失敗作は蜜の味

橙乃紅瑚

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組んず解れつ、ふたなり虐め - 1 ♥

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「あっ、あはぁっ、んあああああああああっ!」

 女の嬌声が絶え間なく響く。背後の男にくたりと寄りかかりながら、ルクレーシャは未知の快感に翻弄されていた。

 膝を曲げた状態で股を開かされ、肥大化した陰核を粘液塗れの手で遠慮なく扱かれている。ひと擦りごとに電流のような刺激が走って、声を抑えることができない。

「くうっ、はひぃ! んっ、ううううっ!」

「こらルクス。唇を噛むな、何のために沈黙の霧を使ったと思ってる」

「や、だってぇっ! 声出すのはずかしいのおっ……。んやああっ、ああっ、あああぁぁぁ……! だめだめっ、とまってよお! 手をとめてえぇっ!!」

「誰が止めるか。ははっ、そんなに余裕がない君は初めて見た……! もっともっと虐めてやりたくなる」

 男の大きな手で陰核を包み込まれながらゆっくり上下に摩擦されると、じわじわと込み上げるような甘い快楽が迫り上がってきて止まらない。強烈な刺激につい体が跳ねてしまうが、その身動ぎすらもダリルの体に押さえつけられてしまう。

 華奢な女の体をぎゅっと抱きしめ、ダリルは口から荒い息を漏らした。

「はあっ、はっ……。先っぽからとろとろした雫がたくさん垂れてくるぞ。潤滑剤なんて要らないくらいに濡れてる。君の先走りはなんだか甘い匂いがするんだな。まるで蜂蜜みたいだ……」

 上擦ったダリルの声、そして潤滑剤と愛液が混じり合ったぬちぬちとした水音がルクレーシャの耳を苛む。

 ダリルの責めは手慣れていた。指で輪を形作った状態で、下から上へねっとりと擦り上げられる。そのまま亀頭の段差でぐりぐりと指を回されながら、そっと先端の雫を掬われる。くせになるような根元の甘い快楽と、亀頭部から得られる鋭い快楽が交互にやって来て何が何だか分からなくなる。彼女は男の腕を握りながら、ひたすら悲鳴のような声を上げ続けた。

「ひっ、ひんっ、ひいっ、いやああああああっ……あっダリル、だめっ! もうこするのだめええぇッ! こっ、こんなすごいの無理だよおおおっ……おかしくなりゅっ、おかしくなっちゃうぅ! んあっ、ふああああぁぁっ……!」

「そんなに泣くなって。俺が虐めてるみたいだろ? 元に戻りたいなら頑張って耐えるんだ。ほら、俺が扱きやすいようにもっと足を開いて」

「ひっ、ひゃう! んやぁっ、さきっぽとんとんしないでっ! つりゃっ、辛いのにっ! こんなのひっどいよおっ……。んあっ、あっ、ひっ、ひああぁぁっ! おねがっ、おねがい! もうやめて、もういじめないでってばぁっ……!」

 切羽詰まったルクレーシャの懇願に構うことなく、ダリルは絶頂を促そうと優しくも執拗に肉棒を摩擦した。潤滑剤をたっぷりまぶした掌を竿全体に擦りつけ、先走りを垂れ流す亀頭の裏側に指を這わせる。真っ赤に染まったルクレーシャの耳を甘噛みし、彼は色気のある声を注いだ。

「さっきからひんひん啼いてるけど、俺の手がそんなに気持ちいいのか? まあそうだよな。俺の方がずっとずっとこれを扱き慣れてるからな……!」

「んはあっ、んうっ、んぐううぅぅ!」

「はははっ、喘ぐことしかできないみたいだ。この機会に男の自慰のやり方をしっかり勉強しような。俺が何度だって教えてやるからさ」

 ルクレーシャは片手を取られ、そっと己の肉棒を握らされた。そそり勃った肉棒の熱さに、思わず肩を震わせてしまう。

「きゃうっ!? わっ、わたしのあそこあっつい……!」

「ほら、自分でも扱いてみろ。手伝ってやるから」

 小さな女の手に己の手を重ね、ダリルは意地悪く笑った。擦られる掌と秘部からじわじわと快感が込み上げてくる。ルクレーシャは秘部から自分の手を退けようとしたが、上から重ねられたダリルの手がそれを許さなかった。

「んあああっ、手動かさないで! そこって本当に敏感なところなの、おんなの子のそこっ、いっぱいこすっちゃだめなのお! あっ、くふうっ、はひいぃ! これ以上続けたらほんっとにおかしくなるううぅぅ!」

