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7章:決着と未来…
15話
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愁に話した途端、心が一気に軽くなった。
あとは蒼空に返事をするのみだ。もちろん答えは、最初から決まっている。
蒼空には感謝している。バイトを紹介してもらったこともそうだが、私が一番辛かった時期に出会い、その時に助けてもらった。
私があの時、もう完全に愁との繋がりを断ち切っていたら、蒼空の手を取っていたに違いない。
これは絶対に愁には内緒だけど。結局、私が選んだ相手は愁だった。
やっぱり私は、愁が好きなんだと実感させられた。
だから、蒼空を選んでいたかもしれないことは否定できないが、愁を好きな気持ちはそれ以上に大きかった。
その事実が揺らぐことはない。これから先もずっと…。
いつ返事をさせてくれる隙を与えてくれるか分からないが、今は愁が分かってくれていると思うと、気持ちに余裕が持てるようになった。
私の答えは焦らされても変わらないのは確かだ。蒼空の思惑に乗せられるもんですか。
そう強く意気込んでアルバイトに臨む。
そう強く決心した途端、そんな時に限って忙しくて。
でも逆に忙しいお陰で、余計なことを考えずに済んだ。
まだ返事ができていないという罪悪感は残っているが、アルバイトで疲れた心と身体を癒すために、早く愁に会いたい気持ちが勝った。
完全に蒼空の存在など忘れて、早くバイトが終わらないかなと願った。
*
忙しすぎて、体感時間がとても早く感じた。
気がついたら、アルバイトが終了していた。もうこのままお風呂に入って、ベッドにダイブしたい。
何も考えられないくらい疲弊していたため、彼氏の存在なんてどうでもよくなっていた。
会ったら癒されるが、今はその気力すらない。それぐらい疲れていた。
愁には申し訳ないが、今日の予定をキャンセルさせてもらおうと思い、連絡をしようと思った、その時だった…。
「幸奈、少し時間をもらえないか?」
ずっと避けていた蒼空の方から、声をかけてきた。
どういう意図があるんだろうと思い、身構えてしまった。
「少しだけなら…」
タイミングが悪い。今日みたいな忙しい日に声をかけてくるなんて…。
そうでなくても、返事をまともに聞いてくれない蒼空と話すのは、余計に疲れてしまうので、できれば今は避けたい。
「ありがとう。助かる。こっちへ来てくれ」
人目につかない所に移動してくれるみたいだ。
その配慮は正直、とても有難い。
「分かった。蒼空に付いてく」
蒼空の後を付いて行くと、前回告白された場所に連れて来られた…。
「こんな所でごめん。この間の告白の返事を聞かせてほしい」
今までずっと避けられていたから、ってきり今、告白の返事を求められるとは思ってもみなくて。
正直、驚きを隠せなかったが、やっと返事を出せる嬉しさの方が勝った。
「︎︎私は今、お付き合いしている人がいて。その人のことが大好きなので、蒼空の気持ちには応えられません。ごめんなさい」
きっぱりと断った。誰かをフるのって、こんなにも勇気がいるなんて知らなかった。
「ありがとう。俺のためにきっぱりとフッてくれて」
もしかしたら、ずっとこうなる日を望んでいたのは、蒼空の方なのかもしれない。そんな気がした。
「先に言っておくが、俺の気のせいならそれで構わないが。俺をフッた気まずさと申し訳なさで、バイトを辞めなくてもいいからな。
俺はこれからも同僚として、幸奈と仲良くやっていくつもりだから。そこだけは安心しろ」
これから先、バイトで気まずくならないように、蒼空の方から先回りして気を使ってくれた。
フラれた直後で、気持ち的に辛いはずなのに、最後まで蒼空はずっと優しいなと思った。
「もちろん、辞めるつもりはなかったよ。だって、今のバイト楽しいし、素敵な仲間がたくさんいるから」
遠回しにそれは蒼空もだよ、という意味も込めて伝えた。
だって、今のアルバイトの仲間に出会えたのは、蒼空のお陰だから。
「そっか。ならよかった。それじゃ、また次のバイトでもよろしくな」
そう言って、手を振りながら去った。
こんなにも爽やかな終わり方があるなんて、思ってもみなかった。
