1 / 1
僕と君と手紙とセックス
ガヤガヤと賑やかな飲み屋の片隅で、2人の男が小さなテーブルを挟んで向かい合って椅子に座り、静かに酒を飲んでいる。片方はくすんだ色合いの癖のある赤毛でごくごく普通の顔立ちをしており、片方は癖のない黒髪で、やはり普通の顔立ちをしている。赤毛の男エーリオは、いつになく真剣な表情で口を開いた。
「ヘルムート。僕は旅に出ようと思うんだ」
「え?なんで?ていうか何処に?」
「理想のデカちんを探しに行く」
「なんて?」
「デカいちんこを探しに行く」
「エーリオ。お前疲れてるんだよ。とりあえず飲めよ。ほら。注いでやるから」
「酒は飲むけど、そんなに疲れてないよ」
「じゃあ何でそんなアホなことを言い出すんだ。まさかエール一杯で酔ったのか?蟒蛇のお前が」
「酔ってない。実はだね、僕はこう見えてアナニーマスターなんだよ」
「アナニーマスター」
「16の頃からアナニーを始めて早10年。中イキも潮吹きも自由自在なアナニストな訳なんだが……」
「友達のオナニー事情なんて知りたくないんだけど。俺」
「まぁ、聞け。聞いてくれ。そんな素敵なアナニーの達人である僕なんだが、そろそろ生のちんこを試してみたくてね」
「はぁ、左様で」
「僕は玩具を使ってアナニーしまくっているけど、処女なんだよ」
「へー」
「やっぱり初めては思い出に残るものにしたいじゃないか」
「へー」
「そういう事で、理想のデカちんを探しに行こうと思うんだ」
「花街に行けばいいんじゃないか?」
「花街なんて嫌だ。病気が怖いし、何より男娼に抱かれるなんてロマンチックじゃないだろう。やっぱり初めては素敵な恋人に貰ってもらいたいじゃないか」
「乙女か」
「だって僕処女だもん」
「いい歳した大人が『だもん』とか言うなよ。恋人が欲しいのなら、わざわざ旅に出なくても手近な所で探せばいいじゃないか」
「デカちんじゃないと嫌だ」
「顔の好みは?」
「特にない」
「そもそも、エーリオって男が好きなのか?」
「いや、別に。女の子のおっぱいが大好きです」
「なんでそれでデカちんを求めてるんだよ」
「好奇心!最近さぁ、玩具じゃちょっと物足りないんだよね。生のちんこを試してみたい。でもほら。僕って上級アナニストだからさ、ちんこが小さいと確実に物足りないんだよね。サイズ的に」
「どんだけデカいのを入れてるんだよ」
「ははっ。まぁそれなりに」
黒髪の男ヘルムートが呆れた顔をして大きな溜め息を吐いた。頭が痛いとでも言いたげに、ヘルムートが自分の眉間を指先でぐりぐりしている。エーリオはそれを眺めながら、少し温いエールを口に含んだ。エーリオもヘルムートも魔導具研究所で働く魔導具師だ。共に26歳で、同期の中で一番馬が合い、付き合いはもう5年以上になる。エーリオはヘルムートのことを親友だと思っている。親友だからこそ、旅に出る理由を告げなければいけないと思い、今夜ヘルムートを飲み屋に誘った。エーリオは真剣に旅に出るつもりである。全ては理想のデカちんを探す為だ。そして素敵に処女を捨ててみたい。ついでに恋人も欲しい。エーリオは年齢=恋人いない歴の清純な処女である。ちなみに童貞ではない。童貞は15の時に実家の近所のスケベな人妻で捨てた。
ヘルムートがジョッキのエールを一息で飲み干すと、自分の鞄から通信魔導具を取り出した。エーリオが所属する研究部が開発し、昨年発売が開始され、爆発的に普及している代物だ。ヘルムートが通信魔導具を操作してから、エーリオを真っ直ぐに見た。
「エーリオ」
「なに?」
「とりあえず男を紹介するから旅に出るのはよせ。お前は研究所一の問題児だけど、研究所一の発明家だろ。お前に抜けられるのは痛い。それに、お前がいなくなったら俺は誰と昼飯を食べたらいいんだよ。俺の交友関係の狭さは知ってるだろ」
「君、友達は僕しかいないもんな」
「そうですけど何か?」
「友達が僕1人なヘルムートに男なんて紹介できるの?」
「仕事の関係でたまに話す、通信魔導具の連絡先を交換したことがある奴に連絡した。トイレでたまたま見たけど、俺が知る中で一番デカい。引くレベルでデカい。完全に第三の足だった。噂で同性愛者だと聞いたことがある」
「紹介してくれ」
「今から来てくれるから大人しく待ってろ」
「ヘルムート。持つべきものは親友だな」
「一応言っておくけど、相手にも好みがあるからな? 駄目だったら諦めろよ?」
「その時は旅に出るだけさ」
エーリオは頬を緩めて、つまみのナッツを口に放り込んだ。
------
半刻程だらだらと2人で酒を飲んでいると、地味な茶髪の男が現れた。中背中肉のエーリオと大して変わらない体格で、顔立ちは割と普通だが、目付きが悪いのでなんだか悪人みたいに見える。エーリオは男の顔を見るなり、げっと蛙が潰れたような声を出した。
「……なんで此処にいるんだよ。ラルフ」
「ヘルムートさんに呼ばれたからです」
「ヘルムート。何でこいつを呼んだんだよ」
「そりゃあ、お前に紹介する為だよ」
「……第三の足って、もしかしてこの堅物クソ真面目人間?」
「うん」
「僕旅に出るわ」
「旅?」
「待て待て。エーリオ。立つな。座れ。まずは話をしよう。ラルフも座ってくれよ。来てくれてありがとう」
「いえ……紹介したい相手がいるとの事でしたが、まさかそこの問題児じゃないですよね」
「はははっ。まぁ、付き合ってみれば割と気のいい奴だよ」
「帰っていいですか」
「待って。ラルフ。お願いだから話を聞いて。じゃないと、うちの研究所一の発明家が旅に出ちゃう。そして俺が毎日ボッチ飯になっちゃう」
ラルフが微かに眉間に皺を寄せた。ラルフは魔導具研究所の総務課で働いている。研究職のエーリオ達とは、正直相性が良くない。自由気ままに魔導具の開発がしたい研究者達と、予算がどうこう書類がどうこうと細かいことを言ってくる総務課は、殆ど敵対関係にあると言ってもいい。様々な魔導具の開発にとても貢献しているが、度々問題を起こして研究所一の問題児と言われているエーリオは、総務課から嫌われている自信がある。エーリオも総務課なんて嫌いだ。ごちゃごちゃと口煩いから。
エーリオが椅子に座ったラルフの悪人面をじとーっと半眼で見つめて警戒していると、ヘルムートがぽすんとエーリオの頭に軽く手刀を落とした。
「そんなに威嚇するなよ。エーリオ。今は仕事中じゃないんだから。ラルフだって、わざわざ来てくれたんだぞ」
「……うぃーっす」
「ラルフ。エーリオが今恋人になってくれる相手を探していてさ。ラルフは今、恋人はいるのかい?」
「……いませんけど」
「エーリオはどうかな? たまに突飛なことをしでかすけど、これで意外と面倒見がいいし、結構優しいんだよ。ほら、エーリオ。とりあえず改めて自己紹介して」
「……エーリオ・グリムトン。26歳」
「……ラルフ・ドルッセオ。23歳です」
「あん?なに、年下じゃん。『書類取り立ての鬼』」
「誰が鬼ですか」
「エーリオー。にこやかにー。頼むからにこやかにしてー。ラルフもそんな『今から殺ります』みたいな顔はやめてー」
ヘルムートが困ったように情けなく眉毛を下げたので、エーリオはとりあえずラルフにメンチを切るのを止めた。年上の余裕である。ふんっと大きく鼻で息をした後、エーリオは頭を切り替えて、ラルフの顔を真剣にまじまじと見た。鋭すぎる目付きを除けば、顔立ちそのものは普通だ。変に美形じゃないので、無駄に緊張したり、劣等感を抱くことはないだろう。目の下にうっすら隈があり、それが悪人感を強めている気がする。髪は地味な濃いめの茶色で、瞳は柔らかい榛色をしている。口の右下に小さな黒子を見つけた。女の子なら色っぽいと思うが、男なので割とどうでもいい。エーリオはラルフの顔をガン見しながら、こてんと首を傾げた。
「ラルフ」
「なんだ」
「僕のこと抱ける?」
「え?さ、さぁ……?」
「童貞じゃないよな?」
「……悪いですか」
「おや。童貞坊やだったのか」
「帰っていいですか」
「駄目。んー。ちんこデカいって本当?」
「はあっ!?」
「お兄さんにちょっと見せてー」
「断るっ!ヘルムートさんっ!」
「あ、はい。ごめんね。ラルフ。エーリオ。とりあえず今は自重しろ」
「ヘルムート。ちんこの大きさの確認は最優先事項だ」
「身体目当てなら帰ります」
「うーん!よぉし!2人とも色々落ち着こう!まずはデートをしてみるのはどうかなぁ!」
「「デート」」
「ほら。仕事でしか顔を合わせたことがないんだし、まずはお試しでデートをしてみるってのはどう?」
「はい。先生」
「何だね?エーリオ君」
「デートって何するの?とりあえずセックス?」
「んな訳あるか馬鹿」
「破廉恥なことを言わないでください。問題児。第一……まずは文通からでしょうが!!」
「「文通」」
「交際をするのならば、手紙のやり取りをして、お互いに知り合うのが先です」
「ヘルムート。ヤバいよ。今時あり得ないくらい堅物だよ」
「いやほら。古式ゆかしいだけじゃない?」
「いやいや。今時のガチンチョだってまずはデートだし、デートって言ったら普通にエロいことするだろ」
「しねぇよ。手を繋ぐくらいが精々だろ」
「嘘だろマジかよ」
「そんなにビックリした顔をするな。俺の方がビックリだわ」
「……馬鹿にするのなら帰ります」
「馬鹿にはしてないよ。ビックリしただけ。なぁ、ヘルムート」
「そうそう。まぁお互いを知り合うって大事だよな」
「…………」
「ラルフ」
「……なんです」
「文通してみる?」
「……え、あ、はい……」
エーリオがそう言うと、ラルフが少し驚いたように目を見開いた。仕事中は面倒臭い書類を取り立てに来るラルフは天敵と言ってもいいが、私生活は別物だ。もしかしたら意外と面白い奴なのかもしれない。何より、ラルフはデカちんらしいし。あての無い旅に出るよりもいいかもだし。セックスはめちゃくちゃしてみたいが、初めてはロマンチックな感じがいいし。エーリオはラルフに向かって片手を差し出した。ロマンチックな処女卒業の為に、まずは文通からだ。ラルフはじっとエーリオの手を見つめた後、チラッとエーリオの目を見てから、おずおずといった様子でエーリオの手を握った。ペン胼胝のある筋張った男の手だ。握ったラルフの手をゆるく上下に振って、エーリオはニッと笑った。
「よろしく。ダーリン」
「……ダーリンはやめてください」
------
ラルフは帰宅すると、すぐに自宅の郵便入れを覗いた。今日も手紙が来ている。差出人はエーリオだ。ラルフは手紙をそっと取り出すと、いそいそと居間へと移動して、最近テーブルの上に常備しているペーパーナイフを使って慎重に手紙を開けた。素っ気ない白い便箋には、意外な程キレイな文字が並んでいる。ラルフは頬を緩めて、手紙を読み始めた。事務書類は必ず提出期限を守らない癖に、エーリオは手紙は律儀に返してくれる。2日に一度届くエーリオからの手紙が、ラルフの今の一番の楽しみになっている。手紙にはエーリオが好きなものや日々のちょっとした出来事が書かれている。文章そのものは素っ気ないが、飾らない言葉で思っていることや感じたことを伝えようとしてくれるのが分かり、なんだか嬉しくなる。そんなに長くない手紙を読み終えると、ラルフは文具屋で見つけたお気に入りの青い便箋を取り出し、早速返事を書き始めた。
ラルフは男しか愛せない。自分が同性愛者だということに気がついたのは16歳の時だ。当時通っていた学校の先生のことを好きになった。ラルフ達が暮らす国では、同性愛者は少数派である。ラルフが生まれ育った小さな村では、同性愛者は子供が成せず、生産性がない欠陥人間だと言われていた。小さな子供の頃から違和感は持っていた。同じ年頃の男の子が村の女の子の誰が可愛いかなんて話をする時、いつもラルフは誰が可愛いとは言えなかった。女の子はただそこにいるだけで、ラルフにとっては興味の対象ではなかった。しかし、その事を口にすることは無かった。同性愛者だという自覚がなかった頃から、女の子に興味を持てないということは言ってはいけないことだと分かっていた。
