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6巻
6-2
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◇
翌日、俺は「朝食は外で食べてきます」と言って朝早くから屋敷を出て教会に向かった。
教会へ行く途中、この国の様子を見てみる。難民が多くて治安が荒れているかと思ったら、意外にもごろつきの類は見当たらなかった。軽く聞き込みをしたところ、犯罪の発生率も低いらしい。
なんでも、強盗や暴行事件が起きたら憲兵が到着する間もなく一般市民に取り押さえられてしまうため、犯罪者が出にくいのだとか。流石、武人の国と言われているだけあるな。
教会に着いて裏口のドアをノックすると、しばらくしてミリアーナさんが扉から顔を覗かせた。
「おはようございます、ミリアーナさん」
「おはよう、ラルク君。また来てくれたのね」
「はい。ご迷惑でしたか?」
「迷惑なんてことはないけど、こんなに早くに来ても子供達はまだ起きていないわよ?」
「ええ、分かっています。実は、子供達がまだ寝ているうちに食事を作ろうと思いまして」
そう言うと、ミリアーナさんは笑顔でお礼の言葉を言って俺を中に入れてくれた。
厨房へ移動すると、昨日道案内をしてくれたユーリ君がシスターと一緒にいた。
「あっ、ラルクさん! どうしてこんなところに?」
「おはようユーリ君。実は教会のみんなのために料理を作ろうと思ってさ。ユーリ君こそどうして厨房にいるの?」
「僕は今日、朝食の当番なんです。ラルクさん、料理ができるんですか?」
不思議そうな顔で尋ねてくるユーリ君に、俺に代わってミリアーナさんが答える。
「昨日の料理ね、実はラルク君が作ってくれたのよ」
「え!? あの美味しいスープをラルクさんが!?」
驚きの声を上げるユーリ君に、別のシスターがくすくす笑いながら言う。
「ユーリ君、三杯もお代わりしていたものね」
その言葉に顔を真っ赤にしたユーリ君に尋ねる。
「今日の食事も、俺が作ってもいいかな?」
「はい、ぜひお願いします! あんなに美味しい料理は食べたことがないって、みんな言ってたんですよ」
「それは嬉しいな。よ~し、腕によりをかけて作るよ」
そう言って、料理の準備を始める。
ユーリ君が自分も手伝うと言ってくれたので、野菜の皮剥きといった下ごしらえの作業をやってもらう。ミリアーナさんや他のシスターは別の仕事があるとのことだったのでそちらに行ってもらい、その後は二人で食事を作った。
料理が完成し、食堂へ持っていく。その頃には小さい子達も含めて全員起きていて、みんな食堂に集合していた。
「「「わ~、今日のご飯もいっぱいだ~!!」」」
料理をテーブルに並べると、そんな歓声が上がる。いつもは遠慮しがちだという年長の子達も、今日は席に座って目をキラキラさせて料理を見つめていた。
それからみんなで楽しい食事の時間を過ごした。
食事中、子供達から色々な話を聞いた。なんでも、この教会では「サマル」という神様を信仰しているらしい。そのため、名字の分からない子達は「サマル」がファミリーネームになっているのだとか。
サマル様はどんな神様なのかミリアーナさんに聞いたところ、彼女は知らないと答えた。
「そもそもこの教会って、神父様が昔この国に亡命したときに王様に頼んで作ってもらった、いわば個人教会なのよ」
「ここって神父様がいるんですか?」
俺が聞くと、ミリアーナさんは当然とばかりに頷く。
「ええ。忙しい方だから教会に顔を出すのは数日に一度だけど、いつかラルク君とも会えると思うわ。で、神父様と同じ国出身の人はこの教会にいないから、誰もサマル様がどんな神様か知らないってわけ」
「そうだったんですか……」
「ひょっとしたら神父様が適当にでっちあげただけで、サマル様なんて神様はいないのかもね」
ミリアーナさんは人の悪そうな笑みを浮かべて言ったので、俺も曖昧に笑っておいた。
それにしても、神父様か……いつか会ってお話をしてみたいな。
食事のあと、俺は十二歳以上の年長組にこの教会についての話を聞こうと思い、それぞれに声をかけて別室に集まってもらった。先日、ユーリ君と一緒に出店の前にいた子達だ。
子供達は全員で四人。一人ずつ許可をもらって、『鑑定眼』でプロフィールを調べてみる。
一人目
【 名 前 】カイ・サマル
【 性 別 】男
【 年 齢 】13
二人目
【 名 前 】ローグ・サマル
【 性 別 】男
【 年 齢 】12
三人目
【 名 前 】メイナ・サマル
【 性 別 】女
