小さなパン屋の恋物語

あさの紅茶

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三章◆彼女さん◆

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もともと杏奈は賢く仕事がよくできるし愛想だって悪くないので、まわりからの評判もいい。
おまけにスタイルも抜群で美人タイプだ。

雄大と杏奈が並べば、美男美女だともてはやされたりすることも多い。
その流れで、二人は付き合っていた時期もあった。
けれどそれは学生時代の話だ。

お互い仕事に夢中になりすぎて、束縛はおろか干渉もしなくなった。
建築士という仕事にやりがいを見出だしていたので、どちらかというとライバルであり戦友でありという位置付けに収まっていった。
よって、恋人関係は所謂、自然消滅というやつで終息した。

雄大はもう杏奈のことは何とも思っておらず、ただの同僚だとしか見ていない。
付き合っていた頃も好きだったのかどうか、今となってはわからなかった。
だから、琴葉に出会って感じた言い表し様のない胸がぎゅっとなる感覚は、雄大にとって初めてのことだった。

可愛い。
ずっと見ていたい。
会いたい。
守ってあげたい。
自分のものにしたい。

こんな気持ちになったのも初めてだった。
雄大がいくら好きだと口説いても、ただ頬を染めるばかりの琴葉。
自分に好意を寄せてくれるのかどうかわからずもどかしくてたまらない雄大だが、衝動的に額にキスをしたことは浅はかだったと少し反省していた。
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