風紀委員長は××が苦手

乙藤 詩

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嵐のような怒涛の1学期

四十二話

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流を多目的教室から連れ出した正木は
「大丈夫か?」
とずっと俯いたままの流に声をかけた。
すると流は支えていた正木の手を振り払った。その行為に驚いて正木が目を丸くする。
「それは同情ですか?哀れな僕を助けてさぞかし気分がいいでしょうね。」
流の言い分に流石の正木も声を荒げた。
「お前、捻くれた態度もいい加減にしろよ。そんな事の為に俺がここに来たと本当に思っているのか?」
その言葉に流が一瞬苦しそうな顔をした。そして、
「僕をリコールしてください。もうあなたたちと一緒には居られない。」
ととても小さく弱々しい声で言った。
「何を言ってるんだ?」
正木が驚いたように流に声をかけるが、そのまま振り返る事なく流は去っていった。
「流・・・どうして・・・」
そして、正木の悲しそうな声だけが虚しくその場に響いた。

親衛隊と姫川たちは、正木が去った後の教室で呆然としていたが、そんな中、佐々木が口を開く。
「当の本人がいなくなったんだから、解散でいいんじゃない?」
正木のあんな姿を見たことのなかった梓はすっかり毒気を抜かれて、先程までの怒りは落ち着いていた。
「お前たち、自分がしようとしたことをよく考えるんだな。いくら腹が立つからってこんなやり方は間違っている。制裁なんて体のいい只の暴力だ。」
姫川が正木の親衛隊達に向かって言う。
「ほっといてよ。あんただけには注意されたくないね。」
姫川の言葉にすかさず梓が反論する。
姫川は反省の色もない梓にはぁぁと一度ため息を吐くと、
「佐々木。」
と隣にいる佐々木を呼んだ。
「えっ?何?」
佐々木が惚けたような声を出す。
「俺はこれから、優木や柊に話がある。お前は後の親衛隊達を頼めるか?」
「それはいいけど、この2人とこの部屋に残るなんて大丈夫なの?」
姫川の身を心配した佐々木が言う。
「あぁ、問題ない。俺はどうしてもこの2人に聞きたいことがある。」
「ちょっと勝手に話を進めないでくれる?」
梓がまたしても姫川に噛み付く。流石に我慢が効かなくなった姫川が梓をギロっと睨んだ。
「お前に拒否権はない。こんな騒ぎを起こして何の話し合いもせずこのまま終われると思うのか?聞き分けのないガキみたいにグダグダ文句を垂れるんじゃない。」
静かな声だがその声は確かに怒気を孕んでいた。その姫川の雰囲気に梓も遂に口を閉じた。頬を膨らませて、顔を横に向けている。一見とても可愛らしく見えるが、梓の性格を知っている姫川がそう思うことはなかった。
「他の者は佐々木と共に解散しろ。」
姫川の言葉を受けて、佐々木と共に他の隊員達がゾロゾロと教室から出ていった。
そして姫川と梓と優木だけがそこに残った。
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