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本章
21 決心
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え?わたし?
ずっと黙っていたカーラはそれを聞いても訳が分からなかった。
わたしがみんなを変えた?なにを変えたんだろ?
首を傾げるカーラにエルネステイルは妖艶な微笑みを湛えて問い掛ける。
「カーラ。辺境伯長男は今の状況を打破したいらしい。勇者たち一行は魔王を討伐するために、野営地を設置する名目で必要以上に森の木々を伐採し、焼き払いながら城を目指している。問おう。カーラはここまでの話を聞いて、今後どのように行動するのだろう?」
皆の視線が一斉にカーラに向いた。
ここまで重大な決断を迫られたのはカーラにとって初めての経験だった。
それは同時に一人前として見てもらっているということでもあって――
まず感じたのは嬉しさだった。次に不安が押し寄せ、自分が何をしてもどうせ変わらないんじゃ?という無力感。
けれど、エルネステイルはわたしの存在が自分たちを変えたと言ってくれた。
わたしにも何かを変える力があるんだろうか――
この道具屋で、"行動しなきゃ始まらない"ことを学んだ。
その言葉を初めて教えてくれたのはエルネステイルだ。薬の知識を役立て研究するために、店を開いたってことをカーラは知った。
ここに来たのは、アクアオッジ領の鍛錬場で怪我をした騎士を見かけたのがきっかけだった。
聞けば魔物にやられたという。どういうことかと尋ねると、魔物の森からやってきた魔獣が暴走・凶暴化して、ヒトの国になだれ込もうとしているのだと。
だから魔物の森に興味が沸いた。
その時に思い出したのは現辺境伯であり子供たちの父でもあるザカリーの言葉だった。
「いいかい?言葉だけで人の言うことを全て信じてはいけないよ。言葉っていうのは人それぞれ使い方が違うんだ。本当のことを言う人ばかりじゃないんだよ」
「しんじちゃだめなの?じゃあどうすればい~の?」
「アクアオッジ家長女であるカーラには、これから名前目当てにいろんな者が近づいてくるだろう。良いことも悪いことも自分の目で確かめるんだ。そこから信じる、信じないを決めればいい」
カーラはその言葉を心に刻み込んだ。
そうして自分の目で確認するためにここまでやってきて、エルネステイルたちに出会ったのだ。
魔物たちがアクアオッジ領に大挙して押し寄せ、重大な被害が出る前に、もしそれを食い止められる手段があるのだとしたら――
自分に何か出来ることがあるのなら?
ずっと俯いて考えていたカーラは頭を上げた。
今ここでこうして考えてるだけじゃ始まらない。
一人前として扱ってくれるのなら、応えなきゃ!
まずは勇者が今この魔物の森で何をしているのかを自分の目で確認しよう。そうして魔王が何をしようとしてるのか知らなきゃいけない。
「ちゃんと自分の目で確かめてから考える」
アーサーが目をパチクリさせたあと、カーラの決意を聞いてにっこり微笑んだ。父の教えをカーラと同じように思い出したからだった。
「うん、そうだよね。まずは見てもらうのが一番良さそうだ」
「私たちも今の王には思うところがあってね。現王が勇者に討ち取られても気にはしないが、王城にはそれとは別に気になることもあるので同行させてもらう」
カーラとアーサーを見つめながらそう言うエルネステイルの側に、黒い猫の背中に乗った青い鳥と白い一角ウサギが並んだ。
まるで意思は一つと言わんばかりに。
「"行動を起こさないと始まらない"だろう?だから私たちは現魔王を殴りに行くよ」
ずっと黙っていたカーラはそれを聞いても訳が分からなかった。
わたしがみんなを変えた?なにを変えたんだろ?
首を傾げるカーラにエルネステイルは妖艶な微笑みを湛えて問い掛ける。
「カーラ。辺境伯長男は今の状況を打破したいらしい。勇者たち一行は魔王を討伐するために、野営地を設置する名目で必要以上に森の木々を伐採し、焼き払いながら城を目指している。問おう。カーラはここまでの話を聞いて、今後どのように行動するのだろう?」
皆の視線が一斉にカーラに向いた。
ここまで重大な決断を迫られたのはカーラにとって初めての経験だった。
それは同時に一人前として見てもらっているということでもあって――
まず感じたのは嬉しさだった。次に不安が押し寄せ、自分が何をしてもどうせ変わらないんじゃ?という無力感。
けれど、エルネステイルはわたしの存在が自分たちを変えたと言ってくれた。
わたしにも何かを変える力があるんだろうか――
この道具屋で、"行動しなきゃ始まらない"ことを学んだ。
その言葉を初めて教えてくれたのはエルネステイルだ。薬の知識を役立て研究するために、店を開いたってことをカーラは知った。
ここに来たのは、アクアオッジ領の鍛錬場で怪我をした騎士を見かけたのがきっかけだった。
聞けば魔物にやられたという。どういうことかと尋ねると、魔物の森からやってきた魔獣が暴走・凶暴化して、ヒトの国になだれ込もうとしているのだと。
だから魔物の森に興味が沸いた。
その時に思い出したのは現辺境伯であり子供たちの父でもあるザカリーの言葉だった。
「いいかい?言葉だけで人の言うことを全て信じてはいけないよ。言葉っていうのは人それぞれ使い方が違うんだ。本当のことを言う人ばかりじゃないんだよ」
「しんじちゃだめなの?じゃあどうすればい~の?」
「アクアオッジ家長女であるカーラには、これから名前目当てにいろんな者が近づいてくるだろう。良いことも悪いことも自分の目で確かめるんだ。そこから信じる、信じないを決めればいい」
カーラはその言葉を心に刻み込んだ。
そうして自分の目で確認するためにここまでやってきて、エルネステイルたちに出会ったのだ。
魔物たちがアクアオッジ領に大挙して押し寄せ、重大な被害が出る前に、もしそれを食い止められる手段があるのだとしたら――
自分に何か出来ることがあるのなら?
ずっと俯いて考えていたカーラは頭を上げた。
今ここでこうして考えてるだけじゃ始まらない。
一人前として扱ってくれるのなら、応えなきゃ!
まずは勇者が今この魔物の森で何をしているのかを自分の目で確認しよう。そうして魔王が何をしようとしてるのか知らなきゃいけない。
「ちゃんと自分の目で確かめてから考える」
アーサーが目をパチクリさせたあと、カーラの決意を聞いてにっこり微笑んだ。父の教えをカーラと同じように思い出したからだった。
「うん、そうだよね。まずは見てもらうのが一番良さそうだ」
「私たちも今の王には思うところがあってね。現王が勇者に討ち取られても気にはしないが、王城にはそれとは別に気になることもあるので同行させてもらう」
カーラとアーサーを見つめながらそう言うエルネステイルの側に、黒い猫の背中に乗った青い鳥と白い一角ウサギが並んだ。
まるで意思は一つと言わんばかりに。
「"行動を起こさないと始まらない"だろう?だから私たちは現魔王を殴りに行くよ」
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