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番外編
ほのぼの日常編1 再婚を祝う人々11(ウーゴ視点)
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「ディーン、良かったな。おめでとう」
ニールとダニエラが帰った後で、私はディーンに祝いの言葉を告げた。
「ありがとうございます。団長」
真面目過ぎる位に真面目なディーンは、日頃の硬い表情とは違い照れくさそうに微笑みながら頭を下げた。
こんな顔をさせているのが私の可愛い姪のダニエラなのかと思うと、それだけで嬉しくなる。
「ニールを兄上と呼ぶなら私は叔父上だな」
あのニールが自分を兄と呼ばせる等思ってもいなかったから、ディーンがニール兄上と呼んだ時は心底驚いてしまった。
ニールとディーンは学生の頃からの友だと知っていても、そこまでニールがディーンに心を許しているとは思わなかったのだ。
だがニールはディーンに兄上と呼ぶのを許した、それだけ心を許しているということだ。
私はディーンの上司だが、後見人でもある。
ディーンが長年ニールとウィンストン公爵家に尽くしてきたのを一番近くで見ていた者として、鼻が高いし自分の手柄の様に嬉しく思えてしまう。
「お、叔父上ですか。あの、そんな、いいのでしょうか」
「ニールを兄上と呼ぶのに、私は団長のままかい? 勿論兄上の事は父上と呼ぶんだよ」
ニールが兄と呼ばせるなら、私だって叔父と呼ばせるし、兄上を義父と呼ぶのも当たり前の事だ。
「そ、それは……あの、公爵閣下をそんな。不敬になりませんか」
「呼ばない方がマズイと思うぞ」
国王陛下であるダヴィデ兄上とは違い、ニールとダニエラの父デルロイ兄上は一見そうは見えないが子煩悩な方だ。
妻を愛し、子を愛している。デルロイ兄上が最優先の陛下とは違う。
「私の様な者がそうお呼びするのは恐れ多いですが、団長を本当に叔父上とお呼びしてもいいのでしょうか」
「ディーン、謙遜も過ぎれば卑屈に見えると何度も言っているだろう。おまえはダニエラの夫になるんだ。もう少し自分に自信を持ちなさい。ダニエラが子を産んだ時そんなに自信のない父親では困るだろう」
「父、私が父に。私は親になる資格があるのでしょうか、自信がありません」
ディーンはポツリと呟いた後、黙り込み俯いてしまった。
「親になる資格等、最初から持っている者等いないよ。子が生まれ親になり、子と共に親も育つんだからな」
子供の養育の殆どを使用人に任せる王家とは違い、貴族の家では使用人任せの家も多いがそうでない家もあると聞く。デルロイ兄上のところは夫婦揃って子供達に関わる時間が多い家だと思う。
ディーンとダニエラの性格を考えると、下級貴族や市井の者達の様に子供達に関わっていきそうな気がする。
子供に殆ど関わらないのであれば今のディーンのままでも良いかもしれないが、そうでないならこの性格は子供の成長に悪影響を及ぼすだろうし、ダニエラも困るだろう。
「私に父親が務まるでしょうか」
「不安ならダニエラに相談していけばいい。心の中に仕舞いこんでしまうのは駄目だな」
「そんな事をしてダニエラに呆れられませんか」
不安そうな顔、この顔をディーンは仕事中見せたことがない。
ディーンはニールとはまた違った意味で天才なのだと思う。
甥のニールは優秀な父と同じかそれ以上に優秀だ。ニールが何かしようとして思う様に出来ずに挫折したという話を聞いたことが無い。一度聞いた事は忘れないし、魔法の腕も剣術の腕も素晴らしいし、何より人から好かれ崇拝されるし、一部の人間からは神格化されていると言っても過言ではなかった。
デルロイ兄上もそうだが、ニールも人の上に立つ為に生まれた様な人間だ。
そもそも、私は密かにニールこそ王冠を戴くに相応しい者はいないと考えている。
