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番外編
ほのぼの日常編2 くもさんはともだち54(蜘蛛視点)
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「ダニエラ」
不安の元である、双子を出産時に見た夢を主に話す事は出来ないのだろうか。
蜘蛛はその提案を、ずっとダニエラに出来ずにいる。
蜘蛛はあの時あの場にいたから、ダニエラから話を聞く事が出来た。
あの時のダニエラはまだ夢を見たばかりで動揺があったから深く考える事が出来ず、自分以外の者に話すことが出来たのだと思う。
冷静になってしまえば夢の中に出て来た娘が双子の一人として生まれ変わった等、他者に言えるものではないのだろう。
夢の話、仮の話の様なものとはいえ、その娘は主の母親のやらかしの末に出来てしまった子だ。
夢の中でその娘の母親だったダニエラは、葛藤はあっても娘を愛していた。だからこそ、心の底から愛せなかった自分を悔いていた。
ダニエラは優しい、優し過ぎる人間だと思う。
ダニエラに毒を盛る手伝いをしていたリチャードを罰する事なく、働くことすら難しくなったあの者を放り出すこともせず面倒を見ていることからも分かる。
『命を奪うなんて簡単なのよ、生きて償わせる方が罰になると思うの』
それがリチャードを生かしておく理由だというのだから、蜘蛛からすればダニエラの考えは甘すぎるしお人よし過ぎると思うが、それがダニエラという人間だ。
「ダニエラ無理をするな。ブレガ侯爵と繋がりが出来るのが怖いのであれば、ロニーを養子に出さずにネルツ家に置く事だってできるのだから」
養子に出す事を止めてしまえば将来、ロニーとマチルディーダが夫婦になる可能性は低くなるかもしれないが、あの二人が成長して互いを望むなら父上殿もニール様もマチルディーダが幸せになれる様に動いてくれるだろう。
「くぅちゃん、私はロニーの事を本当の息子の様に大切に思っているのよ。あの子が自分が幸せになる為に選んだ道を義母の私が邪魔したり出来ないわ」
「ダニエラは優し過ぎる」
ロニーは悪い人間では無いが、蜘蛛にとっての優先順位はダニエラの方が遥かに上だ。
口には出さないが、マチルディーダの相手はロニーでは無くてもいいんじゃないかと思ってもいる。
ロニーの親は主を虐げていたピーターなのだから、ロニーに罪はないと分かっていてもどうしてもあの愚かな男の面影をロニーに見てしまうんだ。
「私は優しい人間なんかじゃないわ。優しいというならディーンやくぅちゃんの方が余程優しいと思うわ。私の気持ちを優先してくれるじゃない」
ダニエラは勘違いをしている、蜘蛛と主は優しいのではない。
蜘蛛は口に出さないだけだし、主はダニエラの幸せが自分の幸せだからダニエラの願いを叶えるのが最優先になっているだけだ。
「くぅちゃん。大丈夫、私ちゃんと侯爵にロニーの事お願い出来るわ。冷静にちゃんとあの子の義母として」
震える体を自分で抱きしめる様にしながら、ダニエラは弱々しい笑顔を浮かべ蜘蛛に宣言する。
ダニエラはか弱い。
蜘蛛が戯れにダニエラの首に前足を伸ばし力を加えただけで、ダニエラの命を簡単に終わらせられるだろう。
弱いのだから、怖いと口に出して主と蜘蛛に守られていればいいのに、こうやって無理をしようとする。
ダニエラが怖いと言うなら、蜘蛛は全力でダニエラと子供達を害する者を排除するというのに、ダニエラは自分で守ろうとする。
「大丈夫よ。私は夢の中のあの子の母親じゃなく、現実の四人の子供達の母親だもの。私の夫はディーンだもの。私は非力だけど子供達を守るわ。子供達が夢の中のあの子の年齢になっても、その先も幸せに生きられる様に守るわ、絶対に子供達もディーンも守ってみせる。それにブレガ侯爵は敵じゃないわ、敵はあの人じゃないの」
ダニエラは震えながら、ブレガ侯爵を睨む様に見ている。
蜘蛛は馬鹿だった。
ダニエラにとってあの夢は、これから起こるかもしれない未来なのだ。
夢と違い、子がすべて主の子でも、夫がブレガ侯爵ではなく主でも、第一王子にダニエラと子が害される。そんな未来が来る可能性は残っている。
残っているどころか、あの男がダニエラに執着し続ける限り、その可能性は消えないんだ。
「ダニエラ、第一王子の命を縮めるか? ダニエラが望むなら蜘蛛がそうしてやる」
「……駄目よ」
蜘蛛の提案にダニエラは驚いた様子ですぐに否定した。
「何故だ。不安要素を排除した方が今後の為だ。そうすれば安心出来るだろう」
「彼はまだ何もしていないのよ。私が安心したい、それだけの理由で人の命を奪ったり出来ないわ」
その考えは正しいのかもしれないが、蜘蛛は魔物だから邪魔な存在は排除したい。
「それに私の不安を無くすために、くぅちゃんにそんな酷い事させたくないわ」
ダニエラは優しい、蜘蛛何て魔物なのだから蜘蛛の気持ちなんて考えなくていいというのに。