「だあめ。ここが女の性感帯なら尚更刺激してやらないと。……な?」

 三本指を使って根元から摘まむように巨大な陰核を捏ねまわし、ダリルは肉竿全体をしこしこと摩擦し始めた。ふるふると震える亀頭の先端を指でとんとんとリズミカルに刺激し、ルクレーシャの絶頂をしつこく促す。

「ほら、この裏筋を下から上へ優しくなぞると堪らないんだ。この先っぽのところ……亀頭を指で捏ねられるのもいいだろ? 焦らずゆっくり刺激するんだ。これの扱き方、しっかり覚えような」

「ああああっ! あうっ、ぐすっ……へ、へんになっちゃうよお……。あたまとけちゃうっ、ふあっ、ふやぁっ! だりるの、いじわるうっ……!」

「はははっ、腹がぴくぴくしてるぞ。気持ちいいんだな?」

 頭を振ってもダリルは決して手の動きを止めてくれない。むしろルクレーシャの手を抑え込みながらしつこく肉棒の弱点を責め立てようとしてくる。いじわる、いじわると声を上げる彼女の耳元で、ダリルはぽつりと呟いた。

「俺も扱きたくなってきた」

「ぁ、う……?」

「仕方ないだろ。もっと意地悪したくなる君が悪い。そんな姿を見せられたら、誰だっておかしくなる……」

 ダリルの荒い息が耳にかかる。

 ずっと争ってきたライバルの「男」を感じさせる言葉にどきどきしてしまう。美しく完璧な彼も、こんな生々しくていやらしいことを何度もしてきたのだろうか。誰か、他の女の子に男根を扱かれているところを想像して、自分の肉棒を弄ってきたのだろうか――。

 腰に固いものが当たっている。
 ルクレーシャはそれが何なのか思い当たり、小さな声を漏らした。

「ぁ、あ、や……。だりる……もしかして、それ……」

 ダリルも勃起している。嫌味ばかり言ってきたあのダリルが、自分の姿を見て興奮している。

 彼の自慰を思い浮かべると、強烈な刺激がより甘美なものになっていく。絶え間なく与えられる落ちてしまいそうな快楽に、涙がぶわりと溢れ出てしまう。ルクレーシャの緩慢な手の動きに焦れたのか、ダリルの手が再び肉棒を包み込む。温かく大きな掌に陰核をすっぽりと握られ、ルクレーシャはがくがくと腿を震わせた。

「あああっ!? 熱い! わたしのあそこがつつみこまれてっ、てのひらがこすれてえっ! ずっとむずむずが止まらないのおっ! いやああっ、あああああああっ……」

「君のものは小さいから、俺の手で全部包み込んでやることができるな? ふふっ、すっぽり包まれながら揉まれるのは気持ちいいだろ? 俺の扱きがお気に召したようで何よりだ。ほーら、しこしこ。我慢せずいつでもイッていいんだぞ?」

「あひっ!? んやっ! もっ、もまないでぇ! ゆびでしこしこするのやあぁっ!」

「俺の手はぬるぬるして気持ちいいだろ。女の膣に挿れたらこんな感覚がするのかもしれないぞ? はあっ、はあ、ルクス。たとえば君のなかは、どんな感触がするんだろうな? 温かくて、こんな風にぬめっていて。君に、俺のものを挿れたらどんなに……!」

「ふっ、ふうっ、ふっ、んはああああぁっ! ああっ、いや! いやあっ、こんなの耐えられないよおっ……」

 肉棒の芯を揉み込むように指を動かされ、ルクレーシャの性感が急激に高まっていく。獣欲混じりの男の声に、彼に抱かれたいという欲望がどんどん込み上げる。ダリルに貫かれるところを想像し、ルクレーシャは自分の最奥がひくつくのを感じた。
 
 収縮する膣口から大量の愛液が溢れ出て、ダリルの黒い魔導服を濡らしていく。彼はルクレーシャの秘部からこぼれ出るそれを嬉々として掬い取った。

「はっ、ふうっ……ルクス。君のここ、とろとろしててすごく軟らかい……」

 膣口が優しくなぞられる。ダリルは溢れる愛液を指で拭い陰核に塗り付けた。

「はあっ、はっ……あの生意気ルクスが、俺の手で気持ちよくなってると思うと興奮する。可哀想なのにもっと追い詰めてやりたい。弱点をいたぶって、徹底的にいじめて泣かせたくなる。君をここまで追い詰めてるのはこの俺なんだ。……夢、みたいだ」

