183 / 403
第5章 流来
第18話 門番
しおりを挟む
エステラの矢がバグベアを貫く。
巨大な体で地面を響かせて進む、真っ赤な剛毛で覆われたバグベアは黒い煙となって消え失せる。
その者達はエステラに近づくことさえさせない。
――すると。
地を覆う影を伴って20m超級のヴイーヴィルが姿を現した。
群青の巨体が示威で圧し上空をゆるりと旋回する。
エステラは巨大な標的へ向けて千の矢を放つ。
その全ての矢は命中したが、ヴイーヴィルが身に纏う障壁により跳ね返された。
(――損傷無し)
彼女はもう一度試してみるが同じ結果だった。
「――収斂」
(準備完了)
エステラが弓を引くと真っ白に光り輝く弓がつがえられる。
千の矢を集めた高エネルギーの一射だ。
まばゆい光を放つそれが光の筋となる。
(――命中)
その一撃に障壁を貫かれヴイ-ヴィルが唸り声を上げた。
頭部の一部が黒い煙と共に霧散する。
――だが損耗は軽微だった。
「……一〇本」
(一〇倍――準備完了)
エステラが弓を引くとその前方に収斂され光り輝く一〇本の矢が現れる。
エステラは――それを放つ。
一〇本の眩い矢は、かの障壁を打ち抜きヴイ-ヴィルの頭を損壊させた。
頭を落とされたヴイーヴィルは黒い煙となって空に広がり一瞬で失せる。
それと同時に複数の唸り声が大地に響き渡った。
そして――二〇匹のヴイ-ヴィルが一斉に大空へ飛び立つ。
「……面倒い。その矢を千本にして地上を殲滅。その後、空トカゲを攻撃」
(了解――三乗。――準備完了)
エステラが白光する千本の矢を放つと地上と水平軌道で散開し地の魔物を貫通し薙ぎ払った。
大地を黒い煙がうねり席捲する。
その矢は糸を引く光となると、垂直に急上昇してヴイーヴィルを打ち抜いた。
(――任務完了)
「――んっ!」
モンスターのいなくなった荒野で闇の底から轟く咆哮が上がる。
ダンジョンの入口からゆっくりと全身を甲冑で固め、大きな楯を携えた騎士のモンスターが出現した。
全身が乾いた血を思わせる黒に近い赤で楯は光すら吸い込む漆黒。
5mの体長で凶悪なハルバードを掲げ拳を突き上げ、今度は存在を誇示するように大空へ向けて咆哮する。
かの者はダンジョン最深部を守るゲートキーパー。
――ペルスヴァルだ。
そして、彼の者は地を響かせエステラに向かい駆けだした。
エステラは落ち着いて光輝く千の矢を放つ。
発射と同時に当たったそれはペルスヴァルの楯と鎧の表面を撫でるように後方へと流れた。
(――失敗)
千の力を束ねた矢ですら防御特化のペルスヴァルを貫くことは出来なかった。
巨大な体で地面を響かせて進む、真っ赤な剛毛で覆われたバグベアは黒い煙となって消え失せる。
その者達はエステラに近づくことさえさせない。
――すると。
地を覆う影を伴って20m超級のヴイーヴィルが姿を現した。
群青の巨体が示威で圧し上空をゆるりと旋回する。
エステラは巨大な標的へ向けて千の矢を放つ。
その全ての矢は命中したが、ヴイーヴィルが身に纏う障壁により跳ね返された。
(――損傷無し)
彼女はもう一度試してみるが同じ結果だった。
「――収斂」
(準備完了)
エステラが弓を引くと真っ白に光り輝く弓がつがえられる。
千の矢を集めた高エネルギーの一射だ。
まばゆい光を放つそれが光の筋となる。
(――命中)
その一撃に障壁を貫かれヴイ-ヴィルが唸り声を上げた。
頭部の一部が黒い煙と共に霧散する。
――だが損耗は軽微だった。
「……一〇本」
(一〇倍――準備完了)
エステラが弓を引くとその前方に収斂され光り輝く一〇本の矢が現れる。
エステラは――それを放つ。
一〇本の眩い矢は、かの障壁を打ち抜きヴイ-ヴィルの頭を損壊させた。
頭を落とされたヴイーヴィルは黒い煙となって空に広がり一瞬で失せる。
それと同時に複数の唸り声が大地に響き渡った。
そして――二〇匹のヴイ-ヴィルが一斉に大空へ飛び立つ。
「……面倒い。その矢を千本にして地上を殲滅。その後、空トカゲを攻撃」
(了解――三乗。――準備完了)
エステラが白光する千本の矢を放つと地上と水平軌道で散開し地の魔物を貫通し薙ぎ払った。
大地を黒い煙がうねり席捲する。
その矢は糸を引く光となると、垂直に急上昇してヴイーヴィルを打ち抜いた。
(――任務完了)
「――んっ!」
モンスターのいなくなった荒野で闇の底から轟く咆哮が上がる。
ダンジョンの入口からゆっくりと全身を甲冑で固め、大きな楯を携えた騎士のモンスターが出現した。
全身が乾いた血を思わせる黒に近い赤で楯は光すら吸い込む漆黒。
5mの体長で凶悪なハルバードを掲げ拳を突き上げ、今度は存在を誇示するように大空へ向けて咆哮する。
かの者はダンジョン最深部を守るゲートキーパー。
――ペルスヴァルだ。
そして、彼の者は地を響かせエステラに向かい駆けだした。
エステラは落ち着いて光輝く千の矢を放つ。
発射と同時に当たったそれはペルスヴァルの楯と鎧の表面を撫でるように後方へと流れた。
(――失敗)
千の力を束ねた矢ですら防御特化のペルスヴァルを貫くことは出来なかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,581
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる