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51:気になるんです
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フェリは7歳になったトリッシュとジャンと一緒に街に来ていた。
季節は夏真っ盛りである。今年も家族全員がサンガレアの家に集まった。今日はロヴィーノとフェルナンドはマーサと3人で釣りに行っている。毎年1度は必ず3人で出かけているのだ。フリオは昨日から魔術研究所へ行っている。アルジャーノはナーガも来ているので、アーベルを連れてフーガと4人で芝居を観に行くそうだ。今日は家族別行動の日である。本当はクラウディオもフェリ達と一緒の筈だったが、仕事で呼び出されてしまった。
トリッシュは今年の春から小学校に通い始めた。風の神子であるフェリの娘ではあるが、王族の血を引いているわけではない。だから窮屈な城ではなく、サンガレアでのびのびと育ててほしいとロヴィーノ達に言われたし、フェリもその方がいいと思ったからだ。一応トリッシュの存在は風の宗主国でも公表しているが、トリッシュを連れていったことはない。大きくなって本人が行きたくなったら行けばいいと思うが、面倒くさい貴族や神官達に絡まれるのがオチだと思うのだ。それよりも、サンガレアで自由に元気に大きくなって、笑顔で過ごしていてほしい。フェリがトリッシュに望んでいるのはそれだけだ。
孫のアーベルも水の王族の血は引いていないが、アマーリエ同様ナーガの意向で正式に水の王家の一員として認められているので、水の宗主国とサンガレアを行ったり来たりしている。だから小学校には通っていない。サンガレアにいる時は知識豊かなフーガが勉強を教えている。
お気に入りのピッツァが食べられる店を目指して歩きながら、手を繋いでいるトリッシュから小学校での話を聞く。学校は楽しいようで、仲のいい友達もすぐにでき、その子達とどういう遊びをしたとか、同じクラスのガキ大将がやらかした悪戯の話などを楽しそうに話してくれる。勉強自体はあまり好きじゃないようだ。小学校に入学する前には読み書きは勿論、簡単な計算もできるようクラウディオ達が教えていたので、まだ授業でやるのは分かることばかりで退屈なのだそうだ。そもそも本を読むより外で走り回ることが好きな子だ。じっとしていなきゃいけない授業の時間は好きではないのだろう。
トリッシュの6歳の誕生日に、上の兄達同様飛竜をプレゼントした。まだ若い雄の飛竜で、トリッシュはベイヤードと名付けて、ジャンに世話の仕方を習いながら可愛がっている。今年から本格的に飛竜の乗り方を習い始めたそうで、今は休みの度に飛竜に乗ることが1番楽しいそうだ。休みが折角合っても、トリッシュはいつもジャンと飛びに行ってしまうので、1人置いていかれるクラウディオはちょっと寂しいとぼやいていた。ちょっと寂しいが、トリッシュが飛竜に夢中なのは別に構わないのだろう。マーサ達に声をかけて、ジャンのモルガの竜舎の隣にベイヤード用の竜舎を建ててやった。その為にわざわざ隣の土地を買ったらしい。竜舎を建てても少し余る程の土地を買ったので、庭がだいぶ広くなった。クラウディオはそこに果樹を植えた。まだそんなに大きくないが、大きく育って沢山収穫できるようになったら飛竜達の餌にすればいいだろうと言って。飛竜は雑食だからなんでも食べるが、メインとなる餌は肉だ。果物はおやつ感覚で食べる。モルガは果物が好きで、よくジャンにねだっている。
ピッツァの美味しい店の近くで、昨夜から魔術研究所に出かけているフリオを見つけた。3人の男と一緒である。1人は顔立ちそのものは整っているが目付きが凶悪過ぎて色々台無しになっている魔術研究所所長で、もう1人はリチャードの異母兄の土の魔術師長である。もう1人は知らない顔だが、マーサの気配がするので間違いなくマーサのこっそり秘密の嫁か遊び相手だ。フェリがフリオに声をかける前にトリッシュが声をかけた。
「フリオ兄上っ!」
「トリッシュ」
フェリと繋いでいた手を離して、トリッシュがフリオの腰に抱きついた。自分に抱きつくトリッシュの頭を優しく撫でるフリオにフェリとジャンも近づいた。
「よ。お前達も昼飯か?」
