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第九章
第389話 【個人戦最終戦・1】
しおりを挟むアルスさんとの攻防はそれから長く続いた。互いに魔法は得意とする者同士、どちらも一歩も譲らず10分程戦いが続いていた。
(……アルスさんの様子から見て、まだまだ魔力に余裕はありそうだな、俺も今の所は大丈夫だがこのまま続くとどちらかが魔力が尽きて面白くない終わり方になってしまうな)
魔法の攻防の最中、俺はそんな事を考えているとアルスさんも同じ事を考えていたのか俺が放った魔法を魔法で相殺せず転移魔法で避けた。更にアルスさんは転移魔法の連続使用を行い俺から魔法が当たらない様に会場全体を動き回り、いたるところから魔法を放ってきた。
(アルスさんも本気なったか……よし、ならこっちもッ)
アルスさんの魔法が俺に当たる瞬間、俺は上空へと飛びあがり更に上空へと駆け上がった。流石のアルスさんも遥か上空に居る人間を目視する事は出来ないみたいで魔法が止めた。俺は魔力を極限まで高め〝火・風・雷〟の3属性を練りオリジナル魔法【雷炎の竜巻】をアルスさんに向けて魔法を放った。
「ゴォォォッ!!!」
流石に殺したらヤバいと放つ寸前で思った俺はアルスさんがギリギリで耐えれる魔力量に抑えて放つと、会場はアルスさんが立っている所以外、大穴が出来ていた。
「さ、流石にコレを見させられて戦いを続行は出来ないかな~、僕の負けだよ」
そうアルスさんが言うと、ポカンと聞いていた会場の人達が一斉に歓声を上げた。俺は、大穴が開いた会場に向かって土魔法で整えて地上に降りるとアルスさんから「そこまで成長してたとは僕も思わなかったよ」と言われた。
「師匠が良かったですからね」
「そう言って貰えると嬉しいよ。ラルク君はこれからも有名になりそうだから、ラルク君の魔法の師として僕も有名になりそうだよ」
アルスさんは本当に嬉しそうにそう言って俺達は会場を出て行った。次の試合まで時間があるのでリア達の所に行くと「ラルク君、さっきの魔法凄かったよ!」と皆から褒められた。
「あ~あ、パーティー内で魔法使い枠、僕に定着して来たのにあんな物見させられたら僕の意味が無くなるよ」
「ごめんごめん。でも、流石にアレを連発するのは今の俺には厳しいよ。結構、コントロールが難しいからな、アスラなら覚えたら自分の物に出来そうだし大会が終わったら教えようか?」
「えっ、良いの!? 教えて!」
アスラは俺が考えた魔法を教えてもらえると分かると不貞腐れ気味だったのが一瞬にして目をキラキラと輝かせる少年の顔付になった。それから、大会は順調に進んでいき最後の四人にまで絞られた。
最後の四人には〝俺、イデルさん、義父さん、ランディオ〟となった。まあ、俺とイデルさんは実力的に抜きんでていて次に強かったアルスさんは俺と当たっていたので義父さん辺りは残って来ると想像がついていたが、まさかランディオが残るとは思わなかった。
「凄いなランディオ、ここまで残ったんだな」
「まあな、そこに居る師匠が死ぬ勢いでしごいてくれたおかげでな」
「おいおい、死ぬ勢いとき人聞きの悪い。俺は殺すつもりで行ってたぞ?」
「……ラルクの叔父とは思えない程、冷酷だぞ」
ランディオはイデルさんの言葉にそう言うとイデルさんは凄く良い笑顔で「終わったら、またやろうな?」と肩を組んでいた。
「ラルク、やっぱり残って来たな」
「うん、義父さんも残ってくれてよかったよ。義父さんとは一度、本気で勝負わしたかったからね」
「俺もだ。何だかんだ互いに忙しい身になって一緒に生活する事も出来なくなったからな、今日はいい機会だ。息子の成長を確かめさせてもらうよ」
義父さんはそう言いながら俺と握手を交わし、先に〝ランディオ対義父さん〟なので義父さんは会場に向かった。
「グルドさん、今日の気合はすさまじかったな」
「はい、あんな義父さんを見たのは初めてかもしれません。義父さんと戦うのが楽しみですよ」
「おっ? それは、俺の事は絶対に倒すという事か?」
「えぇ、これでも色々と秘密の特訓をしてきましたからね。イデルさんにも義父さんにも負けませんよ」
そう言うと、イデルさんは「ふっ」と笑うと「楽しみにしておく」と言って待合室の端に行き椅子に座ると瞑想を始めたので、俺も椅子に座って次の試合の為に瞑想を始めた。
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