ラルフは近所に住んでいた魔導具師の老爺に幼い頃からとても懐いていて、自分も魔導具師になりたかった。しかし、ラルフには魔導具師になれる程の魔力はなく、絶望的なまでに手先が不器用だった。ラルフは魔導具師になることを諦めざるをえなかった。せめて、魔導具に関わる仕事に就きたくて、親に無理を言って近くの大きな町にある学校に通い、必死で勉強をして、王都にある魔導具研究所に就職できた。仕事は大変だが、同時にやり甲斐がある。気づけば『書類取り立ての鬼』なんて呼ばれるようになったが、そもそも書類を提出期限内に出さない方が悪いので気にしたことはない。様々な場所から多くの人がやって来る王都にいれば、もしかしたら恋人ができるかもしれないと思っていたが、世の中そんなに甘くはなかった。職場の飲み会で慣れない酒を飲み過ぎて、ポロッと自分は同性愛者だと洩らしてしまってから、職場の人達から少々遠巻きにされるようになった。ラルフが好きなのは、優しくて穏やかな筋肉ムキムキの逞しい男だ。研究所にいるようなヒョロヒョロの男達は好みではない。男なら誰でもいいと思われているのは腹立たしいが、ラルフは何も言わずに黙々と日々の仕事をこなしている。魔導具研究所で開発された魔導具は、多くの人々の生活を助けるものだ。それらを研究開発する魔導具師達を支える仕事に誇りを持っている。それでも、恋人どころか、友人らしい友人もいない1人の生活に寂しさを感じていた。そんな時に、仕事で関わることが多いヘルムートの仲介で、エーリオと文通することになった。エーリオは魔導具研究所一の問題児だ。研究所の施設や備品を実験中に破壊したり、必要な書類を提出しなかったり、決められた予算以上に研究所の金を使ったりと、細かい事まで挙げていけばキリがない程だ。しかし、とても優れた魔導具師であり、発明家である。エーリオが主体となって創り上げた魔導具は沢山あり、それらは多くの人々の生活に寄り添い、助けるものだ。ラルフにとって、問題児エーリオは頭が痛い存在であると同時に、憧れの魔導具師であった。エーリオはやや痩せ気味の中背中肉の体型で、どこにでもいるような普通の顔立ちをしている。垂れ目気味で、人が良さそうな雰囲気だ。くすんだ色合いの癖のある赤毛はいつもぼさぼさで、いつ見ても年季の入った作業着を着ている。淡い水色の瞳は素直にキレイだと思う。新しい魔導具を思いついた時の、無邪気な子供みたいにキラキラと輝いているところを見るのが実は密かに好きだった。そういう時は大概無茶な事を言い出すので、頭痛もするのだが。
エーリオと手紙のやり取りをするのは、予想外に楽しいものであった。エーリオは甘いものと酒が好きで、休日はいつも自宅の工房で魔導具を作っているそうだ。既存の魔導具の改良をしてみたり、新たに自分で考えたものを作ってみたりして遊んでいるらしい。手紙のやり取りを始めて3ヶ月程経った頃、エーリオの手紙と共に、ほっそりとしたシンプルなデザインの腕輪が送られてきた。単なる装飾品ではなく、エーリオが個人的に開発した魔導具で、揃いの腕輪を着けている相手同士だと、お互いの位置が分かるというものらしい。どういった場面で使うものなのかはいまいち分からないが、ラルフはエーリオからの贈り物を素直に喜んだ。不器用なラルフは何かを作って贈るということができない。料理は苦手だし、裁縫なんてしたら確実に手も布も血塗れになる。木工細工に挑戦したこともあるが、怪我をした上に、完成した小さな本棚は実用できるものには程遠かった。ラルフは悩みに悩んで、エーリオが1番好きだという飴専門店の薄荷の飴と林檎の飴を買い、ラッピングだけは自分でしてからエーリオに送った。ラッピングは我ながら不細工な出来だと思ったのだが、ほんの少しでもいいからエーリオの為に何かをしたかった。次に来た手紙には、飴のお礼と前衛的なラッピングが面白かったと書かれていた。ラルフは嬉しくなって、何度も何度もその手紙を繰り返し読んだ。ヘルムートが言っていたように、エーリオは優しい。それに意外と律儀だ。今時、恋人になるのに文通だなんて古風なことする者がいないことくらい、ラルフだって知っている。しかし、よく知りもしない相手とデートをするなんて、ラルフには抵抗があった。デートなんてしたことがない。ラルフにとって、デートは空想上のものだ。
ラルフはエーリオへの返事を書き終えると、エーリオと文通を始めてから購入した綺麗な彫り物が施してある箱に、読み終えた手紙を大事に仕舞った。ラルフはこの箱を宝箱と呼んでいる。宝箱には、この数カ月で溜まったエーリオからの手紙がいっぱい入っている。エーリオから贈られた腕輪は、こっそり常に身につけている。銀色のシンプルな腕輪の内側には本当に小さな水色の石が埋め込まれていた。ラルフは宝箱を撫でながら、ぼそっと呟いた。
「会いたいな」
月日が経つのは早いもので、もう少しで文通を始めて半年になる。職場でたまに顔を合わせるが、主に提出が遅れている書類の取り立てでしか会っていない。ラルフは自然と、エーリオと2人きりで会って話をしてみたいと思うようになっていた。返事の手紙を書き直して、休日に会えないか聞いてみようか。ラルフは暫く悩んでから、新しい便箋を取り出した。時折悩みながらペンを動かし、デートの誘いを書いていく。少し前に、ヘルムートが『一緒に出かけて、ご飯を食べるのもデートだよ』と言っていた。『デート』という単語を書く時は、緊張して手が震えてしまい、何度も深呼吸をする羽目になった。
時間をかけて書いた手紙を封筒に入れて、宛名を書いていく。明日の朝一で郵便屋に行こう。エーリオはどんな返事を返してくれるのだろうか。エーリオのことを考えると、なんだか妙に胸がドキドキする。エーリオが好きだというエビが美味しい店に一緒に行きたい。2人で今職場で話題のケーキ屋に行ってみるのも素敵だ。できたらエーリオの自宅の工房やエーリオが作った魔導具を見てみたい。エーリオの笑った顔が見てみたい。ラルフはその夜、胸がうずうずして眠ることができなかった。
-------
エーリオはラルフから届いた手紙を読み終えると、ベッド横に置いてある小さな棚の引き出しに手紙を入れ、ベッドの下に置いてある箱を引っ張り出した。これからアナニーをする。今回のラルフからの手紙の内容は、デートのお誘いだった。これはいよいよ脱処女セックスの時が来ちゃったかもしれない。ラルフは童貞だから、素敵なアナニーマスターのエーリオがリードをしてあげるべきだろう。エーリオはむふっむふっといやらしく笑いながら、箱の中からペニスの形を模ったかなり大きめのディルドを取り出した。これは底に吸盤がついていて、床に固定することができる。
ラルフとの手紙のやり取りは半年近く続いている。我ながらよく続いたなぁと自分に感心している。ラルフの手紙は、角張った文字で、堅苦しい文章が書かれている。しかし、内容は日常であった些細なことやエーリオに聞きたいこと、エーリオに知ってほしい自分のこと等、とても素朴な印象を受けるようなものだ。私生活でも堅物クソ真面目なようだが、魔導具が好きらしく、エーリオが個人的に開発している魔導具について書くと、なにやら嬉しそうな雰囲気の返事が返ってくる。手紙のやり取りを通して、エーリオの中で、ラルフの印象は少し変わった。面白みのない堅物クソ真面目な『書類取り立ての鬼』から、ちょっと可愛げがある気がする年下の魔導具好きになった。魔導具を好きな者に悪い者はいない。『好き』か『嫌い』かの二択なら、エーリオは『好き』を選ぶだろう。その程度にはラルフを気に入っている。ラルフの為にも自分の為にも、素敵な初セックスにしなければなるまい。エーリオの中では、『デート=セックス』という図式が完全に固定されてしまっている。
エーリオは全裸になると、ローションのボトルを手に取り、右手の掌にたっぷりとローションを垂らした。ローションで濡れた中指をゆっくりと自分のアナルに入れ、直腸に浄化魔術をかけて中をキレイにする。暇さえあればアナニーをしているので、エーリオのアナルはぷっくりと縦割れになっている。指1本くらいならすんなりと入る。焦らすことなく前立腺を指の腹で優しく擦る。今日は床に固定したディルドで騎乗位の練習である。ラルフの童貞デカちんを可愛がる為にも、自分が気持ちよくなる為にも、腰振りのテクニックを更に上達させなければならない。はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら、指を増やして、ぬちゅぬちゅとアナルに指を抜き差しして解していく。ペニスは弄らない。弄らなくてもアナルの刺激だけでイケるし、その方が気持ちがいい。アナニーをしまくっているが、我ながら締まりはいい。毎日のようにアナルの締りを良くする運動をしているので、入り口はきゅっと締り、中はとろとろという最高のアナルになっている。童貞なら三擦り半でイッちゃうのではないだろうか。自分の指に感じる括約筋の締りや腸壁の感触がとても気持ちいいので、ラルフも間違いなくエーリオのアナルに夢中になる筈である。我ながら名器な気がする。ラルフはセックスの時、どんな顔をするのだろうか。くふっ、とエーリオは小さく笑った。デートの日が楽しみで仕方がない。ラルフはどんな顔をして、どんな風にエーリオに触れるのだろうかと妄想するだけで、興奮して射精してしまいそうだ。エーリオはずるぅっとローションと腸液で濡れた指をアナルから引き抜くと、床に固定したディルドにローションを塗り、すぐにとろとろになっている自分のアナルをディルドの先っぽに押しつけ、ゆっくりと腰を下ろし始めた。これはラルフのデカちんだ。そう自分に言い聞かせると、普段のアナニーとは違う興奮が湧き上がってくる。エーリオはゆるく口角を上げ、床に手をついて腰を上下に振り始めた。太くなっているカリを模した部分で前立腺をゴリゴリ擦ると、堪らなく気持ちがいい。腰を下ろして奥深くまでディルドを咥えこみ、直腸の奥、結腸の辺りを優しくトントンすると、脳みそが沸騰して爆発してしまいそうだ。ラルフのデカちんはどれだけデカいのだろうか。エーリオの結腸まで犯してくれるだろうか。エーリオの中を蹂躙して、激しく暴れ回って、思いっきり種付けして欲しい。エーリオはラルフのことを考えながら激しく腰を動かし、楽しい快感を貪った。
----
デートの日がやって来た。ラルフはこの日の為に買った服を着て、約束の1時間前には集合場所である広場の噴水の前に立っていた。昨夜は胸がドキドキと高鳴って、中々眠れなかった。今朝もいつもより早く目が覚めてしまい、そわそわと落ち着かない気分でじっとしていられなかったので、早朝から家中の掃除をした。数日前に服屋に行き、店員の助けを借りて、今流行りの柄物のシャツを買った。いつもは白の無地のシャツしか買わない。折角のデートなのだ。いつもと同じ格好では面白みがないかもしれないと思い、思いきって冒険してみた。淡い水色と淡い緑色のマーブル模様の布地で、襟と胸ポケットのところに濃いめの青い糸で繊細な刺繍が施されている。店員は似合うと言ってくれたが、エーリオはどうだろうか。ラルフは左腕につけた古ぼけた腕時計を時折見ながら、エーリオが現れるのをそわそわした心地で待った。
待ち合わせ時間の5分前に、エーリオがやって来た。いつもの草臥れたような作業服を着ている。
「待った?」
「いえ」
「今日の予定ってもう決めてる?決まってないなら先に服屋に行きたいんだけど。僕、作業服しか持ってなかったわ。寝る時はパン一だし。デートなんだから、もうちょいまともな格好がしたい」
「いいですよ。まずは服屋に行きましょう」
「悪いね。あ、ついでに僕の服を選んでよ」
「……センスに自信がないのですが……」
「お洒落なの着てるじゃない」
「これは……その、店員さんに助言をもらったので……」
「ふーん。まぁ、いざとなったら店員さんに頼ろう。行こうか」
「あ、はい」
エーリオが何故か左手をラルフに差し出してきたので、ラルフは反射的に右手でエーリオの手を握った。
「握手じゃないよ。手を繋ごう。デートだし」
「え、あ、はい」
ラルフはじわじわと顔が熱くなるのを感じた。握手をしていた右手を離し、エーリオの隣に並んで、改めて右手でエーリオの左手を握る。エーリオが歩き始めたので、ラルフもぎこちなく足を動かし始めた。
ポツポツと話しながらラルフがいつも行く服屋に向かった。悩みながらエーリオの服を選び、エーリオが服を購入してその場で着替えた後、2人は服屋を出て、魔導具専門店に入った。エーリオの希望である。ラルフも魔導具を見るのは好きなので、小さく笑って頷いた。エーリオと陳列されている魔導具を眺めながら、ラルフはドキドキと胸を高鳴らせていた。魔導具を見るエーリオの瞳はキラキラと輝いていて、まるで無邪気な子供のようだ。本当に魔導具が好きで堪らないのだろう。ラルフが質問をすれば、エーリオが楽しそうに詳しく解説してくれた。楽しそうなエーリオが可愛く見えて堪らなかった。昼時を少し過ぎる時間まで魔導具専門店で過ごし、手を繋いで、今度はラルフが行ってみたかった飲食店に向かった。そこは小さな店構えの喫茶店で、パンと日替わりのシチューが美味しいと職場で話題になっていた。2人とも日替わりのシチューを注文した。今日の日替わりのシチューは兎肉とほうれん草のシチューで、とても美味しかった。エーリオが美味しそうに大口を開けて食べている様子をチラチラ見ながら、ラルフも黙々とシチューを食べた。
