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第三章
44.啜る ★
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「うっ……」
疲労感の中、リアは目を覚ました。目を開けているのか閉じているのか一瞬分からなくなるほどに、辺りは暗闇に満ちている。リアは痛む頭のまま暗闇を見つめぼんやりとしていたが、やがて、自分がゼルドリックに攫われたこと、手酷い凌辱を受けたことを思い出した。リアの心に、たちまち絶望と悲しみが込み上げる。
「……うう……く、うぅっ……」
呻き声を上げ、怠い身体に鞭打って上体を起こせば、ゼルドリックの残滓がごぷりと内から溢れるのを感じた。流れ出たであろう大量の白濁に、リアは涙を滲ませた。
「……こんなに、たくさん……」
リアは流れるそれを感じ取り身体を震わせた。昨夜のゼルドリックは怖ろしかった。レントやオリヴァーの名を出して自分を脅し、膣に何度も何度も精を放った。何の抵抗もできず、暗闇の中で奴隷のように身体を貪られ続ける。身体に刻みつけられたのは甘い痺れだというのに、これからのことを考えて、心が酷く軋む。自分とゼルドリックは、一体どうなってしまうのだろうか……。リアはそう考えて、強い吐き気を催した。
(ゼルは、確かに私を壊そうとしている。優しさも、甘さもなく)
いたずらに強い快楽の海に沈めるような、好き勝手に身体を啄み搾取するような、一方的で乱暴な交わり。
(私が、彼をそんな風にさせてしまった……)
大雨の中でもはっきりと分かるほどに、彼は青い瞳から滂沱の涙を流した。震える声に、呆然とした顔。受け取れなかった青く美しい魔法の薔薇。彼を狂気に追いやる引き金を引いたのは自分だと思うと、辛くて悲しくて仕方がなかった。ゼルドリックとの甘く優しい思い出が、リアの中でくすんでいく。
(ごめんなさい、ゼル……)
リアはしゃくりあげ、流れる涙を拭おうとした。そして気が付いた。
自分は裸だ。そして手首には大きな錠が嵌められていて、そこから太い鎖が伸びている。手首だけではなく、足首にも頑丈な錠が嵌められていた。リアは異様な拘束にざっと顔を青褪めさせ、錠を震える指でなぞった。力の強いドワーフでも壊せないであろうそれに、リアは呆然と呟いた。
「……どうして」
リアの手の動きに合わせて重々しく鳴る鎖。レントの言葉が、頭の中に響く。
――リアさん。あなたが……。あなたが、どこかに監禁され、奴隷のように鎖で繋がれ、ゼルドリック様からひたすら酷い凌辱を受け続ける未来です。
「う、あ……! うそ、うそ……」
リアは慄いた。レントが視たのは、この悍ましい状況ではないだろうか? もしそうだとしたら、自分は避けようとしていた未来に確かに足を踏み込んでしまっている。レントの予言通りに進むならば……。自分はゼルドリックから凌辱を受け続け、大切な人々を失う結果に終わる筈だ。心臓が早鐘を打つ。リアは首を横に振り、受け入れ難い現実から逃げようとした。
「い、いやっ……そんな……! そんなの絶対にいや……! う、ううっ……」
ぼろぼろと涙を流し、強い不安から逃げるように頭を抱える。リアが顔を膝に埋めた時、ゼルドリックが暗闇の中から現れ、彼女の赤い髪をぐっと掴んだ。その乱暴な行いはますますリアの胸を軋ませた。
「起きたか」
ぼう、と蝋燭が灯り、ゼルドリックの顔を照らす。青い瞳には底知れない昏さが宿っていて、リアはその怖ろしさにがたがたと身体を震えさせた。ゼルドリックを前にして言葉が出ず小さく声を漏らすだけのリアを、ゼルドリックは不愉快そうに見た。
「あ、あ……う、あ……」
「なぜそう怯える? 昨日あれだけ気持ちよくさせてやっただろう? それに感謝し、喜んで俺を受け入れるべきじゃないか?」
「ひっ……」
「その無駄に大きくて下品な胸をぶるぶると揺らして、俺の下で何度も達しただろうに。乳首も陰核もびんびんと尖り切って、しゃぶってやれば情けなく大声を上げたよな? 最後は俺に縋り付いて、自分から肉付きの良い足を絡ませてきただろう。君もしっかり悦んでいたじゃないか」
ゼルドリックは腐すような言い方でリアの胸に触れた。下から掬い上げられ芯を揉まれるような触れ方に、リアは与えられた怖ろしい快楽を思い出し声を上げた。
「私の全てはあなたのもの、あなたになら何をされてもいい、あなたの子を産みたい、自分の膣内にどうか精を出してください、愛しています……。君はそう俺に言ったではないか。もう忘れたか?」
「う、ううっ……」
(それ、は……無理やり……)
リアは、自分が晒した昨日の醜態を覚えていた。強すぎる快楽に朦朧としながらも、レントの命を守るために必死にゼルドリックに従順であろうとした。ゼルドリックに促されるまま、彼の望む言葉を吐き出した。どんなに淫らでいやらしい言葉でも、彼の機嫌を損ねないために紡いだ。
だが、ゼルドリックの言う通り、言葉は無理やり紡がされたとしても、自分の身体は確かに悦んでいた。心が辛いのに、ゼルドリックが怖ろしいのに、彼にうつろを満たされ穿たれる度気持ちよくて仕方がなかった。
酷いことをされても、自分はまだ彼を愛している。彼からの接触を、堕ちきった身体が拒める訳がなかった。黙りこくり俯いたリアの顔に、僅かに朱が差す。ゼルドリックはそれを認め、ゆっくりと口の端を歪めた。
「誓いは守らねばな。君は俺のものだ。俺に全てを捧げろ。決して拒むなよ、リア……」
ゼルドリックはリアを強く抱きしめ彼女の唇を舐め回した。蛇のように這い回る赤い舌が唇を犯す。リアがおそるおそる唇を開けば、ゼルドリックの舌が入ってきた。別離の時間を埋めるように、彼の舌はリアの腔内をしつこくしつこく犯した。
後頭部に手を回され、耳に指を差し入れられ、じっとりとした目で見つめられる。ゼルドリックはキスの時、決して目を瞑ることはしない。青い瞳に自分の悶える姿を焼き付けられているようで、リアは羞恥に目を瞑った。十分ほど経った後、ゼルドリックはやっとリアを解放した。
「んむっ……は、はあっ、くくっ……。君の舌は柔らかいな」
「はあっ、はあっ……う、けほっ……」
「目を閉じるなと教え込んでやったのに。まだ、調教が必要なようだ」
ゼルドリックはリアに手を伸ばした。リアの身体が、大きなダークエルフの腕にすっぽりと抱えられる。手首と足首に着けられた錠が、瞬く間に消え去った。暗闇を照らす明かりは僅かだというのに、ゼルドリックはリアを抱えたまま、淀みなく歩いた。錆びた数本の鉄の棒が見える。リアは暗闇の中で、目を凝らしてそれを見た。
(鉄格子?)
明かりの中で微かに見えたそれ。リアは、ここはどこかの牢なのだろうかと思った。自分が昨日座らされた木馬。罪人を苦しめる拷問器具がここにある事自体おかしなことだと思った。日の光が一切差し込まない部屋といい、自分の手首足首に着けられた頑丈な錠といい、牢と考えるならば納得が行く。
(牢か。ここに、私を拷問するための道具は山程あるのでしょうね……)
昨日の木馬はゼルドリックが手を加えたと言ったが、かつて誰かの拷問に使われたものなのかもしれないと考えると背筋が冷え、心の底から嫌な気分になった。誰かの血が染み込んだかもしれない木馬に、自分は昨日大量の愛液を染み込ませたのだ。リアは顔をしかめ、唇を噛んだ。
「君の考えていることは分かりやすいな」
ゼルドリックはリアの鼻をつついて、薄い笑みを浮かべた。
「大方、ここが牢だと気が付いて、自分が座った木馬が、かつて誰かを苦しめたものかもしれないと思い嫌な気分になったのだろう? 安心したまえ。君を乗せた木馬は俺が手ずから作ったものだ。手を加えたと言ったのは、本来の三角木馬とは形状が違うという意味だ。鎖も寝台も、君の肌に触れるものは俺が用意した。どこの馬の骨の血が染み込んだか分からない、得体の知れないものに君を座らせる訳がないだろう?」
「作った、って……あれを?」
「ああ。君に触れられない時間、持て余した熱を発散させるために……どうしたら君をもっと気持ちよくさせてやれるか考えながら作ったのだ。あの木馬とゴムの玉、作って正解だった。あれに苦しみ、悲鳴を上げ続ける君は本当に美しかった……」
ゼルドリックはうっとりと呟き、リアの額に唇を落とした。
(……怖い。あれを、作ったですって?)
ゼルドリックの絡みつくような執着。その根本にある動機が、リアには全く掴めなかった。彼はなぜ自分にそこまで執着するのだろうかとリアは思った。
「君を想って作ったものは他にもあるぞ? 君の淫らな身体を満足させられると思う。楽しみに待っていてくれよ……。だが、まずは身体を清めねばな」
ゼルドリックはひとつの扉の前で止まり、錆びた取っ手を回した。その部屋の中には、大きな浴槽が取り付けられていた。ゼルドリックが用意したであろうそれの中に、リアはそっと下ろされた。水などどこにもないのに、ゼルドリックの魔法によってみるみる湯が溜まっていく。温かな湯に肌が包み込まれるのは気持ち良いが、リアは嫌な予感がした。浴槽は広く、大人が数人浸かってもまだ余裕がありそうな程の大きさだった。
「さて、入ろうか」
(やっぱり……ゼルも、入ってくるのね)
服を脱ぎ捨て、ゼルドリックが浴槽の中に入ってくる。湯の中で黒い腕に抱き留められ、リアは心の中で諦めの溜息を吐いた。魔法で作られた無数の黒い手が、リアの身体中を這い回る。軽い魔力酔いに、リアは頭をくらくらさせた。力の抜けた身体を愛おしそうに抱きしめ、ゼルドリックはそっと自分の手をリアの股に差し入れた。
「うあっ!?」
ゼルドリックの指がリアの膣に入ってくる。彼は昨日注いだ己の精を、リアの内から優しく掻き出した。
「リア……エルフという種は子を生す本能が希薄でな。昨日も言ったがエルフの精は薄いのだ。子を作ろうと思っても中々結ばぬ。だが、いくら薄いとはいえこれだけ注いだのだから……この白い腹に命が宿るのも、そう時間はかからなさそうだ」
怖ろしい言葉を紡ぎながらゼルドリックは嬉しそうに笑った。
「古い精を残しておくことはない。いつも新鮮な精を注いでやれるのだから。なあリア、早く孕んでしまえ。俺の子を宿した君を早く見たい。それでこそ……それでこそ、君が俺のものになったのだと実感できる」
「ふ、ふああっ…」
温かな湯が膣の中に入りこみ、ゼルドリックの骨ばった指が陰核を掠める。無数の黒い手はリアの官能を呼び起こすように肌を這い回った。膣の中から精液が出なくなった後、ゼルドリックはリアを浴槽から出し、彼女の身体に泡を纏わせた。髪から爪先まで、リアの身体がゼルドリックの手によって丹念に洗われていく。リアは目を瞑って耐えた。幼い子供にするような行いに、リアは強い羞恥を感じた。
「くくっ……綺麗になったぞ。さあ、次は君の番だ」
「え……?」
「俺の身体を洗え。君の身体を清めてやったのだ。お返しは必要だろう?」
震える手に石鹸を握らせ、ゼルドリックは高圧的に命じた。リアが湯を浴びせながら黒く艷やかな髪を梳くと、ゼルドリックは頬を上気させ目を瞑った。黒い肌に指を滑らせ、ゼルドリックの身体を清めていく。筋骨隆々な腕や温度の高い肌に触れる度に、リアは心の内側が優しく引っ掻かれるような感じがした。そそり勃った陰茎に気が付かないふりをして、割れた腹を洗おうとすると、ゼルドリックはリアを優しく止めた。
「そこは手で洗わなくていい」
(…………)
リアが嫌な予感を覚え言葉を失うと、ゼルドリックはリアの豊かな双丘に泡を纏わせた。
「君の豊満な胸で洗え。泡を乗せたそれを……俺の身体に擦り付けるのだ」
「いっ……」
嫌、と言いかけ、リアは急いで口を噤んだ。
悍ましい未来に足を踏み入れたこの状況で、ゼルドリックの不興をいたずらに買う訳にはいかなかった。リアは羞恥を堪えながら、泡を纏った胸をそっとゼルドリックの男根に擦り付けた。顔を赤くするリアを、ゼルドリックは熱の籠もった目で見つめた。そそり勃つ大きな陰茎がリアの顔の前にある。リアは悩んだ後、それを自分の胸でそっと挟んだ。
「ああ……いい。リア、絶景だぞ」
(……気持ち悪い、人にこんなことをさせておいて。何でそんなに……嬉しそうなのよ)
身体を清めるだけだとリアは思っていたが、ゼルドリックは収まりが付かないそれをリアの胸に押し付け、やがて顔に精を浴びせた。リアは心の中で悪態を吐きながら、ひとつ涙を流した。
(最低)
愛玩動物のような扱いに、リアの心がまた酷く軋む。
(私、どうなるんだろう)
自分の嫌悪や意思を全て蔑ろにされて、従順に振る舞い、何もかもを彼に明け渡す。そうすればするほど、自分を気遣ってくれた優しいゼルドリックのことを思い出して、どうしようもなく辛くなった。
(こんな乱暴なやり方じゃなくて……穏やかに触れてほしかった……)
リアは再び、そう思った。叶わぬ願いを抱えたまま、リアは近づいてくるゼルドリックの唇を受け入れた。
(王子様……)
リアは優しかったゼルドリックに呼びかけた。黒の王子様の甘い微笑みを思い浮かべ、切なさに胸を震わせた。
身体を清め終わった後、リアはふかふかとした寝台の上に横たえられた。ゼルドリックがぱちりと指を鳴らすと、手首と足首に再び錠が嵌められる。自分に伸し掛かってくるゼルドリックに、リアは悲しみを宿した目を向け訊ねた。
「ねえ、ゼル……。聞いてもいい?」
静かな声で問いかける。ゼルドリックは数秒黙した後、何だと答えた。
「あなたは私を手元に置くために、多くの罪を犯したと聞いた。分からないの。あなたがそうまでして私を得ようとした理由が……」
溢れ出る涙を止めるように、リアは目を瞑った。彼の深淵が分からない。
自分に執着を向ける理由が分からない。分からないから、愛おしいのに怖い。ゆっくりと、吃りそうになりながらも言葉を紡いでいく。
「私……。別に綺麗でも何でもないわ。ゼルは前に可愛いって褒めてくれたけど、そばかすだらけで、手だってあなたが言った通りひび割れて、ささくれて、他の女の人の手の方がずっとずっと綺麗で柔らかい。田舎者で、洗練されていないただの混ざり血の女。ゼルには……。もっと相応しい女性がいるでしょう?」
「……リア」
「私のどこに惹かれたというの? 私は、あなたの心を強烈に惹くようなものを、何も持ち合わせていない。どうして? どうしてこんなことをしてまで私を手元に置こうとするの……? あなたが私にここまで執着する理由が分からないわ。分からないから、怖い……」
ゼルドリックはリアの問いに言葉を返さず、涙を流すリアの顔を暫く見ていた。涙に濡れたリアの頬に手を添え、彼女の耳元で囁いた。
「有象無象と比べての美醜など何になる。君は俺にとっての唯一なのだ。姿かたち、内面。君の全てが俺を狂わせる。君以外の女には決して惹かれることはない。俺はリア=リローランに、魂をすっかり捧げたのだから」
リアはゆっくりと目を開けた。ゼルドリックの青い瞳が、複雑な光を宿して揺らめいた。
「恋い焦がれ、長い間願い続けた女に逢えた時の喜びが分かるか? 求め続けた女と触れ合えた時の、魂の高揚が分かるか? 何よりも大事な女と過ごした生活が、どれほどに甘美であったことか。そしてその女に拒絶された時のこの心の痛みが……君に分かるか? 分からぬだろうな、だから俺からあっさりと離れたのだ。リア、君は奇跡なのだ。決して手放せない」
願い、奇跡。現実的でない言葉が、ゼルドリックの口から溢れる。
「願い続けた? 求め続けた? 私を、随分前から知っているような言い方をするのね……? 引っかかる言い方をするわ、あなたらしくもない。一体――」
どういうことだとリアが聞く前に、ゼルドリックはリアの唇を塞いだ。
「君には決して分からぬのだ。長い時を掛けて俺の心の中で燃え盛る恋情を。地獄の炎のような強い恋情を」
独り言のように呟いて、ゼルドリックはリアの肌に唇を落とした。柔らかく耳を食まれ、リアはぴくりと身体を震わせた。
「他に、相応しい女がいる……か。残酷な言葉だ。俺には君しかいない。君に触れることでしか救われない」
「ふ、あっ」
ゼルドリックはリアの滑らかな肌に手を滑らせた。その手の動きには今からお前を犯すのだという意思が込められていて、リアは身を悶えさせた。
「教え込まねば。俺を救えるのは、君しかいないのだと……」
「ゼル……?」
「早く、早く君を壊してしまおう。嫌う俺に愛を囁くまでに壊してしまおう。そうしたら、君に薔薇を贈ってやるのだ。君から愛の言葉を貰えれば、あの薔薇は咲くはず。……俺と君は、魂で結ばれるはず……」
「何を言ってるの……?」
「魔力を満たすのだ。その器に……。俺の願いを叶えるために……」
ゼルドリックのどろどろとした声が落ちると、辺りをぼんやりと照らしていた明かりが幾つか消えた。寝台の横に置かれた蝋燭だけが、二人を微かに照らしている。
「なあ、リア……。昨日は辛かったよな? あんなに泣き叫んで、身体を暴れさせて、潮を吹いて……。強い快楽に身悶えする君の姿は、ぞっとするほど美しかったぞ……」
「うあっ……!」
怖ろしい快楽を思い出し、リアは身体を強張らせた。強すぎる快楽は拷問になるのだと、身体の奥底まで刻みつけられた。
「これから快楽漬けの生活を送らせてやるからな。君は俺の手によって生まれ変わるのだ。なお淫らに、美しく……」
ゼルドリックは胸元から瓶を取り出し栓を開けた。暗い牢には相応しくない、濃密な薔薇の芳香が辺りに漂う。リアはそれに見覚えがあった。ゼルドリックの手によって頻繁に身体に塗られてきた、屋敷に咲き誇る薔薇を用いた香油だった。ゼルドリックは良い香りのするそれを己の指に垂らすと、リアの肌に塗り始めた。
「ひうっ! ああ、あっ……」
香油を纏ったゼルドリックの手が肌を滑る。首筋から肩、胸、腹や股、腿から爪先まで、リアの身体は薔薇の香油に塗れた。ゼルドリックの手で香油を塗られることは初めてではないが、リアは未だに慣れることなく、強い羞恥を感じた。油を身体に塗られているだけなのに、声が抑えられない。ゼルドリックの手が気持ち良くて身悶えしてしまう。そんなリアを見透かしてか、ゼルドリックはおかしそうに口角を上げた。
「ふっ……う、ううっ……ああ、あっ……」
色めいた吐息がリアの口から漏れる。リアは手を口に当て少しでも声を出さないようにした。しかし、声を止めようとすればするほどに身体の疼きが強くなる。
「あっ!? あつ……い……! 何これっ……? ゼル、あついよぉっ……!」
荒い息を吐きながら、リアは潤んだ目でゼルドリックを見上げた。じっとしていられないほどに身体中が疼く。ゼルドリックに触れられている部分が酷く熱い。
(何よ、これ……? なんで……?)
自分の芯をじくじくと苛む熱は魔力酔いだろうかとリアは思った。だが、今まで味わってきた熱の感じとは随分違う。淫らな欲求が急激に迫り上がってくる。ゼルドリックに触れてほしい、身体の奥まで暴いて欲しいという欲が頭を埋め尽くし、リアは混乱と羞恥で顔を赤くさせた。
「ほう、効いてきたか。俺が調合したが、こんなに効き目が早いとはな」
「あっ、ひゃううっ……! ああ……な、に……これ……?」
ゼルドリックはリアの胸から臀部までをゆっくりと撫でた後、彼女の耳元に低い声を落とした。
「吸収性の媚薬だよ、リア……香油の中にたっぷりと混ぜておいたのだ」
「ふう、うあっ、あああっ! やめっ、やめてっ! もう、撫でないでっ……」
肌を撫でられているだけなのに、リアは何度も浅い絶頂を迎えた。ぴくぴくと身体を震わせるリアをゼルドリックは熱の籠もった目でじっと見つめた。リアの足が緩やかに開かれ、膣口をゼルドリックの指がなぞる。ねっとりとした銀糸を認め、ゼルドリックは口角を上げた。
「くくっ……君のここ、もうとろとろだ……」
「ふ、や、やああああああっ……」
ゼルドリックの剛直が突き立てられ、一気にリアの内に入り込んでくる。自分の中を満たされる快感に、リアは乱れきった声を上げた。ゼルドリックの腰が打ち付けられる度に、ぐぷ、ぐぷと粘り気のある水音が響く。漂う濃厚な薔薇の香りに、リアは気を失ってしまいそうになった。
「はっ、はっ、リアッ……リア!」
「ああっ……あ、はあっ、んんっ、ひゃだ、やだ! こんなのっ、こんなのおっ……」
(耐えられない、耐えられないよ……!)
