農家は万能!?いえいえ。ただの器用貧乏です!

鈴浦春凪

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第6章  罪咎

第50話  発露

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 エステラはジョシュアが選び取った結果だから、あなたは悪くないとは言わない。それが慰めにならないと。むしろ傷つけると知っているから。

 ノアは死を選ばせてしまったことを後悔している。魂を削るほどに。

 そして皮肉気に微笑む。

「――エステラは赦してくれるのか。このボンクラを」

「許す。認める。良くやりました大認定。私はいつでもノアの味方。お疲れ様」

 悲しみが少しでも軽くなるように、慚愧ざんぎが僅かでも薄らぐように言葉を紡ぐ。


 ――と。

 ノアの瞳からハラハラと雫が落ち直ぐに止まる。

 泣くことで救われるものもある。それを知るエステラは、初めて目の当たりにしたノアの弱さにとめどない感情が溢れ出した。

 彼女はそっとその跡を拭うようにキスをした。悲しみを共有したくて。その気持ちを支えたくて。

 そして、ヨシヨシと言いながら大きな背中を優しく叩いた。

 それにより顔を赤くしたノアが我に返り、意識を切り替えて事態を収束にかかった。





 まさか一九歳にもなってヨシヨシ。されるとは……。まぁ。エステラのほうが俺より年上だし、孤児院ではお姉さんだったから思わず言葉が出たのだろう。

 ――何かほっぺたに触った気がしたが? 頬を寄せられた? まぁ。ネスリングスの女性陣はスキンシップが厚めだからな。

 頭は無理をし過ぎてぼんやりで、視界は狭窄していたがヨシヨシの衝撃のお陰で頭が切り替わった。時間は少ない。俺は確実にぶっ倒れる。それまでにいくつか処理しておかないといけない。

 ジョシュアさんの亡骸に縋る子供は落ち着くまで置いておこう。

 まずは集団避難中のゴブリンに事態の収束を連絡。手紙を書き出すと制帽風キャスケット帽のいつもの格好でモルトがスタンバイしている。

 頼んだぞモルト。

 森の動物の混乱は時が落ち着かせてくれるだろう。

 ツンツクとオナイギには森の見回りをお願いした。

 エステラは少年に近づき声には出さずに優しく背中を叩いている。

 ――おっと! 意識が飛びかけた。膝も抜けてよろめく。

 ん? どうしたカロ? 体内待機を命じていたカロがフワフワと飛んで行く。

 向かった先はジョシュアさんの元。カロがその額にとまると柔らかな緑の光を明滅させた。


 ――――すると。今まで一切効果を現さなかった霊薬が効き始める。だが、腕すら再生させる効能が発揮されない。
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