248 / 403
第5章 流来
第83話 魂混
しおりを挟む
――――少し時を遡る。
ダンジョン深層の管理区域で、神武はサイネの居ない時を過ごす。
――と。不意に報せる警戒音。
管理区域への侵入を告げる一報だ。
素早く問題の映像を確認する。
侵入して来たのは、階層を守るはずのガーディアンモンスター。ルガト。
巨大な戦斧を担ぐように掲げ、管理区域へと押し入る。
(――何が起きているんだ?)
神武は不審に思いながらも、すぐに対処をする。
ダンジョンの管理者にとってモンスターは、唯の駒だ。
消去を実行すれば良い。
その命令により、一瞬で霧散するルガト。
――そして、黒い蝶の大群が現れる。
毒華におもねる黒蝶は、壁すらもすり抜け目標へと舞い狂う。
管理区域の防衛システムが、レーザーで、それらを撃ち落とすが、その数が多く全てを捉えきれない。
それらが、求めるものはヌクレオ。
高エネルギー体を察知して、迷わずに殺到した。
そして、いくつもの蝶がヌクレオに張り付いた。痺れと熱気の内在する痛みが躰を襲う。
朦朧とする意識の中で案ずるは一つ。
(――サイネ……さま)
神武が想ったのは自分の主。サイネの事だった。
貼りついた蝶が広がるように、ヌクレオは黒く変貌し、神武の姿が、かき消える。
そして、暴走したヌクレオは、都市への攻撃を開始した。
§
青に近い紫色の空間で、神武は、前世の記憶を取り戻した。
日本人の守武であった記憶。ファギティーヴォの暴走が、偶然引き寄せた結果だ。
正確には、ファギティーヴォが求めた力はヌクレオであり、独立した人格の神武は異分子であった為に、そこから弾かれた。
そして、以前ノアを隔離し守った空間が、未だにヌクレオ内に確保されていた為に、前回と同様その空間へと飛ばされたのだ。
そして、今生の記憶と結びつく。
そこからは、良く知る記憶だ。
ダンジョンマスターの女性の補佐をするヌクレオとして、身を守る為にダンジョンを運営し、三万五千年。
変化はノアというイレギュラーによって齎された。
暴走兵器ファギティーヴォからノアを守る為に、ツイストバングルがこの空間を生み出した。
その時にノアに取り込まれていたヌクレオは、不要な日本での記憶として、守武人格が弾き出された。
そのあとは、ノアの上位権限により、人格が容認され、神武の姿を手に入れるに至った。
だが、今回は、ツイストバングルが介在していない。
ヌクレオも暴走状態で、前回は弾かれた前世の人格が、神武の中で重なり混ざったのだ。
ダンジョン深層の管理区域で、神武はサイネの居ない時を過ごす。
――と。不意に報せる警戒音。
管理区域への侵入を告げる一報だ。
素早く問題の映像を確認する。
侵入して来たのは、階層を守るはずのガーディアンモンスター。ルガト。
巨大な戦斧を担ぐように掲げ、管理区域へと押し入る。
(――何が起きているんだ?)
神武は不審に思いながらも、すぐに対処をする。
ダンジョンの管理者にとってモンスターは、唯の駒だ。
消去を実行すれば良い。
その命令により、一瞬で霧散するルガト。
――そして、黒い蝶の大群が現れる。
毒華におもねる黒蝶は、壁すらもすり抜け目標へと舞い狂う。
管理区域の防衛システムが、レーザーで、それらを撃ち落とすが、その数が多く全てを捉えきれない。
それらが、求めるものはヌクレオ。
高エネルギー体を察知して、迷わずに殺到した。
そして、いくつもの蝶がヌクレオに張り付いた。痺れと熱気の内在する痛みが躰を襲う。
朦朧とする意識の中で案ずるは一つ。
(――サイネ……さま)
神武が想ったのは自分の主。サイネの事だった。
貼りついた蝶が広がるように、ヌクレオは黒く変貌し、神武の姿が、かき消える。
そして、暴走したヌクレオは、都市への攻撃を開始した。
§
青に近い紫色の空間で、神武は、前世の記憶を取り戻した。
日本人の守武であった記憶。ファギティーヴォの暴走が、偶然引き寄せた結果だ。
正確には、ファギティーヴォが求めた力はヌクレオであり、独立した人格の神武は異分子であった為に、そこから弾かれた。
そして、以前ノアを隔離し守った空間が、未だにヌクレオ内に確保されていた為に、前回と同様その空間へと飛ばされたのだ。
そして、今生の記憶と結びつく。
そこからは、良く知る記憶だ。
ダンジョンマスターの女性の補佐をするヌクレオとして、身を守る為にダンジョンを運営し、三万五千年。
変化はノアというイレギュラーによって齎された。
暴走兵器ファギティーヴォからノアを守る為に、ツイストバングルがこの空間を生み出した。
その時にノアに取り込まれていたヌクレオは、不要な日本での記憶として、守武人格が弾き出された。
そのあとは、ノアの上位権限により、人格が容認され、神武の姿を手に入れるに至った。
だが、今回は、ツイストバングルが介在していない。
ヌクレオも暴走状態で、前回は弾かれた前世の人格が、神武の中で重なり混ざったのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,582
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる