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235.霊縁(2)シーシ
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北から帰ってきて、大浴場で、むにゅんむにゅん流してもらう。
あっ、これは続くんですね……。
なぜかリーファも、むにゅんむにゅん流されてたけど、楽しそうなのでヨシとしよう。
大浴場は今日もキャッキャと賑やかだった。
それから、リーファと、めっちゃした。
翌日、シーシが荷物を持って俺の部屋に来た。少し頬を赤くしている。
「ニシシシシシ! 2番手はボクなのだ!」
「えっ? 2番手ってなに?」
「マレビト様は1人ずつがいいのだ? それとも、皆んなでしたい?」
「い、いや……。それは、まだちょっと……」
「ニシシ。まだ、なのか?」
「あ」
「ボクたちは気持ち固まってるから、皆んなでもお相手できるのだ?」
「あ、はい……」
「ニシシ。しばらく、マレビト様の部屋で世話になるのだ~」
と、シーシは俺の寝室に荷物を広げてしまった。
「イヤだったら出直すので、いつでも追い出してくれていいのだ」
「出直しはするんだ?」
と、笑ってしまった。
「もうずっと恋してて、側室にまでしてもらったのだ。そう簡単には諦めないのだ」
「恋してくれてるんだ」
「キュンキュンなのだ!」
といっても、シーシは忙しい。夜は横でぐっすり寝てるけど、ほとんど部屋にいない。
「なんで、皆んながボクを2番手に選んだのか分からないのだ」
と、ボヤきながら工房で作業に精を出している。
リーファが復帰したことで熱の呪符の数を増やせて、伐採した木材の乾燥が進んだ。それで、ミンリンさんが前の城主と練っていた城の改築に着手出来たのだ。
「正妃と側室の関係になって、なんでも相談しやすくて助かるのだ」
「前はそうじゃなかったんだ?」
「王女様と辺境の城の司空府の職人なのだ。虎とアリンコくらい違うのだ」
「あら、気さくな虎だったでしょ?」
と、リーファが笑っていた。
「なんだ、聞いてたのか。人が悪いお妃様なのだ」
「これ、頼まれてた呪符。言われたように熱が細く出るように調整したけど、こんなの何に使うの?」
「ニシシ! 溶接なのだ!」
ああ、なるほどと、俺とリーファの声が揃った。
篝火に鍋を付けたり、連弩を作ったり、この工房は思い出深い。2番手だというシーシの作業を見て過ごす日が多くなった。
あの大浴場の皆んなは、きっと俺以上に俺のことを知っている。皆んなが選んだ『2番手』だというなら、俺に異存はない。
大浴場には2人で入る。
「ニシッ! なんか、照れるのだ!」
せっかくなので、シーシの背中を手拭いで流してあげた。
「姉さん、このくらいさせてくださいよ!」
「なんなのだ? 急に」
「姉さんいなかったら、どうなってたか分からないですよ。って言うか、無理でしたよ。なにもかも」
「ニシシ。そうなったら、そうなったで、どうにかしてたのがマレビト様なのだ」
「そんなことないっスよ」
「いいや、あるのだ。きっと別の方法を見付けてたのだ。マレビト様はスゴい人なのだ」
湯船に浸かると、小さいシーシは俺の前に座ってもたれかかった。
「2人だと広すぎるのだ」
「ほんとだな」
と、静かな大浴場を2人で眺める。
――マレビト様は、それでいいのだ!
って、シーシが皆んなに大演説をぶってくれたのも、大浴場だった。そのシーシが背中を俺に預けて、ちょこんと胸の中に収まっている。
「もしいなかったらって言うなら、マレビト様がいなかった方が、よっぽど無理だったのだ……」
と、シーシはしみじみと言った。
「ボクの腕は宝の持ち腐れのまま、人獣に喰われてたのだ」
「そか……」
「なんでも出来る娘って言われてたボクだけど、ここまでなんでも出来るとは、自分でもビックリなのだ」
「うん。ホントに、シーシはスゴいよ」
「でも、そんなボクを見付けてくれたのはマレビト様なのだ……」
「そう……?」
密着してるシーシの背中が気持ちいい。
「マレビト様がいなかったら、ボクは何者でもなかったのだ。感謝してもしても、し切れないのだ……」
と、シーシは首をひねって、俺を見上げた。
「ボクにはもう一つ……、まだ誰にも見付けてもらってない一面があるのだ」
潤んだ瞳にドキッとしてしまった。
「それも……、マレビト様に見付けてほしいのだ」
そのまま寝室に戻って、めっちゃ見付けた――。
紋様の輪が一つ増え、霊縁が結ばれた。
「ついに見付けられてしまったのだ」
と、シーシは枕に半分顔を埋めながら、ニシッと笑った。
「……3番手に代わるの?」
「そうなるのだ。寂しい?」
「うん」
もう1回、見付けた。
「マレビト様は……、エッチなのだ」
「あ、うん」
「ニシッ。寂しかったら、いつでもボクの部屋に忍んでいいのだ」
「え?」
「1人1回と決まってるワケではないのだ。そ、側室なんだし……」
と言って、赤くなった顔を枕に埋めるシーシが可愛くて、あと1回、見付けてしまった。
翌日は大浴場に皆んな揃ってて、むにんむにんと流された。
リーファも、むにんむにん流してもらってるのは、なんなんだろう――?