媚薬の効き目は凄まじかった。ゼルドリックの杭が一つ打ち込まれる度に、リアは深い絶頂に追いやられる。快楽の海に引きずり込まれ溺れるような心地に、リアは助けを求めるように必死にゼルドリックの名を呼び、広い背中に腕を回した。
「ぜ、る、ぜるっ、ぜるぅっ……ああんっ、や、ふああああんっ……!」
「は、は、ははっ……リア、可愛い、な……」
ゼルドリックは興奮のまま笑い声を漏らした。豊満な胸を揺らし、己の名を媚びるように呼ぶ目の前の女が愛おしくて堪らなかった。快楽漬けにされたリアは、心の底から自分を求めているように見えて、ゼルドリックは激情をぶつけるようにリアを貪った。ばちゅばちゅという淫らな音が響き渡る。二人は強烈な薔薇の芳香が漂う中で絶頂を迎えた。
「ひ、うあっ、くうっ、ぜ、るっ、ぜる! ああっ……!」
「リア、リアッ、リ、ア……!」
ゼルドリックの精が自分の奥底で放たれる。媚薬に蝕まれた身体には、それは砂漠の中でやっと得た水のように感じられて。強烈に求めていたものが得られた充足感が、リアの中に満ちていく。リアは絶頂の後、満ち足りた深い吐息を漏らした。
(……足りない、もっと、もっと……)
達したばかりだというのに、リアは身体の疼きが強くなっていくのを感じた。もっと欲しい。もっと目の前の男が欲しくて堪らない。ゼルドリックを突き放さなければならないという意思はどこかに行ってしまい、リアは絶頂に荒い息を吐き、自分の方へしなだれかかるゼルドリックを柔らかく抱きしめた。
「はっ、は、あ……俺のことをあれだけ嫌いと言ったくせに……。こんな風に媚びるとはな。君は本当に快楽に弱い」
「ふ、ああっ……」
「まあ、あれだけ抱いてきたのだ。そうなるのも当たり前か……」
ゼルドリックは酷薄さを滲ませた薄い笑みを浮かべると、リアに口付けた。
「リア、これを見ろ……。これもまた、君を想って作ったものだ。欲張りな君のために、何本も用意しておいたぞ?」
「あ……、何、それ……?」
リアはゼルドリックが握るそれに身体を震わせた。
「俺の男根を模したものだ。太さから長さまで、そっくりだろう?」
彼が握る黒い張り型は、確かにゼルドリックのものにそっくりだった。リアは戸惑い、張り型を食い入るように見つめた。
「それ……何に使うの?」
「もちろん君の内に挿れるのだ。この張り型は俺のものにそっくりだから、君もきっと満足できるだろうな。俺のものであれだけ達するのだ。張り型でもきっとここをびしょびしょに濡らすだろう?」
「ふ、や、あああっ……」
腰を動かされ、リアは甘い声を漏らした。
「本当は手先の器用な君にこれを作らせたかったのだ。俺のを丁寧に採寸して、太さから硬さから何から何まで確かめさせて……。なのに君は俺の元から逃げてしまった。本当に残念だ」
心の底から残念と言わんばかりに首を振るゼルドリックに、リアは思わず心の声を漏らしてしまった。
「きもち、わるい……」
ぴくり、とゼルドリックの身体が震え、昏い瞳をリアに向けた。
「気持ち悪い? 気持ち悪いだと? 俺の愛をそんな風に腐すか」
「あふっ!?」
ゼルドリックはリアの内から男根を引き抜くと、リアを勢い良くうつ伏せにさせた。そしてリアの後孔に細い瓶の口を挿し込み、中身を注ぎ込んだ。香油が後孔から流れ込んでくる感覚に、リアは悲鳴を上げた。
「や、なにっ!? やだ、やだっ、やめてよ! ゼル!」
「暴れるな、今から君のここを犯してやる」
「ひううっ!?」
「直腸からの吸収は早い筈だ。リア、尻で気をやれるように慣れていこうな……」
「ふ、ぐうっ……」
(や、お、しり……燃えちゃう……!)
リアの後孔が、身体が燃え上がるような感覚に襲われる。純真なリアにとって後孔を犯されるのは耐え難いことだった。リアは必死でゼルドリックに許しを乞うた。
「おねがいっ、ゼル! そこは違うの、そこに挿れちゃだめなのっ……」
「駄目な訳がないだろう、リア。ここでも男のものを咥えられるように出来ている。君のここはきっと受け入れられる。張り型に慣れたら、次は俺のものを挿れてやるからな……」
「ひっ、いや、いやあっ……! こわいよ、ゼル……!」
リアの後孔へ張り型が突き立てられ、そしてゆっくりと挿し込まれる。
悍ましい感覚にリアは目を見開き、身体を強張らせた。
「ああ、そんなに身体を硬くして……それでは快楽を享受できないぞ? もっと楽にしろ」
「無理、むりぃっ……ゼル、抜いてよおっ……こんなの、間違ってるっ……」
「間違っている? 間違いなどないさ、リア。ここで達けるようになってしまえ」
ゼルドリックはくつくつと笑い、リアの耳元で囁いた。
「俺は後孔で絶頂を迎える君も見たい。君のどんな姿も見たいんだ。リア……」
「う、ううっ……ふ、うあああっ……」
「ああ、この薬の効果は凄まじい。初めてだというのに、もうほぐれてうねっている。感じてきたようだな……息が荒くなってきているぞ?」
「は、はあっ……んんっ、ふ、うっ……」
(何で? お尻の穴で、どうして私……)
「ふ、やあ、やあっ……あああっ、う、ふあああんっ……」
にゅぽにゅぽと粘り気のある音を立てながら、大きな張り型が抜き差しされる。リアは聞くに堪えないその音から必死に意識を逸らそうとしたが、後孔から伝わる蕩けそうな快楽に切ない喘ぎを漏らした。
(どうして、気持ちいいの……?)