 くるくると円を描くように敏感な亀頭をなぞられながら、親指で肉竿をずるりと擦られる。やや激しさを増した手の動きに導かれて、何かを出したくなるようなむず痒い感覚に襲われる。陰核に焼け付くような熱が集まっていく。寒気に似た震えが背筋を駆け抜け、全身に拡がろうとしている……。 
 引きずり込まれるような快楽の奔流に、ルクレーシャはダリルにしがみつきながら喘ぎ泣いた。

「ぁっ、ああっ、あっ、だめっ、だめぇぇえ! いやあああ、それやだあっ! さきっぽがあつい! はふうっ、ひやっ! あっ、ああああああぁぁぁぁ!」

「大丈夫だ、そんなに泣かなくても大丈夫。そのまま俺の方に寄りかかっていてくれ。な? うんと気持ちよくしてやるから……」

 ダリルに優しく頭を撫でられる。同時に雁首の裏側をぬめった手でしつこく擦られ、ルクレーシャはとうとう限界を迎えた。

「あ、ああああああっ! やめてって言ったのに、いじわるっ、いじわるぅ! んやっ、なんかきちゃ――――あっ、ああああああああああああああッ!!」

 ずきずきとした陰核の快楽に顎を仰け反らせてしまう。凄まじい絶頂を迎えたルクレーシャの肉棒から、ぴゅっ、ぴゅと透明な飛沫が吹き出る。勢いよく吹き出したそれはダリルの手や腕を濡らし、シーツの上にまでぱたぱたと滴った。

「……すごい。甘い匂いがする……」

 己の手を汚した体液をうっとりと見つめ、ダリルは浮かされた様子で呟いた。

「なるほど、君のこれは絶頂すると女の潮を吹き出すのだな? やはり男のものとは違うようだ。蜜をこぼすだなんて、女の子らしくて実に可愛いじゃないか」

「う、ぅぅ……。うっ、だ、ダリルのばか! にやにやしないでよお……!」

 ルクレーシャは啜り泣いた。ライバルの男に大事なところを弄られて気持ちよくなった挙げ句、シーツも服もびしょびしょになるほど漏らしてしまったとあってはこの男から一生からかわれるに違いない。

(ううっ……。も、漏らしちゃった。男のひとみたいにっ、あそこからいっぱい出しちゃった……。わたしの体やっぱり変だ。こんな風になっちゃって、本当に元に戻れるのかな……?)

 羞恥と絶頂の余韻に泣くルクレーシャの頭を撫でながら、ダリルは彼女の秘部を指さした。

「おいルクス! 見てみろ、さっきより小さくなってるぞ!」

「へ? ……ぁ、ほんとだ……!」

 肥大化した陰核が少しだけ小さくなっている。ややしんなりとした自分の肉棒を見て、ルクレーシャは喜びの声を上げた。

「やっ、やったぁ! わたしの体、元に戻れるんだ!」

 一度絶頂を迎えたせいか、自分を酷く苦しめていた性欲も鳴りを潜めている。ルクレーシャはくるりと振り向き、背後の男に満面の笑みを向けた。

「ありがとうダリル! やっぱり錬金術材料のことはあなたに頼るのが一番ね! あなたの馬鹿みたいな提案を聞いた時は嘘じゃないかって思ったけど、本当に私のが小さくなって嬉しいわ! いつも嫌味たっぷりの意地悪陰険腹黒ダリルにもいいところがあるのね!」

「……む」

「手間をかけさせて申し訳なかったわね。とにかく扱き方は分かったわ、もうあなたに頼らなくても大丈夫! ありがとダリル、後は寮に帰って一人で――」

「おい待て」

 冷気を含んだ男の声が落ちる。ルクレーシャの言葉を遮ったダリルは、首を傾げる彼女を見てにっこりと笑った。

「恩知らずの女め……。調子に乗るなよ。処理の仕方を教えてやった俺に向かって意地悪、陰険、挙げ句の果てに腹黒だと?」

「なっ、何よ。どれも事実じゃない!」

「普通このタイミングで言うか? だから君は考えなしって言われるんだ! くそ、悪態をつく君を見てたらまたいらいらムラムラしてきた。虐め抜いてやる!!」

「え、ちょっ――ひぐうっ!?」

 絶頂を迎えたばかりの敏感な陰核がきゅっと握り込まれ、何やらもぞもぞと手を動かされる。ルクレーシャはいつの間にか、雁首の部分に銀色の輪が着けられていることに気がついた。

「やっ、なにこれ? ねえダリル、わたしのあそこに何着けたのよ!?」

 光沢はあるが布のように柔らかい。どうやら金属ではないようだが……。焦るルクレーシャを見下ろし、ダリルは意地悪な笑みを浮かべた。黒曜石の瞳が、ぎらぎらと輝いている。

