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第二章 ティタニアル大陸編 クラーク共和国
第50話 後悔先に立たず
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町を出る時にイシュラから貰ったグルグルと渦を巻いた線香。一見すると古き良き蚊取線香を彷彿とさせる。魔邪香と名づけられた、それはクラーク共和国で生活するには必需品とさえ言われる。
ここが異世界ということもあって効果も桁違い。蚊のみではなくて蛇やヒルといった厄介な生物全てを寄せ付けない魔法の香。その効果は魔物にまで及び、シルバーランク条件によってはゴールドランクにも効果がある。国境町の防壁が簡素だったのも、騎士が巡回しているからという理由だけじゃなかった。
ただこの魔邪香をつくるのに一部特殊な材料が必要なようで、特別な理由がない限りクラーク共和国と、他には国境に隣接する町でしか購入することができない。
万能蚊取線香とか誰もが欲しがる一品。つくればつくるほど売れるんだろうけど、その特殊な材料を取りすぎて枯渇しないように、国が上限を設けているのかもしれない。
そんな事前情報を知らなければ僕の貧乏性が発動することはなかった。
後悔先に立たずとはまさにこのこと……。
イシュラからはフォルス大森林に入ったら、すぐに焚いて煙を維持しろと言われていた。三か月は使い続けても余裕でもつからと、再三注意されていたにもかかわらず、僕はつい勿体ないと思ってしまい昼に一度火を消してしまった。
香が切れた瞬間に蚊が寄ってきて献血してしまった。刺された箇所は右腕で、赤くはれてはいないけど無性に痒い。神経がその一点に集中しているのかと、錯覚を覚えるほど痒くてたまらない。
即再着火したので二撃目は何とか止めることができた。
僕は右腕をつねりながら、もう二度とこの煙は絶やさないと心に誓った。
隙間なく生えた木々によって、日光は遮られていて通り道以外は常に薄暗い。普段なら野宿をする場合だと、道から外れた場所に移動して寝床を決める。だが、この森で野宿する場合は石畳の上じゃないといけない。まだ道から離れ切っていない場所、目と鼻の先ぐらいであれば問題ないが、それよりも奥に入ることは禁止されている。
魔邪香が効く魔物は条件付きでゴールドランクまでとなっている。その条件がフォルス大森林の奥に入らないこと。町や道といった開拓エリアと未開拓の奥地では生息している魔物が異なる。つまり、同じゴールドランクの魔物でも、魔邪香を苦手としない魔物が棲んでいる。
森の奥に行けば行くほど魔物もまたどんどん強くなる。森の奥地にはバジリスクのようなプラチナランクの魔物がうじゃうじゃといるらしい。最奥には僕と同じミスリルランクの魔物もいるとかいないとか。
一対一ならまだしも、あれを複数相手取るとか……倒すどころか逃げ切れるかどうかも怪しい。
とまあ起きていれば、まだワンチャンあるかもしれないが、寝てたらアウトだよねってことで禁止になったらしい。
ただこれはあくまで野宿をする際に禁止なだけで、自己責任にはなるが森を探索すること自体は禁止されていない。なので、僕は日中に何度か木漏れ日を頼りに森を見て回った。
そこでゴブリンのような緑色をした巨人の魔物トロールと、大根のような根菜類に人面のある魔物マンドラゴラに出くわした。
トロールは森を生息地としているゴールドランクの魔物で、ゴーレムのように決められた場所にしか現れない特性をもつ。三メートルはあるであろう巨体で、現地調達の丸太などで殴りかかってくる。全体的に動きは遅いため油断しなければ、一撃も食らわずに倒すことも可能。
この魔物の恐ろしいところは、多少の傷であれば自己修復することだ。最低でもゴーレムを真っ二つにできるぐらいの攻撃力がなければ、延々に回復されてしまい攻撃側が先に力尽きてしまう。その上、討伐したとしても報酬が安い。ゴーレムが金貨二枚に対して、トロールは銀貨五枚。労力に対しての報酬が安すぎるため、ゾンビと同じように不人気ランキング上位の魔物である。
マンドラゴラは地中に埋まっているシルバーランクの魔物で、人が踏み込んでいない土地にいることが多い。そのわけはトロールやゴーレムのように特定の条件があるとかではない。冒険者に発見されると、すぐに収穫されてしまうからだ。