「ふ、あああぁぁっ……」
張り型が身体の奥に突き立てられる。リアが持つ価値観をあっという間に塗り替えるような背徳的な快楽。リアは自分がまた壊されていくような気がして、ぼたぼたと涙を流した。
「リア、可愛いリア……そんな風に喘いだら、俺もおかしくなってしまうではないか……」
「ふうっ!? いっ……やああああああっ!!」
ゼルドリックの指がリアの肥大した陰核をなぞる。
連動するように動かされた張り型に、リアはとうとう強烈な絶頂を迎えた。
「あ、あ……」
(こわれちゃう、こわい……こんなの、むり……)
リアは荒い息を吐きながら、ぼろぼろと恐怖の涙を流した。
ゼルドリックに貪られ身体に強烈な快楽を与えられ続ける。そんな生活を送っては、自分はすぐに色狂いになってしまう気がした。
「や、やあっ……ゆるして、もうっ……」
ゼルドリックの身体が覆いかぶさってくる。リアは思うように動かない身体を必死に捩らせ、彼から逃げようとした。
怯えの声が、ゼルドリックを苛立たせ、そしてなお昂ぶらせることに気が付かずに。
そしてその日も、リアはゼルドリックに何十回も犯された。
疲労感の中、リアは目を覚ました。目を開けているのか閉じているのか一瞬分からなくなるほどに、辺りは暗闇に満ちている。リアは痛む頭のまま暗闇を見つめぼんやりとしていたが、やがて、自分がゼルドリックに攫われたこと、手酷い凌辱を受けたことを思い出した。リアの心に、たちまち絶望と悲しみが込み上げる。
「……うう……く、うぅっ……」
呻き声を上げ、怠い身体に鞭打って上体を起こせば、ゼルドリックの残滓がごぷりと内から溢れるのを感じた。流れ出たであろう大量の白濁に、リアは涙を滲ませた。
「……こんなに、たくさん……」
リアは流れるそれを感じ取り身体を震わせた。昨夜のゼルドリックは怖ろしかった。レントやオリヴァーの名を出して自分を脅し、膣に何度も何度も精を放った。何の抵抗もできず、暗闇の中で奴隷のように身体を貪られ続ける。身体に刻みつけられたのは甘い痺れだというのに、これからのことを考えて、心が酷く軋む。自分とゼルドリックは、一体どうなってしまうのだろうか……。リアはそう考えて、強い吐き気を催した。
(ゼルは、確かに私を壊そうとしている。優しさも、甘さもなく)
いたずらに強い快楽の海に沈めるような、好き勝手に身体を啄み搾取するような、一方的で乱暴な交わり。
(私が、彼をそんな風にさせてしまった……)
大雨の中でもはっきりと分かるほどに、彼は青い瞳から滂沱の涙を流した。震える声に、呆然とした顔。受け取れなかった青く美しい魔法の薔薇。彼を狂気に追いやる引き金を引いたのは自分だと思うと、辛くて悲しくて仕方がなかった。ゼルドリックとの甘く優しい思い出が、リアの中でくすんでいく。
(ごめんなさい、ゼル……)
リアはしゃくりあげ、流れる涙を拭おうとした。そして気が付いた。
自分は裸だ。そして手首には大きな錠が嵌められていて、そこから太い鎖が伸びている。手首だけではなく、足首にも頑丈な錠が嵌められていた。リアは異様な拘束にざっと顔を青褪めさせ、錠を震える指でなぞった。力の強いドワーフでも壊せないであろうそれに、リアは呆然と呟いた。
「……どうして」
リアの手の動きに合わせて重々しく鳴る鎖。レントの言葉が、頭の中に響く。
――リアさん。あなたが……。あなたが、どこかに監禁され、奴隷のように鎖で繋がれ、ゼルドリック様からひたすら酷い凌辱を受け続ける未来です。
「う、あ……! うそ、うそ……」
リアは慄いた。レントが視たのは、この悍ましい状況ではないだろうか? もしそうだとしたら、自分は避けようとしていた未来に確かに足を踏み込んでしまっている。レントの予言通りに進むならば……。自分はゼルドリックから凌辱を受け続け、大切な人々を失う結果に終わる筈だ。心臓が早鐘を打つ。リアは首を横に振り、受け入れ難い現実から逃げようとした。
「い、いやっ……そんな……! そんなの絶対にいや……! う、ううっ……」
ぼろぼろと涙を流し、強い不安から逃げるように頭を抱える。リアが顔を膝に埋めた時、ゼルドリックが暗闇の中から現れ、彼女の赤い髪をぐっと掴んだ。その乱暴な行いはますますリアの胸を軋ませた。
「起きたか」
ぼう、と蝋燭が灯り、ゼルドリックの顔を照らす。青い瞳には底知れない昏さが宿っていて、リアはその怖ろしさにがたがたと身体を震えさせた。ゼルドリックを前にして言葉が出ず小さく声を漏らすだけのリアを、ゼルドリックは不愉快そうに見た。
「あ、あ……う、あ……」
「なぜそう怯える? 昨日あれだけ気持ちよくさせてやっただろう? それに感謝し、喜んで俺を受け入れるべきじゃないか?」
「ひっ……」
「その無駄に大きくて下品な胸をぶるぶると揺らして、俺の下で何度も達しただろうに。乳首も陰核もびんびんと尖り切って、しゃぶってやれば情けなく大声を上げたよな? 最後は俺に縋り付いて、自分から肉付きの良い足を絡ませてきただろう。君もしっかり悦んでいたじゃないか」
ゼルドリックは腐すような言い方でリアの胸に触れた。下から掬い上げられ芯を揉まれるような触れ方に、リアは与えられた怖ろしい快楽を思い出し声を上げた。
「私の全てはあなたのもの、あなたになら何をされてもいい、あなたの子を産みたい、自分の膣内にどうか精を出してください、愛しています……。君はそう俺に言ったではないか。もう忘れたか?」
「う、ううっ……」
(それ、は……無理やり……)
リアは、自分が晒した昨日の醜態を覚えていた。強すぎる快楽に朦朧としながらも、レントの命を守るために必死にゼルドリックに従順であろうとした。ゼルドリックに促されるまま、彼の望む言葉を吐き出した。どんなに淫らでいやらしい言葉でも、彼の機嫌を損ねないために紡いだ。
だが、ゼルドリックの言う通り、言葉は無理やり紡がされたとしても、自分の身体は確かに悦んでいた。心が辛いのに、ゼルドリックが怖ろしいのに、彼にうつろを満たされ穿たれる度気持ちよくて仕方がなかった。
酷いことをされても、自分はまだ彼を愛している。彼からの接触を、堕ちきった身体が拒める訳がなかった。黙りこくり俯いたリアの顔に、僅かに朱が差す。ゼルドリックはそれを認め、ゆっくりと口の端を歪めた。
「誓いは守らねばな。君は俺のものだ。俺に全てを捧げろ。決して拒むなよ、リア……」
ゼルドリックはリアを強く抱きしめ彼女の唇を舐め回した。蛇のように這い回る赤い舌が唇を犯す。リアがおそるおそる唇を開けば、ゼルドリックの舌が入ってきた。別離の時間を埋めるように、彼の舌はリアの腔内をしつこくしつこく犯した。
後頭部に手を回され、耳に指を差し入れられ、じっとりとした目で見つめられる。ゼルドリックはキスの時、決して目を瞑ることはしない。青い瞳に自分の悶える姿を焼き付けられているようで、リアは羞恥に目を瞑った。十分ほど経った後、ゼルドリックはやっとリアを解放した。
「んむっ……は、はあっ、くくっ……。君の舌は柔らかいな」
「はあっ、はあっ……う、けほっ……」
「目を閉じるなと教え込んでやったのに。まだ、調教が必要なようだ」
ゼルドリックはリアに手を伸ばした。リアの身体が、大きなダークエルフの腕にすっぽりと抱えられる。手首と足首に着けられた錠が、瞬く間に消え去った。暗闇を照らす明かりは僅かだというのに、ゼルドリックはリアを抱えたまま、淀みなく歩いた。錆びた数本の鉄の棒が見える。リアは暗闇の中で、目を凝らしてそれを見た。
(鉄格子?)
