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「ルーク……生きてるんじゃないですか」
静かなタクシーの車内。
正面を向いたまま、なんの前触れもなく、ぶっこんでみた。
隣に座る局長は、何も言わない。肩をぴくり反応させただけ。だから、続ける。
「店から物音がした時、その原因を追う局長の様子は……どう考えてもおかしかったです。後で言ってた通り、ただの空き巣とか、店の関係者とか、そういう可能性の方が高かった筈なのに。でもあなたは……追おうとした。俺達には待機を命じて」
多分……レイラが独断で突入したのも、局長の反応を見る為だ。
あいつもきっと、警察庁を出発して店に着くまでの短時間に、色んな可能性を考えていたのだろう。
「窓を割ってまで突入したレイラを、あなたはやり過ぎだと止めなかった。強引な手を使ってでも、追わなきゃならない相手が、あの店を訪れるかもしれない……その可能性を、疑っていたからだ」
「……それが、ルークだと?」
窓の外で流れていく景色を見ながら、ようやく口を開いてくれた。
「婚活事件の被害者達は、全員結婚相談所で出会った女性でした。でも、あの店の店主は違う。どういう意味なのかはわかりませんが、ルークにとっては特別な相手だったのかもしれません。魔力を奪った後もなお、会いに来るような」
「……ルークは……亡くなっています」
「でも俺達は、遺体を見ていない。あの朝……無断欠勤したあいつの様子を見に、家に行ったのは局長とティリアンです。その後も、俺達は遺族の意向で家族葬になった、香典も弔問も遠慮して欲しいようだと、聞かされただけです」
「……ルークが生きていたとして……私とティリアンがそれを隠す理由はなんです?」
「聞きたいのはこっちですよ……」
踏切の前で、タクシーが止まる。甲高い音と共に、遮断機が下ろされたのだ。
俺はため息を吐いてから……力なく座席に置かれた手に、自分の手を重ねた。
「理由は……わからないです。でも……きっと誰かを守るためなんだろうって事くらいは、わかります」
「……どうして、そんな風に思えるんですか。私とティリアンが……なにか、いけない秘密を隠しているのかもしれないでしょう?」
「……ふっ……。ずっと思ってたんですけど。局長って少し天然な所がありますよね。いけない秘密を隠している人間は多分……そんな事言わないですよ」
重苦しい空気に反して、笑ってしまう。我ながら、珍しく。
それから…… 俺は改めて、すっかり冷え切った手を、力強く握りしめた。
「……あなたもまた……ルークに魔力を奪われたんじゃないですか? だから……その補填をする為に、俺から……奪った」
核心にせまった所で……目の前を、電車が疾風のごとく走り抜ける。
車内にいるにも関わらず、強風が心を貫通していくような感覚が広がった。
静かなタクシーの車内。
正面を向いたまま、なんの前触れもなく、ぶっこんでみた。
隣に座る局長は、何も言わない。肩をぴくり反応させただけ。だから、続ける。
「店から物音がした時、その原因を追う局長の様子は……どう考えてもおかしかったです。後で言ってた通り、ただの空き巣とか、店の関係者とか、そういう可能性の方が高かった筈なのに。でもあなたは……追おうとした。俺達には待機を命じて」
多分……レイラが独断で突入したのも、局長の反応を見る為だ。
あいつもきっと、警察庁を出発して店に着くまでの短時間に、色んな可能性を考えていたのだろう。
「窓を割ってまで突入したレイラを、あなたはやり過ぎだと止めなかった。強引な手を使ってでも、追わなきゃならない相手が、あの店を訪れるかもしれない……その可能性を、疑っていたからだ」
「……それが、ルークだと?」
窓の外で流れていく景色を見ながら、ようやく口を開いてくれた。
「婚活事件の被害者達は、全員結婚相談所で出会った女性でした。でも、あの店の店主は違う。どういう意味なのかはわかりませんが、ルークにとっては特別な相手だったのかもしれません。魔力を奪った後もなお、会いに来るような」
「……ルークは……亡くなっています」
「でも俺達は、遺体を見ていない。あの朝……無断欠勤したあいつの様子を見に、家に行ったのは局長とティリアンです。その後も、俺達は遺族の意向で家族葬になった、香典も弔問も遠慮して欲しいようだと、聞かされただけです」
「……ルークが生きていたとして……私とティリアンがそれを隠す理由はなんです?」
「聞きたいのはこっちですよ……」
踏切の前で、タクシーが止まる。甲高い音と共に、遮断機が下ろされたのだ。
俺はため息を吐いてから……力なく座席に置かれた手に、自分の手を重ねた。
「理由は……わからないです。でも……きっと誰かを守るためなんだろうって事くらいは、わかります」
「……どうして、そんな風に思えるんですか。私とティリアンが……なにか、いけない秘密を隠しているのかもしれないでしょう?」
「……ふっ……。ずっと思ってたんですけど。局長って少し天然な所がありますよね。いけない秘密を隠している人間は多分……そんな事言わないですよ」
重苦しい空気に反して、笑ってしまう。我ながら、珍しく。
それから…… 俺は改めて、すっかり冷え切った手を、力強く握りしめた。
「……あなたもまた……ルークに魔力を奪われたんじゃないですか? だから……その補填をする為に、俺から……奪った」
核心にせまった所で……目の前を、電車が疾風のごとく走り抜ける。
車内にいるにも関わらず、強風が心を貫通していくような感覚が広がった。
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