魔術少女と呪われた魔獣 ~愛なんて曖昧なモノより、信頼できる魔術で王子様の呪いを解こうと思います!!~

朝霧 陽月

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第10話 呪いをかけられた王子さま-後談-

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「以上だ……」

 語り終えると、アルフォンス様は暗い顔で口をつぐみ黙り込んでしまった。
 そして静まりかえった部屋は、彼の表情のせいだろうか冷たく痛々しいものに感じられた。


 話自体はよくあるお伽噺そのものだった。
 ただ問題は呪いをかけられたところでそのまま終わっていることと、その当事者の王子さまが目の前にいるということだ。

 それまでのおこないの悪さから呪いをかけられて姿を変えられたか……んん?

「呪いで姿を変えられたのですよね?」

「ああ、このような恐ろしい獣のような姿にな」

 沈痛な面持ちでアルフォンス様は答えるが、個人的に恐ろしいか否かなどは重要じゃない。

「もとは獣人ではなかったということですか?」

「私はもともと人間だ」

 人間って……普通に私と同じ感じのアレのことかな。

「そもそも獣人のような存在は、呪いをかけられた私を除いて見たこともない」

「……」

 その発言は地味に私の精神にショックを与えた。
 そ、そっか……この辺にはいないのか。
 未知の種族との邂逅とか旅の醍醐味っぽくて楽しみにしていたのに……。
 更にあのモフモフも呪いの産物なのか、天然じゃないのか……。

 あぁ、モフモフモフモフ……いや、違う違う。
 落胆から見当違いの方向に転がっていきそうな思考に歯止めをかけて、気を取り直す。

 今はアルフォンス様の呪いについて詳しく聞かなくてはならないのだからと気持ちと頭を切り替え、彼への聞き取りを再開することにした。


「お聞きしたいことは何点かありますが、まずはアレについてお願いします」

 ビシッと私が指を指したのは、この部屋に入ったときから視線を感じるようで気になっていた調度品がまとめて置かれている場所だった。

「あの調度品少し妙ですよね? 先程からまるでコチラを見ているような気配がします」

 最初はなんとなく気になっていただけだったが、話しを聞いてる途中でやや魔力をまとっていることと、感じる視線が確かなものであることを確信した。

「そうだろうか……?」

「ええ、魔力を感じますし……ちょっと失礼して調べさせていただきますね」

「……ああ」

 そういうのと同時に立ち上がって、調度品の置いてある棚の前まで歩み寄った。
 見かけは本当に普通の調度品だ。
 ツボが複数に燭台、時計、ティーポットにカップやグラスまであるけど……食器類は片付けた方がいいんじゃないだろうか。

 いざ近寄ってみても遠目から見たとき以上の情報が分からず、手頃な燭台を手に持ってみて何気なく逆さまにした。

「わっ」

 静かな室内に人の声のようなものが響いた、私が持った燭台から。

「えっ……」

 これって傾けると音がするものなの?

 燭台をまじまじと見つめたのち、試しにとブンブン上下に振ってみた。

「そ、それ以上はやめてくれ……!!」

 何回か振ったところで慌てたアルフォンス様の声聞こえて、私はピタッと動きを止めた。

「アレ、もしかしてマズかったですかね……」

 声の感じからして、私の行動が良くないことだと言うことは明らかだった。
 気まずい気持ちでアルフォンス様に顔を向けると、彼はいや……と左右にクビを振った。

「説明しなかった私も悪かった……事情を話すから燭台を棚に置いてくれないか?」

「はい、すぐに……」

 私が燭台を棚に戻したのを見て、こわばった表情だったアルフォンス様はややホッとした様子を見せた。
 そしてそのまま私に席へ着くように促し、座ったところで口を開いた。

「それは元々、城に呪いがかけられたときに、一緒に呪いをかけられてしまった城の使用人達だ」

 んん? 使用人……ということはヒト、人間?

「……ちなみに意識はあるし、動けるし喋れる」

「……」

 その言葉に先程の燭台に目をやると、三つ叉の燭台は私が戻した棚の上で左右を手のように折り曲げてお辞儀をした。

「実は昨夜からずっとお姿を隠れて拝見しておりました、ご無礼をお許し下さい」

 へぇーそうだったんだ、昨日からね~
 無礼がどうこうって言ったら今、私は思いっきりキミを上下に振っちゃったんだけどなー
 ……うん、マズいよね?
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