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第一章
謝罪①
しおりを挟む……どういう意味?
顔が耳まで真っ赤になってしまった。
中に出されてしまったから、と。そ、そういう意味!?
しかも、エリアスが言いにくそうに付け加える。
「ええっと……一回や二回じゃ、本来なら染まらないです。半日で染まるとか前例がありません。いえ、でも既に普通じゃない状況ですね…。過去の御方だと、身籠られたくらいの時期に染まっているんですが…。一説では女神が、この国を建国した際、王家と四大公爵家だけに、予言書と共に代々受け継がれる神秘として与えたと、伝承では謳われています」
…朦朧とするまでされすぎて、何回ヤッたかなんて覚えてない……けど、かなり最初のほうで、ハインリヒ様が嬉しそうに悶えてたのだけは覚えてるんですけど……。
そんなはた迷惑な神秘なんて!
これから外を出歩くたびに、"あの人、ハインリヒ様の所有物"って言われるってことだよね!?
いや、所有物ならまだいいよ、よくないけど!
"ハインリヒ様と、セックスして、中出しされてる"
……これからは出会う人たちに、そう思われるってことだよね!?
なにそれ、なにそれ、しかもなんで女だけそんな屈辱的な目に遭うの!?
ティーカップを持つ手が別の意味で震えてくる。これからそんな恥ずかしい好奇の目に晒されなきゃいけないの!?
髪の色とか、目の色のこととか、もう懲り懲りだ。
その時、部屋中に響き渡るような何かを叩く音がして、びくっとしてしまった。
ええ!?
目に入ってきたのは、入口近くで頬を平手打ちされたハインリヒ様と、顔を真っ赤にしたエリーゼだった。
いつの間に!?
「坊ちゃま…。エリーゼは情けのうございます!婚約者とはいえ、嫌がる女性を無理矢理手籠めにするなどと…!そのようにお育てした覚えはございませんよ!」
彼女が怒りのために肩を震わせているのが見えると、ようやく私のために怒ってくれたのが分かった。でも、侍女が公爵を殴るのはどう考えてもまずいよね?
ハインリヒ様はというと、私の席からだとエリーゼが手前にいるのとこちらを向いていないのとで、どんな表情をしているのか全く見えない。
もしエリーゼが罰を喰らうなら、私が喰らおう。
そう思って立ち上がり、一歩踏み出す。
「ハインリヒ様っ」
「済まなかった…」
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