第一王子は短慮で利己的な人間だし、第二王子は平凡だ。どちらもニールの前では塵芥の様なものだ。
まあ長兄はまだまだ健康だから、これからゆっくりニールの世になるようにしていけば良い。
「ダニエラは優しい子だし、ディーンを大切に思っている様だから呆れたりしないよ」
ディーンは信用できるし能力もあるのだが、この自信のなさだけは評価出来ない。
「そうだと良いのですが。いけないのは分かっているのです、でも私はどうしても信じられないのです。私の様な者がダニエラの夫になれるなど。夢の中にいるようで」
全身で不安だと言っているディーンは、大きな体をして幼い子供の様だ。
これがディーンの母親の仕打ちのせいかと思うと、あの愚かな母親を千回殺しても足りないと思う。
初めはニールが友と認めた人間だからディーンを見守っていただけだったが、ディーンの誠実さやニールへの献身を知る内に彼自身を我が子の様に思うようになっている私にとってあの愚かな母親は完全なる敵だ。
「デルロイ兄上から、ダニエラは自分の意思でディーンを夫にすると決めたと聞いたよ。これは秘密にするように言われていたんだが、ダニエラはディーンと幸せになりたいからどうか結婚を許して欲しいと兄上とニールに願ったそうだよ」
「私と幸せになりたい。本当に彼女はそう思ってくれているんでしょうか」
「ああ。デルロイ兄上は一度嫁いだのだから二度目は好きにさせると決めたそうだ。デルロイ兄上の性格なら侯爵夫人がダニエラに行ったしでかしは許せるものではないから、ネルツ家を潰すくらいはしそうなものだが。ダニエラがディーンと共に生きたいと願ったから結婚を許したんだよ。勿論ディーンの為人を良くご存じだから許したのだろうけれどね」
ディーンが今までウィンストン公爵家に尽くしてきた歴史があるからこそ、デルロイ兄上はダニエラの願いを叶えたのだろう。そうでなければ、侯爵夫人への怒りのままネルツ家を潰しただろう。
「公爵閣下に許して頂けるような人間ではありません。ですが私はダニエラを諦められないんです。私よりも余程彼女を幸せに出来る人間はいるでしょう。でも、私は彼女を諦められない」
諦める必要等どこにも無い。
ディーンはもうすぐダニエラの夫になるのだから。
「なぜ諦める、そんな必要などないだろう。ダニエラはディーンの妻になるのだよ。大魔女郎蜘蛛に会おうとするような決意を持つダニエラが嫌々ディーンと結婚するわけがない。ディーンはもう少しダニエラを信用した方がいい。ダニエラはディーンを大切に思っているよ」
美しい宝石で飾られた箱に入れられて育った様なダニエラが、魔物の大魔女郎蜘蛛に会うのを拒否しないのには驚いたけれど、ディーンが可愛がっている使役獣だから会うと決めたのだろう。
ダニエラは優しすぎる位に優しい子だから、もしかしたら無理をしているのかもしれない。
「蜘蛛達を信用してくれているのです。私の使役獣だから襲ったりはしないだろうと」
「ディーン、君ねえ。ダニエラは貴族令嬢の中でも箱入り育った子だよ。普通の虫ですら近くで見た事ないだろうって思う程なんだよ。もしかしたら蜘蛛なんて名前だけでどんな形をしているかすら知らないかもしれないよ」
ダニエラの側に常に控えている侍女やメイドが、ダニエラに虫が近づく事を許すだろうか。
ダニエラの視界に入る前に排除している気がするから、彼女が虫を間近で見た経験などあるとは思えない。
「え、蜘蛛ですよ。魔物はともかく普通の蜘蛛なら」
「蜘蛛なんてダニエラは見たことないと思うよ。彼女が知っている虫なんて薔薇園の上空を飛ぶ蝶ぐらいじゃないのかな」
蝶以外見たことが無いは大袈裟だろうけれど、ダニエラがムカデや蜘蛛を間近で見たり触ったりした経験があるとは思えない。
「そうしたら、大魔女郎蜘蛛なんて」
「恐怖で尻込みしても気を失っても、ダニエラを怒ったり失望してはいけないよ。ダニエラはスライム程度の魔物も見たことはないのだからね」