【 年 齢 】12
四人目
【 名 前 】ルネ・サマル
【 性 別 】女
【 年 齢 】12
年長組の子達はとても仲がよく、日頃からユーリ君を加えた五人で行動を共にしているらしい。
何から聞こうかな、と思っていたら、四人の中で最年長のカイ君が最初に口を開いた。
「あの、なんで僕達は呼ばれたのでしょうか?」
カイ君の言葉に同意するように、他の子達も頷く。みんな自分達がなんで呼ばれたのか不思議に思っているようだ。
俺はカイ君の質問に笑顔で答える。
「ちょっとみんなと話したいと思ってね。みんなが普段何をしているのかとか、この教会のこととかさ」
そう切り出したあと、まずは年長組が日常的に行っていることについて聞いてみる。
昨日、ユーリ君が多少話してくれたけれど、町の案内中だったこともあって詳しくは聞けなかったんだよな。
この質問にはカイ君が代表して答えた。
「普段ですか……えっと、僕とここにいる三人は冒険者として働いているんです。主に近場で取れる薬草の採取依頼や、町の簡単な依頼をこなしています」
「なるほど、冒険者か……」
確かに、四人の体格は年齢のわりにしっかりとしていた。
だけど、ユーリ君はそんなこと言ってなかったよな。ちょっと聞いてみるか。
「ところで、ユーリ君も冒険者なの?」
「いえ、ユーリはあまり体が丈夫じゃないから、冒険者にはならないで教会の仕事のお手伝いとかをしています」
「なるほど……ちなみに、君達より年下の子達は普段どんなことをしているのかな?」
「うーん……僕達の一つ下の年齢の子は、ユーリのサポートをしたり、教会に残っているもっと小さな子供達のお世話をしたりしていますね」
「そっか、ありがとう」
ある程度成長した子供達は、少しでも早く自立しようと努力しているみたいだ。
それからも何個か質問をし、情報を集める。
最後の質問をしたあと、俺は『便利ボックス』から銀貨を取り出した。
「今日は時間をくれてありがとう。正式な依頼ではなかったけど、君達は冒険者なんだから正規の報酬を渡すよ」
そう言って渡すと、子供達は驚いたように銀貨を突き返してきた。
「こ、こんなにもらえないですよ! 私達、何もしてないのに……」
メイナちゃんの言葉に、俺は「それは違う」と首を横に振る。
「さっきも言ったけど、俺は君達から時間をもらって仕事を頼んだんだ。ギルドを通してはいないけど、立派な依頼だよ。だからこの報酬は正当なものなんだ」
そこまで言うと、カイ君達は一応納得した顔になって銀貨を受け取った。
「あの、なんでラルクさんは僕達にこんなによくしてくれるんですか?」
カイ君が俺にそう尋ねてきた。
俺は正直にその質問に答える。
「俺も元は孤児みたいなものだったんだよ。だから俺と同じ境遇のみんなに自分を重ねてしまって、助けたいと思ったんだ」
「ラルクさんも孤児だったんですか!?」
「……待てよ? 『銀髪の元孤児』ってどこかで聞いたことがあるな……」
ローグ君がぼそりと呟いた。彼もミリアーナさんと同じように、噂を聞いたことがあるのかな?
「あ、それって英雄グルド様の義息さんのことじゃない?」
ルネちゃんの言葉にローグ君が「それだ!」と言ったので、俺は正直に言うことにした。
「うん、俺はグルドさんの義理の息子よ」
「えぇぇ~!!」
カイ君、ローグ君、メイナちゃん、ルネちゃんが声をそろえて大きな驚きの声を上げた。
2 教会改造計画
四名の少年少女の驚き声は部屋の外にまで聞こえていたらしく、ミリアーナさんが慌てて部屋に駆け込んできた。
「みんな、どうしたの?」
心配そうな顔つきのミリアーナさんに俺から説明する。
「カイ君達に俺が元孤児だってことを教えたんです」
すると、ミリアーナさんは全てを了承したような表情に変わった。
「あ~、ラルク君がグルドさんの子供って知って驚いたのね。あんまり大きい声を出しちゃダメよ」
ミリアーナさんはそう言うと、部屋から出ていった。
カイ君達は落ち着いたようだったが、「グルド様の子供がラルクさんなんて……」と呟いていた。
カイ君達が部屋を出たあと、俺はミリアーナさんと合流して子供達の部屋へ向かう。昨日の帰り際、ミリアーナさんに「明日、子供達の部屋も修繕したいから運べる荷物をまとめて外に出しておいてほしい」と言っておいたんだよね。
子供部屋に行くと、二段ベッドと椅子のみが置いてある状態だった。全部で六部屋あり、現在は男の子が二十二名、女の子が二十三名の、計四十五名がこの六部屋で暮らしているそうだ。
一部屋一部屋はわりと広めで、二段ベッドは四つ並べられている。一部屋で最大八人が暮らせる計算だ。