「美味かったな」
「はい」
「この後さ、僕の家に来ない?工房見せてあげる」
「え?いいんですか!?」
「いいよー。なんなら簡単な魔導具でも作る? 魔力が必要なところは僕がやるし」
「あ、でも、僕は壊滅的に手先が不器用なのですが……」
「大丈夫大丈夫。教えながら手伝うし。魔導具好きなんだろ?自分で作ってみたくない?」
「……作ってみたいです」
「じゃあ、やってみよう」
「はい」
エーリオがニッと楽しそうに笑った。ラルフも自然と笑っていた。魔導具を作ることができるのも単純に嬉しいが、それがエーリオと一緒であることが尚更嬉しい。会計を済ませて喫茶店を出ると、ラルフはエーリオと手を繋いで、エーリオの家へと向かって歩き始めた。エーリオと挑戦してみる魔導具の話をしながら、ラルフは浮かれた足取りで歩いた。
------
エーリオがラルフの掌に小さな魔導具をそっと置いた。魔導具というよりも玩具のようなものだ。猫を模っている木彫り人形の腹の部分にスイッチがあり、そこを押すと、ちょこちょこと人形の手足が動く。不細工な猫の顔の辺りから『にゃー』という鳴き声も聞こえる。ちなみに、猫の鳴き声は本物ではなく、エーリオの鳴き真似である。ラルフはじっと掌の中の魔導具を見つめ、小さく微笑んだ。
「やー。ここまで不器用な人に会うの、僕初めてだわ」
「言ったじゃないですか。壊滅的に不器用だって」
「君の不器用加減を舐めてた。まぁ、一応無事に完成したし、よしとしよう」
「殆ど貴方が作りましたけどね」
「作るの、楽しなかった?」
「楽しかったです。本当に。すごく」
「それならいいね。もう夕方だ。晩ご飯を作るよ」
「え?料理ができるんですか?」
「人並みにできるよー。まぁ、男の大雑把な料理だけどね。ラルフは料理するの?」
「殆どしません。下拵えの段階で材料が血塗れになる確率が高いので」
「君に包丁は使わせない。絶対にだ。あ、じゃあ付け添えのサラダを作ってよ。レタスを洗って、手で千切るだけだから」
「はい。それなら出来る筈です」
「君がサラダを作っている間に、僕は肉を焼くよ。昨日から下味をつけて寝かせている豚肉があるんだ。あ、芋も食べたいな。揚げるのはちょっと手間だから、下茹でしたのをバターで炒めようかなぁ。デザートにはプリンがあるよ。昨日のうちに仕込んでおいたの。一緒に食べようと思って」
「あ、ありがとうございます」
うきうきと楽しそうな様子のエーリオと共に、ラルフは台所へと移動した。台所はとても生活感があるが、キチンと整理整頓されていた。居間も工房も意外な程キレイだった。正直、エーリオはだらしない性格をしていそうだと思っていたので、失礼だが、かなり驚いた。手際よく料理を始めたエーリオに言われるがままにレタスや小さなトマトを洗い、皿に盛り付けていく。下手くそな鼻歌をご機嫌に歌っていたエーリオが、隣に立って器用に動くエーリオの手元を見ていたラルフに声をかけた。
「エーリオ。なんか今、僕達すっごく恋人っぽくない?」
「そ、そうですか?」
「僕ちょっと憧れてたんだよねー。恋人と一緒に魔導具作ったり、料理したりとかさ。なんて言うかな。こう……自分の日常に誰かがいてくれるって、なんかいいね」
「あの……」
「んー?」
「……つまらなくないですか?相手が僕で」
「全然。楽しいよ。君、結構面白いよね」
「そんなこと初めて言われました」
「やー。当然のことなんだろうけどさ。ラルフって僕にはない視点を持っているし、話してて素直に楽しいよ。いきなりデートをするより、先に文通しておいて正解だった。お互いにさ、全部じゃないけど相手のことを知ってる訳じゃない。好きなものとかさ。普段は手紙越しだけど、こうして直接話すと新鮮でいいね」
「……僕も……僕も楽しいです。貴方は本当に意外性の塊みたいで、とても素敵な発想をお持ちで。貴方の手はまるで魔法の手みたいです。素敵なものを生み出すところを見ることができて、すごく嬉しいです」
「お。ありがとね。さて、肉が焼けたし、スープもできた。熱いうちに食べよう」
「はい。とてもいい匂いです」
「とっておきのワインがあるんだ。折角だから開けようか。飲みやすくて香りがいいから、ラルフでも飲めるよ。味も甘めだし」
「ありがとうございます」
ニッと本当に楽しそうに笑うエーリオを見ていると、自然と笑みが浮かんだ。ラルフは子供の頃から『堅物クソ真面目でつまらない』と言われることが多かった。ラルフと過ごすのが楽しいと言うエーリオの言葉に、嘘やおべっかは感じられない。素直に楽しいと思っていることが伝わってきて、なんとも面映ゆくなる。ラルフは、エーリオと一緒に作った夕食を心の底から楽しんだ。
ワインと美味しいエーリオの手料理を楽しんだ後、ラルフはエーリオと一緒に後片付けをしてから、風呂を借りていた。温かいお湯で満ちている浴槽には、爽やかな香りがする入浴剤が入っている。エーリオが1番お気に入りの入浴剤なのだそうだ。ラルフはお湯に顎まで浸けて、悶々としていた。エーリオに勧められたので風呂に入っているが、普通初めてのデートで相手の家の風呂に入るものなのだろうか。多分違うと思う。『もっとお喋りしたいから泊まりなよ』とエーリオが笑うので、ついつい頷いてしまったが、本当によかったのだろうか。ラルフもエーリオともっと一緒にいたいと思っていたので、エーリオの言葉が素直に嬉しかった。しかし、こうしてエーリオの家の風呂に入っていると、なんだか胸がざわついて落ち着かなくなってくる。魔導具を作ったり、料理をしていた時に感じたエーリオの匂いがする。エーリオがいつも使っている石鹸などがあるのだから当然のことなのかもしれないが、一度意識をしてしまうと、心臓がバクバクと忙しなく動き始めた。シャツの袖から見えるほっそりとした手首や関節がやや太い繊細な指先、健康的な色合いの短く整えられている爪、微かに血管が浮き出た手の甲など、エーリオの手が頭の中にチラチラと思い浮かんで、中々消えてくれない。ラルフはバシャッと顔をお湯に浸け、そのまま息が苦しくなるまで、温かいお湯の中で目を閉じていた。エーリオで不埒なことを考えてはいけない。そう思うのに、頭の中はエーリオでいっぱいで、胸が苦しくなる程、心臓が高鳴ってしまう。ラルフはバシャッと勢いよく浴槽の中で立ち上がった。冷たい水でも貰おう。風呂から出て、冷たい水を飲んだら、きっと頭も冷める筈だ。ラルフは風呂に入ったからだけではなく熱い頬を、ゴシゴシと強く手で擦った。
------
エーリオは大変ご機嫌だった。無事にラルフを泊まらせることに成功した。ラルフと過ごす時間は意外な程楽しくて、悪人面のラルフの控えめな笑顔を見るのも素直に嬉しかった。ラルフには寝間着として、エーリオの比較的新しい作業服を貸した。どうせ脱がせるし、裸で絡み合って寝る予定なので正直いらないとは思ったのだが、一応である。風呂上がりでほんのり頬を赤く染めたラルフに飛びかかりたいのをぐっと我慢して、エーリオも風呂に入った。しっかりと身体を洗い、特にアナルは念入りに洗った。アナルに指を突っ込んで、中に浄化魔術をかける。これで準備万端である。いよいよ楽しいセックスのお時間がやってくる。くふっくふっとだらしない顔で笑いながら、エーリオは風呂から出て、一応作業服を着てから、弾むような足取りでラルフが待つ居間へと向かった。
ラルフは居間のソファーに座り、ローテーブルの上に猫の玩具みたいな魔導具を置いて、何やら楽しそうな雰囲気でじっと動き回る魔導具を眺めていた。エーリオはそろそろとラルフの背後に近づき、するっと後ろからラルフに抱きついた。ラルフが驚いたようにビクッと震えた。エーリオはラルフの肩に両手を置いて、ラルフの後頭部の匂いをスンスンと嗅いだ。ラルフの頭から、エーリオが愛用しているシャンプーの匂いがする。なんだか妙に気分が上がる。くふっと笑って、エーリオはラルフの頭の天辺に顎を乗せた。
「ラールフ」
「は、はい」
「僕はもっとお互いに色んなことを知り合いたいわけよ」
「…………」
「というわけで、寝室行かない?」
「……で、でも、その……」
「触りっこしよ?」
エーリオはすりすりとラルフの頭の天辺に頬ずりをした。肩に置いていた手でラルフの頬をするりと撫でれば、ラルフの頬はとても熱くなっていた。本気で嫌な訳じゃないだろう。多分。エーリオはねだるように、少し鼻にかかった甘えた声でラルフの名前を呼んだ。ラルフの首筋を手でやんわりと撫でると、首の太い血管からラルフの速くて大きな心音を感じる。エーリオが気長にラルフの頬や首筋を撫でながらラルフの返事を待っていると、暫くしてから、本当に本当に小さな声で、ラルフが『行きます』と言った。エーリオはラルフの返事ににんまりと笑い、ラルフの頭の天辺に自分の鼻をぐりぐりと押しつけた。
真っ赤な顔で目を泳がせているラルフの手を引いて、エーリオは寝室へと向かった。ラルフをベッドに座らせ、すぐ隣に腰を下ろす。ローションのボトルは枕の下に既に仕込んでいるので、後はラルフを可愛がるだけである。エーリオはニマニマとだらしなく笑いそうになるのを堪えながら、ガチガチに固くなっているラルフの肩に、とん、と頭を預けた。膝の上でぎゅっと強く拳を握っているラルフの手をやんわりと撫でれば、ラルフがこくっと唾を飲む気配がした。
「ラルフー。そんなに固くなるなよ。とりあえず、ちゅーしようよ。ちゅー」
「……や、でも……その……」
「うりゃ」
「うわっ!」
エーリオは問答無用でラルフの身体をベッドに向けて押し倒した。ラルフが身体を起こす前にすかさず馬乗りになり、ガシっとラルフの顔を両手で掴む。ふんすふんすと荒い鼻息をしながら、エーリオはむにっとラルフの唇に自分の唇をくっつけた。興奮しまくっている自覚はある。だって、待ちに待った初セックスだし。少しかさついたラルフの下唇を優しく吸って、エーリオはそのままラルフの下唇に舌を這わせた。ラルフの唇の形をなぞるように舌を動かしながら、エーリオはじっとラルフの榛色の瞳を見つめた。困惑しているのか、緊張しているのか、ラルフの瞳は微かに揺れていた。早くも固くなりかけている股間をラルフの股間に擦りつければ、ラルフの身体が小さく震えた。ぴたっと身体を擦りよせれば、ラルフの身体がガチガチに固くなっていることがよく分かる。
「優しくするからさ。力を抜いてごらんよ」
「……は、はい……」
どっちが抱かれるのか分からない感じだが、顔を真っ赤に染めて余裕のないラルフがちょっぴり可愛いので問題ない。エーリオはにんまり笑って、もう一度ラルフの下唇を優しく吸った。ちゅっ、ちゅっと小さな音を立てて、何度もラルフの唇を吸う。唇をねっとり舐めると、きゅっとキツく引き締められていたラルフの唇が微かに緩んだ。はぁ、と熱いラルフの息が唇にかかる。エーリオは微かに開いた唇の隙間から、ラルフの口内に舌を潜り込ませた。歯列をなぞり、ねっとりと上顎を舐め、奥に引っ込んでいた舌に自分の舌を擦り合わせる。キスをするのは10年ぶりくらいだ。脱童貞をした時に、スケベな人妻に教えてもらった。朧気な記憶を思い出しながら、くちゅくちゅと音を立ててラルフの口内を舌で探る。こうしているだけでも、なんだか気持ちがいい。とろんとしてきたラルフの瞳を見つめながら、エーリオは目だけで笑った。
お互いの唾液で濡れた唇を離し、エーリオはラルフの筋張った熱い首筋に顔を埋めた。太い血管をなぞるように舌を這わせると、ラルフが震える熱い息を吐いた。いよいよもって興奮してきた。ラルフの熱い肌の感触をもっと感じたい。エーリオはちゅうっと強くラルフの首筋に吸いつくと、身体を起こして、作業着の前ボタンを外し始めた。作業着のつなぎの下には何も着ていない。パンツすら穿かなかった。エーリオはラルフの視線を感じながら、急いで作業着を脱ぎ捨てた。生まれたままの姿のエーリオを、ラルフが真っ赤な顔でじっと見つめている。エーリオはへらっと笑って、盛り上がっているラルフの股間をするりと撫でた。
「俺でちゃんと興奮できたね」
褒めるように、よしよしと優しくラルフの股間を撫でると、ラルフが恥ずかしそうに自分の顔を片手で隠した。なんだその反応。生娘か。エーリオはラルフの股間をすりすり擦りながら、我慢できずにニヤニヤとにやらしく笑った。
