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37 いざ、定期試験①

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「うおおお、緊張してきた……」
「大丈夫か?」
「な、なんとか」

 定期試験当日。
 見た感じでは分からないけど、どこかリースの街全体が浮足立っている雰囲気だ。

 今回は地の魔女の定期試験。
 日程が合うエボニーとわたし、リチアナに他二名が試験を受ける予定らしい。

「ダオ、本当に来るの?」
「だめか?」
「いや、ダメじゃないんだけどさぁ」

 試験対象ではない別の魔女が見学することはたまにあるけど、メンズにみられるのは中々ない。
 ……いや、目立たないようにしているだけで、こっそりは見てるかもしれないけど。
 大々的に見られることはないからなぁ。
 恥ずかしいというか、なんというか。
 そんな、見るようなものではないですよ! というか。
 むしろダオはいつも見てるじゃん! 的な。

「けっこうアガり症なのよね」
「あが……?」
「いや、なんとかやってみるよ」

 今日に至るまで、試験では何の料理を作ろうか云々と頭を巡らせていた。
 そこで、一つのテーマを決めた。

(リチアナって、気滞きたいタイプ……よね?)

 薬膳の話でいうところの、気の巡りがわるく、イライラや倦怠感を伴う。
 怒りっぽく、ストレスの影響を受けやすく、怒気が昇華されない。
 女性でいうと、女性ホルモンというか、生理不順的な機能にも影響。
 不安感、集中力低下に不眠、……現代社会のストレスとは違うかもだけど、魔女としてのイライラがきっと滞ってると思う。

 …………主にわたしのせいで?

「いや~理不尽」

 そんなこと言われても、なことばかり責められるのでわたしも彼女が求める答えを提示できない。
 だから、いつも彼女のイライラはきっと貯め込む一方だ。
 ……わたし以外の場面でも多分そんな感じするけど。 

「せめて、ね」

 認めてもらう、まではいかなくても。
 ダオの「呪いとは?」な状態を見れば、わたしの魔女としての修行は決して無為なものではないはず。
 グランローズ様にってよりは……リチアナに、少しでも示せたらそれでいい。

 という訳で、気滞タイプの方におすすめな辛みや少し苦味のある食材を使った料理を作ることにしたのです。
 自宅の敷地でさっき採った植物と、リースでついさっき買ってきたものを使って……ね。

「グランローズ殿も、いらっしゃるんだよな?」
「もちろん、審査員? だからね」
「そうか」
「あ、そっか。……ダオの目的かもしれないんだよね」

 そうか。
 もしかしたら、ダオとは今日で──。

「それは分からない。だが、試験が終わってからにでも話はうかがいたいな」
「……うん。取り次いであげるよ」
「助かる」

 うーん、思ったよりも盛りだくさんな定期試験になりそうだ。

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