ちなみに、教会はまだ空き部屋もある。預かっている子供達が多くなったときは、適宜その空き部屋を子供部屋に割り当てるとのこと。
修繕を始める前に、ミリアーナさんに聞いてみる。
「あの……子供達がもう少し快適に暮らせるように、少し手を加えてみてもいいですか?」
「ええ、いいわよ。ラルク君のことは昨日から信頼しているもの」
そう言ってくれると嬉しい。
期待に応えるため、俺は遠慮せずに全ての力を使おうと意気込んだ。
まず手始めに、子供部屋に残っていた荷物を全て『便利ボックス』に収納する。それから庭に移動してまとめて出し、ミリアーナさんや他の手が空いているシスターに見張りをお願いした。本当は見張りの必要はないんだけど、建物の外に出ておいてほしかったんだよね。
その後、俺一人が部屋に戻って、周囲に人がいないかどうか『気配察知』のスキルで確認する。
「……よし、全員外に出てるな」
誰もいないことを確認した俺は、俺の所有する世界『楽園ファンルード』に住む悪魔のゼラさんを呼び出した。
「あら、ラルク君。どうしたの?」
「こんにちは、ゼラさん。実はお願いがありまして……」
そう前置きし、ゼラさんにこれまでの事情を説明する。
「……というわけで、この教会の修繕を下級悪魔達に頼めますか?」
「ええ、いいわよ。ラルク君の頼みだもの」
ゼラさんは笑みを浮かべて俺のお願いを快諾すると、自分の部下である下級悪魔を呼び出して一斉に作業に取りかからせた。
修繕作業を下級悪魔に任せ、俺は続いて門を潜ってファンルードの中に入る。
実はファンルード内に住んでいる俺の従魔に、昨日の時点でとあるお願いをしていたんだよね。
ファンルードに到着すると、ハイ・スケルトンのルーカスが出迎えてくれていた。
「あっ、主殿。こっちっすよ」
「ルーカス、頼んでいたものは出来上がった?」
「ばっちりっす。注文の品は向こうにあるっすよ」
ルーカスに案内され、近くの建物へ向かう。
中に入ると、製作を頼んでいた子供用ベッドが出来上がっていた。昨日教会を案内してもらったときに子供部屋を見せてもらっていたから、そのときに部屋の形を記憶してピッタリなベッドのデザインを考えてルーカスに作ってもらっていたんだよな。
ルーカスは意外にも器用なため、こういう作業が得意なのだ。
「うん、これならばっちりあの部屋に合いそうだ。ありがとうルーカス」
「主殿の頼みっすからね。それに久し振りに出番が回ってきたから張り切っちゃいましたよ」
ルーカスの本業は戦闘方面だけど、最近は冒険者活動を休んでいたからなぁ。暇にさせて悪いことをしちゃったな。
「もう少ししたら冒険者活動を再開すると思うから、そのときはよろしくね」
「はいっす」
ベッドを『便利ボックス』に収納し、マットやシーツをファンルード内のお店で購入する。
買い物を済ませ、元の世界に戻ってきた。
先ほど作業を始めたばかりだったにもかかわらず、下級悪魔達はすでに作業を終えていた。子供部屋は魔法で綺麗に修繕されており、新築と見違えるほどになっている。
「ありがとうございます」
ゼラさんと下級悪魔達に向けてお礼を言う。
「ラルク君からの久し振りの頼みだったから、この子達も張り切ったみたいよ。たまにはラルク君も、この子達と遊んであげてね」
「時間ができたらしばらくファンルードで過ごすので、そのときに一緒に遊ぼうと思います」
俺が言うと、作業を終えてゼラさんの周りに集まっていた下級悪魔達は嬉しそうに消えていった。
ゼラさんもファンルードに帰ると言ったので門を開き、見送る。そのあとは修繕された部屋に新しく作ったベッドを配置し、マットとシーツを敷いていった。
「ラルク君、部屋の修繕はどう、かし、ら……」
俺の様子を見に来たミリアーナさんは、子供部屋を見ると言葉を失った。
ややあって、我に返った彼女が驚愕の声を上げる。
「えっ、ラルク君……この短時間でこんなに綺麗にしたの!?」
「はい。あと、昨日直し切れなかった教会の他の古かった部分も、全て修繕しておきましたよ」
そう言ったら、ミリアーナさんは急に真顔になった。
「ラルク君は変わった子、ラルク君は変わった子……」
なんか変な呪文を唱え始めたんだけど。
呪文は効果があったようで、ミリアーナさんは落ち着きを取り戻して「会わせたい人がいるの」と言ってきた。誰かと思ったら、どうやら神父様が教会に帰ってきたらしい。
ミリアーナさんに連れられ神父様の部屋に向かう。
ノックして入室すると、初老の柔和な男性が待っていた。
「ラルク君のおかげでこの教会が見違えるようだ。君は本当にすごい子だね」
