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助けを求めることにした 〜ジェラルド視点
しおりを挟む山に行くと言って聞かない女を、なんとか引き止めソファに座るように促した。
女はソファを知らないようで、座面の上に足を折り畳むように座った。クッションが良いソファなので、身体が不安定に揺れている。
このように座るのだとやって見せたら、俺の真似をして、大股を開いて座りおった。
(お前は今、俺のシャツ一枚しか着ていないのだぞ。なんでそんなに無防備に座れるのだ?!)
焦った俺はつい、彼女の膝に触れて閉じるようにくっつけてしまった。
勝手に触って怯えただろうかと伺い見れば、
「そうですわよねぇ、私ったら考えたらわかりそうなものを。ごめんあそばせ」と能天気に笑っている。
そんなわけで、俺は今、ソファに座る彼女の足元で跪いた格好になっていた。両手を彼女の膝に添えたまま、ふと彼女を見上げると、ちょうど目線が胸元辺りに合わさった。
「!?」
まだ濡れている黒髪から水滴が滴り、濡れたシャツに吸い付いた肌が、艶かしく映し出されている。
俺は一瞬目眩を覚え、すぐさまそこから視線を外した。
そして俺は考えた。
この無防備を極めたような天然生物は『超危険人物』であると。
こんな生物を世間に放り出せば、あっと言う間に飢えた野郎どもに骨までしゃぶられることだろう。この女は、それでも呑気に笑っていそうで、そこが余計に恐ろしい。
俺は、俺の中の猛獣が暴れ出す前に部屋から脱出して、現団長アーロンのところに転がり込んだ。
「危険人物を確保した。アーロン、今すぐ助けてくれ」
俺は事情をかいつまんで話し、女の扱いに慣れた色男であるアーロンに縋り付いた。
剣では俺はこいつに負けなかったが、こういう問題を解決する能力は彼の方が格段に優秀なのだ。
副団長として長い間見てきたから、こいつに任せた方が良いと俺は判断した。
「面白い者を捕まえましたね、ジェラルド様。......とりあえず、女性用の服と下着を持って行き、着させてから調査してみましょう」
そう言って、俺に女のサイズをどの程度か聞き、SとMの二通りサイズの服と下着をテキパキと用意した。
騎士団には襲われた女性を保護することも多いので、女性の衣類は各サイズ常備されている。
俺たちはそれを持って、急いで俺の部屋へ向かった。
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