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私は危険人物だそうです。
しおりを挟む私は忍なので、山で暮らすのは得意なのですが、心配性の熊さんがどうしてもだめだと言うので困ってしまいました。
「ですが私には他に行く宛もございませんし、これ以上こちらにいてはご迷惑で御座いましょう?」
私がそう言うと、熊さんは溜息をついて言いました。
「まあそう慌てるな。俺がこんな見た目で恐ろしいのかもしれないが、俺はお前を取って食ったりしない。とりあえず、そこに座ってくれ」
ご親切な熊さんが恐ろしい? 私は全くそのようなことを思ってはいませんが、熊さんが座れというので、指定された小型の寝台のようなところに正座しました。
......ここはフカフカしていて大変座りにくう御座います。文化が違うので仕方ございませんが、やはり、座るのは直に座りたいものですわ。私がそう思いながら、ぐらぐらと座っていると、熊さんがやって来て見本を見せてくださった。
「これは、このようにして座るのだ」
隣に座った熊さんを見ると、寝台にお尻を付き、足を広げて床に投げ出し、背中を寝台の壁にもたれさせていました。
郷に入っては郷に従えと申します。なので私も真似をして同じように座りました。
「お前は女だから、そんなに足を開いて座るんじゃない」
そう言って熊さんは、私の膝と膝を手で挟むようにして合わせました。
(まあ、とても大きくてご立派な手ですこと)
その手は鍛錬の成果が窺える、タコのたくさんある硬い手でございました。
「そうですわよねぇ。私ったら考えたらわかりそうなものを。ごめんあそばせ」
私が笑ってそう言うと、熊さんは溜息をついて呟きました。
「......こんな危険人物を、野に放ってはいかんな」
危険人物? 確かに私は暗殺などもこなせますが、命令もなしに、みだりに人を傷つけたりはいたしませんわ。
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