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第78話 噴水事件
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その噂が聞こえて来たのは休憩時間。
ザワザワとする教室内に、何だろう?と思ったら、遊歩道の先の広場――……雪ちゃんが降って来たあの場所にあった噴水が壊されたんだとか。悪戯だろうか……?
なんとなく気になって、昼休みにアルとエリザベス様と見に行ったんだよね。
噂は随分と広がってたみたいで、結構な数の生徒が野次馬しに来てた。まぁ、私達もなんだけど。ベルナドット様やエドガー様――クリス先輩にダグ君もいる……。
ベルナドット様が気が付いて手を上げたので、私達はそちらに向かって歩いていった――。
「――これは、酷いな」
噴水は近寄れないように、杭が打たれ黄色い紐で周囲が囲まれている。事件現場にkeep outって書かれた黄色いテープが張られたりするじゃない?イメージはあんな感じだと思って欲しい。
噴水は――完全に破壊されていた。
今は水は止められている。そりゃあそうだろう。水が溜まっていた大きな鉢状の部分は壊れ――水をためておくことが出来ない状況だもの。水を止めなければ芝生に流れるだけの状態だ。
あの可愛らしいリスや小鳥のレリーフも、原型がかろうじて分かるくらいの状態で芝生の上に転がっている。
「昨日の夜じゃないかってさ」
アルの言葉に答えたのはエドガー様。
何か難しそうな顔をしているし、ピリピリしているように見える。
「見つけたのは、早朝に散歩をしていた男子生徒です――知り合いだったもので詳しく聞けたんですけど、その時に周囲に人影は無かったとか。慌てて寮監に報告しに言ったらしいですけど……」
そう教えてくれたのはダグ君だ。
何だって噴水なんかを破壊したんだろう?そんな疑問が透けて見えるような言葉だった。
確かにね……。これを破壊する労力を考えれば破壊する意味が分からない。魔法的な何かで?とも思うけれど、魔法で破壊されたのなら、散らばった破片とかに焼け焦げたような痕が残ったり痕跡が何かしら残る物だ。
そう思って散らばった破片を見た時に、おかしな事に気が付いた。
――なんだろう――……脆くなって自壊したみたい……?
まさかね――……と思いながらその破片を見る。噴水は石組の物だし、普通に考えれば硬いだろう。けど、その断面が――脆そうに見えたのだ。
触れば分かるんだろうけど……近寄らないように規制線が張られているような状態のトコロに、この観衆の中で見られながら破片の強度の確認とか出来ようはずも無い。気にはなったけれど、私は確認する事を諦めた。
「夜か――まぁ、これだけの破壊の仕方だから音も凄かったろうけど、寮までの距離があるとは言えまったく聞こえなかったと言うのも変だね。遮音結界かな……?」
「可能性は高いな。夜間は寮の出入りが規制されているから目撃者がいないのも理解出来る」
アルの疑問にベルナドット様が同意しながらそう言った。
寮は、夜間閉ざされる。
これは何年か前の先輩が、夜に寮を無断で抜けだして事故に巻き込まれた為に、夜間の寮からの出入りが規制されるようになったもの。ガッチガチの結界に覆われるので抜けるに抜け出せないのだ。
もし火事とかになったらどうするんだろうって最初は心配になったのだけど、そう言った事が起こった時は即時自動で解除されるらしい……。また、家族からの緊急連絡で外出する場合は、寮母さんが開けてくれるのでこちらも問題無いそうです。
閉鎖される時間は夜20時~朝の5時まで。
この世界でも1日は24時間。1年も365日なので分かりやすくて助かります。
朝が早いのは鍛錬したりする人がいるから――。件の男子生徒も鍛錬場に向かう前に散歩していてこの惨状を発見したらしい。
「エドガ―……どうしたんだ?何か気になる事でも……?」
アルの言葉にエドガー様を見れば、イライラとした顔で爪を噛んでいた。
さっきも思ったけど、かなりピリピリした雰囲気――確かにどうしたんだろう……。そう思っていたらエドガー様がチラっと視線を元は小鳥だったであろうレリーフの残骸の方へと向ける――。
小鳥だったものの影――。
そこには割れた片手サイズの水晶の玉みたいな物が転がっていた。完全に真っ二つである。この噴水にそんな装飾は無かったはずなので、犯人が落としたものとか――??