股間から手を離し、ラルフが着ている作業着のボタンを1つずつ外していく。上半身のボタンを全て外し終えると、エーリオは痩せたラルフの肌に手を這わせた。くっきり浮き出た形のいい鎖骨に触れると、じんわりと汗をかいていた。薄い胸板を撫で回し、はだけた作業着の内側に手を突っ込んで脇腹を撫でる。微かに骨の存在が分かる脇腹をゆっくりと撫で下ろし、臍の周りをすりすりと指先で擽る。ラルフの股間はこんもりと大きくテントを張っている。どうやら本当に巨根らしい。エーリオは期待でワクワクしながら、股間のチャックを下ろした。現れた白いパンツは大きく盛り上がっており、よくよく見れば、パンツの布地を押し上げているペニスの先っぽの辺りに微かに染みができていた。エーリオはパンツの上からラルフのペニスを撫で回した。陰嚢も優しく揉むように、ペニスの根元から先っぽに向けて撫で上げ、じっくりと布越しに熱いペニスの感触を楽しむ。ディルドとは全然違う熱と肉の感触に、腹の奥とアナルが疼いて堪らない。ラルフのパンツをずり下ろせば、ぶるんっと元気よく勃起している大きなペニスが露になった。カリがかなり大きくて、エーリオが持っているディルドよりも全体的に太くて長い。ゾクゾクする期待に、エーリオは口角を上げた。
「ラールフ」
「……」
「僕の身体も見てよ」
ちょんちょんと顔を隠しているラルフの手を指先で突くと、ラルフがゆっくりと手を外した。ラルフの顔は真っ赤に染まっていて、普段はきりっとしている眉毛が、なんとも情けなく下がっていた。ちょっと可愛い。エーリオはニッと笑ってから、ラルフの唇に触れるだけのキスをした。馬乗りになっていたラルフの身体の上からどいて、ラルフに背を向けてベッドの上で四つん這いになる。肩をシーツにつけるようにして上体を伏せ、自分の薄い尻肉を両手で掴んだ。顔だけでラルフの方へ振り返り、ラルフがエーリオを見ていることを確認すると、エーリオはぐいっと尻たぶを広げた。疼いて堪らないアナルが外気に直接触れる。ラルフの視線を感じて、ぷっくりと縦割れになっているアナルが勝手にひくひくしてしまう。エーリオはゾクゾクする興奮に口角を上げながら、片手を尻たぶから離して、枕の下に置いておいたローションのボトルを手に取った。
「ラルフ」
「……はい」
「僕がしてるとこ、ちゃんと見ててね」
エーリオは片手で器用にローションのボトルの栓を開けると、自分のアナルにローションをたっぷりと垂らした。
------
ラルフは荒い息を吐きながら、夢中で腰を振っていた。ベッドに伏せて尻だけを高く上げた状態のエーリオの細い腰を両手で掴み、自分のガチガチに勃起しているペニスをエーリオのアナルに突き刺している。意識してゆっくりと腰を引くと、エーリオのアナルの中に納まっていた濡れた自分のペニスがじわじわと姿を見せ、繋がっているエーリオの赤いアナルの縁が微かに捲れるところまでしっかりと見えた。エーリオの中は気持ちよくて堪らない。中は熱く蕩けていて、括約筋が意外な程キツくラルフのペニスを締めつけている。ぷっくりと縦に割れていたエーリオのアナルに太いカリの部分だけをぐぽぐぽと抜き差しすると、エーリオが上擦って掠れた声を上げた。腰を動かし、ずるぅっとペニスを根元近くまで押し込むと、汗で濡れたエーリオの背中がしなった。奥の方をトントンとペニスでノックするように動けば、まるでペニスに吸いつくかのようにエーリオの中が蠢いた。ラルフは低く唸りながら、腰を小刻みに揺らした。
エーリオが自分の指でアナルを慣らすところを見た後、ラルフは誘われるがままに勃起してしまったペニスをエーリオのアナルに突き入れた。初めて見るエーリオのアナルはぷっくりと縦割れになっていて、ひくひくと収縮し、ローションで濡れたエーリオの器用な指を易易と飲み込み、更には巨根だと自覚があるラルフのペニスですら柔軟に飲み込んでいった。エーリオの気持ちよさそうな上擦った喘ぎ声を聞いているだけで、射精してしまいそうだ。既に1度、エーリオの中で射精している。射精しても、ラルフのペニスは硬度を保ったままで、興奮も全然おさまらなかった。吸いついて絡みついてくるようなエーリオの奥深くを、ペニスの先っぽで優しくトントンすると、エーリオの中が蠢いて、堪らなく気持ちがいい。どっと先走りが溢れてしまうのを感じながら、ラルフはビクビクと小刻みに震えているエーリオの腰をやんわりと撫でた。
「エーリオさん。気持ちいいですか?」
「ひんっ!ひんっ!いいっ!すごいっ!すごいっ!」
「あぁ……そんなに締めないで……」
「うぁぁ……むり、むり……でちゃう!イッちゃう!あ、あ、あ、奥っ、奥っ、ぐりぐりしてぇ!」
ラルフはエーリオの要望に応えて、エーリオの薄い尻に下腹部を強く押しつけ、ぐりぐりとペニスでエーリオの奥深くを刺激した。エーリオが悲鳴のような声を上げて、全身をガクガク震わせた。痛いくらいキツく括約筋でペニスを締めつけられる。ラルフは歯を食いしばって、なんとか射精してしまうのを堪えた。
ゆっくりと腰を引いて、奥へ奥へとラルフのペニスを引きずり込もうとするエーリオのアナルからペニスを引き抜く。エーリオのアナルはぽっかりと赤い口を開けて、ひくひくといやらしく収縮していた。少しの間、じっとエーリオのアナルを眺めていると、泡立ったローションと共に白濁した液体がこぽっと溢れてきた。先程出したラルフの精液である。アナルから溢れた精液が、つーっと赤い会陰を伝い、ぶら下がっている陰嚢にまで垂れて、ポタっとシーツへと落ちていった。ラルフは僅かに周りに毛が生えているエーリオのアナルを指先で撫で回してから、ぜぇぜぇと荒い息を吐いているエーリオの身体をころんとひっくり返した。エーリオの顔は汗と涙と鼻水と涎でぐちゃぐちゃで、激しく上下している薄い胸板には、男のそれとは思えない程ぷっくりと肥大した乳首がピンと存在を主張していた。ラルフはエーリオに覆い被さり、エーリオの鼻の下をべろりと舐めた。しょっぱい汗の味がするほっそりとした首筋を舐め、ぷっくりとした大きな乳首に吸いつき、舌を這わせながら移動して、僅かに周りに毛が生えている臍の穴に舌先を突っ込んだ。白い精液が微妙に残っている萎えたペニスの尿道口を舌先で抉るようにして舐めれば、エーリオが大きくビクビクと身体を震わせた。ラルフのペニスの半分くらいの可愛らしいサイズのエーリオの萎えたペニスを口に含めば、エーリオがラルフの髪をくしゃっと掴んだ。
「あぁ……まって、まって」
「いやれふ」
「んんんっ!そのままっ、しゃべんなっ」
「んーー」
「やぁぁ!ちょっ、やすませて、やすませてぇ……」
舌足らずな涙声でそう言うエーリオに、なんだか酷く興奮する。ラルフは1回しかイッていないが、覚えている限り、エーリオは少なくとも5回はイッている。うち2回は射精をせずにアナルの刺激だけでイッていた。ラルフは半勃ちになったエーリオのペニスから口を離すと、力が入っていないエーリオの両脚を掴んで、ぐいっと大きく脚を広げさせた。腰が浮くようにエーリオの脚を曲げさせると、ラルフはガチガチに勃起したままの自分のペニスをとろとろに蕩けているエーリオのアナルに押しつけ、ゆっくりと深く突き入れた。
「あ、あ、あ、あ、あ……」
エーリオが大きく目を見開いて、だらしなく涎を垂らした。ラルフはエーリオの脚から手を離して、エーリオの顔の両側に手をついた。ぐっぐっも腰を動かして、エーリオが気持ちがいい最奥をペニスで刺激してやれば、エーリオが掠れた声を上げて、えぐえぐと泣き出した。
「やぁ……も、も、むり……」
「まだです。まだ、足りない」
「ひぃぃん……遅漏だなんて聞いてないぃぃ!」
「遅漏じゃないです。貴方が早いんです」
「あっ!あっ!あっ!やだぁ!しんじゃう!しんじゃうっ!」
「誘ったのは貴方だ。あぁ……すごい……」
エーリオのアナルの感触を味わうようにゆっくりと腰を動かしていたラルフは、本格的に腰を激しく振り始めた。泣きながら喘ぐエーリオの顔をじっと見つめながら、高まる快感の頂点を目指していく。快感に歪んだエーリオの泣き顔を見ていると、なんだか背筋がゾクゾクして堪らない。ラルフは激しくエーリオの最奥を突き上げながら、べろーっとエーリオの涙が流れる頬を舐め上げた。ラルフは伏せていた身体を起こして、エーリオの両脚を抱え、無茶苦茶に激しく腰を振り始めた。腰を振りながら片手でエーリオのペニスを掴んで擦れば、更にキツく括約筋でペニスが締めつけられる。ラルフは熱い息を吐きながらひたすら腰を振り、エーリオが少量の精液をペニスから飛ばす瞬間をガン見した後に、低く唸ってエーリオの奥深くに精液をぶち撒けた。尿道を勢いよく精液が飛び出て行く感覚も、熱く絡みついてくるエーリオの中の感触も、堪らなく気持ちがいい。
ラルフが射精の余韻とエーリオの中の感触を堪能していると、射精して萎えたエーリオのペニスから、しょろしょろと勢いなくおしっこが溢れた。
「あ……」
エーリオの顔が恥ずかしそうに歪んだ。ラルフはうっとりとまた泣き出しそうなエーリオの顔を眺めた。自分が泣き顔に興奮する性質だったなんて、今まで知らなかった。エーリオの情けない泣き顔を見ているだけで、再びペニスに血液が集まりだす。ラルフはにっこりと微笑んで、驚いた顔をしているエーリオの涙で濡れたキレイな眼球の表面に舌を這わせた。
------
エーリオはぐったりと身体をベッドに伏せたまま、すぐ隣に裸のまま横になっているラルフの身体をベシベシと叩いた。
「この遅漏。デカちん。絶倫ドS野郎」
「違いますけど」
「違わないわ。死ぬかと思ったじゃん」
「気持ちよさそうでしたよ?おもらしまでして」
「その口縫いつけるぞ」
「やめてください」
エーリオとしては、童貞のラルフをアナルでよしよしして可愛がってやる予定だった。それなのに、実際にはペニスを入れた途端に豹変したラルフに泣かされまくった。解せぬ。気持ちよすぎて死ぬかと思ったくらい気持ちよかったのが何とも言えない。エーリオがラルフの前でちょっとしたアナ二ーショーをした頃までは余裕がなかった癖に、セックス本番ではラルフの方が余裕があった。解せぬ。童貞だった癖に。
腰とアナルがジンジンと鈍く痛む。エーリオはラルフの方へ向くように寝返りをうって、手を伸ばして、ラルフの髪をわしゃわしゃと撫で回した。同じように俯せに伏せていたラルフがエーリオと向かい合うように身体を動かし、はにかむように小さく笑った。なんだか可愛い。悪人面だけど。
「で?」
「はい?」
「僕と恋人になるでしょ?セックスしたし」
「……ふ、不束者ですが……」
「堅いなぁ。ダーリン」
「ダーリンは勘弁してください」
「ははっ。君は可愛いねぇ。ハニー」
「可愛くはないです」
「そうかな?」
「そうです」
「とりあえず一緒に住む?」
「……展開が早くないですか」
「いいじゃない。あ、ねぇ。手紙は続けようよ」
「え?一緒に暮らすのに?」
「あ、同棲してくれるのね」
「う、や、あの……」
「顔が真っ赤だぜ。ハニー」
「うっさいです」
「手紙ってさぁ、なんか存外楽しいんだよね。直接話すのも楽しいけどさ。なんつーの? 文章だからこそ伝わってくるものがあるっていうか。まぁそんな感じ」
「……手紙じゃなくて、ノートではダメですか? 同じ家に住んでいるのに毎回わざわざ手紙を郵送するのもどうかと……」
「あ、それでもいいよ。交換ノートね。洗濯物干しといてみたいな業務連絡はなしで」
「はい」
「君は僕のことをまだまだ知らないし、それどころか、多分君自身のこともよく分かっていないよ。僕もそう。お互いにさ、ちょっとしたことをノートに書いて、読んで、2人で色んなことを知っていこうよ。きっと楽しいよ」
「……はい。エーリオさん」
「んー?」
「貴方のそういうところ、好きです」
「お。マジか。ふふー。僕の魅惑のアナル様も好きだろ?」
「品がないことを言わないでください」
「好きでしょ?」
「……好きですけど……」
「またセックスしよ。明日にでも」
「明日っ!?」
「おや。したくない?僕はしたい。あ、ご飯も一緒に食べたいな。お風呂も一緒がいい。先に言っておくけど、僕は中々に構ってちゃんだからな。精一杯構っておくれよ。スキンシップはいつでも大歓迎だぜい」
エーリオは、にししっと笑った。鋭い目つきを和らげて、ラルフも楽しそうに小さく笑った。素足を絡めて、ピッタリとラルフにくっつくと、ラルフがエーリオの鼻筋にキスをしてくれた。エーリオはご機嫌に笑いながら、可愛い恋人の名前を呼んだ。何度もキスをしながら、これからのラルフがいる生活に思いを馳せた。喧嘩もするのだろうけど、きっと楽しいことや嬉しいことがいっぱいだ。セックスも素敵だし、ラルフは可愛い。
間抜けな腹の音が聞こえてくるまで、エーリオはラルフにくっついて、これから先のことをいっぱい話した。
(おしまい)
「ヘルムート。僕は旅に出ようと思うんだ」
「え?なんで?ていうか何処に?」
「理想のデカちんを探しに行く」
「なんて?」
「デカいちんこを探しに行く」
「エーリオ。お前疲れてるんだよ。とりあえず飲めよ。ほら。注いでやるから」