神父様は俺に挨拶したあと、そう言った。
返事をしようとして神父様の目を見たとき、心の奥を見られたような気がしてドキッとした。
神父様が穏やかな表情で言葉を続ける。
「ラルク君は悪い子じゃないというのは分かっているけれど、この教会の責任者としていくつか質問させてほしい。いいかな?」
……どうやら、神父様は俺が悪魔を召喚して使役したことに気付いているみたいだ。
「分かりました」
そう答えたら、神父様はミリアーナさんを退室させた。
俺が向かいのソファーに座ると、神父様がずばり聞いてくる。
「ラルク君、君は悪魔と契約をしているのかい?」
「……神父様には分かりましたか」
「一応、これでも聖職者だからね。そういった気配には敏感なんだ」
そういうものなのか。さて、どう説明しようかな……
「確かに俺は悪魔と契約をしていますが、それは普通の契約ではありません」
「……どういうことかな?」
神父様はわずかに怪訝な顔をした。まあ、そんな顔をするのも無理はない。
この世界における悪魔は最も邪悪な存在という位置付けである。そんな存在と契約することは、悪魔に魂を売り渡すという行為と同義だ。
ただ、俺とゼラさんが結んでいるのはそういうものじゃなくて、俺を主人とする従魔契約なんだよな。ようするにペットみたいなものだ。また、俺と契約している間は悪いことをしないと約束してもらっている。極度のイタズラ好きではあるが。
そのことを説明すると、神父様は当然の疑問を投げかけてきた。
「悪魔を従魔にするなんて、可能なのかい?」
「俺のスキルが特別製なんですよね」
そうとしか言えないので正直に答えたら、意外にも神父さんは納得してくれた。そして、思い出したように聞いてくる。
「そういえばラルク君はグルド様の養子だったね。風の噂でグルド様の養子は伝説の銀龍を従魔にしていると聞いたことがあったけど、あれはつまり本当だったってことかな?」
「あ、そうですよ。シャファルって名前なんですけど」
「なるほど、そうか……いやぁ、まさか本当だったとはね」
それからシャファルについて教えてほしいと言われたので、シャファルのことを色々話してあげた。食いしん坊という情報を伝えたら特に驚いていた。
話しているうちに、昼食の時間になる。誤解も解き終わったので、神父様の部屋を辞して厨房に移動して食事を作った。
昼食はガッツリ食べられる肉料理だ。子供達は美味しそうに食べてくれた。
ミリアーナさんに昼食後は帰るのかと聞かれたので、少し考えてから答える。
「迷惑じゃなければ外の整備もしたいんですけど、いいですか?」
「迷惑だなんて、むしろすごくありがたいけど……でもラルク君、何をするつもりなの?」
「うーん、庭がちょっと殺風景だから少し手を加えたいな、と思いまして」
みんなが食べ終わった食器を厨房に持っていき、そのまま外に出た。
とりあえず教会の庭をグルッと回り、どう整備しようか考えを巡らす。
……改めて見ると、外壁がところどころ欠けているな。まずはここから直していくか。
俺は『土属性魔法』を発動し、崩れそうな壁に土を補強していく。ついでにそれらしい模様も付けておいた。
続いて、教会の出入り口の門に注目する。ここもところどころ錆びていたり、ネジが緩くなっていたりして開け閉めの度に変な音が鳴っていたんだよな。
これも魔法でパパッと直した。
「それにしても、この教会って意外と大きいよな」
神父様は元々他国の人間だったのに、これほどの土地をもらえるというのは結構すごいことじゃないか? 王様が太っ腹なのかな。
あるいは神父様が相当なやり手なのかも。悪魔の気配に気付いていたし、そっちの可能性のほうが高そうだ。
あとは、レムリードが武人の国だということも関係しているかもしれない。昔から聖職者がそんなにいないんじゃないだろうか。
「しかし、これだけ広いんだからもう少し有効活用したいよな……」
庭は雑草が生い茂り、地面もでこぼことしている。子供達が安全に遊べるスペースは、実はそんなに広くない。
俺は再度教会の周りを一周し、なんとなく頭の中でこういう風な庭にしようとイメージを固める。
まず、年少の子達のために遊具は必要だろう。いくつかの種類を作って配置するか。
あと、カイ君達や、今後冒険者になる子供達のための小屋も作りたいな。冒険者用の道具を置いたり、手入れをしたりするための用途で活用してもらえればいいと思う。
あとは、作物を栽培するための畑もいいだろう。長期的に食べ物が安定して収穫できるようになってくれればいいな。
「さてと、頑張りますか」
作業場所が外なので、悪魔達に手伝ってもらうわけにもいかない。