「ダニエラに私はとんでもないお願いをしてしまったでしょうか」
「会うと決めたのはダニエラだからねえ。あの子は深く考えずディーンの使役獣を見てみたいと思ったのかもしれないし」
「蜘蛛達はとても喜んでいるんです。私の結婚を喜んでくれて、ネルツ領への移住も決めてくれたのです」
大魔女郎蜘蛛の移住は良かったねでは済ませられない話だけど、魔物など王家の森ではいくらでも出て来るのだからあの蜘蛛達が移住するは良いんだろう。
「私の妻になるダニエラを守りたいからと、体を小さくする技まで身に着けてくれたんです。でも蜘蛛が怖いのであればダニエラに近付けない方がいいですね」
そうか、体を小さく。
ちょっと待て、今何て言った。
「大魔女郎蜘蛛は体の大きさを変えられるのか?」
「普通は出来ないそうですが、私がダニエラを守る術が欲しいと言ったら近くにいてもおかしく無い様に、体を縮められるようにすると言ってくれて。今は手の平に乗る位まで小さくなれる様になりました。もっと小さくなれる様に訓練している様です」
そんな話聞いたことが無い。
魔物が大きさを変えて小さくなれるなんて、どこにでも入り込めてしまうじゃないか。
「ディーン、それは絶対に秘密だ。ウィンストン公爵家以外の人にその話はしてはいけないよ。ダニエラを守る為なのだろう。それなら守る方法は隠しておいた方がいい」
頭が痛い。
なんでこうディーンは驚くことしかしでかさないんだろう。
「はい、分かりました。団ちょ……叔父上」
嬉しそうに微笑みながら、ディーンは私を叔父上と呼んだ。
「うん、叔父上だ。何かあれば私にも相談するんだよ。ディーン」
「はい、ありがとうございます」
少しでもダニエラの負担が減るといいんだが、私に出来る事は少ないだろうなあ。
少し遠い目をしながら、私は可愛い姪の負担をどうやったら減らせるか考え始めたのだった。
※※※※※※
ウーゴは、ニール達がディーンをダニエラの夫にと考えていた理由を知らないので、純粋にダニエラが望んだ故の結婚だと思っています。
ニールとダニエラが帰った後で、私はディーンに祝いの言葉を告げた。
「ありがとうございます。団長」
真面目過ぎる位に真面目なディーンは、日頃の硬い表情とは違い照れくさそうに微笑みながら頭を下げた。
こんな顔をさせているのが私の可愛い姪のダニエラなのかと思うと、それだけで嬉しくなる。
「ニールを兄上と呼ぶなら私は叔父上だな」
あのニールが自分を兄と呼ばせる等思ってもいなかったから、ディーンがニール兄上と呼んだ時は心底驚いてしまった。
ニールとディーンは学生の頃からの友だと知っていても、そこまでニールがディーンに心を許しているとは思わなかったのだ。
だがニールはディーンに兄上と呼ぶのを許した、それだけ心を許しているということだ。
私はディーンの上司だが、後見人でもある。
ディーンが長年ニールとウィンストン公爵家に尽くしてきたのを一番近くで見ていた者として、鼻が高いし自分の手柄の様に嬉しく思えてしまう。
「お、叔父上ですか。あの、そんな、いいのでしょうか」
「ニールを兄上と呼ぶのに、私は団長のままかい? 勿論兄上の事は父上と呼ぶんだよ」
ニールが兄と呼ばせるなら、私だって叔父と呼ばせるし、兄上を義父と呼ぶのも当たり前の事だ。
「そ、それは……あの、公爵閣下をそんな。不敬になりませんか」
「呼ばない方がマズイと思うぞ」
国王陛下であるダヴィデ兄上とは違い、ニールとダニエラの父デルロイ兄上は一見そうは見えないが子煩悩な方だ。
妻を愛し、子を愛している。デルロイ兄上が最優先の陛下とは違う。
「私の様な者がそうお呼びするのは恐れ多いですが、団長を本当に叔父上とお呼びしてもいいのでしょうか」
「ディーン、謙遜も過ぎれば卑屈に見えると何度も言っているだろう。おまえはダニエラの夫になるんだ。もう少し自分に自信を持ちなさい。ダニエラが子を産んだ時そんなに自信のない父親では困るだろう」