「えぇ。今作っている魔導具の部品が足りなくなったので買い出しついでに。フェンリル魔術師長はご存知でしょうが、こちらは魔術研究所所長のリカルドと魔術師のイアソンです」
「お話させたいただくのは初めてですね。リカルド・ナーブルと申します」
「イアソン・パークっす」
2人がフェリ達に向かってペコリと頭を下げた。一応フェリ達も自己紹介をしてから握手を交わす。いつもこの3人+マーサや魔術研究所の愉快な仲間達と一緒に趣味で魔導具を作っているらしい。今は魔術研究所の大浴場に置いてあるソフトクリーム製造機が古くなったので新型を開発中なのだとか。……なんでソフトクリーム製造機が研究所の大浴場にあるのかツッコミたいが、フェリは笑ってスルーすることにした。マーサから魔術研究所の約7割は変人だと聞いている。ツッコんだらなんかちょっと面倒なことになりそうだと勘が告げている。魔術師に限らず、研究者は自分の分野になると語り出したら長い。下手に話題を掘り下げて昼飯時を逃すのは少し嫌である。フェリ達は笑ってフリオ達と別れて、目的の店に入った。
ピッツァを口に頬張りながら、トリッシュが口を開いた。
「フリオ兄上は魔導具作るより、エドガー君とデートすればいいのにね」
「んっ!?トリッシュ。エドガーって誰だ」
「フリオ兄上の好きな人」
「あれかっ!?神殿警備隊の!?」
「そうよ」
「トリッシュは誰だか知っているのか?」
「うん。神殿警備隊の1番のイケメンさん」
「……イケメンって何?」
「格好いい男の人のこと。マーサ様の故郷の言葉なんですって」
「へぇー」
「あ、あれか?もしかして髭のはえてない、顔のキレイなやつか?」
「そうそう。歌がすごく上手だし、優しいのよ。フリオ兄上は友達だって言ってるけど、あれ絶対エドガー君のこと好きなんだわ」
「マジか……いや、毎年遊びに行ってるのは知ってるけどさ」
「トリッシュはそのエドガー君とやらと話したことがあるのか?」
「うん。たまにフリオ兄上とエドガー君の歌を聴きに行ってたもの。あ、このことはフリオ兄上と父上には内緒にしてよ」
「ん?なんでだ?」
「2人とも他の人には内緒にしてって言ってたから」
「……ちなみのトリッシュ。他にエドガー君について知ってたりとか?」
「まぁ多少」
「よぉし!全部話してみようか!」
「いいけど、口止め料に苺のかき氷食べたいわ。ソフトクリームのったやつ」
「ちゃっかりしてるな」
「大通りの店のやつね。あそこのかき氷、父上と一緒じゃいつも1人じゃ食べさせてくれないの。私食べきれるのに。お腹壊すからダメって言うのよ」
「あそこのかき氷でかいだろう?1人で食べて大丈夫か?」
「余裕よ。もう7歳だもの。子供じゃないわ」
「……7歳はまだまだ子供なんだが」
「んー……まぁいいか。よし。かき氷奢るから知ってること全部教えてくれ」
「いいわよ」
「いいのか?フェリ」
「昼飯は温かいし、夜も熱いもの食べれば大丈夫じゃないか?」
「……まぁ、それもそうか」
フェリとジャンはトリッシュから知ってるだけのエドガーとやらの情報を聞き出した。
「なんかたまに父上に相談してるっぽいよ」
「……俺はそっち方面じゃ役立たずだしな……」
「あー……うん。どんまい。まぁ、クラウディオは恋愛経験豊富っぽいもんな」
「私ちょっと前に父上の元彼に会ったよ」
「「えっ!?」」
「マジか!?どんなやつ?元彼ってことは男だよなっ!?」
「うん。他の街にいる分隊長さんなんだって。仕事でたまたま来てたらしいわ。めちゃくちゃイケメンだった」
「えー……マジかー。マジかー……」
「向こうは父上に会えて嬉しそうだったけど、父上は露骨に嫌そうだったわ。付き合ってた時、何度も浮気されたんだって 」
「そうなのか?」
「へぇー」
「『お前は浮気癖があるようなロクデナシにうっかり捕まるなよ』って言われたわ」
「まぁ、そうだね」
「浮気は嫌だな」
「ねー」
ピッツァを食べ終えた後、雑貨屋などを冷やかして回って、情報の報酬であるかき氷を食べに甘味屋に寄ってから自宅に帰った。
3人で話ながら夕食を作っているとクラウディオが帰って来た。そのすぐあとにロヴィーノ達が結構な量の川魚を持って帰って来た。早速魚に塩をふって焼いた。今夜は中々豪勢な夕食になった。フリオは多分明日まで戻ってこないだろう。アルジャーノも多分今日はマーサの家だ。今いる家族だけで、賑やかに夕食を楽しんだ。