まあ、魔法を使うから肉体的に疲れることはないだろう。
翌日、俺は「朝食は外で食べてきます」と言って朝早くから屋敷を出て教会に向かった。
教会へ行く途中、この国の様子を見てみる。難民が多くて治安が荒れているかと思ったら、意外にもごろつきの類は見当たらなかった。軽く聞き込みをしたところ、犯罪の発生率も低いらしい。
なんでも、強盗や暴行事件が起きたら憲兵が到着する間もなく一般市民に取り押さえられてしまうため、犯罪者が出にくいのだとか。流石、武人の国と言われているだけあるな。
教会に着いて裏口のドアをノックすると、しばらくしてミリアーナさんが扉から顔を覗かせた。
「おはようございます、ミリアーナさん」
「おはよう、ラルク君。また来てくれたのね」
「はい。ご迷惑でしたか?」
「迷惑なんてことはないけど、こんなに早くに来ても子供達はまだ起きていないわよ?」
「ええ、分かっています。実は、子供達がまだ寝ているうちに食事を作ろうと思いまして」
そう言うと、ミリアーナさんは笑顔でお礼の言葉を言って俺を中に入れてくれた。
厨房へ移動すると、昨日道案内をしてくれたユーリ君がシスターと一緒にいた。
「あっ、ラルクさん! どうしてこんなところに?」
「おはようユーリ君。実は教会のみんなのために料理を作ろうと思ってさ。ユーリ君こそどうして厨房にいるの?」
「僕は今日、朝食の当番なんです。ラルクさん、料理ができるんですか?」
不思議そうな顔で尋ねてくるユーリ君に、俺に代わってミリアーナさんが答える。
「昨日の料理ね、実はラルク君が作ってくれたのよ」
「え!? あの美味しいスープをラルクさんが!?」
驚きの声を上げるユーリ君に、別のシスターがくすくす笑いながら言う。
「ユーリ君、三杯もお代わりしていたものね」
その言葉に顔を真っ赤にしたユーリ君に尋ねる。
「今日の食事も、俺が作ってもいいかな?」
「はい、ぜひお願いします! あんなに美味しい料理は食べたことがないって、みんな言ってたんですよ」
「それは嬉しいな。よ~し、腕によりをかけて作るよ」
そう言って、料理の準備を始める。
ユーリ君が自分も手伝うと言ってくれたので、野菜の皮剥きといった下ごしらえの作業をやってもらう。ミリアーナさんや他のシスターは別の仕事があるとのことだったのでそちらに行ってもらい、その後は二人で食事を作った。
料理が完成し、食堂へ持っていく。その頃には小さい子達も含めて全員起きていて、みんな食堂に集合していた。
「「「わ~、今日のご飯もいっぱいだ~!!」」」
料理をテーブルに並べると、そんな歓声が上がる。いつもは遠慮しがちだという年長の子達も、今日は席に座って目をキラキラさせて料理を見つめていた。
それからみんなで楽しい食事の時間を過ごした。
食事中、子供達から色々な話を聞いた。なんでも、この教会では「サマル」という神様を信仰しているらしい。そのため、名字の分からない子達は「サマル」がファミリーネームになっているのだとか。
サマル様はどんな神様なのかミリアーナさんに聞いたところ、彼女は知らないと答えた。
「そもそもこの教会って、神父様が昔この国に亡命したときに王様に頼んで作ってもらった、いわば個人教会なのよ」
「ここって神父様がいるんですか?」
俺が聞くと、ミリアーナさんは当然とばかりに頷く。
「ええ。忙しい方だから教会に顔を出すのは数日に一度だけど、いつかラルク君とも会えると思うわ。で、神父様と同じ国出身の人はこの教会にいないから、誰もサマル様がどんな神様か知らないってわけ」
「そうだったんですか……」
「ひょっとしたら神父様が適当にでっちあげただけで、サマル様なんて神様はいないのかもね」
ミリアーナさんは人の悪そうな笑みを浮かべて言ったので、俺も曖昧に笑っておいた。
それにしても、神父様か……いつか会ってお話をしてみたいな。
食事のあと、俺は十二歳以上の年長組にこの教会についての話を聞こうと思い、それぞれに声をかけて別室に集まってもらった。先日、ユーリ君と一緒に出店の前にいた子達だ。
子供達は全員で四人。一人ずつ許可をもらって、『鑑定眼』でプロフィールを調べてみる。
一人目
【 名 前 】カイ・サマル
【 性 別 】男
【 年 齢 】13
二人目
【 名 前 】ローグ・サマル
【 性 別 】男
【 年 齢 】12
三人目
【 名 前 】メイナ・サマル
【 性 別 】女
【 年 齢 】12
四人目
【 名 前 】ルネ・サマル
【 性 別 】女
【 年 齢 】12
年長組の子達はとても仲がよく、日頃からユーリ君を加えた五人で行動を共にしているらしい。