証拠品って事??
「――??」
エリザベス様も私も、ベルナドット様もクリス先輩もダグ君だって何だろう?って顔をしていた。
それの存在が何だかまったく分からなかったからだ。けれど――
「――……まさか……」
アルだけは、違った。顔色を変えたのだ。
それを見たエドガー様が、苦々しげな顔をして頷いている。二人の中では、何か共通する認識があってソレがあまり良い状況では無いんだろうって事だけは理解出来た。
「ベルク先生にはさっき話したよ――学園長が、王城に使いを出すと思う」
エドガー様が周囲を気にしながら小声で話された言葉に、皆が驚いた顔をした。
どうやら、私達の中で一番早く来たのがエドガー様とベルク先生だったらしい。そこで、どんな会話がされたかは分からないけれど、あの水晶の玉みたいな物の件でエドガー様がベルク先生に何かを伝え、それが学園長へ伝えられる事に――そこまでは普通だよね?
だけど、王城――??
学園内の器物損壊事件で王城に連絡――……??通常ありえない事態だと思う。この水晶が何の問題なんだろう。けれど、エドガー様は黙したまま続きを話す気が無いみたい。
それはアルもだ――難しい顔をして黙っている。どうやら、人の多いこの場では話せない事みたい……。現状が把握できない私達は、首を傾げて訝しがる事しか出来なかった……。
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『婚約破棄?ありえませんわ――』も本日更新したかったのですが、上書きしてブッこ消しました……orz
保存ミスがががが……寝不足はキケンデス。気を付けます。
書き出しで躓き、今日の分の更新も遅くて;;済みません……;
ザワザワとする教室内に、何だろう?と思ったら、遊歩道の先の広場――……雪ちゃんが降って来たあの場所にあった噴水が壊されたんだとか。悪戯だろうか……?
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噂は随分と広がってたみたいで、結構な数の生徒が野次馬しに来てた。まぁ、私達もなんだけど。ベルナドット様やエドガー様――クリス先輩にダグ君もいる……。
ベルナドット様が気が付いて手を上げたので、私達はそちらに向かって歩いていった――。
「――これは、酷いな」
噴水は近寄れないように、杭が打たれ黄色い紐で周囲が囲まれている。事件現場にkeep outって書かれた黄色いテープが張られたりするじゃない?イメージはあんな感じだと思って欲しい。
噴水は――完全に破壊されていた。
今は水は止められている。そりゃあそうだろう。水が溜まっていた大きな鉢状の部分は壊れ――水をためておくことが出来ない状況だもの。水を止めなければ芝生に流れるだけの状態だ。
あの可愛らしいリスや小鳥のレリーフも、原型がかろうじて分かるくらいの状態で芝生の上に転がっている。
「昨日の夜じゃないかってさ」
アルの言葉に答えたのはエドガー様。
何か難しそうな顔をしているし、ピリピリしているように見える。
「見つけたのは、早朝に散歩をしていた男子生徒です――知り合いだったもので詳しく聞けたんですけど、その時に周囲に人影は無かったとか。慌てて寮監に報告しに言ったらしいですけど……」
そう教えてくれたのはダグ君だ。
何だって噴水なんかを破壊したんだろう?そんな疑問が透けて見えるような言葉だった。
確かにね……。これを破壊する労力を考えれば破壊する意味が分からない。魔法的な何かで?とも思うけれど、魔法で破壊されたのなら、散らばった破片とかに焼け焦げたような痕が残ったり痕跡が何かしら残る物だ。
そう思って散らばった破片を見た時に、おかしな事に気が付いた。
――なんだろう――……脆くなって自壊したみたい……?