明かりの中で微かに見えたそれ。リアは、ここはどこかの牢なのだろうかと思った。自分が昨日座らされた木馬。罪人を苦しめる拷問器具がここにある事自体おかしなことだと思った。日の光が一切差し込まない部屋といい、自分の手首足首に着けられた頑丈な錠といい、牢と考えるならば納得が行く。
(牢か。ここに、私を拷問するための道具は山程あるのでしょうね……)
昨日の木馬はゼルドリックが手を加えたと言ったが、かつて誰かの拷問に使われたものなのかもしれないと考えると背筋が冷え、心の底から嫌な気分になった。誰かの血が染み込んだかもしれない木馬に、自分は昨日大量の愛液を染み込ませたのだ。リアは顔をしかめ、唇を噛んだ。
「君の考えていることは分かりやすいな」
ゼルドリックはリアの鼻をつついて、薄い笑みを浮かべた。
「大方、ここが牢だと気が付いて、自分が座った木馬が、かつて誰かを苦しめたものかもしれないと思い嫌な気分になったのだろう? 安心したまえ。君を乗せた木馬は俺が手ずから作ったものだ。手を加えたと言ったのは、本来の三角木馬とは形状が違うという意味だ。鎖も寝台も、君の肌に触れるものは俺が用意した。どこの馬の骨の血が染み込んだか分からない、得体の知れないものに君を座らせる訳がないだろう?」
「作った、って……あれを?」
「ああ。君に触れられない時間、持て余した熱を発散させるために……どうしたら君をもっと気持ちよくさせてやれるか考えながら作ったのだ。あの木馬とゴムの玉、作って正解だった。あれに苦しみ、悲鳴を上げ続ける君は本当に美しかった……」
ゼルドリックはうっとりと呟き、リアの額に唇を落とした。
(……怖い。あれを、作ったですって?)
ゼルドリックの絡みつくような執着。その根本にある動機が、リアには全く掴めなかった。彼はなぜ自分にそこまで執着するのだろうかとリアは思った。
「君を想って作ったものは他にもあるぞ? 君の淫らな身体を満足させられると思う。楽しみに待っていてくれよ……。だが、まずは身体を清めねばな」
ゼルドリックはひとつの扉の前で止まり、錆びた取っ手を回した。その部屋の中には、大きな浴槽が取り付けられていた。ゼルドリックが用意したであろうそれの中に、リアはそっと下ろされた。水などどこにもないのに、ゼルドリックの魔法によってみるみる湯が溜まっていく。温かな湯に肌が包み込まれるのは気持ち良いが、リアは嫌な予感がした。浴槽は広く、大人が数人浸かってもまだ余裕がありそうな程の大きさだった。
「さて、入ろうか」
(やっぱり……ゼルも、入ってくるのね)
服を脱ぎ捨て、ゼルドリックが浴槽の中に入ってくる。湯の中で黒い腕に抱き留められ、リアは心の中で諦めの溜息を吐いた。魔法で作られた無数の黒い手が、リアの身体中を這い回る。軽い魔力酔いに、リアは頭をくらくらさせた。力の抜けた身体を愛おしそうに抱きしめ、ゼルドリックはそっと自分の手をリアの股に差し入れた。
「うあっ!?」
ゼルドリックの指がリアの膣に入ってくる。彼は昨日注いだ己の精を、リアの内から優しく掻き出した。
「リア……エルフという種は子を生す本能が希薄でな。昨日も言ったがエルフの精は薄いのだ。子を作ろうと思っても中々結ばぬ。だが、いくら薄いとはいえこれだけ注いだのだから……この白い腹に命が宿るのも、そう時間はかからなさそうだ」
怖ろしい言葉を紡ぎながらゼルドリックは嬉しそうに笑った。
「古い精を残しておくことはない。いつも新鮮な精を注いでやれるのだから。なあリア、早く孕んでしまえ。俺の子を宿した君を早く見たい。それでこそ……それでこそ、君が俺のものになったのだと実感できる」
「ふ、ふああっ…」
温かな湯が膣の中に入りこみ、ゼルドリックの骨ばった指が陰核を掠める。無数の黒い手はリアの官能を呼び起こすように肌を這い回った。膣の中から精液が出なくなった後、ゼルドリックはリアを浴槽から出し、彼女の身体に泡を纏わせた。髪から爪先まで、リアの身体がゼルドリックの手によって丹念に洗われていく。リアは目を瞑って耐えた。幼い子供にするような行いに、リアは強い羞恥を感じた。
「くくっ……綺麗になったぞ。さあ、次は君の番だ」
「え……?」
「俺の身体を洗え。君の身体を清めてやったのだ。お返しは必要だろう?」
震える手に石鹸を握らせ、ゼルドリックは高圧的に命じた。リアが湯を浴びせながら黒く艷やかな髪を梳くと、ゼルドリックは頬を上気させ目を瞑った。黒い肌に指を滑らせ、ゼルドリックの身体を清めていく。筋骨隆々な腕や温度の高い肌に触れる度に、リアは心の内側が優しく引っ掻かれるような感じがした。そそり勃った陰茎に気が付かないふりをして、割れた腹を洗おうとすると、ゼルドリックはリアを優しく止めた。
「そこは手で洗わなくていい」
(…………)
リアが嫌な予感を覚え言葉を失うと、ゼルドリックはリアの豊かな双丘に泡を纏わせた。
「君の豊満な胸で洗え。泡を乗せたそれを……俺の身体に擦り付けるのだ」
「いっ……」
嫌、と言いかけ、リアは急いで口を噤んだ。
悍ましい未来に足を踏み入れたこの状況で、ゼルドリックの不興をいたずらに買う訳にはいかなかった。リアは羞恥を堪えながら、泡を纏った胸をそっとゼルドリックの男根に擦り付けた。顔を赤くするリアを、ゼルドリックは熱の籠もった目で見つめた。そそり勃つ大きな陰茎がリアの顔の前にある。リアは悩んだ後、それを自分の胸でそっと挟んだ。
「ああ……いい。リア、絶景だぞ」
(……気持ち悪い、人にこんなことをさせておいて。何でそんなに……嬉しそうなのよ)
身体を清めるだけだとリアは思っていたが、ゼルドリックは収まりが付かないそれをリアの胸に押し付け、やがて顔に精を浴びせた。リアは心の中で悪態を吐きながら、ひとつ涙を流した。
(最低)
愛玩動物のような扱いに、リアの心がまた酷く軋む。
(私、どうなるんだろう)
自分の嫌悪や意思を全て蔑ろにされて、従順に振る舞い、何もかもを彼に明け渡す。そうすればするほど、自分を気遣ってくれた優しいゼルドリックのことを思い出して、どうしようもなく辛くなった。
(こんな乱暴なやり方じゃなくて……穏やかに触れてほしかった……)
リアは再び、そう思った。叶わぬ願いを抱えたまま、リアは近づいてくるゼルドリックの唇を受け入れた。
(王子様……)
リアは優しかったゼルドリックに呼びかけた。黒の王子様の甘い微笑みを思い浮かべ、切なさに胸を震わせた。
身体を清め終わった後、リアはふかふかとした寝台の上に横たえられた。ゼルドリックがぱちりと指を鳴らすと、手首と足首に再び錠が嵌められる。自分に伸し掛かってくるゼルドリックに、リアは悲しみを宿した目を向け訊ねた。
「ねえ、ゼル……。聞いてもいい?」
静かな声で問いかける。ゼルドリックは数秒黙した後、何だと答えた。