「酒は飲むけど、そんなに疲れてないよ」
「じゃあ何でそんなアホなことを言い出すんだ。まさかエール一杯で酔ったのか?蟒蛇のお前が」
「酔ってない。実はだね、僕はこう見えてアナニーマスターなんだよ」
「アナニーマスター」
「16の頃からアナニーを始めて早10年。中イキも潮吹きも自由自在なアナニストな訳なんだが……」
「友達のオナニー事情なんて知りたくないんだけど。俺」
「まぁ、聞け。聞いてくれ。そんな素敵なアナニーの達人である僕なんだが、そろそろ生のちんこを試してみたくてね」
「はぁ、左様で」
「僕は玩具を使ってアナニーしまくっているけど、処女なんだよ」
「へー」
「やっぱり初めては思い出に残るものにしたいじゃないか」
「へー」
「そういう事で、理想のデカちんを探しに行こうと思うんだ」
「花街に行けばいいんじゃないか?」
「花街なんて嫌だ。病気が怖いし、何より男娼に抱かれるなんてロマンチックじゃないだろう。やっぱり初めては素敵な恋人に貰ってもらいたいじゃないか」
「乙女か」
「だって僕処女だもん」
「いい歳した大人が『だもん』とか言うなよ。恋人が欲しいのなら、わざわざ旅に出なくても手近な所で探せばいいじゃないか」
「デカちんじゃないと嫌だ」
「顔の好みは?」
「特にない」
「そもそも、エーリオって男が好きなのか?」
「いや、別に。女の子のおっぱいが大好きです」
「なんでそれでデカちんを求めてるんだよ」
「好奇心!最近さぁ、玩具じゃちょっと物足りないんだよね。生のちんこを試してみたい。でもほら。僕って上級アナニストだからさ、ちんこが小さいと確実に物足りないんだよね。サイズ的に」
「どんだけデカいのを入れてるんだよ」
「ははっ。まぁそれなりに」
黒髪の男ヘルムートが呆れた顔をして大きな溜め息を吐いた。頭が痛いとでも言いたげに、ヘルムートが自分の眉間を指先でぐりぐりしている。エーリオはそれを眺めながら、少し温いエールを口に含んだ。エーリオもヘルムートも魔導具研究所で働く魔導具師だ。共に26歳で、同期の中で一番馬が合い、付き合いはもう5年以上になる。エーリオはヘルムートのことを親友だと思っている。親友だからこそ、旅に出る理由を告げなければいけないと思い、今夜ヘルムートを飲み屋に誘った。エーリオは真剣に旅に出るつもりである。全ては理想のデカちんを探す為だ。そして素敵に処女を捨ててみたい。ついでに恋人も欲しい。エーリオは年齢=恋人いない歴の清純な処女である。ちなみに童貞ではない。童貞は15の時に実家の近所のスケベな人妻で捨てた。
ヘルムートがジョッキのエールを一息で飲み干すと、自分の鞄から通信魔導具を取り出した。エーリオが所属する研究部が開発し、昨年発売が開始され、爆発的に普及している代物だ。ヘルムートが通信魔導具を操作してから、エーリオを真っ直ぐに見た。
「エーリオ」
「なに?」
「とりあえず男を紹介するから旅に出るのはよせ。お前は研究所一の問題児だけど、研究所一の発明家だろ。お前に抜けられるのは痛い。それに、お前がいなくなったら俺は誰と昼飯を食べたらいいんだよ。俺の交友関係の狭さは知ってるだろ」
「君、友達は僕しかいないもんな」
「そうですけど何か?」
「友達が僕1人なヘルムートに男なんて紹介できるの?」
「仕事の関係でたまに話す、通信魔導具の連絡先を交換したことがある奴に連絡した。トイレでたまたま見たけど、俺が知る中で一番デカい。引くレベルでデカい。完全に第三の足だった。噂で同性愛者だと聞いたことがある」
「紹介してくれ」
「今から来てくれるから大人しく待ってろ」
「ヘルムート。持つべきものは親友だな」
「一応言っておくけど、相手にも好みがあるからな? 駄目だったら諦めろよ?」
「その時は旅に出るだけさ」
エーリオは頬を緩めて、つまみのナッツを口に放り込んだ。
------
半刻程だらだらと2人で酒を飲んでいると、地味な茶髪の男が現れた。中背中肉のエーリオと大して変わらない体格で、顔立ちは割と普通だが、目付きが悪いのでなんだか悪人みたいに見える。エーリオは男の顔を見るなり、げっと蛙が潰れたような声を出した。
「……なんで此処にいるんだよ。ラルフ」
「ヘルムートさんに呼ばれたからです」
「ヘルムート。何でこいつを呼んだんだよ」
「そりゃあ、お前に紹介する為だよ」
「……第三の足って、もしかしてこの堅物クソ真面目人間?」
「うん」
「僕旅に出るわ」
「旅?」
「待て待て。エーリオ。立つな。座れ。まずは話をしよう。ラルフも座ってくれよ。来てくれてありがとう」
「いえ……紹介したい相手がいるとの事でしたが、まさかそこの問題児じゃないですよね」
「はははっ。まぁ、付き合ってみれば割と気のいい奴だよ」
「帰っていいですか」
「待って。ラルフ。お願いだから話を聞いて。じゃないと、うちの研究所一の発明家が旅に出ちゃう。そして俺が毎日ボッチ飯になっちゃう」
ラルフが微かに眉間に皺を寄せた。ラルフは魔導具研究所の総務課で働いている。研究職のエーリオ達とは、正直相性が良くない。自由気ままに魔導具の開発がしたい研究者達と、予算がどうこう書類がどうこうと細かいことを言ってくる総務課は、殆ど敵対関係にあると言ってもいい。様々な魔導具の開発にとても貢献しているが、度々問題を起こして研究所一の問題児と言われているエーリオは、総務課から嫌われている自信がある。エーリオも総務課なんて嫌いだ。ごちゃごちゃと口煩いから。
エーリオが椅子に座ったラルフの悪人面をじとーっと半眼で見つめて警戒していると、ヘルムートがぽすんとエーリオの頭に軽く手刀を落とした。
「そんなに威嚇するなよ。エーリオ。今は仕事中じゃないんだから。ラルフだって、わざわざ来てくれたんだぞ」
「……うぃーっす」
「ラルフ。エーリオが今恋人になってくれる相手を探していてさ。ラルフは今、恋人はいるのかい?」
「……いませんけど」
「エーリオはどうかな? たまに突飛なことをしでかすけど、これで意外と面倒見がいいし、結構優しいんだよ。ほら、エーリオ。とりあえず改めて自己紹介して」
「……エーリオ・グリムトン。26歳」
「……ラルフ・ドルッセオ。23歳です」
「あん?なに、年下じゃん。『書類取り立ての鬼』」
「誰が鬼ですか」
「エーリオー。にこやかにー。頼むからにこやかにしてー。ラルフもそんな『今から殺ります』みたいな顔はやめてー」
ヘルムートが困ったように情けなく眉毛を下げたので、エーリオはとりあえずラルフにメンチを切るのを止めた。年上の余裕である。ふんっと大きく鼻で息をした後、エーリオは頭を切り替えて、ラルフの顔を真剣にまじまじと見た。鋭すぎる目付きを除けば、顔立ちそのものは普通だ。変に美形じゃないので、無駄に緊張したり、劣等感を抱くことはないだろう。目の下にうっすら隈があり、それが悪人感を強めている気がする。髪は地味な濃いめの茶色で、瞳は柔らかい榛色をしている。口の右下に小さな黒子を見つけた。女の子なら色っぽいと思うが、男なので割とどうでもいい。エーリオはラルフの顔をガン見しながら、こてんと首を傾げた。
「ラルフ」
「なんだ」
「僕のこと抱ける?」
「え?さ、さぁ……?」
「童貞じゃないよな?」
「……悪いですか」
「おや。童貞坊やだったのか」
「帰っていいですか」
「駄目。んー。ちんこデカいって本当?」
「はあっ!?」
「お兄さんにちょっと見せてー」
「断るっ!ヘルムートさんっ!」
「あ、はい。ごめんね。ラルフ。エーリオ。とりあえず今は自重しろ」
「ヘルムート。ちんこの大きさの確認は最優先事項だ」
「身体目当てなら帰ります」
「うーん!よぉし!2人とも色々落ち着こう!まずはデートをしてみるのはどうかなぁ!」
「「デート」」
「ほら。仕事でしか顔を合わせたことがないんだし、まずはお試しでデートをしてみるってのはどう?」
「はい。先生」
「何だね?エーリオ君」
「デートって何するの?とりあえずセックス?」
「んな訳あるか馬鹿」
「破廉恥なことを言わないでください。問題児。第一……まずは文通からでしょうが!!」
「「文通」」
「交際をするのならば、手紙のやり取りをして、お互いに知り合うのが先です」
「ヘルムート。ヤバいよ。今時あり得ないくらい堅物だよ」
「いやほら。古式ゆかしいだけじゃない?」
「いやいや。今時のガチンチョだってまずはデートだし、デートって言ったら普通にエロいことするだろ」
「しねぇよ。手を繋ぐくらいが精々だろ」
「嘘だろマジかよ」
「そんなにビックリした顔をするな。俺の方がビックリだわ」
「……馬鹿にするのなら帰ります」
「馬鹿にはしてないよ。ビックリしただけ。なぁ、ヘルムート」
「そうそう。まぁお互いを知り合うって大事だよな」
「…………」
「ラルフ」
「……なんです」
「文通してみる?」
「……え、あ、はい……」
エーリオがそう言うと、ラルフが少し驚いたように目を見開いた。仕事中は面倒臭い書類を取り立てに来るラルフは天敵と言ってもいいが、私生活は別物だ。もしかしたら意外と面白い奴なのかもしれない。何より、ラルフはデカちんらしいし。あての無い旅に出るよりもいいかもだし。セックスはめちゃくちゃしてみたいが、初めてはロマンチックな感じがいいし。エーリオはラルフに向かって片手を差し出した。ロマンチックな処女卒業の為に、まずは文通からだ。ラルフはじっとエーリオの手を見つめた後、チラッとエーリオの目を見てから、おずおずといった様子でエーリオの手を握った。ペン胼胝のある筋張った男の手だ。握ったラルフの手をゆるく上下に振って、エーリオはニッと笑った。
「よろしく。ダーリン」
「……ダーリンはやめてください」
------
ラルフは帰宅すると、すぐに自宅の郵便入れを覗いた。今日も手紙が来ている。差出人はエーリオだ。ラルフは手紙をそっと取り出すと、いそいそと居間へと移動して、最近テーブルの上に常備しているペーパーナイフを使って慎重に手紙を開けた。素っ気ない白い便箋には、意外な程キレイな文字が並んでいる。ラルフは頬を緩めて、手紙を読み始めた。事務書類は必ず提出期限を守らない癖に、エーリオは手紙は律儀に返してくれる。2日に一度届くエーリオからの手紙が、ラルフの今の一番の楽しみになっている。手紙にはエーリオが好きなものや日々のちょっとした出来事が書かれている。文章そのものは素っ気ないが、飾らない言葉で思っていることや感じたことを伝えようとしてくれるのが分かり、なんだか嬉しくなる。そんなに長くない手紙を読み終えると、ラルフは文具屋で見つけたお気に入りの青い便箋を取り出し、早速返事を書き始めた。
ラルフは男しか愛せない。自分が同性愛者だということに気がついたのは16歳の時だ。当時通っていた学校の先生のことを好きになった。ラルフ達が暮らす国では、同性愛者は少数派である。ラルフが生まれ育った小さな村では、同性愛者は子供が成せず、生産性がない欠陥人間だと言われていた。小さな子供の頃から違和感は持っていた。同じ年頃の男の子が村の女の子の誰が可愛いかなんて話をする時、いつもラルフは誰が可愛いとは言えなかった。女の子はただそこにいるだけで、ラルフにとっては興味の対象ではなかった。しかし、その事を口にすることは無かった。同性愛者だという自覚がなかった頃から、女の子に興味を持てないということは言ってはいけないことだと分かっていた。
ラルフは近所に住んでいた魔導具師の老爺に幼い頃からとても懐いていて、自分も魔導具師になりたかった。しかし、ラルフには魔導具師になれる程の魔力はなく、絶望的なまでに手先が不器用だった。ラルフは魔導具師になることを諦めざるをえなかった。せめて、魔導具に関わる仕事に就きたくて、親に無理を言って近くの大きな町にある学校に通い、必死で勉強をして、王都にある魔導具研究所に就職できた。仕事は大変だが、同時にやり甲斐がある。気づけば『書類取り立ての鬼』なんて呼ばれるようになったが、そもそも書類を提出期限内に出さない方が悪いので気にしたことはない。様々な場所から多くの人がやって来る王都にいれば、もしかしたら恋人ができるかもしれないと思っていたが、世の中そんなに甘くはなかった。職場の飲み会で慣れない酒を飲み過ぎて、ポロッと自分は同性愛者だと洩らしてしまってから、職場の人達から少々遠巻きにされるようになった。ラルフが好きなのは、優しくて穏やかな筋肉ムキムキの逞しい男だ。研究所にいるようなヒョロヒョロの男達は好みではない。男なら誰でもいいと思われているのは腹立たしいが、ラルフは何も言わずに黙々と日々の仕事をこなしている。魔導具研究所で開発された魔導具は、多くの人々の生活を助けるものだ。それらを研究開発する魔導具師達を支える仕事に誇りを持っている。それでも、恋人どころか、友人らしい友人もいない1人の生活に寂しさを感じていた。そんな時に、仕事で関わることが多いヘルムートの仲介で、エーリオと文通することになった。エーリオは魔導具研究所一の問題児だ。研究所の施設や備品を実験中に破壊したり、必要な書類を提出しなかったり、決められた予算以上に研究所の金を使ったりと、細かい事まで挙げていけばキリがない程だ。しかし、とても優れた魔導具師であり、発明家である。エーリオが主体となって創り上げた魔導具は沢山あり、それらは多くの人々の生活に寄り添い、助けるものだ。ラルフにとって、問題児エーリオは頭が痛い存在であると同時に、憧れの魔導具師であった。エーリオはやや痩せ気味の中背中肉の体型で、どこにでもいるような普通の顔立ちをしている。垂れ目気味で、人が良さそうな雰囲気だ。くすんだ色合いの癖のある赤毛はいつもぼさぼさで、いつ見ても年季の入った作業着を着ている。淡い水色の瞳は素直にキレイだと思う。新しい魔導具を思いついた時の、無邪気な子供みたいにキラキラと輝いているところを見るのが実は密かに好きだった。そういう時は大概無茶な事を言い出すので、頭痛もするのだが。