色々な薬の材料になるため非常に重宝されている。無傷の状態で収穫できた場合には、白金貨一枚という破格の値がつく。ただ注意するべき点もあり、マンドラゴラは引っこ抜く際に断末魔の叫びをあげる。その声を聞いた者は即死する。その対処法として声が聞こえないように遠距離から仕留めたり、声が出せないように口を切り落としたりしている。安全重視で品質は後回し。だからこそ、最高品質のマンドラゴラは希少価値が高く高額で取引される。
ここが異世界ということもあって効果も桁違い。蚊のみではなくて蛇やヒルといった厄介な生物全てを寄せ付けない魔法の香。その効果は魔物にまで及び、シルバーランク条件によってはゴールドランクにも効果がある。国境町の防壁が簡素だったのも、騎士が巡回しているからという理由だけじゃなかった。
ただこの魔邪香をつくるのに一部特殊な材料が必要なようで、特別な理由がない限りクラーク共和国と、他には国境に隣接する町でしか購入することができない。
万能蚊取線香とか誰もが欲しがる一品。つくればつくるほど売れるんだろうけど、その特殊な材料を取りすぎて枯渇しないように、国が上限を設けているのかもしれない。
そんな事前情報を知らなければ僕の貧乏性が発動することはなかった。
後悔先に立たずとはまさにこのこと……。
イシュラからはフォルス大森林に入ったら、すぐに焚いて煙を維持しろと言われていた。三か月は使い続けても余裕でもつからと、再三注意されていたにもかかわらず、僕はつい勿体ないと思ってしまい昼に一度火を消してしまった。
香が切れた瞬間に蚊が寄ってきて献血してしまった。刺された箇所は右腕で、赤くはれてはいないけど無性に痒い。神経がその一点に集中しているのかと、錯覚を覚えるほど痒くてたまらない。
即再着火したので二撃目は何とか止めることができた。
僕は右腕をつねりながら、もう二度とこの煙は絶やさないと心に誓った。
隙間なく生えた木々によって、日光は遮られていて通り道以外は常に薄暗い。普段なら野宿をする場合だと、道から外れた場所に移動して寝床を決める。だが、この森で野宿する場合は石畳の上じゃないといけない。まだ道から離れ切っていない場所、目と鼻の先ぐらいであれば問題ないが、それよりも奥に入ることは禁止されている。
魔邪香が効く魔物は条件付きでゴールドランクまでとなっている。その条件がフォルス大森林の奥に入らないこと。町や道といった開拓エリアと未開拓の奥地では生息している魔物が異なる。つまり、同じゴールドランクの魔物でも、魔邪香を苦手としない魔物が棲んでいる。
森の奥に行けば行くほど魔物もまたどんどん強くなる。森の奥地にはバジリスクのようなプラチナランクの魔物がうじゃうじゃといるらしい。最奥には僕と同じミスリルランクの魔物もいるとかいないとか。
一対一ならまだしも、あれを複数相手取るとか……倒すどころか逃げ切れるかどうかも怪しい。
とまあ起きていれば、まだワンチャンあるかもしれないが、寝てたらアウトだよねってことで禁止になったらしい。
ただこれはあくまで野宿をする際に禁止なだけで、自己責任にはなるが森を探索すること自体は禁止されていない。なので、僕は日中に何度か木漏れ日を頼りに森を見て回った。
そこでゴブリンのような緑色をした巨人の魔物トロールと、大根のような根菜類に人面のある魔物マンドラゴラに出くわした。
トロールは森を生息地としているゴールドランクの魔物で、ゴーレムのように決められた場所にしか現れない特性をもつ。三メートルはあるであろう巨体で、現地調達の丸太などで殴りかかってくる。全体的に動きは遅いため油断しなければ、一撃も食らわずに倒すことも可能。
この魔物の恐ろしいところは、多少の傷であれば自己修復することだ。最低でもゴーレムを真っ二つにできるぐらいの攻撃力がなければ、延々に回復されてしまい攻撃側が先に力尽きてしまう。その上、討伐したとしても報酬が安い。ゴーレムが金貨二枚に対して、トロールは銀貨五枚。労力に対しての報酬が安すぎるため、ゾンビと同じように不人気ランキング上位の魔物である。
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