両片想いに板挟まれた俺が魔法のディルホを手に入れた話

セトラ

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第六話 恋

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 蚊の鳴くような声で返事をした英彩の額に手が触れて、そっと髪をどける。
 ちゅっ。
 再び感じた柔らかい感触に、英彩はひどく動揺した。
「た、拓也っ……」
 ちゅ、ちゅっ、ちゅっ、と、繰り返し顔中にキスの雨が降り注ぐ。
 ちょ、ちょっと待って待って待って! なに、何これ今どうなってるの?! ば、爆発! 爆発しちゃうよ~~~~!!
 と、内心ではわはわと大騒ぎしながらも黙って目を瞑ってキスを受け入れていると、ふいにそれが止んだ。
 おそるおそる片目を開けてみると、眼前には、とろけてしまいそうなほどのあまいあまい青が広がっていた。
「……英彩」
 ちゅ、と、やさしくくちびるを奪われる。
 やがて、英彩の背中がとん、と床に当たった。
「拓也……」
「英彩……いい?」
 英彩は黙って真っ赤になった頭をこくんと縦に振った。
「ありがとう」
 拓也の手が、ぎこちなく英彩の服を這う。やがて裾から侵入を果たした手は、きめ細やかな肌にじかに触れた。
 すげぇ、すべすべだ。
 感動すら覚えるような触り心地に、思わず夢中になる。自分に都合の良い夢でも見ているような感覚に襲われながら、拓也は手を動かし続けて。
「んっ……!♡♡」
 ぴく、と、英彩の体が跳ねた。
「ご、ごめん、どっか痛かったか?」
「う、ううん、くすぐったかっただけ……」
 ……そういえば、さっき指先がぷにっとしたものに当たった。まさか。あれは。
 乳首、だったのでは。
 確か、くすぐったいところって性感帯に成り得るんだよな。
 ってことは、英彩は乳首で感じる才能があるってことか? な、なんだよそれ。
 エロすぎじゃないか……?!♡♡
「拓也……?」
 突如フリーズした拓也を不思議そうに見る英彩に「なんでもない」と大慌てで返して、いよいよ手のひらを下半身に向けて滑らせていく。
 どのタイミングで脱がせばいいんだこれ。
 童貞の拓也は、ドキドキしながらズボンとパンツの隙間に手をねじ込んだ。
「う、わ……っ♡♡」
 英彩のそれは、既に兆し始めていた。
 すげえ、オレに触られただけで、こんな。
「う、うぅ~……っ♡♡」
 あんなぐちゃぐちゃな姿を互いに見合ったというのに、二人の間にはずいぶんと初々しくて可愛らしくて甘酸っぱい空気が流れていた。
「ぼ、ぼくも……!」
「おわ……」
 英彩の手がズボッと突っ込まれ、英彩同様に滾り始めていたそれに触れる。
 二人はただ黙って、互いの陰部を触った。
 はぁはぁと荒っぽい息と、ばくばくとした自分の心臓の音だけがする部屋で、二人は互いのものを育て合った。
「え、英彩……♡♡」
 先に我慢が効かなくなったのは、拓也の方だった。
「脱いで」
 言うなり、拓也は立ち上がって服を乱雑に脱ぎ捨てて行った。
 部活で鍛え上げられた体があらわになる。部屋の電気に照らされたそれは、逞しかった。
 ごくり。喉を鳴らした英彩は、小さく「うん」と言うと、おずおずと服を脱ぎ始めた。
 その様子を、早々に全裸になった拓也がフーッ♡♡ フーッ♡♡ と息を荒げながらも見守っていた。
 脱ぎ散らかした服はそのままに、二人の体がベッドに沈む。
 青と緑が絡み合って、二人の距離はゼロになった。
 あの現象を除けば初めての性行為に、英彩は緊張しっぱなしだった。だが。愛おしい愛おしいと絶えず訴えてくる雄弁な青に、緊張がとろけていく。
 ぼく、これから、好きな人とえっちするんだ。
 現象の時にも、自分を慰めている時にも感じなかった温もりがじわりと胸に広がる。
「え、英彩?! どうした?!」
「え」
「何が嫌だった? それとも本当はしたくなかった?」
「ま、待ってよ拓也、何言ってるの? 落ち着いてよ」
「落ち着けるわけないだろ、急に泣かれたら……」
「泣いて……?」
「まさか、自覚がないのか?」
 ほら。と、拓也の指が頬を撫でる。
 そこには、確かに濡れた感触があった。
 自覚をした途端、ぽろぽろと次から次へと零れ落ちていく。
 ぎょっとした拓也に向かって、英彩はゆるゆると頭を横に振った。
「違うの。嬉しくて……幸せだなって……」
 拓也の胸に、衝動が込み上げた。
 勢いのままに、目の前の恋人を抱きしめる。
 そうして二人は、しばらくお互いの体温が溶け合っていくのをじっと感じていた。