何から聞こうかな、と思っていたら、四人の中で最年長のカイ君が最初に口を開いた。
「あの、なんで僕達は呼ばれたのでしょうか?」
カイ君の言葉に同意するように、他の子達も頷く。みんな自分達がなんで呼ばれたのか不思議に思っているようだ。
俺はカイ君の質問に笑顔で答える。
「ちょっとみんなと話したいと思ってね。みんなが普段何をしているのかとか、この教会のこととかさ」
そう切り出したあと、まずは年長組が日常的に行っていることについて聞いてみる。
昨日、ユーリ君が多少話してくれたけれど、町の案内中だったこともあって詳しくは聞けなかったんだよな。
この質問にはカイ君が代表して答えた。
「普段ですか……えっと、僕とここにいる三人は冒険者として働いているんです。主に近場で取れる薬草の採取依頼や、町の簡単な依頼をこなしています」
「なるほど、冒険者か……」
確かに、四人の体格は年齢のわりにしっかりとしていた。
だけど、ユーリ君はそんなこと言ってなかったよな。ちょっと聞いてみるか。
「ところで、ユーリ君も冒険者なの?」
「いえ、ユーリはあまり体が丈夫じゃないから、冒険者にはならないで教会の仕事のお手伝いとかをしています」
「なるほど……ちなみに、君達より年下の子達は普段どんなことをしているのかな?」
「うーん……僕達の一つ下の年齢の子は、ユーリのサポートをしたり、教会に残っているもっと小さな子供達のお世話をしたりしていますね」
「そっか、ありがとう」
ある程度成長した子供達は、少しでも早く自立しようと努力しているみたいだ。
それからも何個か質問をし、情報を集める。
最後の質問をしたあと、俺は『便利ボックス』から銀貨を取り出した。
「今日は時間をくれてありがとう。正式な依頼ではなかったけど、君達は冒険者なんだから正規の報酬を渡すよ」
そう言って渡すと、子供達は驚いたように銀貨を突き返してきた。
「こ、こんなにもらえないですよ! 私達、何もしてないのに……」
メイナちゃんの言葉に、俺は「それは違う」と首を横に振る。
「さっきも言ったけど、俺は君達から時間をもらって仕事を頼んだんだ。ギルドを通してはいないけど、立派な依頼だよ。だからこの報酬は正当なものなんだ」
そこまで言うと、カイ君達は一応納得した顔になって銀貨を受け取った。
「あの、なんでラルクさんは僕達にこんなによくしてくれるんですか?」
カイ君が俺にそう尋ねてきた。
俺は正直にその質問に答える。
「俺も元は孤児みたいなものだったんだよ。だから俺と同じ境遇のみんなに自分を重ねてしまって、助けたいと思ったんだ」
「ラルクさんも孤児だったんですか!?」
「……待てよ? 『銀髪の元孤児』ってどこかで聞いたことがあるな……」
ローグ君がぼそりと呟いた。彼もミリアーナさんと同じように、噂を聞いたことがあるのかな?
「あ、それって英雄グルド様の義息さんのことじゃない?」
ルネちゃんの言葉にローグ君が「それだ!」と言ったので、俺は正直に言うことにした。
「うん、俺はグルドさんの義理の息子よ」
「えぇぇ~!!」
カイ君、ローグ君、メイナちゃん、ルネちゃんが声をそろえて大きな驚きの声を上げた。
2 教会改造計画
四名の少年少女の驚き声は部屋の外にまで聞こえていたらしく、ミリアーナさんが慌てて部屋に駆け込んできた。
「みんな、どうしたの?」
心配そうな顔つきのミリアーナさんに俺から説明する。
「カイ君達に俺が元孤児だってことを教えたんです」
すると、ミリアーナさんは全てを了承したような表情に変わった。
「あ~、ラルク君がグルドさんの子供って知って驚いたのね。あんまり大きい声を出しちゃダメよ」
ミリアーナさんはそう言うと、部屋から出ていった。
カイ君達は落ち着いたようだったが、「グルド様の子供がラルクさんなんて……」と呟いていた。
カイ君達が部屋を出たあと、俺はミリアーナさんと合流して子供達の部屋へ向かう。昨日の帰り際、ミリアーナさんに「明日、子供達の部屋も修繕したいから運べる荷物をまとめて外に出しておいてほしい」と言っておいたんだよね。
子供部屋に行くと、二段ベッドと椅子のみが置いてある状態だった。全部で六部屋あり、現在は男の子が二十二名、女の子が二十三名の、計四十五名がこの六部屋で暮らしているそうだ。
一部屋一部屋はわりと広めで、二段ベッドは四つ並べられている。一部屋で最大八人が暮らせる計算だ。
ちなみに、教会はまだ空き部屋もある。預かっている子供達が多くなったときは、適宜その空き部屋を子供部屋に割り当てるとのこと。
修繕を始める前に、ミリアーナさんに聞いてみる。