「湿布の一種だ。腰が痛いという先生のために作ってみたんだがな、試しに君に使ってみることにした。なあに、安心しろ。肌に優しい素材を使ってるから着けっぱなしでも問題ない」

「そ、そういうことじゃなくて!」

 なぜ今これを着けたのか。
 ルクレーシャが口を開こうとすると、輪が激しく振動し始めた。

「ひゃふっ!? んあっ、ああああああぁぁぁぁあッッ!?」

 何が起きたのか分からないまま、ルクレーシャは二度三度立て続けに絶頂した。
 彼女の陰核からびゅっ、びゅっと凄まじい勢いで愛液が吹き出る。芯を失った肉棒はたちまち硬さを取り戻し、桃色の茂みの中から勃起した先端を覗かせる。充血しふっくらと肥大化した己のものを見て、ルクレーシャは目を潤ませた。

「えっ!? 私のここ元に戻っちゃった! んっひぃ!? まっ、またぶるぶるしてっ! ゃぁああああああああっ!!」

 こんな強すぎる刺激は耐えられないと、ルクレーシャは大きな泣き声を上げた。振動する輪を急いで取り外そうとするが、ダリルに阻まれて無理やり手を拘束されてしまう。あまりの快楽にのたうち回りたいのに、男にがっしりと抱きしめられて身動ぐことすら許されない。機械的な振動が肉棒の芯に抗えない快感を蓄積させていく。強烈な肉悦にルクレーシャは可愛らしい顔を蕩けさせた。

「あっ、ああぁっ、あっ、りゃめっ! ぶるぶるとめてえっ! もうイッたの! これいじょっ、は、無理ぃ! あっあっ、またイッひゃ――――ひいいいいいいいぃぃっ!?!?」

 絶叫と共に再度飛沫が吹き出る。シーツはルクレーシャの潮と愛液でびしょびしょだ。桃色の唇からはふ、はふと艶やかな吐息が漏れ出る。強い性感に硬直したのちぐったりと体を弛緩させた彼女を振り向かせ、ダリルは涙に濡れた顔を覗き込んだ。

「ははっ、涎が垂れてるぞ」

 口の端から溢れた唾液を拭われる。ダリルは放心したルクレーシャに顔を近づけ、ゆっくりと囁いた。

「この湿布はな、魔力を込めると振動するように作ったんだ。適切な強さの振動で筋肉の凝りをほぐすことを目的としたんだが……。ふふ、君をいたぶるのにも使えそうだな? どうだ俺の作品は。相変わらず完璧で精巧な作りだろ?」

「ぁっ……ああぁ……」

「満足してもらえたようで嬉しいよ。ライバルの君には、身を以て俺の実力を知ってもらいたいんだ。ほら、もう一度同じことをしてやる」

「ぁっ、だめ。ゆるしてだりる……。ご、ごめんなさい……! ごめんなさっ……謝るからぁっ……!」

 息も絶え絶えに男に縋り付く。これはだめだ。女の弱点にこんな暴力的な振動を与えられ続けたら絶対に狂ってしまう。剥き出しの神経を直接揺り動かされるような快楽が怖くて仕方ない。ルクレーシャは涙を流しながら謝罪の言葉を口にしたが、ダリルははあはあと荒い息を吐きながら唸るような声を出した。

「素直で弱々しい君も虐めたくなる。本っ当にルクスは俺を煽るのが上手いな」

「やっ、なんでよお!? んあっ! あっ、あひっ、ひぃんうぅぅううううッ!!」

 銀の輪が光を放つと共に、ルクレーシャの肉竿全体に震えが走り抜ける。輪の振動が芯にずきずき響き、腹の奥にまで迫るような深い快楽を与えてくる。自分がばらばらに砕け散ってしまいそうな衝撃が風船のように膨らんでいき、あとほんの少しで破裂してしまう……。

 あまりの快楽にルクレーシャは臀部をベッドにばたばたと打ち付け、溜まり続ける性感を逃がそうとした。しかしダリルの手がなお彼女を追い詰める。骨ばった指に裏筋をしつこく擦られ、ルクレーシャは思わず唸るようなよがり声を上げてしまった。

「ほおおおおっ!? んっ、ぉおっ……ああッ、あっいや! それいやぁ! いゃだああああぁぁあッ!!」

「はははっ、お淑やかじゃない声が出ていたぞ? ここまで余裕を無くすなんて情けないなあルクス!」

「ばっ、ばかばか! もうやめへっ、やめてよほんとうにいぃぃ! あっいぐ、またイッちゃう! やっ、あんっ、あっ! っ、ぁ、あああああああああああっ……」

 ぷしゃ、ぷしゃと愛液が飛び散る。苛烈な責めに勢いを失った肉棒は再度しんなりと下を向いた。
 輪の振動が止まる。深い絶頂の余韻にルクレーシャは呆然とし、ダリルに全体重を預けた状態で項垂れた。