エーリオと手紙のやり取りをするのは、予想外に楽しいものであった。エーリオは甘いものと酒が好きで、休日はいつも自宅の工房で魔導具を作っているそうだ。既存の魔導具の改良をしてみたり、新たに自分で考えたものを作ってみたりして遊んでいるらしい。手紙のやり取りを始めて3ヶ月程経った頃、エーリオの手紙と共に、ほっそりとしたシンプルなデザインの腕輪が送られてきた。単なる装飾品ではなく、エーリオが個人的に開発した魔導具で、揃いの腕輪を着けている相手同士だと、お互いの位置が分かるというものらしい。どういった場面で使うものなのかはいまいち分からないが、ラルフはエーリオからの贈り物を素直に喜んだ。不器用なラルフは何かを作って贈るということができない。料理は苦手だし、裁縫なんてしたら確実に手も布も血塗れになる。木工細工に挑戦したこともあるが、怪我をした上に、完成した小さな本棚は実用できるものには程遠かった。ラルフは悩みに悩んで、エーリオが1番好きだという飴専門店の薄荷の飴と林檎の飴を買い、ラッピングだけは自分でしてからエーリオに送った。ラッピングは我ながら不細工な出来だと思ったのだが、ほんの少しでもいいからエーリオの為に何かをしたかった。次に来た手紙には、飴のお礼と前衛的なラッピングが面白かったと書かれていた。ラルフは嬉しくなって、何度も何度もその手紙を繰り返し読んだ。ヘルムートが言っていたように、エーリオは優しい。それに意外と律儀だ。今時、恋人になるのに文通だなんて古風なことする者がいないことくらい、ラルフだって知っている。しかし、よく知りもしない相手とデートをするなんて、ラルフには抵抗があった。デートなんてしたことがない。ラルフにとって、デートは空想上のものだ。
ラルフはエーリオへの返事を書き終えると、エーリオと文通を始めてから購入した綺麗な彫り物が施してある箱に、読み終えた手紙を大事に仕舞った。ラルフはこの箱を宝箱と呼んでいる。宝箱には、この数カ月で溜まったエーリオからの手紙がいっぱい入っている。エーリオから贈られた腕輪は、こっそり常に身につけている。銀色のシンプルな腕輪の内側には本当に小さな水色の石が埋め込まれていた。ラルフは宝箱を撫でながら、ぼそっと呟いた。
「会いたいな」
月日が経つのは早いもので、もう少しで文通を始めて半年になる。職場でたまに顔を合わせるが、主に提出が遅れている書類の取り立てでしか会っていない。ラルフは自然と、エーリオと2人きりで会って話をしてみたいと思うようになっていた。返事の手紙を書き直して、休日に会えないか聞いてみようか。ラルフは暫く悩んでから、新しい便箋を取り出した。時折悩みながらペンを動かし、デートの誘いを書いていく。少し前に、ヘルムートが『一緒に出かけて、ご飯を食べるのもデートだよ』と言っていた。『デート』という単語を書く時は、緊張して手が震えてしまい、何度も深呼吸をする羽目になった。
時間をかけて書いた手紙を封筒に入れて、宛名を書いていく。明日の朝一で郵便屋に行こう。エーリオはどんな返事を返してくれるのだろうか。エーリオのことを考えると、なんだか妙に胸がドキドキする。エーリオが好きだというエビが美味しい店に一緒に行きたい。2人で今職場で話題のケーキ屋に行ってみるのも素敵だ。できたらエーリオの自宅の工房やエーリオが作った魔導具を見てみたい。エーリオの笑った顔が見てみたい。ラルフはその夜、胸がうずうずして眠ることができなかった。
-------
エーリオはラルフから届いた手紙を読み終えると、ベッド横に置いてある小さな棚の引き出しに手紙を入れ、ベッドの下に置いてある箱を引っ張り出した。これからアナニーをする。今回のラルフからの手紙の内容は、デートのお誘いだった。これはいよいよ脱処女セックスの時が来ちゃったかもしれない。ラルフは童貞だから、素敵なアナニーマスターのエーリオがリードをしてあげるべきだろう。エーリオはむふっむふっといやらしく笑いながら、箱の中からペニスの形を模ったかなり大きめのディルドを取り出した。これは底に吸盤がついていて、床に固定することができる。
ラルフとの手紙のやり取りは半年近く続いている。我ながらよく続いたなぁと自分に感心している。ラルフの手紙は、角張った文字で、堅苦しい文章が書かれている。しかし、内容は日常であった些細なことやエーリオに聞きたいこと、エーリオに知ってほしい自分のこと等、とても素朴な印象を受けるようなものだ。私生活でも堅物クソ真面目なようだが、魔導具が好きらしく、エーリオが個人的に開発している魔導具について書くと、なにやら嬉しそうな雰囲気の返事が返ってくる。手紙のやり取りを通して、エーリオの中で、ラルフの印象は少し変わった。面白みのない堅物クソ真面目な『書類取り立ての鬼』から、ちょっと可愛げがある気がする年下の魔導具好きになった。魔導具を好きな者に悪い者はいない。『好き』か『嫌い』かの二択なら、エーリオは『好き』を選ぶだろう。その程度にはラルフを気に入っている。ラルフの為にも自分の為にも、素敵な初セックスにしなければなるまい。エーリオの中では、『デート=セックス』という図式が完全に固定されてしまっている。
エーリオは全裸になると、ローションのボトルを手に取り、右手の掌にたっぷりとローションを垂らした。ローションで濡れた中指をゆっくりと自分のアナルに入れ、直腸に浄化魔術をかけて中をキレイにする。暇さえあればアナニーをしているので、エーリオのアナルはぷっくりと縦割れになっている。指1本くらいならすんなりと入る。焦らすことなく前立腺を指の腹で優しく擦る。今日は床に固定したディルドで騎乗位の練習である。ラルフの童貞デカちんを可愛がる為にも、自分が気持ちよくなる為にも、腰振りのテクニックを更に上達させなければならない。はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら、指を増やして、ぬちゅぬちゅとアナルに指を抜き差しして解していく。ペニスは弄らない。弄らなくてもアナルの刺激だけでイケるし、その方が気持ちがいい。アナニーをしまくっているが、我ながら締まりはいい。毎日のようにアナルの締りを良くする運動をしているので、入り口はきゅっと締り、中はとろとろという最高のアナルになっている。童貞なら三擦り半でイッちゃうのではないだろうか。自分の指に感じる括約筋の締りや腸壁の感触がとても気持ちいいので、ラルフも間違いなくエーリオのアナルに夢中になる筈である。我ながら名器な気がする。ラルフはセックスの時、どんな顔をするのだろうか。くふっ、とエーリオは小さく笑った。デートの日が楽しみで仕方がない。ラルフはどんな顔をして、どんな風にエーリオに触れるのだろうかと妄想するだけで、興奮して射精してしまいそうだ。エーリオはずるぅっとローションと腸液で濡れた指をアナルから引き抜くと、床に固定したディルドにローションを塗り、すぐにとろとろになっている自分のアナルをディルドの先っぽに押しつけ、ゆっくりと腰を下ろし始めた。これはラルフのデカちんだ。そう自分に言い聞かせると、普段のアナニーとは違う興奮が湧き上がってくる。エーリオはゆるく口角を上げ、床に手をついて腰を上下に振り始めた。太くなっているカリを模した部分で前立腺をゴリゴリ擦ると、堪らなく気持ちがいい。腰を下ろして奥深くまでディルドを咥えこみ、直腸の奥、結腸の辺りを優しくトントンすると、脳みそが沸騰して爆発してしまいそうだ。ラルフのデカちんはどれだけデカいのだろうか。エーリオの結腸まで犯してくれるだろうか。エーリオの中を蹂躙して、激しく暴れ回って、思いっきり種付けして欲しい。エーリオはラルフのことを考えながら激しく腰を動かし、楽しい快感を貪った。
----
デートの日がやって来た。ラルフはこの日の為に買った服を着て、約束の1時間前には集合場所である広場の噴水の前に立っていた。昨夜は胸がドキドキと高鳴って、中々眠れなかった。今朝もいつもより早く目が覚めてしまい、そわそわと落ち着かない気分でじっとしていられなかったので、早朝から家中の掃除をした。数日前に服屋に行き、店員の助けを借りて、今流行りの柄物のシャツを買った。いつもは白の無地のシャツしか買わない。折角のデートなのだ。いつもと同じ格好では面白みがないかもしれないと思い、思いきって冒険してみた。淡い水色と淡い緑色のマーブル模様の布地で、襟と胸ポケットのところに濃いめの青い糸で繊細な刺繍が施されている。店員は似合うと言ってくれたが、エーリオはどうだろうか。ラルフは左腕につけた古ぼけた腕時計を時折見ながら、エーリオが現れるのをそわそわした心地で待った。
待ち合わせ時間の5分前に、エーリオがやって来た。いつもの草臥れたような作業服を着ている。
「待った?」
「いえ」
「今日の予定ってもう決めてる?決まってないなら先に服屋に行きたいんだけど。僕、作業服しか持ってなかったわ。寝る時はパン一だし。デートなんだから、もうちょいまともな格好がしたい」
「いいですよ。まずは服屋に行きましょう」
「悪いね。あ、ついでに僕の服を選んでよ」
「……センスに自信がないのですが……」
「お洒落なの着てるじゃない」
「これは……その、店員さんに助言をもらったので……」
「ふーん。まぁ、いざとなったら店員さんに頼ろう。行こうか」
「あ、はい」
エーリオが何故か左手をラルフに差し出してきたので、ラルフは反射的に右手でエーリオの手を握った。
「握手じゃないよ。手を繋ごう。デートだし」
「え、あ、はい」
ラルフはじわじわと顔が熱くなるのを感じた。握手をしていた右手を離し、エーリオの隣に並んで、改めて右手でエーリオの左手を握る。エーリオが歩き始めたので、ラルフもぎこちなく足を動かし始めた。
ポツポツと話しながらラルフがいつも行く服屋に向かった。悩みながらエーリオの服を選び、エーリオが服を購入してその場で着替えた後、2人は服屋を出て、魔導具専門店に入った。エーリオの希望である。ラルフも魔導具を見るのは好きなので、小さく笑って頷いた。エーリオと陳列されている魔導具を眺めながら、ラルフはドキドキと胸を高鳴らせていた。魔導具を見るエーリオの瞳はキラキラと輝いていて、まるで無邪気な子供のようだ。本当に魔導具が好きで堪らないのだろう。ラルフが質問をすれば、エーリオが楽しそうに詳しく解説してくれた。楽しそうなエーリオが可愛く見えて堪らなかった。昼時を少し過ぎる時間まで魔導具専門店で過ごし、手を繋いで、今度はラルフが行ってみたかった飲食店に向かった。そこは小さな店構えの喫茶店で、パンと日替わりのシチューが美味しいと職場で話題になっていた。2人とも日替わりのシチューを注文した。今日の日替わりのシチューは兎肉とほうれん草のシチューで、とても美味しかった。エーリオが美味しそうに大口を開けて食べている様子をチラチラ見ながら、ラルフも黙々とシチューを食べた。
「美味かったな」
「はい」
「この後さ、僕の家に来ない?工房見せてあげる」
「え?いいんですか!?」
「いいよー。なんなら簡単な魔導具でも作る? 魔力が必要なところは僕がやるし」
「あ、でも、僕は壊滅的に手先が不器用なのですが……」
「大丈夫大丈夫。教えながら手伝うし。魔導具好きなんだろ?自分で作ってみたくない?」
「……作ってみたいです」
「じゃあ、やってみよう」
「はい」
