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第5章  流来

第77話  翻弄

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 この場所で戦闘を始めてどれくらい経っただろう、倒しても新たに現れるモンスター。

 そのたびに鳴る鈴の音。

 こんなに立て続けに鳴るのも初めてだ。

 げんなりしながらも俺は、この試練だか、管理室への道を守るガーディアンとの戦闘だかをこなしてゆく。

 さすがに、アダマンティン製の剣は優秀だ。

 モンスターをサクサク切れる。

 何故こんなに優秀なアイテムを、わざわざ侵略者へ渡すのか? 若干の疑いとこれ自体が地雷ではないかと怖さを感じる。

 だが、『直観』はそれが、正しい方法だと告げている。

 大丈夫かな? 俺が作り出した魔法? 俺の周りでは、よくとんでも案件が発生するからな。

 誤作動の可能性も、……50%は加味しておこう。

 リリン。リリンうるさい鈴の音にうんざりしながら、四体のモンスターを倒した。

 すると――剣を佩いた人型らしき影が現れた。

 はい。はい。来ましたね。定番のど真ん中! テンプレ中のテンプレ!

 そうそう。そういう展開を一度やってみたかった。

 今の俺を超えれば勝てるやつ。――伸び代で上回るやつだ。

 みんな大好きな! 週刊で少年なヤツだよ!

 ――ん? 何か一回り小さいな? 今の俺は190cmあるからな。

 現れたモンスター? 人物を見て絶句する。

「――うそだろっ!」

 思わず声が出た。

 現れたのは、師匠のおっさん。

 見慣れた格好で、相棒の剣をき悠然と立っていた。

 俺が知る中で武力の最高峰。それを見て笑う。

 日々目指した頂が、目の前に現れた。

 今の自分と戦う? ちゃんちゃら可笑しい。

 本物じゃない師匠のおっさんごとき、サクッと倒してしまわないとね。

 王都を出て四年半の研鑽が試される時だ。

 対おっさん用の道具が、使えないのは痛いが。

 それに、できれば、じょうを使いたかったがな。

 泣き事を言っても仕方がない。

 今の俺の力をぶつけてやる。

 身体強化を使わないおっさんなら、瞬殺だぜ?

 ――俺はその甘い考えを後悔する。

~~~

 何度飛ばされたか分からない。

 倒れている俺に、おっさんは容赦なく切りかかる。

 俺はそれをブーツで受けて、なんとか躱し体勢を整える。

 とんでもない。変態な剣だ。

 俺もよくこんなに長時間死なずに持ったもんだ。

 対戦するおっさんは、今の俺が訓練で、想定している技量を持ち合わせている。

 対戦相シャドウ手として、想像しているから何とか躱せていが、それだけだ。

 結局、俺の剣は、おっさんの劣化コピーでしかない。

 剣は通じず、格闘はいなされる。

 体中切り刻まれて、防具はボロボロ。

 俺の高い耐久がなければ、もう立つことも出来ないほどだ。

 絶えず発動している、治癒の光魔法が、それを助ける。
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