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第1章
26話、いざ社交界へ
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「いだだっ!!いっ、痛いですわ!!コレッタ!!もう少し緩めで!!」
「いえ、お嬢様。もう少し締めなければ凹凸のあるお身体をもっと美しく魅せれませんので。ご容赦を、歯を食いしばりください。」
「コレッタ!魅せる前に死んでしまうわ!!」
「お覚悟!!」
社交界の話が出てから七日後、
私は現在、真っ青な顔で王宮に向かう馬車に揺られている。
私を蒼白にしているそれはコルセット。
(これはきっと殺人道具であるに違いない…。)
とにかく苦しいのだ。姿勢は崩せないし、浅い呼吸が精一杯。コレッタに言わせれば、女性らしい美しい肢体をみせるための必需品だとか。そこまで言われては諦めがつくというもの。私は天を仰ぎ長嘆息をついた。
それにしても一向に胸が弾まない。王宮に近づくにつれ気持ちが沈んでいく。
今日が人生においての最大の勝負であるのは分かるのだが、何せ久し振りの社交界。身の振り方も対応もうまくできる自信がない。
今着ている青いドレスはチュールとレースの二重構造で胸元や背中が大胆に空いている。艶やかなこのドレスは私には勿体無くも感じる。とにかくドレスに着られているようで仕方がない。
「ねえ、コレッタ。正直に言って欲しいのだけれど、私みっともなくない?」
「本気で言っておいでですか?お嬢様よりお美しい者はいないと思いますが…。今更着替えるなど申さないで下さいよ。ヴィンセント様にも合わせたドレスですので。」
「そこまでは言わないわ…でも、お兄様の隣に立つにはきっと霞んでしまうって、こんなうだうだしててはいけないわね!自信を持ちなさい、シルフィ!キャメロットの名にかけて恥のない行動をとるの!」
私は頬を両手でパチンと叩き、気合いを入れ直す。侯爵家令嬢たるものこれしきの事でくじけてなるものですか。
口を引き締め姿勢を正した。
(楽しいことを考えるの…。そう、庭いじりここととか!)
そう言えば、急用といったあの日から、ネヴィル達の顔を、最近はちらほらとしか見ていなかった。
仕事が忙しいとの話だ。
ぼーっと考え事をしている間に王宮が目の前に迫ってきた。
「お嬢様、ヴィンセント様がお見えになりました。」
窓を覗き込むと、会場の前で兄がお嬢さん方に囲まれているのが見えた。
やはり兄は女性に人気があるらしい。妹としても鼻が高い。だが、今から兄がエスコートするのは私。周囲の反感が少し怖い。
「着きましたお嬢様。私が付いてこれるのはここまでですね…折角の社交界です。少し肩を抜いて楽しんで下さい。」
ふわりとコレッタが微笑んだ。彼女の笑顔はとても安心する。
(弱音を吐くのはここまで。馬車を降りたらそこは白黒混じる戦場なのです。隙なんて見せてなるものですか!)
「ここまでありがとう、コレッタ。帰ったら刺繍のお手伝い頼むわね。」
「はい、承知しております。」
御者が馬車の扉を開く。そこにすぐ手が伸びてきた。
「妖精の国のお嬢さん。どうぞ私の手をお取り下さい。貴女様の本日のエスコート役、ヴィンセントです。」
兄は胸に手を当て、一礼した。その所作のなんと美しいことか。
今は衣装と相まって、いつものましでカッコよく見える
私は差し出される右手に左手を重ね、ゆっくりと扉をくぐり地面に降り立った。
「御機嫌よう、お兄様。本日はエスコート役の承諾、大変嬉しく思っております。」
いつものようにカーテシーをとる。
顔を上げれば、兄の秀美な顔が少しだらしないことになっていた。
しかし直ぐにその顔を引き締まり、兄は私に腕を差し出す。私はその腕に手を添え社交場に続く長い道をゆっくりと歩き出した。
「いえ、お嬢様。もう少し締めなければ凹凸のあるお身体をもっと美しく魅せれませんので。ご容赦を、歯を食いしばりください。」
「コレッタ!魅せる前に死んでしまうわ!!」
「お覚悟!!」
社交界の話が出てから七日後、
私は現在、真っ青な顔で王宮に向かう馬車に揺られている。
私を蒼白にしているそれはコルセット。
(これはきっと殺人道具であるに違いない…。)
とにかく苦しいのだ。姿勢は崩せないし、浅い呼吸が精一杯。コレッタに言わせれば、女性らしい美しい肢体をみせるための必需品だとか。そこまで言われては諦めがつくというもの。私は天を仰ぎ長嘆息をついた。
それにしても一向に胸が弾まない。王宮に近づくにつれ気持ちが沈んでいく。
今日が人生においての最大の勝負であるのは分かるのだが、何せ久し振りの社交界。身の振り方も対応もうまくできる自信がない。
今着ている青いドレスはチュールとレースの二重構造で胸元や背中が大胆に空いている。艶やかなこのドレスは私には勿体無くも感じる。とにかくドレスに着られているようで仕方がない。
「ねえ、コレッタ。正直に言って欲しいのだけれど、私みっともなくない?」
「本気で言っておいでですか?お嬢様よりお美しい者はいないと思いますが…。今更着替えるなど申さないで下さいよ。ヴィンセント様にも合わせたドレスですので。」
「そこまでは言わないわ…でも、お兄様の隣に立つにはきっと霞んでしまうって、こんなうだうだしててはいけないわね!自信を持ちなさい、シルフィ!キャメロットの名にかけて恥のない行動をとるの!」
私は頬を両手でパチンと叩き、気合いを入れ直す。侯爵家令嬢たるものこれしきの事でくじけてなるものですか。
口を引き締め姿勢を正した。
(楽しいことを考えるの…。そう、庭いじりここととか!)
そう言えば、急用といったあの日から、ネヴィル達の顔を、最近はちらほらとしか見ていなかった。
仕事が忙しいとの話だ。
ぼーっと考え事をしている間に王宮が目の前に迫ってきた。
「お嬢様、ヴィンセント様がお見えになりました。」
窓を覗き込むと、会場の前で兄がお嬢さん方に囲まれているのが見えた。
やはり兄は女性に人気があるらしい。妹としても鼻が高い。だが、今から兄がエスコートするのは私。周囲の反感が少し怖い。
「着きましたお嬢様。私が付いてこれるのはここまでですね…折角の社交界です。少し肩を抜いて楽しんで下さい。」
ふわりとコレッタが微笑んだ。彼女の笑顔はとても安心する。
(弱音を吐くのはここまで。馬車を降りたらそこは白黒混じる戦場なのです。隙なんて見せてなるものですか!)
「ここまでありがとう、コレッタ。帰ったら刺繍のお手伝い頼むわね。」
「はい、承知しております。」
御者が馬車の扉を開く。そこにすぐ手が伸びてきた。
「妖精の国のお嬢さん。どうぞ私の手をお取り下さい。貴女様の本日のエスコート役、ヴィンセントです。」
兄は胸に手を当て、一礼した。その所作のなんと美しいことか。
今は衣装と相まって、いつものましでカッコよく見える
私は差し出される右手に左手を重ね、ゆっくりと扉をくぐり地面に降り立った。
「御機嫌よう、お兄様。本日はエスコート役の承諾、大変嬉しく思っております。」
いつものようにカーテシーをとる。
顔を上げれば、兄の秀美な顔が少しだらしないことになっていた。
しかし直ぐにその顔を引き締まり、兄は私に腕を差し出す。私はその腕に手を添え社交場に続く長い道をゆっくりと歩き出した。
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