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新たな挑戦
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「これくらいで満足するなよ」
「……はい」
「あと、団長にも感謝するんだな」
「もう、すっごく感謝しています」
碧が皆に話を続けている中、滉はいつもよりやや穏やかに話し掛けてくれた。少しは波音を認めてくれたのだろうか。波音は、嬉しさのあまり、泣きながら滉へと笑顔を向けた。
「っ……早く、泣き止め!」
「は、はいっ! すみません!」
なぜ叱られているのか分からないまま、波音は返事して涙を拭った。直後、話を聞いていない二人を見かねてか、碧が大きく咳払いをする。滉と波音は慌てて姿勢を正した。
「それで、以前話していた新たな演目を、そろそろ決めていきたい。何か提案はあるか?」
この短期間で、危険な技を外して新しい技を取り入れていた団員たちは、他の事を考える余裕がなかった。碧が意見を募るが、場は静まり返っている。
(提案か。私が得意なのは泳ぎとダンスだから、例えば……)
波音は、はっと閃いた。実現できるかどうかはさておき、アイディアを出すことは構わないはずだ。手を挙げて立ち上がる。
「水中のダンスショーとか、どうでしょうか?」
「水中……? 水を使うのか?」
「はい。大きな水槽の中で、踊るんです。イルカのようには動けませんが、せめて人魚のような……こう、ひらひらと……。難しい、ですかね……?」
未だ沈黙が広がる中、波音は決まりが悪くなって、萎んでいった。おかしな提案をしてしまっただろうかと反省していると、二人の影がすっと立ち上がる。
「それいい! 私も水の中で踊ってみたい!」
「波音ちゃん、すごく素敵だと思う!」
双子の美海と宇海が賛同してくれた。普段は空中でアクロバティックなダンスを披露している二人だ。その彼女たちが言うのだから、間違いない。波音はほっとして、また笑った。同時に、碧も笑っている。
「分かった。美海と宇海がそう言うんだし、おもしろそうだ。水槽の設計や導入費用と、ダンスそのものをどういうコンセプトでやるのか、具体的に詰めてみよう」
「……はい!」
「他の案もあれば、随時言ってきてくれ。今日のミーティングは以上だ」
できることを見つけるのに、焦る必要はない。渚の言った通りだ。一つ一つ、大切に向き合っていけば、こうして、自ずと向こうからやってくるのだから。
その日から、波音は綱渡りの練習と並行して、新たな演目『水の踊り子』に取り組むこととなった。雑用係は卒業し、一人の団員として。
「……はい」
「あと、団長にも感謝するんだな」
「もう、すっごく感謝しています」
碧が皆に話を続けている中、滉はいつもよりやや穏やかに話し掛けてくれた。少しは波音を認めてくれたのだろうか。波音は、嬉しさのあまり、泣きながら滉へと笑顔を向けた。
「っ……早く、泣き止め!」
「は、はいっ! すみません!」
なぜ叱られているのか分からないまま、波音は返事して涙を拭った。直後、話を聞いていない二人を見かねてか、碧が大きく咳払いをする。滉と波音は慌てて姿勢を正した。
「それで、以前話していた新たな演目を、そろそろ決めていきたい。何か提案はあるか?」
この短期間で、危険な技を外して新しい技を取り入れていた団員たちは、他の事を考える余裕がなかった。碧が意見を募るが、場は静まり返っている。
(提案か。私が得意なのは泳ぎとダンスだから、例えば……)
波音は、はっと閃いた。実現できるかどうかはさておき、アイディアを出すことは構わないはずだ。手を挙げて立ち上がる。
「水中のダンスショーとか、どうでしょうか?」
「水中……? 水を使うのか?」
「はい。大きな水槽の中で、踊るんです。イルカのようには動けませんが、せめて人魚のような……こう、ひらひらと……。難しい、ですかね……?」
未だ沈黙が広がる中、波音は決まりが悪くなって、萎んでいった。おかしな提案をしてしまっただろうかと反省していると、二人の影がすっと立ち上がる。
「それいい! 私も水の中で踊ってみたい!」
「波音ちゃん、すごく素敵だと思う!」
双子の美海と宇海が賛同してくれた。普段は空中でアクロバティックなダンスを披露している二人だ。その彼女たちが言うのだから、間違いない。波音はほっとして、また笑った。同時に、碧も笑っている。
「分かった。美海と宇海がそう言うんだし、おもしろそうだ。水槽の設計や導入費用と、ダンスそのものをどういうコンセプトでやるのか、具体的に詰めてみよう」
「……はい!」
「他の案もあれば、随時言ってきてくれ。今日のミーティングは以上だ」
できることを見つけるのに、焦る必要はない。渚の言った通りだ。一つ一つ、大切に向き合っていけば、こうして、自ずと向こうからやってくるのだから。
その日から、波音は綱渡りの練習と並行して、新たな演目『水の踊り子』に取り組むこととなった。雑用係は卒業し、一人の団員として。
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