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カイルの国【 2 】

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 式典が始まった。
 周辺の王族や国内外の貴族が招待されていて、かなり煌びやかな雰囲気だ。

 こちらの世界に来て、こうした場所に参加するのは初めてだから緊張する。

 周辺を見回すと、やはり女性は少ない。
 1人の女性につき、複数の男性が側にいるようだ。




 式典が開始してから、少し経った。

 私は、周囲に伝わる魔力を抑えてはいるが、やはり大きすぎる魔力は漏れ出しているし、隣にカイルがずっといるので、何処かの国の王侯貴族かもしれないけれど、一体誰だ? みたいに遠巻きに見られている。

「大丈夫? 少し休憩する? 」
 カイルが顔を少し寄せて、小声で気遣ってくれる。

「うん…… そうしようかな…… 」
 やはり緊張していたのだろう、慣れない場所にいる事と、常に遠巻きに見られている環境に少し疲れていた為、気持ちに甘えることにした。

 他の夫たちも一緒に、少しバルコニーに出ることにした。


 外の冷たい風が気持ち良い。夜だけど、バルコニーは室内からの灯りと月の光で淡く光っていた。

 奥の方に1人、人影が見える。

「ルシフェル、久しぶりだね」
 カイルが話し掛ける。

「カイルか……先程、婚姻したと紹介されていたな。おめでとう」

 式典が始まってすぐの時に、カイルが皇太子を降りること、婚姻したこと、次の皇太子はカイルのすぐ下の弟が継ぐことを皇帝陛下が伝えてくれた。

 発表に対しての騒めきはあったけれど、その後すぐにダンスの開始となったので、それでとりあえず雰囲気を切り替えてもらった形だ。


「ありがとう。ルシフェルは最近どうだい? 」
「俺の周りは相変わらずだからな……  まぁ、こんなめでたい日にする話じゃないさ」

 フッと笑い、カイルと親しそうに話す美丈夫に、とりあえず私は微笑みながら側に立っていた。

 すると直ぐにこちらに目を向けて、
「カイルの隣の国の者です。このたびはおめでとうございます」
 微笑みながらお祝いを言われる。

「ありがとうございます」
 他にも言葉を付け足した方が良いのかもしれないが、生憎こういうやりとりに慣れていない私はお礼を言うだけでやっとだ。
 赤髪に緑の瞳で、爽やかな美青年は、そんな私の返答にもにこやかに微笑んでくれて、カイルに「また会おう」と爽やかに告げて去って行った。

「知り合いだったのに、私たちがいたから遠慮してくれたのかな。なんかごめんね」
 カイルに言うと
「いや、そんなことないよ。ルシフェルとはたまに手紙もやり取りしているから大丈夫だよ」
 そう言って微笑むカイル。

 その後私たちは、バルコニーで少し休憩をした後再び式典の会場に戻った。
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