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第47話 楽しい露店巡り1
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「ところで、このあとはどこへ行く?」
書店を出てやや歩いたところで、アルフォンス様は足を止めて振り返り、私に声を掛けてきた。
「あら、てっきり決めたうえで歩かれているのかと」
「いや、最初にも言ったが特になくて……」
「えっ何かしらのご希望などもないのですか?」
さすがに取っかかりがないと私も考えづらいのでそう聞いてみる。
いや、私の方は書店での用が済んだ時点で、それ以上の用はないのでアルフォンス様に合わせればいいかなーって。
「…………実は言いづらいのだが、私は市井のことに詳しくなくてな」
するとなんとも答えづらそうなご様子で、アルフォンス様はそう口にした。
………………。
え……いや、さっきの時点でなんとなく察していましたけど……。
だって物珍しそうにしていましたし、いかにも慣れてないってバレバレですよ……?
「……そうだったんですね」
でも正直に言うのは躊躇われたので、とりあえず頷いて置いた。
まぁそもそも普通王族は街歩きなんかしませんよね……。
「街自体には来ていたことはあったのだが……」
「ああ、市中視察というやつですね?」
すかさず私がそういうと、アルフォンス様は目を逸らしながら、先程よりも更に言いづらそうにモゴモゴと口を動かした。
「いや、貴族向けの……高級店とかそういう感じの……」
貴族向けの高級店……なるほど、良いお店を遊び歩かれていたってことですね? 噂では聞いたことがありますよー。
まぁ、その手の人とは基本関わり合いにならないので、実際のところは詳しくはないけど……!!
「申し訳ありませんが、私にはそういった接待をする経済力はありませんので、その手のものはご遠慮して頂けると助かります」
とりあえず、最低限それだけはきっぱり伝えておく。
だって行きたいとか言われたら本気で困るからだ!!
現に私の懐にそんな余裕など存在しない、仮に多少余裕が出来たとしても優先して買うものは決めてあるので、そこに突っ込むし……。
とにかく私に無駄遣いできるお金などないのだ。
「いや、そうではないぞ!? 別にキミにそういうことを求めているワケではないし、特に行きたいワケでもないからな!!」
するとアルフォンス様は、私の言葉が心外だったのか強めの口調の早口でそう言い。
「そもそも私が言いたかったのは、他にもキミの方から行きたい場所の提案があれば聞きたかっただけで……」
そして更に重ねるように、今度はおずおずと控えめな声でそんなことを口にしたのだった。
んん、私の提案を聞きたかったと……?
いやー、それなら高級店とか言わないで下さいよー。
えっ私が余計な質問したせいで話題がズレたって? いや、だって『市中視察にいらしてたのですね』と聞いて『遊び歩いてた』なんて回答が王子から帰ってくるとは普通思わないでしょうよ……だから私は悪くないねっ、うん。
まぁそれはそれとして提案はどうしようかしら……あっ、そう言えばさっきアレを見かけたな。
「なるほど、そうだったんですね。ならば先程あちらの方に露店が出ているのを見かけたので、それを見るのは如何でしょうか?」
そう、ちょうど先程書店に来るまでの道のりである通りに、露店が並んでいるのを見かけたんだよねー。
「ふむ、露店か……あの野外に並んでいた屋台のことだよな?」
「そうですよー、色々な商品が見れてきっと面白いと思いますよー」
「では露店を見よう」
アルフォンス様が快く頷いてくれたため、ほっと一安心。
だってこれで嫌だって言われた場合、代案とかをさっと出せる自信がなかったんだもんっ。
ああ、よかったー。
「決まりですね、それではどうぞこちらへ」
そして私の先導により、ほどなく目的地の露店が立ち並ぶ通りに到着したのだった。
通りに広がる風景は、ところ狭しと立ち並ぶ色とりどりの屋根を持つ屋台、行き交う沢山の人々。ガヤガヤと賑わうそれは、見ているだけで何だか楽しい気分にさせられる。
うん、いいねー!! こういうのって好き嫌いが分かれるけど、私は大好きなんだよねー。
「ほう、これが露店か……」
「色々な物があって、楽しくて面白いですよねー」
そんなことを言いながら、ふと思った。
あれ、ここって物凄く人が多いけど……。
「そう言えば、アルさんは人混みが苦手だったりしないのですか?」
ついさっき数人と行動するのに、わざわざ距離を取っていたことを忘れて連れてきちゃったけど、苦手だったらマズいよね……?
「ああ、まぁ実際に接する必要がなければ多少は平気だ……」
え、多少って……それは大丈夫なのですかね?