「父、私が父に。私は親になる資格があるのでしょうか、自信がありません」
ディーンはポツリと呟いた後、黙り込み俯いてしまった。
「親になる資格等、最初から持っている者等いないよ。子が生まれ親になり、子と共に親も育つんだからな」
子供の養育の殆どを使用人に任せる王家とは違い、貴族の家では使用人任せの家も多いがそうでない家もあると聞く。デルロイ兄上のところは夫婦揃って子供達に関わる時間が多い家だと思う。
ディーンとダニエラの性格を考えると、下級貴族や市井の者達の様に子供達に関わっていきそうな気がする。
子供に殆ど関わらないのであれば今のディーンのままでも良いかもしれないが、そうでないならこの性格は子供の成長に悪影響を及ぼすだろうし、ダニエラも困るだろう。
「私に父親が務まるでしょうか」
「不安ならダニエラに相談していけばいい。心の中に仕舞いこんでしまうのは駄目だな」
「そんな事をしてダニエラに呆れられませんか」
不安そうな顔、この顔をディーンは仕事中見せたことがない。
ディーンはニールとはまた違った意味で天才なのだと思う。
甥のニールは優秀な父と同じかそれ以上に優秀だ。ニールが何かしようとして思う様に出来ずに挫折したという話を聞いたことが無い。一度聞いた事は忘れないし、魔法の腕も剣術の腕も素晴らしいし、何より人から好かれ崇拝されるし、一部の人間からは神格化されていると言っても過言ではなかった。
デルロイ兄上もそうだが、ニールも人の上に立つ為に生まれた様な人間だ。
そもそも、私は密かにニールこそ王冠を戴くに相応しい者はいないと考えている。
第一王子は短慮で利己的な人間だし、第二王子は平凡だ。どちらもニールの前では塵芥の様なものだ。
まあ長兄はまだまだ健康だから、これからゆっくりニールの世になるようにしていけば良い。
「ダニエラは優しい子だし、ディーンを大切に思っている様だから呆れたりしないよ」
ディーンは信用できるし能力もあるのだが、この自信のなさだけは評価出来ない。
「そうだと良いのですが。いけないのは分かっているのです、でも私はどうしても信じられないのです。私の様な者がダニエラの夫になれるなど。夢の中にいるようで」
全身で不安だと言っているディーンは、大きな体をして幼い子供の様だ。
これがディーンの母親の仕打ちのせいかと思うと、あの愚かな母親を千回殺しても足りないと思う。
初めはニールが友と認めた人間だからディーンを見守っていただけだったが、ディーンの誠実さやニールへの献身を知る内に彼自身を我が子の様に思うようになっている私にとってあの愚かな母親は完全なる敵だ。
「デルロイ兄上から、ダニエラは自分の意思でディーンを夫にすると決めたと聞いたよ。これは秘密にするように言われていたんだが、ダニエラはディーンと幸せになりたいからどうか結婚を許して欲しいと兄上とニールに願ったそうだよ」
「私と幸せになりたい。本当に彼女はそう思ってくれているんでしょうか」
「ああ。デルロイ兄上は一度嫁いだのだから二度目は好きにさせると決めたそうだ。デルロイ兄上の性格なら侯爵夫人がダニエラに行ったしでかしは許せるものではないから、ネルツ家を潰すくらいはしそうなものだが。ダニエラがディーンと共に生きたいと願ったから結婚を許したんだよ。勿論ディーンの為人を良くご存じだから許したのだろうけれどね」
ディーンが今までウィンストン公爵家に尽くしてきた歴史があるからこそ、デルロイ兄上はダニエラの願いを叶えたのだろう。そうでなければ、侯爵夫人への怒りのままネルツ家を潰しただろう。
「公爵閣下に許して頂けるような人間ではありません。ですが私はダニエラを諦められないんです。私よりも余程彼女を幸せに出来る人間はいるでしょう。でも、私は彼女を諦められない」
諦める必要等どこにも無い。
