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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
あだ名
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「改めまして、私はアリス・クサナギと申します。この子はリリー・ナイヨルです」
「初めまして。先日、こちらで魔法道具をお借りしたミリア・メイアーツです」
「じゃ、ミリーちゃんね」
「ミリーちゃん?」
リリーと呼ばれた女の子が、私を指して言った。
「そ。リシーと、イディー、リッキー、ミリーちゃん」
アリスさん、ロイドさん、エリックさん、そして私と、リリーちゃんのガラス細工のような細い指がそれぞれを指して再び私を示した。
そういえば、さっきアリスさんのことリシーって呼んでたな。
どうやら、この子はあるルールを元にあだ名をつけてるようだ。
ミリーちゃんかぁ。こんな可愛い子にあだ名で呼ばれるとほわほわしちゃうなぁ。
いかん、頬が緩む。
私は令嬢フェイスを維持しつつ、アリスさんの姓が気になった。
クサナギ。
なんだか、和風っぽい響き。
もしや、東の出身かな?
「あの──」
「あった!」
アリスさんに直接訊ねようとしたところをエリックさんの声に遮られてしまう。
エリックさんは手にした小瓶を掲げていた。
「これで増殖が止まる筈だ」
エリックさんが壷を床に置き、小瓶の栓を抜く。
壷の中ではうごうごとワカメが増殖し続けていることを証明する音がしている。
壷の中から怪しい音。ワカメの音だと分かってるけど、何とも不気味だ。
オリジナルの無限壷は万物全てを飲み込めるという代物と伝わっているけど、このレプリカは容量があるらしいから、対処は必須だ。
けど、これの容量ってどれくらいだろ? そもそも、なんでレプリカが? 流石に作ったってことはないよね。オリジナルはとうの昔に失われてるし。
エリックさんがぽとりと一滴薬を落とす。すると、徐々にワカメ音がゆっくりになっていき、完全に音が止んだ。
どうやら、収まったらしい。
ほっと息を吐く。
「は~、収まった・・・・・・」
エリックさんが床に手をついて、ほっとした表情で天井を仰ぐ。
「いやぁ、びっくりしたねぇ」
「「「びっくりしたのはこっち(です/だ)」」」
ロイドさん以外の三人が口を揃えて言った。
いきなりワカメに襲われたら誰だってびっくりするよね。
私も同意するようにうんうんと頷いてしまった。
「とりあえず、棚の中は整理しろよ。てゆーか、俺ら揃いも揃って磯臭くね?」
「言われてみれば・・・・・・?」
「ずっとワカメに絡まれてたからね」
腕を鼻に持ってきて、くんくんと匂いを嗅いでみる。う~ん、磯の匂いがする。
ワカメのぬるぬるで服もビミョーに湿ってるし、どうしよう。
私たちは暫くどうしようと無言で見つめあっていた。
沈黙を最初に破ったのはアリスさんだった。
「とりあえず、我々はお風呂に入って来るので、ロイドとエリックは片付けしておいて下さい」
「え~、僕もお風呂入りたい・・・・・・」
「俺、全く関係ないんだけど」
「レディファーストで」
「「はい」」
不満を述べる男性陣を笑顔一つで黙らせたアリスさんに私は確信した。この人、強い。
「初めまして。先日、こちらで魔法道具をお借りしたミリア・メイアーツです」
「じゃ、ミリーちゃんね」
「ミリーちゃん?」
リリーと呼ばれた女の子が、私を指して言った。
「そ。リシーと、イディー、リッキー、ミリーちゃん」
アリスさん、ロイドさん、エリックさん、そして私と、リリーちゃんのガラス細工のような細い指がそれぞれを指して再び私を示した。
そういえば、さっきアリスさんのことリシーって呼んでたな。
どうやら、この子はあるルールを元にあだ名をつけてるようだ。
ミリーちゃんかぁ。こんな可愛い子にあだ名で呼ばれるとほわほわしちゃうなぁ。
いかん、頬が緩む。
私は令嬢フェイスを維持しつつ、アリスさんの姓が気になった。
クサナギ。
なんだか、和風っぽい響き。
もしや、東の出身かな?
「あの──」
「あった!」
アリスさんに直接訊ねようとしたところをエリックさんの声に遮られてしまう。
エリックさんは手にした小瓶を掲げていた。
「これで増殖が止まる筈だ」
エリックさんが壷を床に置き、小瓶の栓を抜く。
壷の中ではうごうごとワカメが増殖し続けていることを証明する音がしている。
壷の中から怪しい音。ワカメの音だと分かってるけど、何とも不気味だ。
オリジナルの無限壷は万物全てを飲み込めるという代物と伝わっているけど、このレプリカは容量があるらしいから、対処は必須だ。
けど、これの容量ってどれくらいだろ? そもそも、なんでレプリカが? 流石に作ったってことはないよね。オリジナルはとうの昔に失われてるし。
エリックさんがぽとりと一滴薬を落とす。すると、徐々にワカメ音がゆっくりになっていき、完全に音が止んだ。
どうやら、収まったらしい。
ほっと息を吐く。
「は~、収まった・・・・・・」
エリックさんが床に手をついて、ほっとした表情で天井を仰ぐ。
「いやぁ、びっくりしたねぇ」
「「「びっくりしたのはこっち(です/だ)」」」
ロイドさん以外の三人が口を揃えて言った。
いきなりワカメに襲われたら誰だってびっくりするよね。
私も同意するようにうんうんと頷いてしまった。
「とりあえず、棚の中は整理しろよ。てゆーか、俺ら揃いも揃って磯臭くね?」
「言われてみれば・・・・・・?」
「ずっとワカメに絡まれてたからね」
腕を鼻に持ってきて、くんくんと匂いを嗅いでみる。う~ん、磯の匂いがする。
ワカメのぬるぬるで服もビミョーに湿ってるし、どうしよう。
私たちは暫くどうしようと無言で見つめあっていた。
沈黙を最初に破ったのはアリスさんだった。
「とりあえず、我々はお風呂に入って来るので、ロイドとエリックは片付けしておいて下さい」
「え~、僕もお風呂入りたい・・・・・・」
「俺、全く関係ないんだけど」
「レディファーストで」
「「はい」」
不満を述べる男性陣を笑顔一つで黙らせたアリスさんに私は確信した。この人、強い。
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