その日の夜更け。
フェリはクラウディオに跨がってゆるゆると腰を振っていた。最近は繋がったままダラダラ話をするのにハマっている。
「なぁ、クラウディオ」
「ん?」
「フリオのことなんだけどさ」
「うん」
「……その後はどんな感じ?」
「んー、まだ無自覚っぽいな」
「まーじかー」
「まぁ焦るなよ、フェリ。時間はいくらでもあるんだから」
「その間に相手に恋人できちゃったらどうするんだよ」
「それはまぁ……縁がなかったってことだな。初恋は実らないっていうし、それはそれでいい経験になるんじゃないか?」
「えぇー。俺うまくいってほしいよ」
「ま、それは俺もだけどな。もう少し見守ってみて、進展がないようなら、そうだな……いっそ相手をうちに呼んでみようか。適当な理由でさ。で、フリオの部屋に2人で過ごしてもらおうか」
「おぉ!それいいな!フリオがいっそ押し倒せばいいんだよ」
「合意のないセックスは犯罪だぞ、フェリ。そこは口説くとか、そのレベルにしといてやれ」
「むー」
「まぁ、見た感じ相手の方も満更じゃないっぽいから、フリオが自覚して告白したら意外とうまくいくんじゃないか?」
「ならいっそのこと相手から告白してくれたらいいのに」
「いや、あいつ一般庶民だから。いくら今は友達とはいえ、王族相手に告白とか無理だろ」
「あ、そっか」
「まぁ、なるようになるだろうよ」
「うーん」
「もう少し静かに見守ってやろう。な?」
「……わかった」
少しぶすっとしたフェリの唇に上半身を起こしたクラウディオが優しくキスをした。そのまま腰を動かして、フェリの奥をぺニスでグイグイ押してくる。ゾクゾクする快感が急速に身体中に広がっていく。
「あっ……それされると、すぐイッちゃう……」
「めちゃくちゃ締まるもんな。気持ちいい?」
「き、きもちいい……あ、あ、んっ」
クラウディオが本格的に腰を動かし始めた。フェリはすぐにクラウディオから与えられる快感に夢中になり、気づけばクラウディオにしがみついて喘ぐことしかできなくなっていた。
フリオのことが完全に頭から抜け落ちたフェリは、朝方近くまでクラウディオに溺れた。
季節は夏真っ盛りである。今年も家族全員がサンガレアの家に集まった。今日はロヴィーノとフェルナンドはマーサと3人で釣りに行っている。毎年1度は必ず3人で出かけているのだ。フリオは昨日から魔術研究所へ行っている。アルジャーノはナーガも来ているので、アーベルを連れてフーガと4人で芝居を観に行くそうだ。今日は家族別行動の日である。本当はクラウディオもフェリ達と一緒の筈だったが、仕事で呼び出されてしまった。
トリッシュは今年の春から小学校に通い始めた。風の神子であるフェリの娘ではあるが、王族の血を引いているわけではない。だから窮屈な城ではなく、サンガレアでのびのびと育ててほしいとロヴィーノ達に言われたし、フェリもその方がいいと思ったからだ。一応トリッシュの存在は風の宗主国でも公表しているが、トリッシュを連れていったことはない。大きくなって本人が行きたくなったら行けばいいと思うが、面倒くさい貴族や神官達に絡まれるのがオチだと思うのだ。それよりも、サンガレアで自由に元気に大きくなって、笑顔で過ごしていてほしい。フェリがトリッシュに望んでいるのはそれだけだ。
孫のアーベルも水の王族の血は引いていないが、アマーリエ同様ナーガの意向で正式に水の王家の一員として認められているので、水の宗主国とサンガレアを行ったり来たりしている。だから小学校には通っていない。サンガレアにいる時は知識豊かなフーガが勉強を教えている。
お気に入りのピッツァが食べられる店を目指して歩きながら、手を繋いでいるトリッシュから小学校での話を聞く。学校は楽しいようで、仲のいい友達もすぐにでき、その子達とどういう遊びをしたとか、同じクラスのガキ大将がやらかした悪戯の話などを楽しそうに話してくれる。勉強自体はあまり好きじゃないようだ。小学校に入学する前には読み書きは勿論、簡単な計算もできるようクラウディオ達が教えていたので、まだ授業でやるのは分かることばかりで退屈なのだそうだ。そもそも本を読むより外で走り回ることが好きな子だ。じっとしていなきゃいけない授業の時間は好きではないのだろう。