「あの……子供達がもう少し快適に暮らせるように、少し手を加えてみてもいいですか?」
「ええ、いいわよ。ラルク君のことは昨日から信頼しているもの」
そう言ってくれると嬉しい。
期待に応えるため、俺は遠慮せずに全ての力を使おうと意気込んだ。
まず手始めに、子供部屋に残っていた荷物を全て『便利ボックス』に収納する。それから庭に移動してまとめて出し、ミリアーナさんや他の手が空いているシスターに見張りをお願いした。本当は見張りの必要はないんだけど、建物の外に出ておいてほしかったんだよね。
その後、俺一人が部屋に戻って、周囲に人がいないかどうか『気配察知』のスキルで確認する。
「……よし、全員外に出てるな」
誰もいないことを確認した俺は、俺の所有する世界『楽園ファンルード』に住む悪魔のゼラさんを呼び出した。
「あら、ラルク君。どうしたの?」
「こんにちは、ゼラさん。実はお願いがありまして……」
そう前置きし、ゼラさんにこれまでの事情を説明する。
「……というわけで、この教会の修繕を下級悪魔達に頼めますか?」
「ええ、いいわよ。ラルク君の頼みだもの」
ゼラさんは笑みを浮かべて俺のお願いを快諾すると、自分の部下である下級悪魔を呼び出して一斉に作業に取りかからせた。
修繕作業を下級悪魔に任せ、俺は続いて門を潜ってファンルードの中に入る。
実はファンルード内に住んでいる俺の従魔に、昨日の時点でとあるお願いをしていたんだよね。
ファンルードに到着すると、ハイ・スケルトンのルーカスが出迎えてくれていた。
「あっ、主殿。こっちっすよ」
「ルーカス、頼んでいたものは出来上がった?」
「ばっちりっす。注文の品は向こうにあるっすよ」
ルーカスに案内され、近くの建物へ向かう。
中に入ると、製作を頼んでいた子供用ベッドが出来上がっていた。昨日教会を案内してもらったときに子供部屋を見せてもらっていたから、そのときに部屋の形を記憶してピッタリなベッドのデザインを考えてルーカスに作ってもらっていたんだよな。
ルーカスは意外にも器用なため、こういう作業が得意なのだ。
「うん、これならばっちりあの部屋に合いそうだ。ありがとうルーカス」
「主殿の頼みっすからね。それに久し振りに出番が回ってきたから張り切っちゃいましたよ」
ルーカスの本業は戦闘方面だけど、最近は冒険者活動を休んでいたからなぁ。暇にさせて悪いことをしちゃったな。
「もう少ししたら冒険者活動を再開すると思うから、そのときはよろしくね」
「はいっす」
ベッドを『便利ボックス』に収納し、マットやシーツをファンルード内のお店で購入する。
買い物を済ませ、元の世界に戻ってきた。
先ほど作業を始めたばかりだったにもかかわらず、下級悪魔達はすでに作業を終えていた。子供部屋は魔法で綺麗に修繕されており、新築と見違えるほどになっている。
「ありがとうございます」
ゼラさんと下級悪魔達に向けてお礼を言う。
「ラルク君からの久し振りの頼みだったから、この子達も張り切ったみたいよ。たまにはラルク君も、この子達と遊んであげてね」
「時間ができたらしばらくファンルードで過ごすので、そのときに一緒に遊ぼうと思います」
俺が言うと、作業を終えてゼラさんの周りに集まっていた下級悪魔達は嬉しそうに消えていった。
ゼラさんもファンルードに帰ると言ったので門を開き、見送る。そのあとは修繕された部屋に新しく作ったベッドを配置し、マットとシーツを敷いていった。
「ラルク君、部屋の修繕はどう、かし、ら……」
俺の様子を見に来たミリアーナさんは、子供部屋を見ると言葉を失った。
ややあって、我に返った彼女が驚愕の声を上げる。
「えっ、ラルク君……この短時間でこんなに綺麗にしたの!?」
「はい。あと、昨日直し切れなかった教会の他の古かった部分も、全て修繕しておきましたよ」
そう言ったら、ミリアーナさんは急に真顔になった。
「ラルク君は変わった子、ラルク君は変わった子……」
なんか変な呪文を唱え始めたんだけど。
呪文は効果があったようで、ミリアーナさんは落ち着きを取り戻して「会わせたい人がいるの」と言ってきた。誰かと思ったら、どうやら神父様が教会に帰ってきたらしい。
ミリアーナさんに連れられ神父様の部屋に向かう。
ノックして入室すると、初老の柔和な男性が待っていた。
「ラルク君のおかげでこの教会が見違えるようだ。君は本当にすごい子だね」
神父様は俺に挨拶したあと、そう言った。
返事をしようとして神父様の目を見たとき、心の奥を見られたような気がしてドキッとした。
神父様が穏やかな表情で言葉を続ける。
