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王子様は、キャパオーバー?

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アスラン様は、私が寝室にベッドを入れて欲しいというと、一瞬焦っていたけれど。

しばらく考えた風にして、ポンと手を打った。

「わかったぞ!」

......何がわかったのでしょうか?


「よしよし。元気になって良かったな。お礼になど、来ずとも良いものを」

そう言って、愛おしげに私の頭を撫でた。

その表情!ヤバすぎですよ!


「......一体何のことでしょう?アスラン様?」

「良い良い。何も言うでない。世の中あり得ないことだってあっても不思議ではないし、言えぬことだってあろうから。......お前は気がすむまでここにいたらいいが、番を見つける時期にはちゃんと森に帰るのだぞ」


「 ............アスラン様?番って?森って何ですか?」

「とぼけずとも良い。もう何も言わぬから」

アスラン様は、一人で納得したようで、ニコニコしながらベッドを運んでいった。

アスラン様ってば、細身なのに力持ちー!



寝室にベッドを運び入れた後、アスラン様は衝立をベッドとベッドの間に備え付けた。

「お前の姿が仮のものとは言え、そのように美しい女人の姿でいられると、私も一応男だからな。寝ぼけて間違いを起こさぬとも限らぬ。異種間で間違いを起こしても、責任を取ってやれぬから、こうしておけば大丈夫だ」

「あの~、アスラン様が今考えていることは、きっと間違っていると思いますよ?」

「ああ、すまなかった。もう言わぬと言ったのに。そろそろ夕飯の時間だな。お前が食べられないものは......。ネギとぶどうはダメだったか。大丈夫、ちゃんと食べられるものを用意してやる」

アスラン様は、再度私の頭を撫でると、キッチンに向かった。


「ネギとぶどう?どっちも好きですよ?私を何と間違えてるんですか?」

私は一人取り残された寝室で呟いた。

思い込んでしまったアスラン様を、説き伏せるのもめんどくさいから、そのまま放置することにした。



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