ディーンはもうすぐダニエラの夫になるのだから。
「なぜ諦める、そんな必要などないだろう。ダニエラはディーンの妻になるのだよ。大魔女郎蜘蛛に会おうとするような決意を持つダニエラが嫌々ディーンと結婚するわけがない。ディーンはもう少しダニエラを信用した方がいい。ダニエラはディーンを大切に思っているよ」
美しい宝石で飾られた箱に入れられて育った様なダニエラが、魔物の大魔女郎蜘蛛に会うのを拒否しないのには驚いたけれど、ディーンが可愛がっている使役獣だから会うと決めたのだろう。
ダニエラは優しすぎる位に優しい子だから、もしかしたら無理をしているのかもしれない。
「蜘蛛達を信用してくれているのです。私の使役獣だから襲ったりはしないだろうと」
「ディーン、君ねえ。ダニエラは貴族令嬢の中でも箱入り育った子だよ。普通の虫ですら近くで見た事ないだろうって思う程なんだよ。もしかしたら蜘蛛なんて名前だけでどんな形をしているかすら知らないかもしれないよ」
ダニエラの側に常に控えている侍女やメイドが、ダニエラに虫が近づく事を許すだろうか。
ダニエラの視界に入る前に排除している気がするから、彼女が虫を間近で見た経験などあるとは思えない。
「え、蜘蛛ですよ。魔物はともかく普通の蜘蛛なら」
「蜘蛛なんてダニエラは見たことないと思うよ。彼女が知っている虫なんて薔薇園の上空を飛ぶ蝶ぐらいじゃないのかな」
蝶以外見たことが無いは大袈裟だろうけれど、ダニエラがムカデや蜘蛛を間近で見たり触ったりした経験があるとは思えない。
「そうしたら、大魔女郎蜘蛛なんて」
「恐怖で尻込みしても気を失っても、ダニエラを怒ったり失望してはいけないよ。ダニエラはスライム程度の魔物も見たことはないのだからね」
「ダニエラに私はとんでもないお願いをしてしまったでしょうか」
「会うと決めたのはダニエラだからねえ。あの子は深く考えずディーンの使役獣を見てみたいと思ったのかもしれないし」
「蜘蛛達はとても喜んでいるんです。私の結婚を喜んでくれて、ネルツ領への移住も決めてくれたのです」
大魔女郎蜘蛛の移住は良かったねでは済ませられない話だけど、魔物など王家の森ではいくらでも出て来るのだからあの蜘蛛達が移住するは良いんだろう。
「私の妻になるダニエラを守りたいからと、体を小さくする技まで身に着けてくれたんです。でも蜘蛛が怖いのであればダニエラに近付けない方がいいですね」
そうか、体を小さく。
ちょっと待て、今何て言った。
「大魔女郎蜘蛛は体の大きさを変えられるのか?」
「普通は出来ないそうですが、私がダニエラを守る術が欲しいと言ったら近くにいてもおかしく無い様に、体を縮められるようにすると言ってくれて。今は手の平に乗る位まで小さくなれる様になりました。もっと小さくなれる様に訓練している様です」
そんな話聞いたことが無い。
魔物が大きさを変えて小さくなれるなんて、どこにでも入り込めてしまうじゃないか。
「ディーン、それは絶対に秘密だ。ウィンストン公爵家以外の人にその話はしてはいけないよ。ダニエラを守る為なのだろう。それなら守る方法は隠しておいた方がいい」
頭が痛い。
なんでこうディーンは驚くことしかしでかさないんだろう。
「はい、分かりました。団ちょ……叔父上」
嬉しそうに微笑みながら、ディーンは私を叔父上と呼んだ。
「うん、叔父上だ。何かあれば私にも相談するんだよ。ディーン」
「はい、ありがとうございます」
少しでもダニエラの負担が減るといいんだが、私に出来る事は少ないだろうなあ。
少し遠い目をしながら、私は可愛い姪の負担をどうやったら減らせるか考え始めたのだった。
※※※※※※
ウーゴは、ニール達がディーンをダニエラの夫にと考えていた理由を知らないので、純粋にダニエラが望んだ故の結婚だと思っています。
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