 どのくらいそうしていただろうか。心地よさと幸せを噛みしめる拓也の耳元で、英彩が口を開いた。
「拓也、お願いがあるんだ」
「何だよ」
「もっと深いところで、拓也と繋がりたい」
 思わず目を見開いた拓也の目の前で、英彩は零れ落ちそうな笑顔を咲かせた。
「ぼくを、抱いてください」
「良いのか」
「うん」
 念のためにと、潤滑剤をたっぷり塗した指で英彩の後孔に触れると、現象ですっかり耕されきったそこは十二分に柔らかく、すんなりと拓也の指を呑み込んだ。
「痛みや違和感は?」
「大丈夫だよ」
 そんなやり取りを何度か繰り返して、ようやく切っ先があてがわれた。
 くっついている間にすっかり萎えてしまったはずのそれは元気を取り戻し、熱を伝えてくる。
「……いくぞ」
「うん、きて、拓也」
 初めて受け入れた恋した人のそれは、初めて侵入した恋した人のそこは、いっそ熱いくらいにあたたかくて。だけど。初めてだとは思えないくらい、とてもよく知った形をしていて。二人とも、思わず固まった。
 質感に多少違いこそあるものの、これは。あの現象の時の。
 ばちりと眼がはちあって、互いが全く同じことを感じているのだと瞬時に理解した。
 困惑、動揺。そう言ったものが、数秒前まであったはずのあたたかさを奪っていく。
 それでも、現象に開発され切った体は、半ば無意識に快楽を求めて動き出す。
 ずりゅ……♡♡
「んっ……♡♡」
「あ、ご、めっ……♡♡」
 一度摩擦が生まれてしまえば、もう駄目だった。
 脳みそが下半身に移動してしまったのではと錯覚するほどに、目の前の違和感が、疑問が、どうでもいいと隅の方へ押しやられていく。
 代わりに頭を埋め尽くしたのは、気持ちいい、だった。
 それはどんどん大きくなり、ふくらみ、柔軟に形を変えて、ありとあらゆる隙間を埋め尽くしては勢力を拡大していく。
 ぱんっ!♡♡ ぱんっ!♡♡ ぱんっ!♡♡ ぱんっ!♡♡
「あ゛っ♡♡ あ、お♡♡ お~……っ♡♡♡♡」
「はぁんっ!♡♡♡♡ あっ♡♡ あっあっあっあっ♡♡♡♡」
 先ほどまでの初々しい恋人たちの姿はそこにはなく。あるのは、激しく絡み合う二人のケダモノだけだった。
 気持ちいい。気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい♡♡♡♡
「はぁーっ♡♡♡♡ はぁーっ♡♡♡♡ んぶっ♡♡♡♡ んぢゅっ♡♡♡♡ んぢゅるるるるっ!♡♡♡♡」
「ん゛むっ!♡♡♡♡ ん♡♡♡♡ んむうぅ♡♡♡♡ れろぉ♡♡♡♡ んぢゅぷっ♡♡♡♡ ぢゅぱっ♡♡♡♡」
 本能的に腰を打ち付けあい、互いの唇を貪りあう。体液が飛び散って、互いの体を汚す事さえどうでもいいとばかりに。激しく。
 互いを気持ち良くしようなんて気遣いは一切ない、ただ自分が気持ちよくなるためだけの腰振り。だが、ここまでしても、二人は物足りなさを覚えていた。
 もっと暴力的に。もっと物のように。もっと乱雑に扱ってほしい。あの現象が与えてくれた快楽が欲しい。
 そうでないと。もう、二人とも、並みの快楽では絶頂できない体にされてしまっていた。
 足りない「あと一歩」を求めて、二人はより一層ぱんっ!!♡♡ ぱんっ!!♡♡ と力強く腰を打ち付けあう。
 結局二人は、このセックスでは絶頂することができないまま、体力が尽きてしまう、いや、体力が尽きて気を失ってからも、へこ♡♡ へこ♡♡ と互いの性器をぶつけあっていた。
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