「あなたは私を手元に置くために、多くの罪を犯したと聞いた。分からないの。あなたがそうまでして私を得ようとした理由が……」
溢れ出る涙を止めるように、リアは目を瞑った。彼の深淵が分からない。
自分に執着を向ける理由が分からない。分からないから、愛おしいのに怖い。ゆっくりと、吃りそうになりながらも言葉を紡いでいく。
「私……。別に綺麗でも何でもないわ。ゼルは前に可愛いって褒めてくれたけど、そばかすだらけで、手だってあなたが言った通りひび割れて、ささくれて、他の女の人の手の方がずっとずっと綺麗で柔らかい。田舎者で、洗練されていないただの混ざり血の女。ゼルには……。もっと相応しい女性がいるでしょう?」
「……リア」
「私のどこに惹かれたというの? 私は、あなたの心を強烈に惹くようなものを、何も持ち合わせていない。どうして? どうしてこんなことをしてまで私を手元に置こうとするの……? あなたが私にここまで執着する理由が分からないわ。分からないから、怖い……」
ゼルドリックはリアの問いに言葉を返さず、涙を流すリアの顔を暫く見ていた。涙に濡れたリアの頬に手を添え、彼女の耳元で囁いた。
「有象無象と比べての美醜など何になる。君は俺にとっての唯一なのだ。姿かたち、内面。君の全てが俺を狂わせる。君以外の女には決して惹かれることはない。俺はリア=リローランに、魂をすっかり捧げたのだから」
リアはゆっくりと目を開けた。ゼルドリックの青い瞳が、複雑な光を宿して揺らめいた。
「恋い焦がれ、長い間願い続けた女に逢えた時の喜びが分かるか? 求め続けた女と触れ合えた時の、魂の高揚が分かるか? 何よりも大事な女と過ごした生活が、どれほどに甘美であったことか。そしてその女に拒絶された時のこの心の痛みが……君に分かるか? 分からぬだろうな、だから俺からあっさりと離れたのだ。リア、君は奇跡なのだ。決して手放せない」
願い、奇跡。現実的でない言葉が、ゼルドリックの口から溢れる。
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どういうことだとリアが聞く前に、ゼルドリックはリアの唇を塞いだ。
「君には決して分からぬのだ。長い時を掛けて俺の心の中で燃え盛る恋情を。地獄の炎のような強い恋情を」
独り言のように呟いて、ゼルドリックはリアの肌に唇を落とした。柔らかく耳を食まれ、リアはぴくりと身体を震わせた。
「他に、相応しい女がいる……か。残酷な言葉だ。俺には君しかいない。君に触れることでしか救われない」
「ふ、あっ」
ゼルドリックはリアの滑らかな肌に手を滑らせた。その手の動きには今からお前を犯すのだという意思が込められていて、リアは身を悶えさせた。
「教え込まねば。俺を救えるのは、君しかいないのだと……」
「ゼル……?」
「早く、早く君を壊してしまおう。嫌う俺に愛を囁くまでに壊してしまおう。そうしたら、君に薔薇を贈ってやるのだ。君から愛の言葉を貰えれば、あの薔薇は咲くはず。……俺と君は、魂で結ばれるはず……」
「何を言ってるの……?」
「魔力を満たすのだ。その器に……。俺の願いを叶えるために……」
ゼルドリックのどろどろとした声が落ちると、辺りをぼんやりと照らしていた明かりが幾つか消えた。寝台の横に置かれた蝋燭だけが、二人を微かに照らしている。
「なあ、リア……。昨日は辛かったよな? あんなに泣き叫んで、身体を暴れさせて、潮を吹いて……。強い快楽に身悶えする君の姿は、ぞっとするほど美しかったぞ……」
「うあっ……!」
怖ろしい快楽を思い出し、リアは身体を強張らせた。強すぎる快楽は拷問になるのだと、身体の奥底まで刻みつけられた。
「これから快楽漬けの生活を送らせてやるからな。君は俺の手によって生まれ変わるのだ。なお淫らに、美しく……」
ゼルドリックは胸元から瓶を取り出し栓を開けた。暗い牢には相応しくない、濃密な薔薇の芳香が辺りに漂う。リアはそれに見覚えがあった。ゼルドリックの手によって頻繁に身体に塗られてきた、屋敷に咲き誇る薔薇を用いた香油だった。ゼルドリックは良い香りのするそれを己の指に垂らすと、リアの肌に塗り始めた。
「ひうっ! ああ、あっ……」
香油を纏ったゼルドリックの手が肌を滑る。首筋から肩、胸、腹や股、腿から爪先まで、リアの身体は薔薇の香油に塗れた。ゼルドリックの手で香油を塗られることは初めてではないが、リアは未だに慣れることなく、強い羞恥を感じた。油を身体に塗られているだけなのに、声が抑えられない。ゼルドリックの手が気持ち良くて身悶えしてしまう。そんなリアを見透かしてか、ゼルドリックはおかしそうに口角を上げた。
「ふっ……う、ううっ……ああ、あっ……」
色めいた吐息がリアの口から漏れる。リアは手を口に当て少しでも声を出さないようにした。しかし、声を止めようとすればするほどに身体の疼きが強くなる。
「あっ!? あつ……い……! 何これっ……? ゼル、あついよぉっ……!」
荒い息を吐きながら、リアは潤んだ目でゼルドリックを見上げた。じっとしていられないほどに身体中が疼く。ゼルドリックに触れられている部分が酷く熱い。
(何よ、これ……? なんで……?)
自分の芯をじくじくと苛む熱は魔力酔いだろうかとリアは思った。だが、今まで味わってきた熱の感じとは随分違う。淫らな欲求が急激に迫り上がってくる。ゼルドリックに触れてほしい、身体の奥まで暴いて欲しいという欲が頭を埋め尽くし、リアは混乱と羞恥で顔を赤くさせた。
「ほう、効いてきたか。俺が調合したが、こんなに効き目が早いとはな」
「あっ、ひゃううっ……! ああ……な、に……これ……?」
ゼルドリックはリアの胸から臀部までをゆっくりと撫でた後、彼女の耳元に低い声を落とした。
「吸収性の媚薬だよ、リア……香油の中にたっぷりと混ぜておいたのだ」
「ふう、うあっ、あああっ! やめっ、やめてっ! もう、撫でないでっ……」
肌を撫でられているだけなのに、リアは何度も浅い絶頂を迎えた。ぴくぴくと身体を震わせるリアをゼルドリックは熱の籠もった目でじっと見つめた。リアの足が緩やかに開かれ、膣口をゼルドリックの指がなぞる。ねっとりとした銀糸を認め、ゼルドリックは口角を上げた。
「くくっ……君のここ、もうとろとろだ……」
「ふ、や、やああああああっ……」
ゼルドリックの剛直が突き立てられ、一気にリアの内に入り込んでくる。自分の中を満たされる快感に、リアは乱れきった声を上げた。ゼルドリックの腰が打ち付けられる度に、ぐぷ、ぐぷと粘り気のある水音が響く。漂う濃厚な薔薇の香りに、リアは気を失ってしまいそうになった。
「はっ、はっ、リアッ……リア!」
「ああっ……あ、はあっ、んんっ、ひゃだ、やだ! こんなのっ、こんなのおっ……」
(耐えられない、耐えられないよ……!)
