空みたいに広く、海のように深く

 人を好きになるという事に何の意味があるのだろう。どうして、神様はそんな機能を与えたんだろう。

互いに好意といった鎖に巻かれて、互いに求め合って貪って……それで何が満たされるんだろう。

気持ち悪い、好意なんて存在しない方が良いんだ。

私は、私すら好きにはなれない。

「他人様の恋愛をゴミを見るような目で見るのね、貴女」

放課後の教室、人気(ひとけ)が無いからと私を無視していちゃつく男女にイラつきを覚えて出ていくと1人の女子生徒が私に話しかけてきた。

「恋愛が嫌い?」
さらさらの長い黒髪が夕暮れの光のせいか艶めかしく、小さな耳に髪をかける仕草が色っぽかった。

「誰が他人の色恋見て気分よくなんのよ、バッカじゃない」
慌てて彼女から離れて、帰ろうとする。
「ねぇ」
彼女が私を追い掛け、手首を掴まれる。
規則通りの長さのスカート丈がふわりと揺れて舞っているみたいだ。
「放して」
階段を降りようとするが降りられない。
「貴女、女の子が好きなの?」

「は?」

心臓が止まりそうになった。

何で……知ってるの。
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