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「はぁあああああああ!!! これ……ジャルダン・フリュイテの、フルーツサンドじゃないですか!?」
ヒヨッコ局員の現場監督を終え、警察庁に帰還し、会議にハシゴ出席し、ようやく局長室に戻って来た、午後4時。
デスクに置かれたフルーツサンドを見た局長から……歓喜の絶叫、頂きました。
「はい。監査局の定例報告会は機密性が高く、補佐役は同席不可という事でしたので。その間に買ってきました」
「うそ! うそ! うそ!」
「嘘じゃ無いです」
珍しく、ハイテンションで甲高い声をあげる局長。
俺は知っている。この人がこうなるのは、大好物のフルーツを前にした時と……ベッドの中だけだという事を。
「ほ、本当に嬉しいです! ここのフルーツサンドは生クリームが入って無くて、フルーツだけの甘味を楽しむ事ができるんです! でも仕事が終わる頃にはいつも閉店していて……!」
「局長、クリームとか甘い物は苦手ですもんね。でもフルーツはお好き」
「大っっっっっ好きです! ありがとうございますフレン!」
満面の笑みからの、大好き。これだけで、白米五合はいける。たとえその目的語が、俺でなくとも。
「あ、あの、まだ仕事中なんですけど……頂いても?」
チラチラとフルーツサンドを見ながら、俺にお伺いを立てる上司が、可愛すぎる。
「俺の許可なんていりません。ろくに昼休みも取れていないんですから、どうぞ召し上がって下さい」
「わぁ~い!」
わぁ~いて。
こんな風にはしゃいでも痛くも何ともない28歳女性は、世の中でこの人くらいじゃなかろうか。
いや、痛いどころかむしろギャップ萌え。
非の打ちどころがない最強人格者なのに、果物を前に子供のように目を輝かせて。
「お……おいしい……っ。おいしいですフレン!」
「それはなによりです」
「あ、お代……いくらでしたか? 足代も合わせて、しっかり請求してください」
「いえ、気持ちなので」
そんなものいらない。この笑顔が見れるなら、俺の貯金と株式を全て投じて、果樹園を作ってもいい。
と言っても……子供の頃からエリート部署である魔対で働いてきて、今や局長にまで上り詰めたこの人の方が、豊富な資金を備えているのだろうが。
「そういうわけには……あ、じゃあ今度、お礼にご馳走しますね」
「えっ!」
嬉し過ぎる代案に、今日一大きな声を出してしまった。
「じゃ、こ、今夜とかいかがですか? ちょ、ちょうど、局長の好きそうなお酒があるバーを見つけて」
どもる自分が気持ち悪い。でも、どうしたって気持ち悪くなってしまうのが、焦がれるということで。
「あ、もしかして今夜のハチロク会に誘ってくれています? ついさっき、レイラも声を掛けてくれたんですよ。たまには局長も来ませんかと」
「…………は?」
口をポカンと開けた間抜け面を返す俺に、局長は綺麗な目をぱちくり。
「あら? フレン、忘れちゃってますか? 86期に魔対に入局したお仲間の、月一回の集まり……今夜なんですよね? 皆とちゃんと会うのは久しぶりなので、楽しみです」
宝くじの一等を当て、注文住宅を建てる為に土地購入の契約をしたら、『その当選番号、去年のだよ』と言われたとしたら……こんな気分だろうか。
入局以来、苦楽を共にしてきた同期。尊い同志。かけがえのない仲間。
その存在を……初めて、疎ましく思った瞬間だった。
ヒヨッコ局員の現場監督を終え、警察庁に帰還し、会議にハシゴ出席し、ようやく局長室に戻って来た、午後4時。
デスクに置かれたフルーツサンドを見た局長から……歓喜の絶叫、頂きました。
「はい。監査局の定例報告会は機密性が高く、補佐役は同席不可という事でしたので。その間に買ってきました」
「うそ! うそ! うそ!」
「嘘じゃ無いです」
珍しく、ハイテンションで甲高い声をあげる局長。
俺は知っている。この人がこうなるのは、大好物のフルーツを前にした時と……ベッドの中だけだという事を。
「ほ、本当に嬉しいです! ここのフルーツサンドは生クリームが入って無くて、フルーツだけの甘味を楽しむ事ができるんです! でも仕事が終わる頃にはいつも閉店していて……!」
「局長、クリームとか甘い物は苦手ですもんね。でもフルーツはお好き」
「大っっっっっ好きです! ありがとうございますフレン!」
満面の笑みからの、大好き。これだけで、白米五合はいける。たとえその目的語が、俺でなくとも。
「あ、あの、まだ仕事中なんですけど……頂いても?」
チラチラとフルーツサンドを見ながら、俺にお伺いを立てる上司が、可愛すぎる。
「俺の許可なんていりません。ろくに昼休みも取れていないんですから、どうぞ召し上がって下さい」
「わぁ~い!」
わぁ~いて。
こんな風にはしゃいでも痛くも何ともない28歳女性は、世の中でこの人くらいじゃなかろうか。
いや、痛いどころかむしろギャップ萌え。
非の打ちどころがない最強人格者なのに、果物を前に子供のように目を輝かせて。
「お……おいしい……っ。おいしいですフレン!」
「それはなによりです」
「あ、お代……いくらでしたか? 足代も合わせて、しっかり請求してください」
「いえ、気持ちなので」
そんなものいらない。この笑顔が見れるなら、俺の貯金と株式を全て投じて、果樹園を作ってもいい。
と言っても……子供の頃からエリート部署である魔対で働いてきて、今や局長にまで上り詰めたこの人の方が、豊富な資金を備えているのだろうが。
「そういうわけには……あ、じゃあ今度、お礼にご馳走しますね」
「えっ!」
嬉し過ぎる代案に、今日一大きな声を出してしまった。
「じゃ、こ、今夜とかいかがですか? ちょ、ちょうど、局長の好きそうなお酒があるバーを見つけて」
どもる自分が気持ち悪い。でも、どうしたって気持ち悪くなってしまうのが、焦がれるということで。
「あ、もしかして今夜のハチロク会に誘ってくれています? ついさっき、レイラも声を掛けてくれたんですよ。たまには局長も来ませんかと」
「…………は?」
口をポカンと開けた間抜け面を返す俺に、局長は綺麗な目をぱちくり。
「あら? フレン、忘れちゃってますか? 86期に魔対に入局したお仲間の、月一回の集まり……今夜なんですよね? 皆とちゃんと会うのは久しぶりなので、楽しみです」
宝くじの一等を当て、注文住宅を建てる為に土地購入の契約をしたら、『その当選番号、去年のだよ』と言われたとしたら……こんな気分だろうか。
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その存在を……初めて、疎ましく思った瞬間だった。
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