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朝食を済ませた俺はお母さんの食材の買い物に付き添ったり、掃除や洗濯と慌ただしい。

「瑞希ちゃん、そろそろお茶にしましょう」

「でもまだトイレとお風呂掃除が」

「いいのいいの。私が後でやっておくわ。本当に瑞希ちゃんは働きものねえ」

お母さんは俺を笑顔で見つめ、キッチンに立ち、お茶を入れてくれた。

洋風のダイニングテーブルではなく、畳のテーブルに緑茶と羊羹。

「さあ、足を崩して、ゆっくりしましょ」

とは言われても、俺はスカートを履いた脚を正座。

「頂きます、お母さん」

お茶も羊羹もとても上品な味だ。きっと高い。

 「美味しい...」

「でしょ?すぐに完売してしまうのだけど、頂きものなの。私もここの和菓子がとても気に入っていて」

お母さんは嬉しそうで、本当に仲の良い嫁と姑みたいだ。

「瑞希ちゃんは甘いものはお好き?」

「嫌いではないです」

「本当に!?好きなスイーツのお店があるの!今度、一緒に行きましょっ」

「はい、是非」

俺も微笑んだ。

「本当に嬉しいわ。娘が出来たみたい!」

お茶を啜りながらロングヘアのウィッグを付けた髪を後ろで纏め、メイクを施した俺を優しい眼差しで見つめる。

俺もなんだか嬉しい。

「ただいま」

見ると40代だろうか、高級そうなスーツ姿の男性。

「おかえりなさい、あなた。随分、早かったのね」

「オペが中止になったから会議だけで終わったんでな」

会話から、ヒロのお父さんだと気づいた。

視線が俺に落ちる。

「この子か、ヒロの恋人とやらは」

「あ、瑞希です。は、はじめまして」

威厳のある雰囲気に俺は正座を整え、頭を下げた。

「すっかり女になったな、見違えた」

お父さんは冷静にそう言うと、

「ヒロと付き合う、ここで共に暮らす為にも、色々と話しておかないといけないな、後で私の部屋に来なさい」

そう言い残すとお父さんは自室へ向かう為に背中を向けた。

緊張を解すように俺はお茶を啜った。

「気難しい人だけど、よろしくね、瑞希ちゃん」

「はい、お母さん」
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