「ぁ……あ……ぅ……」

「よく頑張ったじゃないか。辛くてもここまで耐えるとは、さすが俺のライバルだ」

 ルクレーシャの頭が優しく撫でられ、そっと水を飲まされる。放心する彼女を、ダリルは優しく横たえた。

「ここまで刺激して、君の陰核はようやく落ち着いたみたいだぞ。それでもまだ足りない、もっと刺激してやらないと小さくならないようだ」

「ふぁ……だ、めぇ……」

「こんなこと一人で出来る訳ないよな? 今日扱き方を覚えたばかりの君は、きっと自分のものを持て余すぞ。だから俺が面倒を見てやる。君の体が元に戻るまで、この俺が……俺だけがずっと扱き続けてやるんだ」

 ひく、ひくと弱々しく身を震わせるルクレーシャをじっと見つめ、ダリルは美しい顔を彼女にそっと近づけた。

「かわいい」

 唇が、静かに奪われる。

「んぅ……?」

 ルクレーシャは瞬きをした。
 
 ダリルの顔が間近にある。長い睫毛、きらきらと輝く黒曜石の瞳に、高い鼻。唇から伝わる優しい体温……。ずっといがみ合ってきたライバルの男に口付けされている。ルクレーシャは胸が切なく跳ねるのを感じた。

(ぁ……わたし。ダリルとキスしてる……)

 嫌だという気持ちは全くなかった。むしろ、もっとしてほしいとすら思う。自分の身を労るような穏やかな接触が嬉しくて、ルクレーシャはそっと目を瞑った。

 自分を受け入れる姿勢を見せた女のことが嬉しく、ダリルはルクレーシャの様子を窺いながら接触を増やしていった。薄い腹を、胸の膨らみを。その存在を慈しむよう服越しに優しく触れていく。

(ダリルと触れ合っていると頭がふわふわする。なんだか、とても気持ちいい……)

 頭を撫でられながら、自分の指に骨ばった指を絡められる。頬を大きな手で摩られると安心感が込み上げてきて心地良い……。ルクレーシャが無意識に浮かべた微笑みが、ダリルの胸にも甘やかな余韻を残していく。

 唇を重ね合うだけの穏やかなキスを数秒交わし、ふたりはゆっくりとお互いから離れた。

「どうして突然キスしたの?」

 ルクレーシャは静かに問いかけた。
 
 ダリルを見上げると、ふいと顔を逸らされてしまう。唇を押さえる彼の顔は真っ赤だ。形のいい耳までもが赤く染まっている。

 真っ直ぐなルクレーシャの視線を受けて、ダリルはばつが悪そうに呟いた。

「……こうすれば君がもっと気持ちよくなれるだろ。効率のためだ」

「こ、効率で私にキスしたわけぇ?」

 ルクレーシャは何だか悔しくなり、がばりと起き上がって大声を上げた。

「ひっどい、ファーストキスだったのに! 女の子の唇をそんな理由で奪ったの!?」

「そ、そんなこと言ったら俺だってファーストキスなんだぞ! 貴重な初めてを君にくれてやったのだ、光栄に思え!」

「なんでいつだってそう上から目線なのよ!? 光栄に思える訳ないでしょうが、あなたのそういうところが意地悪だって言ってるの!」

「ああもう、怒るな! どこぞの馬の骨にくれてやるよりかはいいだろうが。良かったなあルクス、初めてのキスが俺で」

「くっ、うぅぅぅ……! ダリルの馬鹿! ばかばか! キス魔の変態!」

 ルクレーシャはにやけ顔の男に掴み掛かろうとしたが、ふと股間の違和感に気がついた。

(あ、あれ? また大きくなってる……)

 しんなりとしていた陰核がまたそそり勃っている。自分の芯を焼き焦がすような強烈な肉欲も込み上げてきて、ルクレーシャは困惑に荒い息を吐いた。

(な、なんで。もしかして、キスの刺激でこうなっちゃったの?)

「はぁっ、う……ダリル……なんかっ、また私のからだ、変……!」

 全身を支配する耐え難い疼きから逃れたくて、思わずダリルに縋り付いてしまう。彼はルクレーシャの滑らかな頬にそっと手を添え、己の顔を近づけた。
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