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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
数え方
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「レイセンに来る前は西だったか」
「西ですか。サンレストやファインツとかでしょうか?」
「結構移動したからな。ファインツには行ったけど、一番長くいたのはソルガンだな。知ってるか?」
「はい。地理の授業で教わりました。確か、セ・サールの近くにある工業都市、ですよね」
「そ」
エリックさんが頷く。
セ・サールとは大陸に流れる川の一つだ。古い言葉で「セ」は「第一」、「サール」は「川」を意味するそうだ。つまり、第一の川ということ。
他にも、第二の川、カ・サール、第三の川、ル・サールなどがある。この三つが大陸の三大大河と呼ばれる川と授業で先生が言っていた。
ソルガンは広いとは言い難いけれど、資源がたくさん取れる鉱山に囲まれており、よく栄えていると訊く。
「ソルガンは良質な鉱石類が安く手に入るから、材料調達で行ったんだよ」
「そうなんですね。西の方はレイセンとの交流も盛んですし、魔法道具も売れたんじゃないですか?」
「売れた売れた。特に配達鳩が売れたな」
「猫の爪は配達鳩を扱ってるんですね」
配達鳩は魔法生命体の一種。見た目は普通の鳩と変わらないけど、触れたものの重さをある程度変えられる特性を持つため、ちょっとした荷物運びに使われることがある。それ以外にも、普通に愛玩用としても人気だ。魔法生命体は、魔力の供給さえすれば元気に動き回るし、病気などの心配もない。普通の生き物より飼育の難易度が低いからか、家庭で魔法生命体が飼われることはよくある。魔力がある子なら、自身で生み出すことも可能だ。
イクスが生成した蝙蝠のような危険なものでなければ魔法生命体の生成は禁止されていない。
魔法生命体専門のペットショップもレイセンにはあるしなぁ。
「ああ。けど、猫の爪の配達鳩は一味違うぞ? 伝言機能付きだからな」
「伝言機能?」
「そう。メッセージを記録させて、音声を再生することが出来る。働きに出ている旦那とかに差し入れついでにメッセージ──って感じで、結構人気だった」
「それは素敵ですね」
生成する際に声帯機能を付与してるのかな?
ボイスレコーダー──いや、オウムみたいな感じ?
「ま、考えたのは俺じゃないけど」
「猫の爪には色んな人がいるんですね。何人くらいで構成されてるんですか?」
少なくとも、三、四人はいるだろうけど、猫の爪にあった品数からしてもっといる筈だ。
「えーと、俺も含めて八人だな」
「・・・・・・・そうなんですね。ぜひ、お会いしてみたいです」
「この時間なら何人かはいるんじゃないか?」
「わぁ、楽しみです!」
私はにこにこ笑いながら、はしゃいで見せたが、内心は少し不安があった。
今、エリックさんは猫の爪のメンバーを数える際、小指から立てて数え始めた。
これは帝国で使われている数え方。
レイセンでは指を使って数を数える時に、人差し指を最初に立てる。けど、私は前世の影響で親指から順に曲げて数える。こういう習慣は簡単に直せるものじゃない。
ということは、少なくともエリックさんは帝国に癖が身につくほどいたという可能性がある。
「西ですか。サンレストやファインツとかでしょうか?」
「結構移動したからな。ファインツには行ったけど、一番長くいたのはソルガンだな。知ってるか?」
「はい。地理の授業で教わりました。確か、セ・サールの近くにある工業都市、ですよね」
「そ」
エリックさんが頷く。
セ・サールとは大陸に流れる川の一つだ。古い言葉で「セ」は「第一」、「サール」は「川」を意味するそうだ。つまり、第一の川ということ。
他にも、第二の川、カ・サール、第三の川、ル・サールなどがある。この三つが大陸の三大大河と呼ばれる川と授業で先生が言っていた。
ソルガンは広いとは言い難いけれど、資源がたくさん取れる鉱山に囲まれており、よく栄えていると訊く。
「ソルガンは良質な鉱石類が安く手に入るから、材料調達で行ったんだよ」
「そうなんですね。西の方はレイセンとの交流も盛んですし、魔法道具も売れたんじゃないですか?」
「売れた売れた。特に配達鳩が売れたな」
「猫の爪は配達鳩を扱ってるんですね」
配達鳩は魔法生命体の一種。見た目は普通の鳩と変わらないけど、触れたものの重さをある程度変えられる特性を持つため、ちょっとした荷物運びに使われることがある。それ以外にも、普通に愛玩用としても人気だ。魔法生命体は、魔力の供給さえすれば元気に動き回るし、病気などの心配もない。普通の生き物より飼育の難易度が低いからか、家庭で魔法生命体が飼われることはよくある。魔力がある子なら、自身で生み出すことも可能だ。
イクスが生成した蝙蝠のような危険なものでなければ魔法生命体の生成は禁止されていない。
魔法生命体専門のペットショップもレイセンにはあるしなぁ。
「ああ。けど、猫の爪の配達鳩は一味違うぞ? 伝言機能付きだからな」
「伝言機能?」
「そう。メッセージを記録させて、音声を再生することが出来る。働きに出ている旦那とかに差し入れついでにメッセージ──って感じで、結構人気だった」
「それは素敵ですね」
生成する際に声帯機能を付与してるのかな?
ボイスレコーダー──いや、オウムみたいな感じ?
「ま、考えたのは俺じゃないけど」
「猫の爪には色んな人がいるんですね。何人くらいで構成されてるんですか?」
少なくとも、三、四人はいるだろうけど、猫の爪にあった品数からしてもっといる筈だ。
「えーと、俺も含めて八人だな」
「・・・・・・・そうなんですね。ぜひ、お会いしてみたいです」
「この時間なら何人かはいるんじゃないか?」
「わぁ、楽しみです!」
私はにこにこ笑いながら、はしゃいで見せたが、内心は少し不安があった。
今、エリックさんは猫の爪のメンバーを数える際、小指から立てて数え始めた。
これは帝国で使われている数え方。
レイセンでは指を使って数を数える時に、人差し指を最初に立てる。けど、私は前世の影響で親指から順に曲げて数える。こういう習慣は簡単に直せるものじゃない。
ということは、少なくともエリックさんは帝国に癖が身につくほどいたという可能性がある。
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