まさかね――……と思いながらその破片を見る。噴水は石組の物だし、普通に考えれば硬いだろう。けど、その断面が――脆そうに見えたのだ。
触れば分かるんだろうけど……近寄らないように規制線が張られているような状態のトコロに、この観衆の中で見られながら破片の強度の確認とか出来ようはずも無い。気にはなったけれど、私は確認する事を諦めた。
「夜か――まぁ、これだけの破壊の仕方だから音も凄かったろうけど、寮までの距離があるとは言えまったく聞こえなかったと言うのも変だね。遮音結界かな……?」
「可能性は高いな。夜間は寮の出入りが規制されているから目撃者がいないのも理解出来る」
アルの疑問にベルナドット様が同意しながらそう言った。
寮は、夜間閉ざされる。
これは何年か前の先輩が、夜に寮を無断で抜けだして事故に巻き込まれた為に、夜間の寮からの出入りが規制されるようになったもの。ガッチガチの結界に覆われるので抜けるに抜け出せないのだ。
もし火事とかになったらどうするんだろうって最初は心配になったのだけど、そう言った事が起こった時は即時自動で解除されるらしい……。また、家族からの緊急連絡で外出する場合は、寮母さんが開けてくれるのでこちらも問題無いそうです。
閉鎖される時間は夜20時~朝の5時まで。
この世界でも1日は24時間。1年も365日なので分かりやすくて助かります。
朝が早いのは鍛錬したりする人がいるから――。件の男子生徒も鍛錬場に向かう前に散歩していてこの惨状を発見したらしい。
「エドガ―……どうしたんだ?何か気になる事でも……?」
アルの言葉にエドガー様を見れば、イライラとした顔で爪を噛んでいた。
さっきも思ったけど、かなりピリピリした雰囲気――確かにどうしたんだろう……。そう思っていたらエドガー様がチラっと視線を元は小鳥だったであろうレリーフの残骸の方へと向ける――。
小鳥だったものの影――。
そこには割れた片手サイズの水晶の玉みたいな物が転がっていた。完全に真っ二つである。この噴水にそんな装飾は無かったはずなので、犯人が落としたものとか――??
証拠品って事??
「――??」
エリザベス様も私も、ベルナドット様もクリス先輩もダグ君だって何だろう?って顔をしていた。
それの存在が何だかまったく分からなかったからだ。けれど――
「――……まさか……」
アルだけは、違った。顔色を変えたのだ。
それを見たエドガー様が、苦々しげな顔をして頷いている。二人の中では、何か共通する認識があってソレがあまり良い状況では無いんだろうって事だけは理解出来た。
「ベルク先生にはさっき話したよ――学園長が、王城に使いを出すと思う」
エドガー様が周囲を気にしながら小声で話された言葉に、皆が驚いた顔をした。
どうやら、私達の中で一番早く来たのがエドガー様とベルク先生だったらしい。そこで、どんな会話がされたかは分からないけれど、あの水晶の玉みたいな物の件でエドガー様がベルク先生に何かを伝え、それが学園長へ伝えられる事に――そこまでは普通だよね?
だけど、王城――??
学園内の器物損壊事件で王城に連絡――……??通常ありえない事態だと思う。この水晶が何の問題なんだろう。けれど、エドガー様は黙したまま続きを話す気が無いみたい。
それはアルもだ――難しい顔をして黙っている。どうやら、人の多いこの場では話せない事みたい……。現状が把握できない私達は、首を傾げて訝しがる事しか出来なかった……。
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保存ミスがががが……寝不足はキケンデス。気を付けます。
書き出しで躓き、今日の分の更新も遅くて;;済みません……;
応援ありがとうございます!
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