甘いコーヒーと和菓子

茶雲

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甘いコーヒーには和菓子を3つ

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私は、湖に着いた。

湖は透き通り魚が多く泳いでいて湖の周りには桜が満開に咲いていて冬景色しか見たことない私はサバイバルよりもこの景色の美しさで心がいっぱいになった。目の前が明るい色で溢れ、風が吹くとそれが私の前を横切る…

テレビでしか見たことのなかった景色が今目の前に‼︎
「あぁ、最高ー‼︎」

と叫びたくなってしまうくらいだ…
でも、日が暮れてきたから早めに申請しないと…並行世界といっても勝手に野宿は許されないだろうから役所に行き、戸籍登録と野宿の申請書を出さなきゃいけないと思う…
私はそのための役所がないか湖の周りを歩くことにした。

やることが多いな。とため息をつきたく気持ちもあるが前を向いて歩くと私の好きな風景が広がっていて私を前に進ませてくれた。 


桜を踏む音、桜の散る花びらが私に当たる時の感触…と、こんな感情に浸っていたらキリがない。進まなきゃ


私は役所の前に着き手続きを済ませて名前はこの世界にいる私と重ならないように桜に一目惚れしたので『桜舞花』と名前にして戸籍登録をした。

あとは野宿場所を決めるだけ。どこでも桜を見ながら生活することはできるけどこういった生活ができるのはキャンプ場かバンガローみたいな場所だけで限られてしまった…
(並行世界だからもっと緩かったらいいのに…)

「ねぇ、君。」


私はどうしよう…どこが1番綺麗な桜が…

「ねぇ、君。」

ここだったら雨が凌げて…いや風が強かったら…。

「ねぇ、君‼︎。」

私は無視をしていたわけではなく真剣に考え事をしていたら急に手を握られて後ろを振り向かされた。

「誰?」
と、早く振り向いてしまったが、落ち着いて質問をすると向こうの人も落ち着いて答えてくれた。

「私は美鳥さんのファンです。あなたが美鳥さんに凄く似ていて声をかけさせていただきました。」
「美島さんには姉妹や兄弟はいなかったはずなので顔が似ていて家出をしてきてひっそりと生きようとしてませんか?。」

私の考えていることを的確に当てられて…口を開けたまま固まってしまった。

「憶測でズカズカとすいません。いきなりこんなに話すと不審者ですよね。私、こういうものです。」

彼女は私に名刺を渡してきた。嘘か本当かは分からない。目を合わせて感じ取った第一印象がまっすぐな人と感じられたので素直に話しを聞くことにした。

 渡された名刺にはカフェテリアの店長と書かれている。

「私、この湖にある1つの旅館もといカフェテリアの店長をしている羊雲雲雀ひつじくもひばりと申します。」

「これはご丁寧にありがとうございます。私、」
「本当に美鳥さんに似ていますね。お願いがあるのですが聞いていただけますか?」

私の自己紹介もさせてもらえずに一方的にお願いをされた。

「内容によりますが、話だけはひとまず聞きます。」
こういう場合は弱みを見せるとそこを付け込まれるから常に程よく強気で対応することを意識しなきゃいけないと思う。

「名刺にあるように私は先程も言いましたがブルージェットというカフェテリアの店長をしている羊雲雲雀と言います。」
「今、私と私の夫と私たちの息子と姉の家族で働いていて兄の家族が今、ヘルプで働いてくれてるんだけど息子が今24歳なんだけど性格的に無理する子でいじめに多くあって引きこもってしまって…。」

「今は、3世帯で旅館を経営してるんだね。それで奥さんの子供が人間関係によって今引きこもっていると。」
長文でいきなり説明されてきたので途中で確認するために会話を切った。

奥さんは申し訳なさそうな顔をして
「いきなり長く話してしまってすいません。どうしても私の子供を幸せにしたくて…。」
「いじめが多くあって引きこもってしまったんですけど、最近やっとお店の手伝いができるように回復してきたんだけど、同年代の女の子がお店に来たら呼吸が浅くなって倒れちゃうような深刻な問題で…。でも、世の中に優しい女性や分かり合える女性はいる。全員が全員悪い人ではなく、友達になれる人が多くいると知ってもらいたいんだ。」

会話の途中からは涙も流して説得してるところから子供のことを愛してることが十分に伝わった。けど、話しを聞いている限り大きな疑問点が浮かんだ。
「私も女の子ですよ。大丈夫なのですか?。」

「本当に申し訳ないのですけど、先程手続きをしてるのを見て予測はできました。住む場所を探していますね。しかもその顔だから誰かに見られると大変だと推測できます。違いますか?。」

「バレているならしかない…。ひっそりと生きようとサバイバルを計画してました。さらに私の名前は桜舞花です。」

「それはこの世界での名前...と、あまり今は踏み込まない方が今後の関係のためですね。」

「舞花さん、私の旅館で男装して働きませんか。衣・食・住は私たち家族に頼って下さい。どうか瀬奈の友達になってくれませか。身分がバレた時には私たちの性を使ってもいいので私たちのところで働きませんか。お互いに助け合いませんか。」

奥さんの目はまっすぐで、真剣に私に提案してきた。そんな優しい提案に私は...
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