もしかしたら、これはある意味、新たな始まりなのかもしれない。
そこに友情が存在していることを、身勝手ながら願った。
あとは蒼空に返事をするのみだ。もちろん答えは、最初から決まっている。
蒼空には感謝している。バイトを紹介してもらったこともそうだが、私が一番辛かった時期に出会い、その時に助けてもらった。
私があの時、もう完全に愁との繋がりを断ち切っていたら、蒼空の手を取っていたに違いない。
これは絶対に愁には内緒だけど。結局、私が選んだ相手は愁だった。
やっぱり私は、愁が好きなんだと実感させられた。
だから、蒼空を選んでいたかもしれないことは否定できないが、愁を好きな気持ちはそれ以上に大きかった。
その事実が揺らぐことはない。これから先もずっと…。
いつ返事をさせてくれる隙を与えてくれるか分からないが、今は愁が分かってくれていると思うと、気持ちに余裕が持てるようになった。
私の答えは焦らされても変わらないのは確かだ。蒼空の思惑に乗せられるもんですか。
そう強く意気込んでアルバイトに臨む。
そう強く決心した途端、そんな時に限って忙しくて。
でも逆に忙しいお陰で、余計なことを考えずに済んだ。
まだ返事ができていないという罪悪感は残っているが、アルバイトで疲れた心と身体を癒すために、早く愁に会いたい気持ちが勝った。
完全に蒼空の存在など忘れて、早くバイトが終わらないかなと願った。
*
忙しすぎて、体感時間がとても早く感じた。
気がついたら、アルバイトが終了していた。もうこのままお風呂に入って、ベッドにダイブしたい。
何も考えられないくらい疲弊していたため、彼氏の存在なんてどうでもよくなっていた。
会ったら癒されるが、今はその気力すらない。それぐらい疲れていた。
愁には申し訳ないが、今日の予定をキャンセルさせてもらおうと思い、連絡をしようと思った、その時だった…。
「幸奈、少し時間をもらえないか?」
ずっと避けていた蒼空の方から、声をかけてきた。
どういう意図があるんだろうと思い、身構えてしまった。
「少しだけなら…」
タイミングが悪い。今日みたいな忙しい日に声をかけてくるなんて…。
そうでなくても、返事をまともに聞いてくれない蒼空と話すのは、余計に疲れてしまうので、できれば今は避けたい。
「ありがとう。助かる。こっちへ来てくれ」
人目につかない所に移動してくれるみたいだ。
その配慮は正直、とても有難い。
「分かった。蒼空に付いてく」
蒼空の後を付いて行くと、前回告白された場所に連れて来られた…。
「こんな所でごめん。この間の告白の返事を聞かせてほしい」
今までずっと避けられていたから、ってきり今、告白の返事を求められるとは思ってもみなくて。
正直、驚きを隠せなかったが、やっと返事を出せる嬉しさの方が勝った。
「︎︎私は今、お付き合いしている人がいて。その人のことが大好きなので、蒼空の気持ちには応えられません。ごめんなさい」
きっぱりと断った。誰かをフるのって、こんなにも勇気がいるなんて知らなかった。
「ありがとう。俺のためにきっぱりとフッてくれて」
もしかしたら、ずっとこうなる日を望んでいたのは、蒼空の方なのかもしれない。そんな気がした。
「先に言っておくが、俺の気のせいならそれで構わないが。俺をフッた気まずさと申し訳なさで、バイトを辞めなくてもいいからな。
俺はこれからも同僚として、幸奈と仲良くやっていくつもりだから。そこだけは安心しろ」
これから先、バイトで気まずくならないように、蒼空の方から先回りして気を使ってくれた。
フラれた直後で、気持ち的に辛いはずなのに、最後まで蒼空はずっと優しいなと思った。
「もちろん、辞めるつもりはなかったよ。だって、今のバイト楽しいし、素敵な仲間がたくさんいるから」
遠回しにそれは蒼空もだよ、という意味も込めて伝えた。
だって、今のアルバイトの仲間に出会えたのは、蒼空のお陰だから。
「そっか。ならよかった。それじゃ、また次のバイトでもよろしくな」
そう言って、手を振りながら去った。
こんなにも爽やかな終わり方があるなんて、思ってもみなかった。
もしかしたら、これはある意味、新たな始まりなのかもしれない。
そこに友情が存在していることを、身勝手ながら願った。
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