だが、何故だろう。
蜘蛛はダニエラの気持ちが嬉しいんだ。
不安の元である、双子を出産時に見た夢を主に話す事は出来ないのだろうか。
蜘蛛はその提案を、ずっとダニエラに出来ずにいる。
蜘蛛はあの時あの場にいたから、ダニエラから話を聞く事が出来た。
あの時のダニエラはまだ夢を見たばかりで動揺があったから深く考える事が出来ず、自分以外の者に話すことが出来たのだと思う。
冷静になってしまえば夢の中に出て来た娘が双子の一人として生まれ変わった等、他者に言えるものではないのだろう。
夢の話、仮の話の様なものとはいえ、その娘は主の母親のやらかしの末に出来てしまった子だ。
夢の中でその娘の母親だったダニエラは、葛藤はあっても娘を愛していた。だからこそ、心の底から愛せなかった自分を悔いていた。
ダニエラは優しい、優し過ぎる人間だと思う。
ダニエラに毒を盛る手伝いをしていたリチャードを罰する事なく、働くことすら難しくなったあの者を放り出すこともせず面倒を見ていることからも分かる。
『命を奪うなんて簡単なのよ、生きて償わせる方が罰になると思うの』
それがリチャードを生かしておく理由だというのだから、蜘蛛からすればダニエラの考えは甘すぎるしお人よし過ぎると思うが、それがダニエラという人間だ。
「ダニエラ無理をするな。ブレガ侯爵と繋がりが出来るのが怖いのであれば、ロニーを養子に出さずにネルツ家に置く事だってできるのだから」
養子に出す事を止めてしまえば将来、ロニーとマチルディーダが夫婦になる可能性は低くなるかもしれないが、あの二人が成長して互いを望むなら父上殿もニール様もマチルディーダが幸せになれる様に動いてくれるだろう。
「くぅちゃん、私はロニーの事を本当の息子の様に大切に思っているのよ。あの子が自分が幸せになる為に選んだ道を義母の私が邪魔したり出来ないわ」
「ダニエラは優し過ぎる」
ロニーは悪い人間では無いが、蜘蛛にとっての優先順位はダニエラの方が遥かに上だ。
口には出さないが、マチルディーダの相手はロニーでは無くてもいいんじゃないかと思ってもいる。
ロニーの親は主を虐げていたピーターなのだから、ロニーに罪はないと分かっていてもどうしてもあの愚かな男の面影をロニーに見てしまうんだ。
「私は優しい人間なんかじゃないわ。優しいというならディーンやくぅちゃんの方が余程優しいと思うわ。私の気持ちを優先してくれるじゃない」
ダニエラは勘違いをしている、蜘蛛と主は優しいのではない。
蜘蛛は口に出さないだけだし、主はダニエラの幸せが自分の幸せだからダニエラの願いを叶えるのが最優先になっているだけだ。
「くぅちゃん。大丈夫、私ちゃんと侯爵にロニーの事お願い出来るわ。冷静にちゃんとあの子の義母として」
震える体を自分で抱きしめる様にしながら、ダニエラは弱々しい笑顔を浮かべ蜘蛛に宣言する。
ダニエラはか弱い。
蜘蛛が戯れにダニエラの首に前足を伸ばし力を加えただけで、ダニエラの命を簡単に終わらせられるだろう。
弱いのだから、怖いと口に出して主と蜘蛛に守られていればいいのに、こうやって無理をしようとする。
ダニエラが怖いと言うなら、蜘蛛は全力でダニエラと子供達を害する者を排除するというのに、ダニエラは自分で守ろうとする。
「大丈夫よ。私は夢の中のあの子の母親じゃなく、現実の四人の子供達の母親だもの。私の夫はディーンだもの。私は非力だけど子供達を守るわ。子供達が夢の中のあの子の年齢になっても、その先も幸せに生きられる様に守るわ、絶対に子供達もディーンも守ってみせる。それにブレガ侯爵は敵じゃないわ、敵はあの人じゃないの」
ダニエラは震えながら、ブレガ侯爵を睨む様に見ている。
蜘蛛は馬鹿だった。
ダニエラにとってあの夢は、これから起こるかもしれない未来なのだ。
夢と違い、子がすべて主の子でも、夫がブレガ侯爵ではなく主でも、第一王子にダニエラと子が害される。そんな未来が来る可能性は残っている。
残っているどころか、あの男がダニエラに執着し続ける限り、その可能性は消えないんだ。
「ダニエラ、第一王子の命を縮めるか? ダニエラが望むなら蜘蛛がそうしてやる」
「……駄目よ」
蜘蛛の提案にダニエラは驚いた様子ですぐに否定した。
「何故だ。不安要素を排除した方が今後の為だ。そうすれば安心出来るだろう」
「彼はまだ何もしていないのよ。私が安心したい、それだけの理由で人の命を奪ったり出来ないわ」
その考えは正しいのかもしれないが、蜘蛛は魔物だから邪魔な存在は排除したい。
「それに私の不安を無くすために、くぅちゃんにそんな酷い事させたくないわ」
ダニエラは優しい、蜘蛛何て魔物なのだから蜘蛛の気持ちなんて考えなくていいというのに。
だが、何故だろう。
蜘蛛はダニエラの気持ちが嬉しいんだ。
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