「ラルク君は悪い子じゃないというのは分かっているけれど、この教会の責任者としていくつか質問させてほしい。いいかな?」
……どうやら、神父様は俺が悪魔を召喚して使役したことに気付いているみたいだ。
「分かりました」
そう答えたら、神父様はミリアーナさんを退室させた。
俺が向かいのソファーに座ると、神父様がずばり聞いてくる。
「ラルク君、君は悪魔と契約をしているのかい?」
「……神父様には分かりましたか」
「一応、これでも聖職者だからね。そういった気配には敏感なんだ」
そういうものなのか。さて、どう説明しようかな……
「確かに俺は悪魔と契約をしていますが、それは普通の契約ではありません」
「……どういうことかな?」
神父様はわずかに怪訝な顔をした。まあ、そんな顔をするのも無理はない。
この世界における悪魔は最も邪悪な存在という位置付けである。そんな存在と契約することは、悪魔に魂を売り渡すという行為と同義だ。
ただ、俺とゼラさんが結んでいるのはそういうものじゃなくて、俺を主人とする従魔契約なんだよな。ようするにペットみたいなものだ。また、俺と契約している間は悪いことをしないと約束してもらっている。極度のイタズラ好きではあるが。
そのことを説明すると、神父様は当然の疑問を投げかけてきた。
「悪魔を従魔にするなんて、可能なのかい?」
「俺のスキルが特別製なんですよね」
そうとしか言えないので正直に答えたら、意外にも神父さんは納得してくれた。そして、思い出したように聞いてくる。
「そういえばラルク君はグルド様の養子だったね。風の噂でグルド様の養子は伝説の銀龍を従魔にしていると聞いたことがあったけど、あれはつまり本当だったってことかな?」
「あ、そうですよ。シャファルって名前なんですけど」
「なるほど、そうか……いやぁ、まさか本当だったとはね」
それからシャファルについて教えてほしいと言われたので、シャファルのことを色々話してあげた。食いしん坊という情報を伝えたら特に驚いていた。
話しているうちに、昼食の時間になる。誤解も解き終わったので、神父様の部屋を辞して厨房に移動して食事を作った。
昼食はガッツリ食べられる肉料理だ。子供達は美味しそうに食べてくれた。
ミリアーナさんに昼食後は帰るのかと聞かれたので、少し考えてから答える。
「迷惑じゃなければ外の整備もしたいんですけど、いいですか?」
「迷惑だなんて、むしろすごくありがたいけど……でもラルク君、何をするつもりなの?」
「うーん、庭がちょっと殺風景だから少し手を加えたいな、と思いまして」
みんなが食べ終わった食器を厨房に持っていき、そのまま外に出た。
とりあえず教会の庭をグルッと回り、どう整備しようか考えを巡らす。
……改めて見ると、外壁がところどころ欠けているな。まずはここから直していくか。
俺は『土属性魔法』を発動し、崩れそうな壁に土を補強していく。ついでにそれらしい模様も付けておいた。
続いて、教会の出入り口の門に注目する。ここもところどころ錆びていたり、ネジが緩くなっていたりして開け閉めの度に変な音が鳴っていたんだよな。
これも魔法でパパッと直した。
「それにしても、この教会って意外と大きいよな」
神父様は元々他国の人間だったのに、これほどの土地をもらえるというのは結構すごいことじゃないか? 王様が太っ腹なのかな。
あるいは神父様が相当なやり手なのかも。悪魔の気配に気付いていたし、そっちの可能性のほうが高そうだ。
あとは、レムリードが武人の国だということも関係しているかもしれない。昔から聖職者がそんなにいないんじゃないだろうか。
「しかし、これだけ広いんだからもう少し有効活用したいよな……」
庭は雑草が生い茂り、地面もでこぼことしている。子供達が安全に遊べるスペースは、実はそんなに広くない。
俺は再度教会の周りを一周し、なんとなく頭の中でこういう風な庭にしようとイメージを固める。
まず、年少の子達のために遊具は必要だろう。いくつかの種類を作って配置するか。
あと、カイ君達や、今後冒険者になる子供達のための小屋も作りたいな。冒険者用の道具を置いたり、手入れをしたりするための用途で活用してもらえればいいと思う。
あとは、作物を栽培するための畑もいいだろう。長期的に食べ物が安定して収穫できるようになってくれればいいな。
「さてと、頑張りますか」
作業場所が外なので、悪魔達に手伝ってもらうわけにもいかない。
まあ、魔法を使うから肉体的に疲れることはないだろう。
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