トリッシュの6歳の誕生日に、上の兄達同様飛竜をプレゼントした。まだ若い雄の飛竜で、トリッシュはベイヤードと名付けて、ジャンに世話の仕方を習いながら可愛がっている。今年から本格的に飛竜の乗り方を習い始めたそうで、今は休みの度に飛竜に乗ることが1番楽しいそうだ。休みが折角合っても、トリッシュはいつもジャンと飛びに行ってしまうので、1人置いていかれるクラウディオはちょっと寂しいとぼやいていた。ちょっと寂しいが、トリッシュが飛竜に夢中なのは別に構わないのだろう。マーサ達に声をかけて、ジャンのモルガの竜舎の隣にベイヤード用の竜舎を建ててやった。その為にわざわざ隣の土地を買ったらしい。竜舎を建てても少し余る程の土地を買ったので、庭がだいぶ広くなった。クラウディオはそこに果樹を植えた。まだそんなに大きくないが、大きく育って沢山収穫できるようになったら飛竜達の餌にすればいいだろうと言って。飛竜は雑食だからなんでも食べるが、メインとなる餌は肉だ。果物はおやつ感覚で食べる。モルガは果物が好きで、よくジャンにねだっている。
ピッツァの美味しい店の近くで、昨夜から魔術研究所に出かけているフリオを見つけた。3人の男と一緒である。1人は顔立ちそのものは整っているが目付きが凶悪過ぎて色々台無しになっている魔術研究所所長で、もう1人はリチャードの異母兄の土の魔術師長である。もう1人は知らない顔だが、マーサの気配がするので間違いなくマーサのこっそり秘密の嫁か遊び相手だ。フェリがフリオに声をかける前にトリッシュが声をかけた。
「フリオ兄上っ!」
「トリッシュ」
フェリと繋いでいた手を離して、トリッシュがフリオの腰に抱きついた。自分に抱きつくトリッシュの頭を優しく撫でるフリオにフェリとジャンも近づいた。
「よ。お前達も昼飯か?」
「えぇ。今作っている魔導具の部品が足りなくなったので買い出しついでに。フェンリル魔術師長はご存知でしょうが、こちらは魔術研究所所長のリカルドと魔術師のイアソンです」
「お話させたいただくのは初めてですね。リカルド・ナーブルと申します」
「イアソン・パークっす」
2人がフェリ達に向かってペコリと頭を下げた。一応フェリ達も自己紹介をしてから握手を交わす。いつもこの3人+マーサや魔術研究所の愉快な仲間達と一緒に趣味で魔導具を作っているらしい。今は魔術研究所の大浴場に置いてあるソフトクリーム製造機が古くなったので新型を開発中なのだとか。……なんでソフトクリーム製造機が研究所の大浴場にあるのかツッコミたいが、フェリは笑ってスルーすることにした。マーサから魔術研究所の約7割は変人だと聞いている。ツッコんだらなんかちょっと面倒なことになりそうだと勘が告げている。魔術師に限らず、研究者は自分の分野になると語り出したら長い。下手に話題を掘り下げて昼飯時を逃すのは少し嫌である。フェリ達は笑ってフリオ達と別れて、目的の店に入った。
ピッツァを口に頬張りながら、トリッシュが口を開いた。
「フリオ兄上は魔導具作るより、エドガー君とデートすればいいのにね」
「んっ!?トリッシュ。エドガーって誰だ」
「フリオ兄上の好きな人」
「あれかっ!?神殿警備隊の!?」
「そうよ」
「トリッシュは誰だか知っているのか?」
「うん。神殿警備隊の1番のイケメンさん」
「……イケメンって何?」
「格好いい男の人のこと。マーサ様の故郷の言葉なんですって」
「へぇー」
「あ、あれか?もしかして髭のはえてない、顔のキレイなやつか?」
「そうそう。歌がすごく上手だし、優しいのよ。フリオ兄上は友達だって言ってるけど、あれ絶対エドガー君のこと好きなんだわ」
「マジか……いや、毎年遊びに行ってるのは知ってるけどさ」
「トリッシュはそのエドガー君とやらと話したことがあるのか?」
「うん。たまにフリオ兄上とエドガー君の歌を聴きに行ってたもの。あ、このことはフリオ兄上と父上には内緒にしてよ」
「ん?なんでだ?」
「2人とも他の人には内緒にしてって言ってたから」
「……ちなみのトリッシュ。他にエドガー君について知ってたりとか?」
「まぁ多少」
「よぉし!全部話してみようか!」
「いいけど、口止め料に苺のかき氷食べたいわ。ソフトクリームのったやつ」
