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治癒師の限界3
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「それは薬で体が弱っただけということですか?」
兄様の問いに、ガスパール先生は小さく首を横に振り答える。
「例えば、年齢を重ねて体が弱った場合であれば、生命力と精神力が低下し健康状態が身体衰弱と出ます。でも、こんな結果は長い治癒師の経験でも初めてのことです」
ガスパール先生は体調確認結果では、お母様の薬の中毒が分からなかった事実に衝撃を受けている様だ。
今まで健康そのものだった二人の生命力と精神力が明らかに悪くなっているというのに、健康状態は問題無しと出てしまうのだから、魔物用の薬の匂いを嗅いでしまったという事実を知らなければ私だって体調確認魔法の結果に戸惑うだろう。
体調確認の魔法は万能だと信じていたから、調べられないものがあるなんて思いもしなかったのだ。
「あの薬で狂暴な魔物が大人しくなるのは、もしかすると魔物の生命力と精神力が著しく低下するからなのかもしれません。それに弱い魔物にあの薬を飲ませた場合、薬の中毒に耐えきれず死に至るのは分かっています」
「そんなに恐ろしい薬なのですか」
ガスパール先生の顔色がどんどん悪くなってくるから、思わず立ち上がりガスパール先生に駆け寄り手を握ってしまう。
「ミルフィーヌお嬢様?」
「ガスパール先生、顔色が良く無いの」
私の記憶の中のガスパール先生は、いつも穏やかな笑みを浮かべていた。
患者を不安にさせない様に自分は微笑みを絶やさないのだと、以前の私は教えて貰ったことがある。私が誰かに治癒魔法を掛ける時微笑みは無理でも不安そうな表情を見せてはいけないと教えてくれたのだ。
だけど、今のガスパール先生の顔に笑みはない。それが悲しくてたまらない。
「ミルフィーヌお嬢様、心配して下さるのですか。セドリック様に適切な治癒魔法を行えず、今奥様のお体も満足に診られていないこの私を」
「ガスパール先生は悪くないの。悪いのはあの薬なの。きっとあの薬がお母様のお腹の中にいたお兄ちゃまに悪い事をしたと思うの」
優しい優しいガスパール先生は、兄様がずっと苦しんでいた事を知っているからこそ辛いのだろう。
きっと兄様は元々体が弱かったから、お母様が使う気付け薬の影響を受けてしまっていたのかもしれない。いいや兄様がお母様のお腹にいた時から、多分気付け薬の影響を受けていたからこその虚弱だった可能性もある。
「ミルフィ様の言う通り、悪いのはあの気付け薬です。薬の匂いを嗅いだだけで今二人があんな風になっていることを考えても、侯爵夫人の服などに染みついた薬が幼い体のセドリック様に悪影響を与えていたのではないかと」
「なんて恐ろしい薬だ。それを人に使うなんて、子爵夫人もパティもなんて恐ろしい」
優しいガスパール先生には、子爵夫人の行いは理解出来ないだろう。
ガスパール先生は人を救う事に生涯を掛けていた人だ、人を害する気持ちは絶対に理解出来ないのだろう。
「ガスパール先生、悪いのは恐ろしい薬を使った子爵夫人です。そして、それを利用しようとしたパティです。僕はガスパール先生の治癒魔法のお陰で生きてこられたのです。だから自分を責めないで下さい」
「セドリック様」
ぽたりと私の手にガスパール先生の涙が落ちる。
「ガスパール先生は悪くないの、お兄ちゃまはガスパール先生がいたから生きてこられたと、ミルフィは思うの」
ガスパール先生の手をぎゅっと握りしめながらそう言うと、ぽたぽたと涙が落ちて来る。
以前のガスパール先生は、兄様をの命を救えなかったことをずっと悔んでいた。今だってそう、ガスパール先生は兄様を長く苦しめていたのは自分の診察方法が悪かったせいだと、自分を責めている。
こんな優しい人を傷つける理由を作った子爵夫人とパティが恨めしい。
「お母様はずっと気付け薬を使っていたけれど、健康そうに見えました。健康に見える人に薬の害がなんて、誰も疑ったりしないでしょう」
「私の目にも侯爵夫人は健康そのものに見えました」
兄様とキム先生が、ガスパール先生を励ます。