あっ、これは続くんですね……。
なぜかリーファも、むにゅんむにゅん流されてたけど、楽しそうなのでヨシとしよう。
大浴場は今日もキャッキャと賑やかだった。
それから、リーファと、めっちゃした。
翌日、シーシが荷物を持って俺の部屋に来た。少し頬を赤くしている。
「ニシシシシシ! 2番手はボクなのだ!」
「えっ? 2番手ってなに?」
「マレビト様は1人ずつがいいのだ? それとも、皆んなでしたい?」
「い、いや……。それは、まだちょっと……」
「ニシシ。まだ、なのか?」
「あ」
「ボクたちは気持ち固まってるから、皆んなでもお相手できるのだ?」
「あ、はい……」
「ニシシ。しばらく、マレビト様の部屋で世話になるのだ~」
と、シーシは俺の寝室に荷物を広げてしまった。
「イヤだったら出直すので、いつでも追い出してくれていいのだ」
「出直しはするんだ?」
と、笑ってしまった。
「もうずっと恋してて、側室にまでしてもらったのだ。そう簡単には諦めないのだ」
「恋してくれてるんだ」
「キュンキュンなのだ!」
といっても、シーシは忙しい。夜は横でぐっすり寝てるけど、ほとんど部屋にいない。
「なんで、皆んながボクを2番手に選んだのか分からないのだ」
と、ボヤきながら工房で作業に精を出している。
リーファが復帰したことで熱の呪符の数を増やせて、伐採した木材の乾燥が進んだ。それで、ミンリンさんが前の城主と練っていた城の改築に着手出来たのだ。
「正妃と側室の関係になって、なんでも相談しやすくて助かるのだ」
「前はそうじゃなかったんだ?」
「王女様と辺境の城の司空府の職人なのだ。虎とアリンコくらい違うのだ」
「あら、気さくな虎だったでしょ?」
と、リーファが笑っていた。
「なんだ、聞いてたのか。人が悪いお妃様なのだ」
「これ、頼まれてた呪符。言われたように熱が細く出るように調整したけど、こんなの何に使うの?」
「ニシシ! 溶接なのだ!」
ああ、なるほどと、俺とリーファの声が揃った。
篝火に鍋を付けたり、連弩を作ったり、この工房は思い出深い。2番手だというシーシの作業を見て過ごす日が多くなった。
あの大浴場の皆んなは、きっと俺以上に俺のことを知っている。皆んなが選んだ『2番手』だというなら、俺に異存はない。
大浴場には2人で入る。
「ニシッ! なんか、照れるのだ!」
せっかくなので、シーシの背中を手拭いで流してあげた。
「姉さん、このくらいさせてくださいよ!」
「なんなのだ? 急に」
「姉さんいなかったら、どうなってたか分からないですよ。って言うか、無理でしたよ。なにもかも」
「ニシシ。そうなったら、そうなったで、どうにかしてたのがマレビト様なのだ」
「そんなことないっスよ」
「いいや、あるのだ。きっと別の方法を見付けてたのだ。マレビト様はスゴい人なのだ」
湯船に浸かると、小さいシーシは俺の前に座ってもたれかかった。
「2人だと広すぎるのだ」
「ほんとだな」
と、静かな大浴場を2人で眺める。
――マレビト様は、それでいいのだ!
って、シーシが皆んなに大演説をぶってくれたのも、大浴場だった。そのシーシが背中を俺に預けて、ちょこんと胸の中に収まっている。
「もしいなかったらって言うなら、マレビト様がいなかった方が、よっぽど無理だったのだ……」
と、シーシはしみじみと言った。
「ボクの腕は宝の持ち腐れのまま、人獣に喰われてたのだ」
「そか……」
「なんでも出来る娘って言われてたボクだけど、ここまでなんでも出来るとは、自分でもビックリなのだ」
「うん。ホントに、シーシはスゴいよ」
「でも、そんなボクを見付けてくれたのはマレビト様なのだ……」
「そう……?」
密着してるシーシの背中が気持ちいい。
「マレビト様がいなかったら、ボクは何者でもなかったのだ。感謝してもしても、し切れないのだ……」
と、シーシは首をひねって、俺を見上げた。
「ボクにはもう一つ……、まだ誰にも見付けてもらってない一面があるのだ」
潤んだ瞳にドキッとしてしまった。
「それも……、マレビト様に見付けてほしいのだ」
そのまま寝室に戻って、めっちゃ見付けた――。
紋様の輪が一つ増え、霊縁が結ばれた。
「ついに見付けられてしまったのだ」
と、シーシは枕に半分顔を埋めながら、ニシッと笑った。
「……3番手に代わるの?」
「そうなるのだ。寂しい?」
「うん」
もう1回、見付けた。
「マレビト様は……、エッチなのだ」
「あ、うん」
「ニシッ。寂しかったら、いつでもボクの部屋に忍んでいいのだ」
「え?」
「1人1回と決まってるワケではないのだ。そ、側室なんだし……」
と言って、赤くなった顔を枕に埋めるシーシが可愛くて、あと1回、見付けてしまった。
翌日は大浴場に皆んな揃ってて、むにんむにんと流された。
リーファも、むにんむにん流してもらってるのは、なんなんだろう――?
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