「ちゃっかりしてるな」
「大通りの店のやつね。あそこのかき氷、父上と一緒じゃいつも1人じゃ食べさせてくれないの。私食べきれるのに。お腹壊すからダメって言うのよ」
「あそこのかき氷でかいだろう?1人で食べて大丈夫か?」
「余裕よ。もう7歳だもの。子供じゃないわ」
「……7歳はまだまだ子供なんだが」
「んー……まぁいいか。よし。かき氷奢るから知ってること全部教えてくれ」
「いいわよ」
「いいのか?フェリ」
「昼飯は温かいし、夜も熱いもの食べれば大丈夫じゃないか?」
「……まぁ、それもそうか」
フェリとジャンはトリッシュから知ってるだけのエドガーとやらの情報を聞き出した。
「なんかたまに父上に相談してるっぽいよ」
「……俺はそっち方面じゃ役立たずだしな……」
「あー……うん。どんまい。まぁ、クラウディオは恋愛経験豊富っぽいもんな」
「私ちょっと前に父上の元彼に会ったよ」
「「えっ!?」」
「マジか!?どんなやつ?元彼ってことは男だよなっ!?」
「うん。他の街にいる分隊長さんなんだって。仕事でたまたま来てたらしいわ。めちゃくちゃイケメンだった」
「えー……マジかー。マジかー……」
「向こうは父上に会えて嬉しそうだったけど、父上は露骨に嫌そうだったわ。付き合ってた時、何度も浮気されたんだって 」
「そうなのか?」
「へぇー」
「『お前は浮気癖があるようなロクデナシにうっかり捕まるなよ』って言われたわ」
「まぁ、そうだね」
「浮気は嫌だな」
「ねー」
ピッツァを食べ終えた後、雑貨屋などを冷やかして回って、情報の報酬であるかき氷を食べに甘味屋に寄ってから自宅に帰った。
3人で話ながら夕食を作っているとクラウディオが帰って来た。そのすぐあとにロヴィーノ達が結構な量の川魚を持って帰って来た。早速魚に塩をふって焼いた。今夜は中々豪勢な夕食になった。フリオは多分明日まで戻ってこないだろう。アルジャーノも多分今日はマーサの家だ。今いる家族だけで、賑やかに夕食を楽しんだ。
その日の夜更け。
フェリはクラウディオに跨がってゆるゆると腰を振っていた。最近は繋がったままダラダラ話をするのにハマっている。
「なぁ、クラウディオ」
「ん?」
「フリオのことなんだけどさ」
「うん」
「……その後はどんな感じ?」
「んー、まだ無自覚っぽいな」
「まーじかー」
「まぁ焦るなよ、フェリ。時間はいくらでもあるんだから」
「その間に相手に恋人できちゃったらどうするんだよ」
「それはまぁ……縁がなかったってことだな。初恋は実らないっていうし、それはそれでいい経験になるんじゃないか?」
「えぇー。俺うまくいってほしいよ」
「ま、それは俺もだけどな。もう少し見守ってみて、進展がないようなら、そうだな……いっそ相手をうちに呼んでみようか。適当な理由でさ。で、フリオの部屋に2人で過ごしてもらおうか」
「おぉ!それいいな!フリオがいっそ押し倒せばいいんだよ」
「合意のないセックスは犯罪だぞ、フェリ。そこは口説くとか、そのレベルにしといてやれ」
「むー」
「まぁ、見た感じ相手の方も満更じゃないっぽいから、フリオが自覚して告白したら意外とうまくいくんじゃないか?」
「ならいっそのこと相手から告白してくれたらいいのに」
「いや、あいつ一般庶民だから。いくら今は友達とはいえ、王族相手に告白とか無理だろ」
「あ、そっか」
「まぁ、なるようになるだろうよ」
「うーん」
「もう少し静かに見守ってやろう。な?」
「……わかった」
少しぶすっとしたフェリの唇に上半身を起こしたクラウディオが優しくキスをした。そのまま腰を動かして、フェリの奥をぺニスでグイグイ押してくる。ゾクゾクする快感が急速に身体中に広がっていく。
「あっ……それされると、すぐイッちゃう……」
「めちゃくちゃ締まるもんな。気持ちいい?」
「き、きもちいい……あ、あ、んっ」
クラウディオが本格的に腰を動かし始めた。フェリはすぐにクラウディオから与えられる快感に夢中になり、気づけばクラウディオにしがみついて喘ぐことしかできなくなっていた。
フリオのことが完全に頭から抜け落ちたフェリは、朝方近くまでクラウディオに溺れた。
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