お母様は健康そうだったし、お父様に守られて幸せそうだった。
食欲が落ちているとか、寝込みがちなんてことも無かったのだから、何か問題があるだろうなんて誰も思わなかったと思う。
兄様の問いに、ガスパール先生は小さく首を横に振り答える。
「例えば、年齢を重ねて体が弱った場合であれば、生命力と精神力が低下し健康状態が身体衰弱と出ます。でも、こんな結果は長い治癒師の経験でも初めてのことです」
ガスパール先生は体調確認結果では、お母様の薬の中毒が分からなかった事実に衝撃を受けている様だ。
今まで健康そのものだった二人の生命力と精神力が明らかに悪くなっているというのに、健康状態は問題無しと出てしまうのだから、魔物用の薬の匂いを嗅いでしまったという事実を知らなければ私だって体調確認魔法の結果に戸惑うだろう。
体調確認の魔法は万能だと信じていたから、調べられないものがあるなんて思いもしなかったのだ。
「あの薬で狂暴な魔物が大人しくなるのは、もしかすると魔物の生命力と精神力が著しく低下するからなのかもしれません。それに弱い魔物にあの薬を飲ませた場合、薬の中毒に耐えきれず死に至るのは分かっています」
「そんなに恐ろしい薬なのですか」
ガスパール先生の顔色がどんどん悪くなってくるから、思わず立ち上がりガスパール先生に駆け寄り手を握ってしまう。
「ミルフィーヌお嬢様?」
「ガスパール先生、顔色が良く無いの」
私の記憶の中のガスパール先生は、いつも穏やかな笑みを浮かべていた。
患者を不安にさせない様に自分は微笑みを絶やさないのだと、以前の私は教えて貰ったことがある。私が誰かに治癒魔法を掛ける時微笑みは無理でも不安そうな表情を見せてはいけないと教えてくれたのだ。
だけど、今のガスパール先生の顔に笑みはない。それが悲しくてたまらない。
「ミルフィーヌお嬢様、心配して下さるのですか。セドリック様に適切な治癒魔法を行えず、今奥様のお体も満足に診られていないこの私を」
「ガスパール先生は悪くないの。悪いのはあの薬なの。きっとあの薬がお母様のお腹の中にいたお兄ちゃまに悪い事をしたと思うの」
優しい優しいガスパール先生は、兄様がずっと苦しんでいた事を知っているからこそ辛いのだろう。
きっと兄様は元々体が弱かったから、お母様が使う気付け薬の影響を受けてしまっていたのかもしれない。いいや兄様がお母様のお腹にいた時から、多分気付け薬の影響を受けていたからこその虚弱だった可能性もある。
「ミルフィ様の言う通り、悪いのはあの気付け薬です。薬の匂いを嗅いだだけで今二人があんな風になっていることを考えても、侯爵夫人の服などに染みついた薬が幼い体のセドリック様に悪影響を与えていたのではないかと」
「なんて恐ろしい薬だ。それを人に使うなんて、子爵夫人もパティもなんて恐ろしい」
優しいガスパール先生には、子爵夫人の行いは理解出来ないだろう。
ガスパール先生は人を救う事に生涯を掛けていた人だ、人を害する気持ちは絶対に理解出来ないのだろう。
「ガスパール先生、悪いのは恐ろしい薬を使った子爵夫人です。そして、それを利用しようとしたパティです。僕はガスパール先生の治癒魔法のお陰で生きてこられたのです。だから自分を責めないで下さい」
「セドリック様」
ぽたりと私の手にガスパール先生の涙が落ちる。
「ガスパール先生は悪くないの、お兄ちゃまはガスパール先生がいたから生きてこられたと、ミルフィは思うの」
ガスパール先生の手をぎゅっと握りしめながらそう言うと、ぽたぽたと涙が落ちて来る。
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こんな優しい人を傷つける理由を作った子爵夫人とパティが恨めしい。
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「私の目にも侯爵夫人は健康そのものに見えました」
兄様とキム先生が、ガスパール先生を励ます。
お母様は健康そうだったし、お父様に守られて幸せそうだった。
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