エーリオがニッと楽しそうに笑った。ラルフも自然と笑っていた。魔導具を作ることができるのも単純に嬉しいが、それがエーリオと一緒であることが尚更嬉しい。会計を済ませて喫茶店を出ると、ラルフはエーリオと手を繋いで、エーリオの家へと向かって歩き始めた。エーリオと挑戦してみる魔導具の話をしながら、ラルフは浮かれた足取りで歩いた。
------
エーリオがラルフの掌に小さな魔導具をそっと置いた。魔導具というよりも玩具のようなものだ。猫を模っている木彫り人形の腹の部分にスイッチがあり、そこを押すと、ちょこちょこと人形の手足が動く。不細工な猫の顔の辺りから『にゃー』という鳴き声も聞こえる。ちなみに、猫の鳴き声は本物ではなく、エーリオの鳴き真似である。ラルフはじっと掌の中の魔導具を見つめ、小さく微笑んだ。
「やー。ここまで不器用な人に会うの、僕初めてだわ」
「言ったじゃないですか。壊滅的に不器用だって」
「君の不器用加減を舐めてた。まぁ、一応無事に完成したし、よしとしよう」
「殆ど貴方が作りましたけどね」
「作るの、楽しなかった?」
「楽しかったです。本当に。すごく」
「それならいいね。もう夕方だ。晩ご飯を作るよ」
「え?料理ができるんですか?」
「人並みにできるよー。まぁ、男の大雑把な料理だけどね。ラルフは料理するの?」
「殆どしません。下拵えの段階で材料が血塗れになる確率が高いので」
「君に包丁は使わせない。絶対にだ。あ、じゃあ付け添えのサラダを作ってよ。レタスを洗って、手で千切るだけだから」
「はい。それなら出来る筈です」
「君がサラダを作っている間に、僕は肉を焼くよ。昨日から下味をつけて寝かせている豚肉があるんだ。あ、芋も食べたいな。揚げるのはちょっと手間だから、下茹でしたのをバターで炒めようかなぁ。デザートにはプリンがあるよ。昨日のうちに仕込んでおいたの。一緒に食べようと思って」
「あ、ありがとうございます」
うきうきと楽しそうな様子のエーリオと共に、ラルフは台所へと移動した。台所はとても生活感があるが、キチンと整理整頓されていた。居間も工房も意外な程キレイだった。正直、エーリオはだらしない性格をしていそうだと思っていたので、失礼だが、かなり驚いた。手際よく料理を始めたエーリオに言われるがままにレタスや小さなトマトを洗い、皿に盛り付けていく。下手くそな鼻歌をご機嫌に歌っていたエーリオが、隣に立って器用に動くエーリオの手元を見ていたラルフに声をかけた。
「エーリオ。なんか今、僕達すっごく恋人っぽくない?」
「そ、そうですか?」
「僕ちょっと憧れてたんだよねー。恋人と一緒に魔導具作ったり、料理したりとかさ。なんて言うかな。こう……自分の日常に誰かがいてくれるって、なんかいいね」
「あの……」
「んー?」
「……つまらなくないですか?相手が僕で」
「全然。楽しいよ。君、結構面白いよね」
「そんなこと初めて言われました」
「やー。当然のことなんだろうけどさ。ラルフって僕にはない視点を持っているし、話してて素直に楽しいよ。いきなりデートをするより、先に文通しておいて正解だった。お互いにさ、全部じゃないけど相手のことを知ってる訳じゃない。好きなものとかさ。普段は手紙越しだけど、こうして直接話すと新鮮でいいね」
「……僕も……僕も楽しいです。貴方は本当に意外性の塊みたいで、とても素敵な発想をお持ちで。貴方の手はまるで魔法の手みたいです。素敵なものを生み出すところを見ることができて、すごく嬉しいです」
「お。ありがとね。さて、肉が焼けたし、スープもできた。熱いうちに食べよう」
「はい。とてもいい匂いです」
「とっておきのワインがあるんだ。折角だから開けようか。飲みやすくて香りがいいから、ラルフでも飲めるよ。味も甘めだし」
「ありがとうございます」
ニッと本当に楽しそうに笑うエーリオを見ていると、自然と笑みが浮かんだ。ラルフは子供の頃から『堅物クソ真面目でつまらない』と言われることが多かった。ラルフと過ごすのが楽しいと言うエーリオの言葉に、嘘やおべっかは感じられない。素直に楽しいと思っていることが伝わってきて、なんとも面映ゆくなる。ラルフは、エーリオと一緒に作った夕食を心の底から楽しんだ。
ワインと美味しいエーリオの手料理を楽しんだ後、ラルフはエーリオと一緒に後片付けをしてから、風呂を借りていた。温かいお湯で満ちている浴槽には、爽やかな香りがする入浴剤が入っている。エーリオが1番お気に入りの入浴剤なのだそうだ。ラルフはお湯に顎まで浸けて、悶々としていた。エーリオに勧められたので風呂に入っているが、普通初めてのデートで相手の家の風呂に入るものなのだろうか。多分違うと思う。『もっとお喋りしたいから泊まりなよ』とエーリオが笑うので、ついつい頷いてしまったが、本当によかったのだろうか。ラルフもエーリオともっと一緒にいたいと思っていたので、エーリオの言葉が素直に嬉しかった。しかし、こうしてエーリオの家の風呂に入っていると、なんだか胸がざわついて落ち着かなくなってくる。魔導具を作ったり、料理をしていた時に感じたエーリオの匂いがする。エーリオがいつも使っている石鹸などがあるのだから当然のことなのかもしれないが、一度意識をしてしまうと、心臓がバクバクと忙しなく動き始めた。シャツの袖から見えるほっそりとした手首や関節がやや太い繊細な指先、健康的な色合いの短く整えられている爪、微かに血管が浮き出た手の甲など、エーリオの手が頭の中にチラチラと思い浮かんで、中々消えてくれない。ラルフはバシャッと顔をお湯に浸け、そのまま息が苦しくなるまで、温かいお湯の中で目を閉じていた。エーリオで不埒なことを考えてはいけない。そう思うのに、頭の中はエーリオでいっぱいで、胸が苦しくなる程、心臓が高鳴ってしまう。ラルフはバシャッと勢いよく浴槽の中で立ち上がった。冷たい水でも貰おう。風呂から出て、冷たい水を飲んだら、きっと頭も冷める筈だ。ラルフは風呂に入ったからだけではなく熱い頬を、ゴシゴシと強く手で擦った。
------
エーリオは大変ご機嫌だった。無事にラルフを泊まらせることに成功した。ラルフと過ごす時間は意外な程楽しくて、悪人面のラルフの控えめな笑顔を見るのも素直に嬉しかった。ラルフには寝間着として、エーリオの比較的新しい作業服を貸した。どうせ脱がせるし、裸で絡み合って寝る予定なので正直いらないとは思ったのだが、一応である。風呂上がりでほんのり頬を赤く染めたラルフに飛びかかりたいのをぐっと我慢して、エーリオも風呂に入った。しっかりと身体を洗い、特にアナルは念入りに洗った。アナルに指を突っ込んで、中に浄化魔術をかける。これで準備万端である。いよいよ楽しいセックスのお時間がやってくる。くふっくふっとだらしない顔で笑いながら、エーリオは風呂から出て、一応作業服を着てから、弾むような足取りでラルフが待つ居間へと向かった。
ラルフは居間のソファーに座り、ローテーブルの上に猫の玩具みたいな魔導具を置いて、何やら楽しそうな雰囲気でじっと動き回る魔導具を眺めていた。エーリオはそろそろとラルフの背後に近づき、するっと後ろからラルフに抱きついた。ラルフが驚いたようにビクッと震えた。エーリオはラルフの肩に両手を置いて、ラルフの後頭部の匂いをスンスンと嗅いだ。ラルフの頭から、エーリオが愛用しているシャンプーの匂いがする。なんだか妙に気分が上がる。くふっと笑って、エーリオはラルフの頭の天辺に顎を乗せた。
「ラールフ」
「は、はい」
「僕はもっとお互いに色んなことを知り合いたいわけよ」
「…………」
「というわけで、寝室行かない?」
「……で、でも、その……」
「触りっこしよ?」
エーリオはすりすりとラルフの頭の天辺に頬ずりをした。肩に置いていた手でラルフの頬をするりと撫でれば、ラルフの頬はとても熱くなっていた。本気で嫌な訳じゃないだろう。多分。エーリオはねだるように、少し鼻にかかった甘えた声でラルフの名前を呼んだ。ラルフの首筋を手でやんわりと撫でると、首の太い血管からラルフの速くて大きな心音を感じる。エーリオが気長にラルフの頬や首筋を撫でながらラルフの返事を待っていると、暫くしてから、本当に本当に小さな声で、ラルフが『行きます』と言った。エーリオはラルフの返事ににんまりと笑い、ラルフの頭の天辺に自分の鼻をぐりぐりと押しつけた。
真っ赤な顔で目を泳がせているラルフの手を引いて、エーリオは寝室へと向かった。ラルフをベッドに座らせ、すぐ隣に腰を下ろす。ローションのボトルは枕の下に既に仕込んでいるので、後はラルフを可愛がるだけである。エーリオはニマニマとだらしなく笑いそうになるのを堪えながら、ガチガチに固くなっているラルフの肩に、とん、と頭を預けた。膝の上でぎゅっと強く拳を握っているラルフの手をやんわりと撫でれば、ラルフがこくっと唾を飲む気配がした。
「ラルフー。そんなに固くなるなよ。とりあえず、ちゅーしようよ。ちゅー」
「……や、でも……その……」
「うりゃ」
「うわっ!」
エーリオは問答無用でラルフの身体をベッドに向けて押し倒した。ラルフが身体を起こす前にすかさず馬乗りになり、ガシっとラルフの顔を両手で掴む。ふんすふんすと荒い鼻息をしながら、エーリオはむにっとラルフの唇に自分の唇をくっつけた。興奮しまくっている自覚はある。だって、待ちに待った初セックスだし。少しかさついたラルフの下唇を優しく吸って、エーリオはそのままラルフの下唇に舌を這わせた。ラルフの唇の形をなぞるように舌を動かしながら、エーリオはじっとラルフの榛色の瞳を見つめた。困惑しているのか、緊張しているのか、ラルフの瞳は微かに揺れていた。早くも固くなりかけている股間をラルフの股間に擦りつければ、ラルフの身体が小さく震えた。ぴたっと身体を擦りよせれば、ラルフの身体がガチガチに固くなっていることがよく分かる。
「優しくするからさ。力を抜いてごらんよ」
「……は、はい……」
どっちが抱かれるのか分からない感じだが、顔を真っ赤に染めて余裕のないラルフがちょっぴり可愛いので問題ない。エーリオはにんまり笑って、もう一度ラルフの下唇を優しく吸った。ちゅっ、ちゅっと小さな音を立てて、何度もラルフの唇を吸う。唇をねっとり舐めると、きゅっとキツく引き締められていたラルフの唇が微かに緩んだ。はぁ、と熱いラルフの息が唇にかかる。エーリオは微かに開いた唇の隙間から、ラルフの口内に舌を潜り込ませた。歯列をなぞり、ねっとりと上顎を舐め、奥に引っ込んでいた舌に自分の舌を擦り合わせる。キスをするのは10年ぶりくらいだ。脱童貞をした時に、スケベな人妻に教えてもらった。朧気な記憶を思い出しながら、くちゅくちゅと音を立ててラルフの口内を舌で探る。こうしているだけでも、なんだか気持ちがいい。とろんとしてきたラルフの瞳を見つめながら、エーリオは目だけで笑った。
お互いの唾液で濡れた唇を離し、エーリオはラルフの筋張った熱い首筋に顔を埋めた。太い血管をなぞるように舌を這わせると、ラルフが震える熱い息を吐いた。いよいよもって興奮してきた。ラルフの熱い肌の感触をもっと感じたい。エーリオはちゅうっと強くラルフの首筋に吸いつくと、身体を起こして、作業着の前ボタンを外し始めた。作業着のつなぎの下には何も着ていない。パンツすら穿かなかった。エーリオはラルフの視線を感じながら、急いで作業着を脱ぎ捨てた。生まれたままの姿のエーリオを、ラルフが真っ赤な顔でじっと見つめている。エーリオはへらっと笑って、盛り上がっているラルフの股間をするりと撫でた。
「俺でちゃんと興奮できたね」
褒めるように、よしよしと優しくラルフの股間を撫でると、ラルフが恥ずかしそうに自分の顔を片手で隠した。なんだその反応。生娘か。エーリオはラルフの股間をすりすり擦りながら、我慢できずにニヤニヤとにやらしく笑った。
股間から手を離し、ラルフが着ている作業着のボタンを1つずつ外していく。上半身のボタンを全て外し終えると、エーリオは痩せたラルフの肌に手を這わせた。くっきり浮き出た形のいい鎖骨に触れると、じんわりと汗をかいていた。薄い胸板を撫で回し、はだけた作業着の内側に手を突っ込んで脇腹を撫でる。微かに骨の存在が分かる脇腹をゆっくりと撫で下ろし、臍の周りをすりすりと指先で擽る。ラルフの股間はこんもりと大きくテントを張っている。どうやら本当に巨根らしい。エーリオは期待でワクワクしながら、股間のチャックを下ろした。現れた白いパンツは大きく盛り上がっており、よくよく見れば、パンツの布地を押し上げているペニスの先っぽの辺りに微かに染みができていた。エーリオはパンツの上からラルフのペニスを撫で回した。陰嚢も優しく揉むように、ペニスの根元から先っぽに向けて撫で上げ、じっくりと布越しに熱いペニスの感触を楽しむ。ディルドとは全然違う熱と肉の感触に、腹の奥とアナルが疼いて堪らない。ラルフのパンツをずり下ろせば、ぶるんっと元気よく勃起している大きなペニスが露になった。カリがかなり大きくて、エーリオが持っているディルドよりも全体的に太くて長い。ゾクゾクする期待に、エーリオは口角を上げた。
