拭く
なんと言う事でしょう!
びしょびしょの手がサラサラに乾いたではありませんか。
すごい吸水力だな。タオルなんて非じゃない!
更に手も心持ちか綺麗になってスベスベになった気がする。

ならば次は顔もやってみよう。
顔を軽く水で洗って、スライムフェイスタオルで拭いてみる。

ーーっ!!

なんだこれ!
圧倒的な爽快感が顔、いや脳を突き抜けた。
なんだこの感じ!今まで感じた事のないくらいの圧倒的な爽快感だ。
全神経が目覚めるような感覚。
なんだか視界がはっきりするし、五感が研ぎ澄ませる。
もしかすると視力、聴力、嗅覚などがアップしているのかもしれないな。
更に顔の吹き出物が無くなり、髭もツルツルだ。
まるで赤ちゃんの肌だ。
これはヤバいな……もし世の中の女性がこの存在を知ったら俺は殺されるかも…
それくらいに最高だな。スライムシリーズ
全然戦力にはならないのが残念ではあるが

"ーーガタンッ"

俺がキッチンからリビングへ戻ろうとした時、洗面台、ダンジョンの方から大きな音がした。

全身に緊張がはしる。
まさか…氾濫?いや、その兆候は無かったはずだ。

とりあえずダンジョンに急ごう。
俺は酔姫を手に取るとパジャマのままダンジョンのある方へと走る。

なっ、洗面台の入り口が空いている?
俺は閉めたはずだ?
何かがダンジョンから抜け出して洗面台のドアを開けたのか!?
いや、だがそんな気配も無い。

とりあえずダンジョンの確認だ。
俺は洗面台の床からダンジョンのある地下へと降りる。

いつもは閉ざされているダンジョンのドアが全開に開いている。
だがモンスターが出できている感じは無い。 
これは侵入者の線が濃厚だな

だがどうする?
入って追うべきか?
今、ドアは開いているからダンジョン内の時間は外の時間とイコール。そのため今なら追うこともできる。
しかし、行き違いになる可能性は十分にあるし……

うーん、逆に待つのもありか?
というのもこのダンジョンは中でどれだけ居ても外では最大で3時間しか経たない。その為、侵入者が戻ってくる場合は必ず3時間以内に戻ってくる。3時間経って戻ってこない場合は永遠に戻ってきていない。要するに死んだか侵入者はいないという事になる。

どうしようか…
ちなみに警察に連絡という手もあるけど、あるけど…
調査のためにダンジョンに入れなくなったら嫌だし、なんか嫌だ。

というわけで追うか、待つかの2択

俺の出した答えは……

"待つ"

さぁ!どうにでもなれ!
俺は思いっきりドアを閉めた。

さぁ、ここからは時間との勝負だ。
3時間以内の場合は普通に中の時間は外の時間だから3時間以内に出る事も普通にあり得る。

となれば準備だ。
俺は急いでリビングに戻り、装備を整える。
盾"umbrella" 短剣"酔姫"
鎖帷子を身につけ、上に分厚めの作業着を着る。
いつもの冒険用の装備だ。

後は、胡椒とか消化器とか対人に使えそうな物も用意。
ドアの前で待つ。

……待つこと3時間

ついにこの瞬間が来た。
中で死んでいる場合、又は侵入者が居ない場合はこのドアが開く事はない。
頼む…開かないでくれよ

扉に全神経を集中し、身構える俺

"ギィー"と軋み音を響かせながらゆっくりドアが開き出す

マジか……居たのかよ……
さぁ、誰だ。
心臓がバクバクと激しく鳴る。
酔姫を持つ右手に汗が滲む
さぁ、来るぞ…

「ニャー」

は?

ドアから現れたのは猫だった。
しかも酷く汚れている。
それにこの猫……やっぱりだ。
なぜか少し大きくなっているが庭に住み着いていた野良猫だ。

「なぜダンジョンなんかーーおいっ」

突然猫が倒れた。
よく見ると全身に切り傷、溶かされたような後がある。
おそらく青スライムから逃げたり、ダンジョン中を駆け回ったのだろう。
倒れたのはその反動だろうな
こいつも生きる為に相当頑張ったんだろうな。
良かった。ほんと無事で何よりだ。
後、侵入者が猫でほんと良かった。
でも今後同じ事が起きないように洗面台に鍵でも付ける事にしよう。

俺は倒れた猫を抱き抱え、リビングに移動する。
それにしてもやっぱり成長したか?
umbrellaに比べれば軽いくらいで全然重くは無いが
小型犬くらいのサイズだったのに中型犬くらいになっている。
違和感を感じつつも猫をスライム座布団に寝かせてやる。

すると心無しか表情が柔らかくなった感じがする。
とりあえず、この猫が目覚めるまで俺も横で寝るとしよう。
予備のスライム座布団を出し、隣で寝転ぶ。

やっぱり気持ちいな。
俺の意識は緩やかに遠のいていった。



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