まぁ一応本人が平気って言ってますし、信じましょう……。
とりあえずアルフォンス様は大丈夫らしいので、改めて露店の様子を見る。
そこに並ぶ商品は編み物や木工細工、腕輪や首飾りをはじめとした装飾品、食品に酒類まで多岐に渡るようだった。
そんな屋台が通りの先までずらっと立ち並んでいる。
あっ、あの細工の彫刻の手法は初めて見た!! こういうのって賑やかさもそうだけど、土地ごとの特色が出るから見てて楽しいんだよねー。
「それでは、ゆっくり見て回りましょうか」
「ああ、そうだな」
そうしてアルフォンス様と一緒に、近くの露店から順番に商品を見て回っていったのだった。
書店を出てやや歩いたところで、アルフォンス様は足を止めて振り返り、私に声を掛けてきた。
「あら、てっきり決めたうえで歩かれているのかと」
「いや、最初にも言ったが特になくて……」
「えっ何かしらのご希望などもないのですか?」
さすがに取っかかりがないと私も考えづらいのでそう聞いてみる。
いや、私の方は書店での用が済んだ時点で、それ以上の用はないのでアルフォンス様に合わせればいいかなーって。
「…………実は言いづらいのだが、私は市井のことに詳しくなくてな」
するとなんとも答えづらそうなご様子で、アルフォンス様はそう口にした。
………………。
え……いや、さっきの時点でなんとなく察していましたけど……。
だって物珍しそうにしていましたし、いかにも慣れてないってバレバレですよ……?
「……そうだったんですね」
でも正直に言うのは躊躇われたので、とりあえず頷いて置いた。
まぁそもそも普通王族は街歩きなんかしませんよね……。
「街自体には来ていたことはあったのだが……」
「ああ、市中視察というやつですね?」
すかさず私がそういうと、アルフォンス様は目を逸らしながら、先程よりも更に言いづらそうにモゴモゴと口を動かした。
「いや、貴族向けの……高級店とかそういう感じの……」
貴族向けの高級店……なるほど、良いお店を遊び歩かれていたってことですね? 噂では聞いたことがありますよー。
まぁ、その手の人とは基本関わり合いにならないので、実際のところは詳しくはないけど……!!
「申し訳ありませんが、私にはそういった接待をする経済力はありませんので、その手のものはご遠慮して頂けると助かります」
とりあえず、最低限それだけはきっぱり伝えておく。
だって行きたいとか言われたら本気で困るからだ!!
現に私の懐にそんな余裕など存在しない、仮に多少余裕が出来たとしても優先して買うものは決めてあるので、そこに突っ込むし……。
とにかく私に無駄遣いできるお金などないのだ。
「いや、そうではないぞ!? 別にキミにそういうことを求めているワケではないし、特に行きたいワケでもないからな!!」
するとアルフォンス様は、私の言葉が心外だったのか強めの口調の早口でそう言い。
「そもそも私が言いたかったのは、他にもキミの方から行きたい場所の提案があれば聞きたかっただけで……」
そして更に重ねるように、今度はおずおずと控えめな声でそんなことを口にしたのだった。
んん、私の提案を聞きたかったと……?
いやー、それなら高級店とか言わないで下さいよー。
えっ私が余計な質問したせいで話題がズレたって? いや、だって『市中視察にいらしてたのですね』と聞いて『遊び歩いてた』なんて回答が王子から帰ってくるとは普通思わないでしょうよ……だから私は悪くないねっ、うん。
まぁそれはそれとして提案はどうしようかしら……あっ、そう言えばさっきアレを見かけたな。
「なるほど、そうだったんですね。ならば先程あちらの方に露店が出ているのを見かけたので、それを見るのは如何でしょうか?」
そう、ちょうど先程書店に来るまでの道のりである通りに、露店が並んでいるのを見かけたんだよねー。
「ふむ、露店か……あの野外に並んでいた屋台のことだよな?」
「そうですよー、色々な商品が見れてきっと面白いと思いますよー」
「では露店を見よう」
アルフォンス様が快く頷いてくれたため、ほっと一安心。
だってこれで嫌だって言われた場合、代案とかをさっと出せる自信がなかったんだもんっ。
ああ、よかったー。
「決まりですね、それではどうぞこちらへ」
そして私の先導により、ほどなく目的地の露店が立ち並ぶ通りに到着したのだった。
通りに広がる風景は、ところ狭しと立ち並ぶ色とりどりの屋根を持つ屋台、行き交う沢山の人々。ガヤガヤと賑わうそれは、見ているだけで何だか楽しい気分にさせられる。
うん、いいねー!! こういうのって好き嫌いが分かれるけど、私は大好きなんだよねー。
「ほう、これが露店か……」
「色々な物があって、楽しくて面白いですよねー」
そんなことを言いながら、ふと思った。
あれ、ここって物凄く人が多いけど……。
「そう言えば、アルさんは人混みが苦手だったりしないのですか?」
ついさっき数人と行動するのに、わざわざ距離を取っていたことを忘れて連れてきちゃったけど、苦手だったらマズいよね……?
「ああ、まぁ実際に接する必要がなければ多少は平気だ……」
え、多少って……それは大丈夫なのですかね?
まぁ一応本人が平気って言ってますし、信じましょう……。
とりあえずアルフォンス様は大丈夫らしいので、改めて露店の様子を見る。
そこに並ぶ商品は編み物や木工細工、腕輪や首飾りをはじめとした装飾品、食品に酒類まで多岐に渡るようだった。
そんな屋台が通りの先までずらっと立ち並んでいる。
あっ、あの細工の彫刻の手法は初めて見た!! こういうのって賑やかさもそうだけど、土地ごとの特色が出るから見てて楽しいんだよねー。
「それでは、ゆっくり見て回りましょうか」
「ああ、そうだな」
そうしてアルフォンス様と一緒に、近くの露店から順番に商品を見て回っていったのだった。
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