「ラールフ」
「……」
「僕の身体も見てよ」
ちょんちょんと顔を隠しているラルフの手を指先で突くと、ラルフがゆっくりと手を外した。ラルフの顔は真っ赤に染まっていて、普段はきりっとしている眉毛が、なんとも情けなく下がっていた。ちょっと可愛い。エーリオはニッと笑ってから、ラルフの唇に触れるだけのキスをした。馬乗りになっていたラルフの身体の上からどいて、ラルフに背を向けてベッドの上で四つん這いになる。肩をシーツにつけるようにして上体を伏せ、自分の薄い尻肉を両手で掴んだ。顔だけでラルフの方へ振り返り、ラルフがエーリオを見ていることを確認すると、エーリオはぐいっと尻たぶを広げた。疼いて堪らないアナルが外気に直接触れる。ラルフの視線を感じて、ぷっくりと縦割れになっているアナルが勝手にひくひくしてしまう。エーリオはゾクゾクする興奮に口角を上げながら、片手を尻たぶから離して、枕の下に置いておいたローションのボトルを手に取った。
「ラルフ」
「……はい」
「僕がしてるとこ、ちゃんと見ててね」
エーリオは片手で器用にローションのボトルの栓を開けると、自分のアナルにローションをたっぷりと垂らした。
------
ラルフは荒い息を吐きながら、夢中で腰を振っていた。ベッドに伏せて尻だけを高く上げた状態のエーリオの細い腰を両手で掴み、自分のガチガチに勃起しているペニスをエーリオのアナルに突き刺している。意識してゆっくりと腰を引くと、エーリオのアナルの中に納まっていた濡れた自分のペニスがじわじわと姿を見せ、繋がっているエーリオの赤いアナルの縁が微かに捲れるところまでしっかりと見えた。エーリオの中は気持ちよくて堪らない。中は熱く蕩けていて、括約筋が意外な程キツくラルフのペニスを締めつけている。ぷっくりと縦に割れていたエーリオのアナルに太いカリの部分だけをぐぽぐぽと抜き差しすると、エーリオが上擦って掠れた声を上げた。腰を動かし、ずるぅっとペニスを根元近くまで押し込むと、汗で濡れたエーリオの背中がしなった。奥の方をトントンとペニスでノックするように動けば、まるでペニスに吸いつくかのようにエーリオの中が蠢いた。ラルフは低く唸りながら、腰を小刻みに揺らした。
エーリオが自分の指でアナルを慣らすところを見た後、ラルフは誘われるがままに勃起してしまったペニスをエーリオのアナルに突き入れた。初めて見るエーリオのアナルはぷっくりと縦割れになっていて、ひくひくと収縮し、ローションで濡れたエーリオの器用な指を易易と飲み込み、更には巨根だと自覚があるラルフのペニスですら柔軟に飲み込んでいった。エーリオの気持ちよさそうな上擦った喘ぎ声を聞いているだけで、射精してしまいそうだ。既に1度、エーリオの中で射精している。射精しても、ラルフのペニスは硬度を保ったままで、興奮も全然おさまらなかった。吸いついて絡みついてくるようなエーリオの奥深くを、ペニスの先っぽで優しくトントンすると、エーリオの中が蠢いて、堪らなく気持ちがいい。どっと先走りが溢れてしまうのを感じながら、ラルフはビクビクと小刻みに震えているエーリオの腰をやんわりと撫でた。
「エーリオさん。気持ちいいですか?」
「ひんっ!ひんっ!いいっ!すごいっ!すごいっ!」
「あぁ……そんなに締めないで……」
「うぁぁ……むり、むり……でちゃう!イッちゃう!あ、あ、あ、奥っ、奥っ、ぐりぐりしてぇ!」
ラルフはエーリオの要望に応えて、エーリオの薄い尻に下腹部を強く押しつけ、ぐりぐりとペニスでエーリオの奥深くを刺激した。エーリオが悲鳴のような声を上げて、全身をガクガク震わせた。痛いくらいキツく括約筋でペニスを締めつけられる。ラルフは歯を食いしばって、なんとか射精してしまうのを堪えた。
ゆっくりと腰を引いて、奥へ奥へとラルフのペニスを引きずり込もうとするエーリオのアナルからペニスを引き抜く。エーリオのアナルはぽっかりと赤い口を開けて、ひくひくといやらしく収縮していた。少しの間、じっとエーリオのアナルを眺めていると、泡立ったローションと共に白濁した液体がこぽっと溢れてきた。先程出したラルフの精液である。アナルから溢れた精液が、つーっと赤い会陰を伝い、ぶら下がっている陰嚢にまで垂れて、ポタっとシーツへと落ちていった。ラルフは僅かに周りに毛が生えているエーリオのアナルを指先で撫で回してから、ぜぇぜぇと荒い息を吐いているエーリオの身体をころんとひっくり返した。エーリオの顔は汗と涙と鼻水と涎でぐちゃぐちゃで、激しく上下している薄い胸板には、男のそれとは思えない程ぷっくりと肥大した乳首がピンと存在を主張していた。ラルフはエーリオに覆い被さり、エーリオの鼻の下をべろりと舐めた。しょっぱい汗の味がするほっそりとした首筋を舐め、ぷっくりとした大きな乳首に吸いつき、舌を這わせながら移動して、僅かに周りに毛が生えている臍の穴に舌先を突っ込んだ。白い精液が微妙に残っている萎えたペニスの尿道口を舌先で抉るようにして舐めれば、エーリオが大きくビクビクと身体を震わせた。ラルフのペニスの半分くらいの可愛らしいサイズのエーリオの萎えたペニスを口に含めば、エーリオがラルフの髪をくしゃっと掴んだ。
「あぁ……まって、まって」
「いやれふ」
「んんんっ!そのままっ、しゃべんなっ」
「んーー」
「やぁぁ!ちょっ、やすませて、やすませてぇ……」
舌足らずな涙声でそう言うエーリオに、なんだか酷く興奮する。ラルフは1回しかイッていないが、覚えている限り、エーリオは少なくとも5回はイッている。うち2回は射精をせずにアナルの刺激だけでイッていた。ラルフは半勃ちになったエーリオのペニスから口を離すと、力が入っていないエーリオの両脚を掴んで、ぐいっと大きく脚を広げさせた。腰が浮くようにエーリオの脚を曲げさせると、ラルフはガチガチに勃起したままの自分のペニスをとろとろに蕩けているエーリオのアナルに押しつけ、ゆっくりと深く突き入れた。
「あ、あ、あ、あ、あ……」
エーリオが大きく目を見開いて、だらしなく涎を垂らした。ラルフはエーリオの脚から手を離して、エーリオの顔の両側に手をついた。ぐっぐっも腰を動かして、エーリオが気持ちがいい最奥をペニスで刺激してやれば、エーリオが掠れた声を上げて、えぐえぐと泣き出した。
「やぁ……も、も、むり……」
「まだです。まだ、足りない」
「ひぃぃん……遅漏だなんて聞いてないぃぃ!」
「遅漏じゃないです。貴方が早いんです」
「あっ!あっ!あっ!やだぁ!しんじゃう!しんじゃうっ!」
「誘ったのは貴方だ。あぁ……すごい……」
エーリオのアナルの感触を味わうようにゆっくりと腰を動かしていたラルフは、本格的に腰を激しく振り始めた。泣きながら喘ぐエーリオの顔をじっと見つめながら、高まる快感の頂点を目指していく。快感に歪んだエーリオの泣き顔を見ていると、なんだか背筋がゾクゾクして堪らない。ラルフは激しくエーリオの最奥を突き上げながら、べろーっとエーリオの涙が流れる頬を舐め上げた。ラルフは伏せていた身体を起こして、エーリオの両脚を抱え、無茶苦茶に激しく腰を振り始めた。腰を振りながら片手でエーリオのペニスを掴んで擦れば、更にキツく括約筋でペニスが締めつけられる。ラルフは熱い息を吐きながらひたすら腰を振り、エーリオが少量の精液をペニスから飛ばす瞬間をガン見した後に、低く唸ってエーリオの奥深くに精液をぶち撒けた。尿道を勢いよく精液が飛び出て行く感覚も、熱く絡みついてくるエーリオの中の感触も、堪らなく気持ちがいい。
ラルフが射精の余韻とエーリオの中の感触を堪能していると、射精して萎えたエーリオのペニスから、しょろしょろと勢いなくおしっこが溢れた。
「あ……」
エーリオの顔が恥ずかしそうに歪んだ。ラルフはうっとりとまた泣き出しそうなエーリオの顔を眺めた。自分が泣き顔に興奮する性質だったなんて、今まで知らなかった。エーリオの情けない泣き顔を見ているだけで、再びペニスに血液が集まりだす。ラルフはにっこりと微笑んで、驚いた顔をしているエーリオの涙で濡れたキレイな眼球の表面に舌を這わせた。
------
エーリオはぐったりと身体をベッドに伏せたまま、すぐ隣に裸のまま横になっているラルフの身体をベシベシと叩いた。
「この遅漏。デカちん。絶倫ドS野郎」
「違いますけど」
「違わないわ。死ぬかと思ったじゃん」
「気持ちよさそうでしたよ?おもらしまでして」
「その口縫いつけるぞ」
「やめてください」
エーリオとしては、童貞のラルフをアナルでよしよしして可愛がってやる予定だった。それなのに、実際にはペニスを入れた途端に豹変したラルフに泣かされまくった。解せぬ。気持ちよすぎて死ぬかと思ったくらい気持ちよかったのが何とも言えない。エーリオがラルフの前でちょっとしたアナ二ーショーをした頃までは余裕がなかった癖に、セックス本番ではラルフの方が余裕があった。解せぬ。童貞だった癖に。
腰とアナルがジンジンと鈍く痛む。エーリオはラルフの方へ向くように寝返りをうって、手を伸ばして、ラルフの髪をわしゃわしゃと撫で回した。同じように俯せに伏せていたラルフがエーリオと向かい合うように身体を動かし、はにかむように小さく笑った。なんだか可愛い。悪人面だけど。
「で?」
「はい?」
「僕と恋人になるでしょ?セックスしたし」
「……ふ、不束者ですが……」
「堅いなぁ。ダーリン」
「ダーリンは勘弁してください」
「ははっ。君は可愛いねぇ。ハニー」
「可愛くはないです」
「そうかな?」
「そうです」
「とりあえず一緒に住む?」
「……展開が早くないですか」
「いいじゃない。あ、ねぇ。手紙は続けようよ」
「え?一緒に暮らすのに?」
「あ、同棲してくれるのね」
「う、や、あの……」
「顔が真っ赤だぜ。ハニー」
「うっさいです」
「手紙ってさぁ、なんか存外楽しいんだよね。直接話すのも楽しいけどさ。なんつーの? 文章だからこそ伝わってくるものがあるっていうか。まぁそんな感じ」
「……手紙じゃなくて、ノートではダメですか? 同じ家に住んでいるのに毎回わざわざ手紙を郵送するのもどうかと……」
「あ、それでもいいよ。交換ノートね。洗濯物干しといてみたいな業務連絡はなしで」
「はい」
「君は僕のことをまだまだ知らないし、それどころか、多分君自身のこともよく分かっていないよ。僕もそう。お互いにさ、ちょっとしたことをノートに書いて、読んで、2人で色んなことを知っていこうよ。きっと楽しいよ」
「……はい。エーリオさん」
「んー?」
「貴方のそういうところ、好きです」
「お。マジか。ふふー。僕の魅惑のアナル様も好きだろ?」
「品がないことを言わないでください」
「好きでしょ?」
「……好きですけど……」
「またセックスしよ。明日にでも」
「明日っ!?」
「おや。したくない?僕はしたい。あ、ご飯も一緒に食べたいな。お風呂も一緒がいい。先に言っておくけど、僕は中々に構ってちゃんだからな。精一杯構っておくれよ。スキンシップはいつでも大歓迎だぜい」
エーリオは、にししっと笑った。鋭い目つきを和らげて、ラルフも楽しそうに小さく笑った。素足を絡めて、ピッタリとラルフにくっつくと、ラルフがエーリオの鼻筋にキスをしてくれた。エーリオはご機嫌に笑いながら、可愛い恋人の名前を呼んだ。何度もキスをしながら、これからのラルフがいる生活に思いを馳せた。喧嘩もするのだろうけど、きっと楽しいことや嬉しいことがいっぱいだ。セックスも素敵だし、ラルフは可愛い。
間抜けな腹の音が聞こえてくるまで、エーリオはラルフにくっついて、これから先のことをいっぱい話した。
(おしまい)
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)
ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。
僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。
隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。
僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。
でも、実はこれには訳がある。
知らないのは、アイルだけ………。
さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。