媚薬の効き目は凄まじかった。ゼルドリックの杭が一つ打ち込まれる度に、リアは深い絶頂に追いやられる。快楽の海に引きずり込まれ溺れるような心地に、リアは助けを求めるように必死にゼルドリックの名を呼び、広い背中に腕を回した。
「ぜ、る、ぜるっ、ぜるぅっ……ああんっ、や、ふああああんっ……!」
「は、は、ははっ……リア、可愛い、な……」
ゼルドリックは興奮のまま笑い声を漏らした。豊満な胸を揺らし、己の名を媚びるように呼ぶ目の前の女が愛おしくて堪らなかった。快楽漬けにされたリアは、心の底から自分を求めているように見えて、ゼルドリックは激情をぶつけるようにリアを貪った。ばちゅばちゅという淫らな音が響き渡る。二人は強烈な薔薇の芳香が漂う中で絶頂を迎えた。
「ひ、うあっ、くうっ、ぜ、るっ、ぜる! ああっ……!」
「リア、リアッ、リ、ア……!」
ゼルドリックの精が自分の奥底で放たれる。媚薬に蝕まれた身体には、それは砂漠の中でやっと得た水のように感じられて。強烈に求めていたものが得られた充足感が、リアの中に満ちていく。リアは絶頂の後、満ち足りた深い吐息を漏らした。
(……足りない、もっと、もっと……)
達したばかりだというのに、リアは身体の疼きが強くなっていくのを感じた。もっと欲しい。もっと目の前の男が欲しくて堪らない。ゼルドリックを突き放さなければならないという意思はどこかに行ってしまい、リアは絶頂に荒い息を吐き、自分の方へしなだれかかるゼルドリックを柔らかく抱きしめた。
「はっ、は、あ……俺のことをあれだけ嫌いと言ったくせに……。こんな風に媚びるとはな。君は本当に快楽に弱い」
「ふ、ああっ……」
「まあ、あれだけ抱いてきたのだ。そうなるのも当たり前か……」
ゼルドリックは酷薄さを滲ませた薄い笑みを浮かべると、リアに口付けた。
「リア、これを見ろ……。これもまた、君を想って作ったものだ。欲張りな君のために、何本も用意しておいたぞ?」
「あ……、何、それ……?」
リアはゼルドリックが握るそれに身体を震わせた。
「俺の男根を模したものだ。太さから長さまで、そっくりだろう?」
彼が握る黒い張り型は、確かにゼルドリックのものにそっくりだった。リアは戸惑い、張り型を食い入るように見つめた。
「それ……何に使うの?」
「もちろん君の内に挿れるのだ。この張り型は俺のものにそっくりだから、君もきっと満足できるだろうな。俺のものであれだけ達するのだ。張り型でもきっとここをびしょびしょに濡らすだろう?」
「ふ、や、あああっ……」
腰を動かされ、リアは甘い声を漏らした。
「本当は手先の器用な君にこれを作らせたかったのだ。俺のを丁寧に採寸して、太さから硬さから何から何まで確かめさせて……。なのに君は俺の元から逃げてしまった。本当に残念だ」
心の底から残念と言わんばかりに首を振るゼルドリックに、リアは思わず心の声を漏らしてしまった。
「きもち、わるい……」
ぴくり、とゼルドリックの身体が震え、昏い瞳をリアに向けた。
「気持ち悪い? 気持ち悪いだと? 俺の愛をそんな風に腐すか」
「あふっ!?」
ゼルドリックはリアの内から男根を引き抜くと、リアを勢い良くうつ伏せにさせた。そしてリアの後孔に細い瓶の口を挿し込み、中身を注ぎ込んだ。香油が後孔から流れ込んでくる感覚に、リアは悲鳴を上げた。
「や、なにっ!? やだ、やだっ、やめてよ! ゼル!」
「暴れるな、今から君のここを犯してやる」
「ひううっ!?」
「直腸からの吸収は早い筈だ。リア、尻で気をやれるように慣れていこうな……」
「ふ、ぐうっ……」
(や、お、しり……燃えちゃう……!)
リアの後孔が、身体が燃え上がるような感覚に襲われる。純真なリアにとって後孔を犯されるのは耐え難いことだった。リアは必死でゼルドリックに許しを乞うた。
「おねがいっ、ゼル! そこは違うの、そこに挿れちゃだめなのっ……」
「駄目な訳がないだろう、リア。ここでも男のものを咥えられるように出来ている。君のここはきっと受け入れられる。張り型に慣れたら、次は俺のものを挿れてやるからな……」
「ひっ、いや、いやあっ……! こわいよ、ゼル……!」
リアの後孔へ張り型が突き立てられ、そしてゆっくりと挿し込まれる。
悍ましい感覚にリアは目を見開き、身体を強張らせた。
「ああ、そんなに身体を硬くして……それでは快楽を享受できないぞ? もっと楽にしろ」
「無理、むりぃっ……ゼル、抜いてよおっ……こんなの、間違ってるっ……」
「間違っている? 間違いなどないさ、リア。ここで達けるようになってしまえ」
ゼルドリックはくつくつと笑い、リアの耳元で囁いた。
「俺は後孔で絶頂を迎える君も見たい。君のどんな姿も見たいんだ。リア……」
「う、ううっ……ふ、うあああっ……」
「ああ、この薬の効果は凄まじい。初めてだというのに、もうほぐれてうねっている。感じてきたようだな……息が荒くなってきているぞ?」
「は、はあっ……んんっ、ふ、うっ……」
(何で? お尻の穴で、どうして私……)
「ふ、やあ、やあっ……あああっ、う、ふあああんっ……」
にゅぽにゅぽと粘り気のある音を立てながら、大きな張り型が抜き差しされる。リアは聞くに堪えないその音から必死に意識を逸らそうとしたが、後孔から伝わる蕩けそうな快楽に切ない喘ぎを漏らした。
(どうして、気持ちいいの……?)
「ふ、あああぁぁっ……」
張り型が身体の奥に突き立てられる。リアが持つ価値観をあっという間に塗り替えるような背徳的な快楽。リアは自分がまた壊されていくような気がして、ぼたぼたと涙を流した。
「リア、可愛いリア……そんな風に喘いだら、俺もおかしくなってしまうではないか……」
「ふうっ!? いっ……やああああああっ!!」
ゼルドリックの指がリアの肥大した陰核をなぞる。
連動するように動かされた張り型に、リアはとうとう強烈な絶頂を迎えた。
「あ、あ……」
(こわれちゃう、こわい……こんなの、むり……)
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ゼルドリックに貪られ身体に強烈な快楽を与えられ続ける。そんな生活を送っては、自分はすぐに色狂いになってしまう気がした。
「や、やあっ……ゆるして、もうっ……」
ゼルドリックの身体が覆いかぶさってくる。リアは思うように動かない身体を必死に捩らせ、彼から逃げようとした。
怯えの声が、ゼルドリックを苛立たせ、そしてなお昂ぶらせることに気が付かずに。
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