上 下
20 / 68

20

しおりを挟む

それから間もなく、俺とお母さんはエステと美容外科に行った。

お母さんはマッサージや小じわを目立たなくするプチ整形、俺は全身脱毛。

どうりでお母さんが若い訳だ。

帰りはお母さんと初めての女装姿でのデパートでのショッピング。

不思議と周りから嫌な視線は感じない。

お母さんと色んな女性物の洋服や下着、アクセサリーなどを見て周り、お母さんは自分だけでなく、俺の物も選び、買ってくれる。

大荷物になるので、お母さんは自宅に郵送して貰う様に頼んでいて、タクシーではなく、愛用らしいハイヤーで移動した。

お金持ちなんだな、と改めて感じる。

帰り際、

「歩き疲れちゃったわね。お茶して帰りましょ」

と、お母さんの行きつけらしいお店に入る。

豪華な店内と、上品な女性ばかりでキョロキョロしているとお母さんからメニューを渡された。

「私は...そうね、マスカットのパフェにしようかしら、瑞希ちゃんは何にする?」

俺はメニューを凝視し、固まった。

パフェの値段...2500円。

それ以上の物もある。

「瑞希ちゃんの好きな物を選んでね。さくらんぼとメロン、どちらが好きかしら?」

「え、えっと、どちらも好き、ですが」

「じゃあ、やっぱり、私はメロンにするから、瑞希ちゃんはさくらんぼにしましょうか。シェア出来るわ」

メニューを閉じ、お母さんが嬉しそうに微笑む。

「お待たせ致しました」

運ばれてきたさくらんぼのパフェをぱくり。

「...美味しい」

「でしょ?ここのフルーツは絶品なの。フルーツは大抵、ここで購入してるくらい」

そう言ってお母さんもスプーンでパフェを掬いぱくり。

確かにさくらんぼ、かなり美味しかった。

クリームも上品な甘さ。

「こちらも食べてみる?」

「いいんですか?」

「もちろん。メロン、食べてみて」

メロンをスプーンで頂き、余りのみずみずしさに口元を抑えた。

「美味しい?」

「はい。とっても新鮮で甘いですね」

「帰り、フルーツも買って帰りましょ」

お母さんと食べ終えると、帰り際、店員にどのフルーツがいいかを尋ね、さくらんぼとメロン、マスカットなど、幾つかのフルーツを購入し、重たいものは郵送を頼んでいた。

支払いを終えるとしばらく歩いた先のハイヤーへ。

「ああ、少し疲れたけど、とても楽しかったわ、瑞希ちゃん。ありがとう」

「こちらこそありがとうございます、お母さん」

そうして、全身脱毛も終え、ショッピングにお茶を共にし、帰宅。

この日はたまに頼んでいるらしい、家政婦さんが料理。

お母さんと一緒にしばらくのんびり過ごした。

その間、ヒロは自室で勉強していたので、コーヒーとお菓子を添えて、届けに行きました。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あなたに愛や恋は求めません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:101,889pt お気に入り:8,937

妖精のいたずら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:420pt お気に入り:392

父と息子

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:115

エースはまだ自分の限界を知らない

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:21

僕っ娘は背徳的な恋がしたい。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:5

【短編】わかたれた道

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:22

文化祭

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

飯がうまそうなミステリ

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

祭囃子と森の動物たち

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

【本編完結】春待つ桜 君待つ紫苑

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

処理中です...